「少年野球」と一致するもの

野球肘になる変化球と、野球肘にならない変化球

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なぜ変化球を投げると肘を痛めるのか?!

野球肘になる変化球と、野球肘にならない変化球

野球肘の原因が変化球にあるとはよく言われることですが、これは正解であると同時に不正解でもあります。正しい投げ方をすれば変化球で肘を壊すことはありませんし、正しい投げ方ができていなければ多投しなくても変化球によって肘を痛めてしまいます。

スライダーにしてもシュートにしても他の球種にしても、ストレートとまったく同じ腕の振りで投げられれば肘を痛めることはありません。もちろんそのためにはまず、ストレートを肩肘を痛めにくい良いフォームで投げられるようになっている必要があるのですが💦

正しい変化球のリリースポイント

ストレートの腕の振りで、肩関節が内旋過程からニュートラルになった瞬間、手のひらがほぼ下を向いた状態でボールリリースを迎えられるのが、本当に正しい腕の振り方をした時のストレートのリリースです。しかし手のひらが捕手と向き合って正面を向いた状態でリリースしている場合、球種問わず肘の内側を痛めやすくなります。

まず前者の良いフォームになっていて、ニュートラルになる90°手前で抜くようにリリースするとカーブ、45°手前で切るようにリリースするとスライダー、30°前後手前ならカッターになります。逆にニュートラルになって肩関節が内旋過程ではなく、実際に内旋状態なった瞬間にリリースするとシュートになります。

このように腕の振りはストレートとまったく同じで、どこでリリースするかによってボールにさまざまな回転を与えて投げるのが変化球なんです。間違っても肩関節を外旋させたり、肘を回内・回外させたりしてボールに横回転を与えることはしないでください。あっという間に肘が痛くなります❗️

ちなみにリリースするポイントに関しては、握り方によってのみコントロールしていきます。例えば人差し指を浮かせて、中指の薬指側の面を縫い目にかければ、自然と90°手前でボールは抜けるようになり、縦に大きく割れるドロップを投げることができます。

握り方を変えても上手く変化球を投げられない場合は、肩肘を柔らかく使うことができていないはずです。逆に正しいフォームが身に付いていればスローイングアームの力みもなくなっていき、自然と肩肘を柔らかく使って投げられるようになります。

野球肘と変化球に関する結論

要するに正しい投げ方さえできていれば、小学生が変化球を投げても肘を痛めることはない、ということです。例えばドロップという球種はストレートよりもずっと球速が遅いため、正しいフォームで投げればストレートよりも肩肘にかかる負荷は小さくなります。そのためアメリカではドロップは"セーフティカーブ"と呼ばれているんです。

プロコーチとして僕がオススメしたいのは、ドロップを正しいフォームで投げられるようになり、投球をドロップから始めることで肩肘を柔らかく使う投げ方で慣らし、その後で速いボールを投げ込んでいくという流れのキャッチボールです。肩肘を柔らかく使えていると、ストレートの伸びもアップしていくはずです。

とにかく野球肘にならないようにするためには、まずはストレートを正しいフォームで投げられるようになる、ということです。しかし少年野球の指導現場のほとんどは内旋型トップポジションを子どもたちに教え込んでいて、変化球を投げなくても肘に負荷のかかる投げ方の子が本当に多いんです😭

ですので僕が作った『投球障害予防改善法ビデオ』を、本当に一人でも多くの野球指導者に見ていただきたいと思うわけなのです!

道具の性能に頼ったプレーができなくなる今後の中学野球

道具の性能に頼った野球ができなくなりつつある中学野球

中学生は野球塾のレッスンで科学的に正しいフォームを身につけることで、グングン上達していくことができます。一般的に男子生徒は中学生に入ると身長が伸び始め、体も強くなっていきます。つまり小学生時代にはできなかったレベルのフォームでプレーできるようになる、ということです。

でもその時、科学的に正しいフォームが身に付いていないと体格でしか勝負できなくなり、自分と同じ体格以上が相手になると勝てなくなりますし、そもそも科学的に正しくはないフォームで打ったり投げたりを繰り返していると、必ず怪我をしてしまいます。

さて、なぜ今回は中学生をテーマにしたかと言うと、中学生の体格はもう小学生とは異なりますし、かと言って高校生ほど大人に近いというわけでもありません。つまり文字通り中学生は、小学生と高校生の中間に位置しているとても重要な世代だと言えるのです。そのため今回は中学生をテーマに野球コラムを書いています。

反発係数が木製バット同様になるバットが主流になる高校野球の未来

高校野球では年々低反発バットへの移行が強く推奨されるようになってきました。今までの金属バットというのは本当に飛びすぎるくらい打球がよく飛ぶバットだったのです。ちなみに日本の金属バットは反発係数が高すぎて、アメリカでは使うことはできません。

