「