高反発バットというのは打球がよく飛びますので、打球速度の速さも半端ではなく、実はとても危険なんです。そして高校野球では高反発バットによるホームランの量産ばかりが注目されるようになり、技術力の向上が置き去りにされてきました。そのため日本の高校生バッターは、国際大会ではほとんど通用していません。

一方アメリカの金属バットは、反発係数を木製バットと同水準にしなければならないという規定があるため、高校生レベルであっても金属バットから木製バットへのシフトにはほとんど苦労しません。しかし日本の場合、高校生が金属バットから木製バットに持ち替えた途端打てなくなることがほとんどです。

ビヨンドが使用禁止になった12球団ジュニアトーナメント

小学生の場合も、高校野球で低反発バットの需要が高まりつつあるのと同じ現象が起き始めています。2022年の12球団ジュニアトーナメントでは、2022年夏に行われたセレクションまではビヨンドやカタリストなどの複合バットの使用は可能でしたが、12月27日から行われた大会では正式にビヨンドやカタリストの使用が禁止されました。

12球団ジュニアトーナメントで使用できるのは通常の金属バット、木製バット、バンブーバット、ラミバットのみです。つまり2023年以降は、ビヨンドの恩恵でヒットや長打を打てていた選手は、12球団ジュニアトーナメントのセレクションには通らなくなる、ということです。

このように今、少年野球でも高校野球でも高反発バットの利用を禁じる方向に時代は進んでいます。日本のバットは、日本独自の進化を遂げることによってどんどん飛距離が伸びるようになりました。その反面道具に頼ってヒットや長打を打てるようになり、技術力を大切にする選手が減ってしまいました。

いま野球を本気で頑張っている中学生の多くは、高校に入ったら野球部に入ると思います。その時高反発バットの性能に頼っていたり、ビヨンド打ちが体に染み付いてしまっていると、高校野球ではまったく通用しなくなります。打球はほとんど外野にさえ届かなくなるはずです。

そうならないためにも、体がどんどん大きく強くなっていく中学生のうちに、どんなバットでもヒットを打てる科学的に正しいフォームを身につけておく必要があるんです。そしてそのための徹底サポートをしているのが僕の野球塾をはじめとした理論派野球塾の存在です。

体の成長に比例して上達速度を速められる可能性を秘める中学生

体の成長に比例して上達速度を速められる可能性を秘める中学生

そもそも軟式野球と硬式野球の打ち方というのは、まったく異なります。軟式野球はビヨンドに代表されるように、ボールの正面をバットの正面で打つことにより打球を飛ばして行きます。しかし硬式野球でこの打ち方をしてしまうと、よほどパワーのあるバッターじゃない限り打球を遠くまで飛ばすことはできません。

硬式野球は打球にバックスピンやトップスピンをかけることによって飛距離を伸ばしたり、ゴロの球足を速くさせていきます。ホームランに関しても体格や筋力に頼るのではなく、マグナス力を上手く利用できるように、打球にスピンをかける技術が求められます。この技術さえ身につけてしまえば、小柄でも細身でもホームランを打てるようになります。

高校時代の清原和博選手を覚えている方も多いと思いますが、清原選手は細身だったPL学園時代やライオンズ時代の方が、格闘家のような体型になった後よりも怪我なくホームランを量産することができていました。しかも清原選手の高校時代には、現代のような高反発金属バットなど存在していません。

しかし技術を身につけられなければ、あとは体格で勝負するしかなくなります。中学野球で非常に多いのですが、体を大きくするために練習の合間にドカベンを食べさせる野球指導者が日本には大勢います。これはまず栄養学的に間違ったやり方ですし、そもそも練習の合間のドカベンは熱中症のリスクを高めるだけです。

そして多くの野球指導者が科学的に野球フォームを学んでいないため、科学的に正しい投げ方・打ち方を指導することができません。するとどうなるかと言うと、体の大きさで勝負するしかなくなり、子どもたちにドカベンの完食を求めるようになるわけです。ここでまず言えることは、練習の合間にドカベンを食べさせるような指導者に子どもたちを預けてはいけない、ということです。

中学生の体はまさに日に日に大きくなり、大人へと近づいていきます。つまりここで科学的に正しいフォームをしっかり身につけることができると、体の成長速度に比例して、技術力もどんどん向上させていくことができます。体が大人の体に近づいて強くなっていくほど、レベルの高い技術を身につけられるようになります。

まずこれが、特に中学生が野球塾のレッスンで科学的に正しいフォームを身につけられるとグングン上達していける最初の理由です。僕の野球塾でも多くの中学生がレッスンを受けていますが、間違いなく中学生の上達速度は、小学生よりも高校生よりも速いと言えます。

例えば中学の野球チームで5番手投手だった選手は、レッスンを受けた半年後にはエースとして投げるようになり、大会でチームを勝利に導ける投手になりました。また、シニアでなかなか背番号をもらえなかった打者は、レッスンを受け始めた10ヵ月後の最後の夏には4番打者としてチームを牽引するようになりました。

中学生というのは、野球塾のレッスンによって科学的に正しいフォームをしっかりと身につけられると、このように急激な上達を実現できる可能性が非常に高いんです!

小学生には理解できないことも理解できるようになる中学生

小学生には理解できない野球塾のレッスンも理解できるようになる中学生

怪我をしない投げ方や打ち方を身につけるのであれば、選手個々のフォームが癖づく前の小学生のうちに動作改善をしてしまうのがベストです。怪我をしやすい投げ方や打ち方を、体も大きくなってきてフォームがある程度固まったあとから改善しようとすると、けっこう時間がかかってしまうんです。

怪我をしにくいフォームという意味では中学生の場合、小学生よりも改善までに少し時間はかかってしまうのですが、それでも高校生になってから改善しようとするよりは短時間で済みます。

そして中学生は、言葉の理解力がグングン高まってくる世代です。僕は小学生、中学生、高校生、大学生、プロ野球選手の個別サポートを業務としているのですが(メインはプロ野球選手の動作改善サポート)、中学生になってくると多くの選手たちの僕の言葉に対する理解力が高まっていくんです。

そのため小学生をレッスンする際には使わないような専門用語(もちろん初めて使う時は言葉の意味を説明します)を増やしたり、小学生には教えられない難しいレベルの動作を伝えられるようにもなります。そしてその理解力は高校生と大差はありません。もちろん国語力的には中学生よりも高校生の方が上なのですが、しかし僕の言葉に対する理解力に関して言えば、中学生と高校生とでは平均的にはほとんど差はありません。

そのため中学生の場合、正しい動き方を正しく理解し、正しく体現できるだけではなく、その動作がなぜ必要で、今までの動作だとなぜ良くないのかも深く理解できるようになります。小学生の場合は、このあたりが理解ではなく、暗記になってしまうことが多いんです。言葉を暗記しただけでは正しいフォームの理解度は深まりません。それが中学生になると覚えられるだけではなく、覚えたことをしっかりと理解できるようになるんです。

例えば「脚を高く振り上げて投げましょう」という指導をしたとすると、ほとんどの小学生の場合はただ脚を高く上げて投げようとするだけに留まります。レッスン中にできるだけ分かりやすく説明をしても、その動作の必要性や、今までの動作がなぜダメだったのかを理解できるまでに時間がかかるケースが多くなります。そのためその場では理解できなかったとしても、中学高校になった時に役立てられるように、僕は小学生にもレッスン内容をしっかりとノートに書いてもらうようにしています。

国語力が低すぎる選手はプロ野球でも大成できない!

実はプロ野球選手の中には、国語力がまったくない選手が少なくありません。高校時代は体格やセンスだけで野球をやっていて、プロスカウトも注目していた高校生だったため、勉強の成績は常に赤点というような選手たちです。僕が指導を担当したある選手は2軍で燻っていた20代の選手だったのですが、その選手の体のケアを担当されていたトレーナーさん経由で、僕に動作改善を手伝ってもらいたいというオファーが届きました。

しかしその選手が僕のサポートを受けたのは短期間だけでした。その理由は、彼が僕が説明する言葉がほとんど理解できなかったためです。もちろん僕はスポーツの専門用語や解剖学用語に関しては必ずどういう意味なのかを説明しました。ですが彼はそのような言葉を覚えたり、理解することを苦痛に感じてしまい、1ヵ月も立たないうちに僕のサポートを打ち切ってしまいました。そしてそれから一年も経たないうちに、彼は一度も1軍に定着することなく、トレードで得た新たなチャンスも活かせず、戦力外通告を受けてしまいました。

確かに中には大人になってもこのように国語力に乏しい選手は大勢います。しかし国語で平均点以上の点数を取れている中学生であれば、ほぼ確実に僕が説明する言葉や動き方を正しく理解することができます。この理解力は小学生には一部の選手にしか求められないものです。僕のレッスンにおいては、だいたい小学生全体の5%くらいしか、中学生同様に少し難しい話を理解できる小学生はいません。

逆に中学2年生や、2年生を間近にした年代になってくると、理解力がどんどん向上していきます。そのため言葉の説明さえ先にしてしまえば、スポーツの専門用語を絡めながら動作指導をしても、しっかりと理解することができます。正しい動作をよく理解できるからこそ、トレーニングでも正しい動作で投げたり打ったりすることを意識できるようになり、その結果実戦でも正しいフォームでプレーできるようになり、成績がどんどん向上していくようになります。これが中学生が野球塾のレッスンを受けるとグングン上達していける2つめの理由です。

中学生になると練習すればするほどスタミナがついていく!

中学生になると練習すればするほどスタミナがついていく!

「動作をマスターする」というのは、運動習熟というスポーツ心理学用語で説明することができます。運動習熟とは、その動作を意識しなくても自然とできるようになっている状態のことで、その動作が癖づいているということを意味します。

新しい動作を運動習熟状態まで持っていくためには、一般的な現役選手の場合は平均2000回その動作を繰り返すことによって、その動作がマッスルメモリー(筋肉が動作を覚えた状態)された状態となり、意識しなくてもその良い動作で投げたり打ったりできるよういなります。つまりその動作が新たな癖になるということです。

2000回と聞くと最初は途方もない数字のように感じてしまうかもしれませんが、しかし毎日100回ずつ繰り返したとしたら20日間、200回ずつなら10日間で終わってしまう程度の回数です。つまり毎日普通に練習をしていればあっという間にクリアできる数字、ということになります。

ただし気をつけたいのは、同じ動作を2000回繰り返す必要があるということです。もし途中で元の動作に戻ってしまったり、違う動作が挟まったりしてしまうと、カウントはリセットされてしまいます。ですので、とにかく正しい動作をひたすら繰り返す必要があります。

小学生・中学生・高校生、各世代ごとの強化しやすいポイント

さて、ここで各世代ごとの特徴をおさらいしておきたいと思います。まず12歳までの小学生世代というのは敏捷性が向上する世代となります。12歳までに敏捷性を向上させておかなければ、中学高校になってから敏捷性を向上させることは非常に難しくなります。もちろん不可能ではないのですが、上手くいかなかったり、必要以上に時間がかかってしまうことが多くなります。ですのでジャンプや短距離走など、体を高速で素早く動かす必要がある動作への対応は、遅くとも12歳までに行っておく必要があります。

そして高校生の場合は、筋力がつきやすくなります。もちろん小学生でも中学生でも筋肉量を増やすことはできるのですが、大人の体にかなり近づき、ほぼ計算通りに筋肉量を増やしていけるようになるのが16歳以上となる高校生世代となります。このような生理学的理由もあり、ダンベルなどのウェイトを使った本格的な筋トレは、高校生になって身長がほぼ止まってから始めるのがベストだと言えます。それまでは筋トレをするにしても、自重(自分の体の重さ)だけを使って行うようにしましょう。

では13〜15歳の中学生世代ではどのポイントが強化しやすくなるのか?それはスタミナです。中学生世代というのはどんどんスタミナつけていくことができる世代です。つまり練習時間や練習回数をどんどん増やしていける世代ということになります。

ある動作をマスターするためには2000回の反復練習が必要であることはすでに上述しました。中学生世代になるとスタミナがつくようになり、この2000回という数字の難易度がかなり下がっていくんです。さらには途中でカウントがリセットされてしまったとしても、何度でもやり直す体力を持てるようになります。要するに練習をすればするほどスタミナが強化され、さらにたくさんの練習をこなせるようになる、ということです。これが中学生が野球塾でレッスンを受けるとグングン上達していける3つ目理由です。これはスタミナが付きにくい小学生には真似することはできません。

中学生が野球塾に通うとグングン上達できる理由についてのまとめ

中学生が野球塾に通うとグングン上達できる理由についてのまとめ

とにかく中学生になると男子選手は一般的にはどんどん体が大きくなっていきます。しかしまだ大人の体としては完成というわけではないので、体の状態としてはまだフレキシブルだと言えます。つまり例え悪い癖がフォーム内に入っていたとしても、まだ比較的短期間で修正することができ、良い動作を入れ直す作業もそれほど時間はかからないということです。

そして国語力もアップしていくことにより、コーチの言葉に対する理解度も深くなり、一つ一つの練習の必要性をしっかりと理解した上で練習に励んでいけます。それぞれの練習意図をしっかりと理解できるようになると、理解できていない時と比べ、上達速度はどんどん速くなっていきます。

また、動作をマスターするために必要な反復練習も、小学生にはできないような回数をこなせるようになり、新しい動作を次々とマスターしていくことができます。

だからこそ中学生は、野球塾で理論的に正しいフォームを学ぶことで小学生よりも、高校生よりも上達していくことが可能なんです。

でも注意してください。野球塾ならどこでも良いというわけではありません。その野球塾でレッスンを担当するコーチが、野球動作の科学的理論を学んでいるかどうかを必ず確認してください。元プロ野球選手、元高校球児、甲子園出場経験など、そのような肩書きには絶対に捉われないでください。

元プロ野球選手たちにしても多くの方が野球塾を開講していますが、ほとんどの方の野球塾が失敗に終わっています。例えば日本シリーズで活躍した元プロ野球選手二人で開講した野球塾があったのですが、そんな元スター選手二人がいるにもかかわらず、その野球塾は大きな先行投資(屋内練習場や広告費など)をしたのに、あっという間に廃れてしまいました。当人は今では多額の借金のみが残ってしまったとお話しされていました。

しかしプロ野球経験などの肩書きがなくても、僕のようにスポーツ科学などをしっかりと勉強されている方の野球塾は、確実に選手を上達させることができ、長年経営を続けることができています。僕の野球塾にしても、おかげさまで2023年1月1日で13周年(14年目)を迎えることができました。

ですので野球塾を選ぶ際は、必ずスポーツ科学をしっかりと学んだコーチがいる野球塾を探してください。そしてもし肩書きがあるコーチの方が信頼しやすいという場合は、元プロ野球選手ではなく、現役トレーナーもしくは元トレーナーが主宰している野球塾を選んでください。トレーナー経験があれば、その方はほぼ確実にスポーツ科学を学んでいると言えます。ただし僕のようにバイオメカニクスまで学んでいるトレーナーは多くありませんので、そのあたりは確認が必要かもしれません。ちなみに僕自身はバイオメカニクス、解剖学、運動心理学などを学んでいます。そのためパフォーマンスが向上して怪我をしにくくなるフォームの指導や、適切なトレーニング法、メンタル強化レッスンまで行うことができます。

ただし僕のようにマンツーマンにこだわっているコーチの場合、大勢の選手を受け入れることはできませんので、僕の野球塾に関して言えば、レッスンのお申し込みをお断りしたり、レッスン開始までお待ちいただくケースがあります。ちなみに僕の場合は特別な肩書きはありませんが、埼玉西武ライオンズの1軍コーチが僕の動作改善理論を推奨してくださっていますし、人気野球雑誌『中学野球太郎』でも僕のレッスンを特集していただきました。そういう意味では安心してレッスンを受けていただけるかと思います。

いずれにしても、スポーツ科学をしっかりと勉強しているコーチであれば肩書き関係なく安心してレッスンを受けることができます。しかし勉強されてなく、経験則だけで教えてしまっているコーチの場合、元プロ野球のスター選手であってもなかなか選手を上達させることはできません。

センスがあるプロ野球選手ほど選手を教えることができないという衝撃の事実!

なぜそうなるかと言うと、古田敦也氏が仰るように、ほとんどのプロ野球選手がセンスだけでプレーしてしまっているからです。古田敦也氏自身、現役時代はセンスだけでプレーをしていたから、他の選手に上手く教えてあげることができないとお話されていました。確かに古田敦也氏のYouTubeを拝見させていただくと、理論的に野球動作が説明されている動画はほぼ皆無でした。そして一部の動画では、野球肩野球肘の予防改善面においてマイナスになってしまうようなことも「正しい動作」として紹介されていました。
野球系YouTube動画で野球のフォームを学ぶ時はここに気をつけて!

古田氏のような方の指導は、教えられなくてもどんどん上手くなっていけるセンスがあるタイプの選手には合っています。ですが基礎からしっかりと教わっていかなければならない選手の場合は、現役時代はセンスでプレーをしていて、経験則だけで教えてしまうタイプのコーチの指導を受けてもほとんど上手くなることはできません。

このような点も、野球塾を選ぶ際の参考にされると良いと思います。基礎動作から学ぶ必要がある選手は僕のような理論派コーチのいる野球塾、逆にセンスがある選手は必ずしても理論派コーチがいる野球塾じゃなくても良いと思います。ただしセンスがある選手が理論を身につけられると鬼に金棒です!例えばイチロー選手、ダルビッシュ有投手、大谷翔平投手らはまさにセンス+理論のお手本選手たちです。

そして最後にもう一点、プロ野球チームが開講している野球アカデミーは注意が必要ということを付け加えておきたいと思います。このような野球アカデミーの場合、指導マニュアルというものが存在しており、そのマニュアルに書かれていること以外はコーチは教えることができません。これは実際にそこで指導されていた元プロ野球選手のアカデミーコーチから伺ったことです。つまりアカデミーではどの選手に対しても同じ内容の指導が行われてしまうということです。もちろんこれも良し悪しのため、最初からセンスがあるタイプの場合は、プロ野球チームの野球アカデミーでもどんどん上手くなれると思います。

ということでずいぶんと長いコラムになってしまいましたが、最後までお読みくださりありがとうございました。中学生のお子さんをお持ちの方は、ぜひこの機会に野球塾のレッスンをご検討いただき、「やっぱりレッスンを受けとくべきだった」と後悔のない中学野球を過ごせるようにサポートしてあげてください。

完治させてもフォームを直さなければ野球肘は必ず再発する?!

野球肘/内側・外側・肘頭の割合

一般的に野球肘は下記のような割合だとされています。

  • 内側型野球肘/60%以上
  • 外側形野球肘/20%程度
  • 肘頭形野球肘/3%程度
このように、肘の内側を痛めてしまうタイプの野球肘が圧倒的に多いんです。肘の内側には内側側副靱帯というものがあるんですが、この靭帯に外反ストレスがかかってしまうことで野球肘を発症しやすくなります。

野球肩を生み出しているのは勉強不足の無知な野球指導者たち

野球肩は野球肘よりも原因が複雑

野球肩の原因は、野球肘よりも複雑だと言えます。例えばどんなに良い投球フォームで投げていたとしても、使っているボールの質や球数という外的要素によって痛めてしまうことも多いんです。

NPBとMLBのボールを比べるだけでも、MLBの公式球はNPBの公式球よりも僅かに大きくて僅かに重く、革のなめしも甘いため滑りやすいんです。NPBの滑りにくい公式球に慣れている選手がMLBのボールを投げるとすごく滑りやすく感じるため、ボールを握る力を僅かに強くしてしまいます。すると肩関節の内外旋が僅かに浅くなってしまい、肩関節のどこか1ヵ所に負荷が集中してしまうことがあるんです。そしてもちろん肘への負荷も高まってしまいます。

野球肘の原因となる最たるものは内旋型トップポジションにあり!

肘が痛くなったことのない60%の子に野球肘の兆候

埼玉県のあるスポーツ外科の先生が病院からエコー診察をするための機器をグラウンドに持っていき、一度も肘が痛くなったことのない少年野球選手の肘をエコーで診たところ、なんと約60%の子たちに野球肘の兆候が見られたそうです。

このリサーチでも分かるように、野球肘というのは痛くなった時が発症ではないんです。発症した瞬間に痛くなる子もいれば、発症して何年も経ってから急に痛み出す子もいます。そして発症から時間が経てば経つほど、野球肘の重度は重くなる傾向にあります。

そして野球肘はできるだけ早く見付け、できるだけ早く治療した方が治りやすくなります。こう考えると、肘が痛くなかったとしても、親御さんは一年に1回程度はお子さんの肘をスポーツ外科の先生に診てもらった方が良いと言えます。

「頭を移動させずにバットを振りなさい」という指導から始めてしまうのはとても危険!

頭を移動させずに振ることを最優先にしてはダメ!

僕の生徒さんたちに話を聞いていると、少年野球や野球部などでは未だに「頭を移動させずにバットを振りなさい」という指導をしきりに行っている野球指導者がとても多いようです。

僕のレッスンを受けてくださっている方であれば、なぜこの指導法が良くないのかを理論的に十分理解してくださっていて、どうすれば頭を移動させずに良いスウィングができるようになるのかも分かってくれていると思います。

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「肩を水平にして振りなさい」と教える指導者は勉強意欲0の人

少年野球、クラブチーム、野球部問わず、未だに「肩を水平にしたままバットを振りなさい」と教えている野球指導者が多いようです。このような話を聞くと、野球指導者の多くは本当に勉強が嫌いなんだなぁと思ってしまいます。

バットのヘッドを下げずにストライクゾーンのボールを打っていく場合、トップハンド側の肩(右打者の右肩、左打者の左肩)を下げなければバットをストライクゾーンに持っていくことはできません。

冬を怪我せず過ごせるようにするための投手育成コラムのまとめ

筋温やウォームアップに関する正しい知識を学ぼう!

今回の投手育成コラムでは冬関連の記事を少しまとめてみました。冬に怪我せず良い形で過ごせるように、ぜひこれらの記事で筋温やウォームアップに関する正しい考え方を学んでおきましょう!

ウォームアップは体温を上げるための作業ではなく、筋温を上げるための作業なんです。まずこの考え方を間違えてしまうと、正しいウォームアップができなくなってしまいます。そうならないためにも、まずは筋温がどういうものなのかを学んでみてください。

  1. 筋温を下げないように冬はこまめな「リウォームアップ」をしよう!
  2. 夏も冬もウォームアップは体温ではなく、筋温を上げていこう!
  3. 冬の投球練習はダメ?いいえ、実はやっちゃって大丈夫なんです!
  4. 真冬の寒い日に投げるからではなく、筋温が低いから肩肘を壊す!
  5. 真冬でもあっという間に体を温められるウォームアップのやり方
  6. 股関節を上手に使えれば登板前の肩慣らしは10球でも十分?!
  7. 冬の乾燥した指先が肩肘の怪我に繋がる?!それは一体なぜ?!
  8. 少年野球で冬にダブルヘッダーを行うのは完全に大人の事情
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シニアの監督にフォームを壊されて肩肘を痛めた中学生

シニアで野球をしている中学1年のお子さんを持つお父さんからLINEをいただきました。実はこの子は小学生時代に僕のレッスンを1年間受けて、投打共にレベルアップに成功した選手でした。

1年間かけて下半身の使い方から徹底的に覚え込ませていき、1年経った頃には肩肘を痛めにくい良いフォームが身につき、球速も制球力も打力も、ずいぶんとアップさせることができました。

ページ更新日:2022年10月23日

山本由伸投手の投げ方は本当にアーム式なのか?!

山本由伸のフォーム分析

オリックスバファローズの山本由伸投手のフォームは、アーム式だと言われることがよくあります。確かにテイクバックからコックアップにかけて一度肘を伸ばす動作を入れているため、一見するとアーム式のようにも見えます。しかし実際にはアーム式ではない、というのがプロコーチである僕の意見です。

アーム式かそうでないかを見分けるポイントは、トップポジションからボールリリースにかけてのフェイズでどれだけ肘が伸びているのか、という点です。山本由伸投手の場合、コックアップの最終盤ではすでに肘が曲がっていて、肘が伸ばされた状態で腕を振っているわけではありません。そのためアーム式ではない、と言えるわけです。

山本由伸投手のフォームの特徴としては、重心をややお尻側に落としているという点ではないでしょうか。通常はもっと力が入るように重心はお腹側に置きますが、山本投手の場合はややお尻側に落ちています。通常この動作が良い、と言うことはできず、僕自身選手をコーチングする際に重心がお尻側に落ちていたら直させるようにしています。

おそらく2021年シーズンからだと思いますが、山本投手のこの重心が真ん中寄りに戻って来ていると思うんです。その分フォーム全体のバランスが良くなり、ストレートの伸びと変化球のキレが昨季以上に増しているように見えました。

ただし山本投手には、重心がお尻側に落ちている形を上手く利用できる高い技術があります。通常であれば重心がお尻側に落ちていると力が入りにくくなり球威は大幅に低下してしまいます。

しかし山本投手の場合はお尻側にやや落ちた重心を上手く使い、アクセラレーションフェイズ(トップポジションとボールリリースの間の加速フェイズ)で体軸と運動軸を分離させているんです。この体軸と運動軸の分離こそが、山本由伸投手の伸びのあるストレートを生んでいるというわけです。

運動軸と体軸の分離に関しては、僕の野球教則ビデオの中で詳しく解説していますので、そちらをご視聴いただければ幸いです。

体軸と運動軸を分離させている山本由伸投手のフォーム

体軸と運動軸を分離させて使えるようになると、リリースポイントと運動軸のラインを限りなく近付けられるようになります。すると求心力を使えるようになり、鋭いボディースピンを生み出し、ストレートの回転数を増やせるようになります。

そしてストレートの回転数が増えれば、力一杯投げなくてもストレートが伸びる(ホップ要素が増える)ようになり、簡単にバッターを差し込めるようになります。ボールがスウィングプレーンの上を通過する空振りも増えます。

ちなみに体軸と運動時を分離させている投手の代表例は西口文也投手、ランディ・ジョンソン投手らです。プロ野球やメジャーリーグでも、本当に一部の投手しか身につけられない非常に高いレベルの技術です。

ではなぜ体軸と運動軸を分離させることができるのか?一言で片付けるならば、筋トレに頼っていないことが最大要素ではないでしょうか。山本由伸投手はほとんど筋トレはしません。ちなみに西口文也投手も現役時代はほとんど筋トレをしませんでした。

筋トレに頼らず、投げるのに必要な筋力と強さを投げる動作により鍛えているため、持っている筋肉のほとんどをピッチングフォームの中で活かせるようになります。

余分な重量がない分体を自在に動かすことができ、体軸と運動軸を分離させるという高い技術を身につけられるようになるわけです。もし山本投手が筋トレに頼った球威アップを目指していたならば、求心力ではなく遠心力で投げるピッチャーになってしまい、沢村賞レベルの投手になれたかどうかは誰にも分かりません。

そしてこの技術を身につけるためには、右投手の場合、骨盤を一塁側にスライドさせながらスピンさせるという技術が必須となります。この技術を身につけるためには股関節周りの強度・柔軟性・可動性が必須となり、これらの要素がどれか1つでも欠けてしまうと習得することはできません。ちなみに山本投手の股関節のコンディションはどれをとっても抜群です。

エースに相応しい態度を貫く山本由伸投手

2021年スワローズとの日本シリーズで、山本投手が登板した試合で味方がエラーをしてしまった場面がありました。このエラーがなければもしかしたらその試合の流れはオリックスバファローズに行っていたかもしれません。

このような大事な試合の局面で味方がエラーをしても、山本投手はガッカリした姿を一切見せませんでしたし、味方のエラーにイラつくような表情を見せることさえありませんでした。このような態度も西口文也投手と共通しています。

西口投手も味方のエラーに嫌な顔を見せることはしない投手でした。そのためライオンズナインは西口投手が登板する試合ではいつも「西口さんを勝たせよう!」と一丸となっていました。山本投手もおそらくチーム内では、そう思われているエースなのではないでしょうか。

山本由伸投手と伊藤智仁投手の相違点

フォームに関しての話をさらに付け加えるならば、肩甲骨の使い方がとても深くて素晴らしいと思います。この肩甲骨の使い方に関しては、少年野球でもどんどん真似していくべきだと思います。
(スポーツ科学を勉強されていない方が教えるのは難しいとは思いますが)

肩甲骨はフローティングといって、どの方向にも動かすことができる骨なんです。山本投手の場合は投球時に左右・前後・上下を満遍なく使っているように見えます。そして肩甲骨を使えていることにより、肩関節そのものの使用率を軽減させ、肩への負荷を減らせているようにも見えます。

肩甲骨が柔らかい投手の代表格と言えばなんと言っても伊藤智仁投手だと思うのですが、山本由伸投手と伊藤智仁投手の違いは体軸と運動軸の分離の有無にあります。伊藤智仁投手のフォームは、体軸と運動軸は分離されていません。

そのため求心力ではなく、遠心力を使ったピッチングフォームになっており、もともとルーズショルダー気味だった肩への負荷を軽減させることができず、伊藤智仁投手は肩痛肘痛に悩み続けていました。

一方2021年、現時点での山本由伸投手のフォームは求心力を使えているため、ローテーターカフという肩関節に4つあるインナーマッスルへの負荷が高くなるフォームにはなっておらず、よほどの投球過多や勤続疲労が出て来ない限りは、簡単に肩を痛めることはないのではないでしょうか。痛めたとしても軽症で済むと思います。

山本由伸投手のフォームを作り出した槍投げトレーニング

山本由伸投手はウェイトトレーニングは一切やらないそうなのですが、槍投げトレーニングは行なっているのだそうです。僕もプロコーチとして投手たちに、槍投げのような体の使い方でボールを投げるフォームの指導を2010年以降続けています。

実は槍投げトレーニングは、元プロ野球選手だった野球指導者の多くが肯定的には見ていないのですが、しかし僕のレッスンを受けた生徒さんたちの多くは、肩痛肘痛に悩まされることもなくなり、同時に球威球速のアップにも成功しています。

槍投げトレーニングは、ただ槍投げの動作を真似して投げれば良いというわけではないのですが、野球肩野球肘の予防や球速アップには非常に効果的なトレーニング法なんです。

ちなみに大谷翔平投手も、槍投げトレーニングではないのですが、槍投げトレーニングに近いトレーニングをファイターズ時代から続けています。

山本由伸投手の場合、下半身もやや槍投げ選手に近い使い方をしています。特に左膝による左太腿の動かし方ですね。普通の投手が左太腿を立てながら投げてしまうと制球力が低下してしまうのですが、運動軸とリリースポイントの幅が非常に狭い山本投手の場合、この動きにより制球力が低下しているということもありません。

並進運動中の左脚の使い方に関しては、マクシマム・インターナルローテーション・ストライディングといって、左股関節を外旋させるために、並進運動中に左股関節を内旋させる動作が入っています。これは田中将大投手にも共通する動作です。

この動作によりランディング付近での左股関節の外旋を深くし、その後の内旋動作のキレをアップさせてボディスピンを鋭くし、最速157km/hという球速に繋げています。このマクシマム・インターナルローテーション・ストライディングも、難易度としては非常に高いので、そう簡単に真似できるフォームではありません。

山本由伸投手のフォーム分析のまとめ

細かい部分を見出すととてもこのページには収め切れないわけですが、大まかな部分だけを見ていくと、山本由伸投手のフォームはだいたいこのような分析になってきます。

アーム式のようでアーム式ではなく、実際には非常に難易度の高い投げ方をしているのが山本由伸投手のフォームなんです。

「山本由伸がアーム式で沢村賞を獲ったのだから、アーム式は悪い投げ方ではない」と間違った認識をしている方も多いと思いますが、その場合は要注意です。実際、本当の意味でアーム式で投げたとしたら簡単に肩肘を痛めてしまうはずです。

山本投手のフォームはすぐにでも真似できそうで、実は真似することが非常に難しい超ハイレベルなメカニクスを持っています。もし山本由伸投手のフォームを真似してみたい場合は、まずは肩甲骨と股関節の使い方から真似するようにしましょう。

フォームの見た目そのままを真似しようとすれば、本当にアーム式で投げてしまう危険性もありますので、そのあたりは十分ご注意ください。

沢村賞を獲るほどの活躍を見せてくれた山本由伸投手のフォームには、沢村賞を獲れるだけのこれだけの理由があったわけなんです。山本投手には来季も沢村賞候補に挙がるような活躍を期待しましょう!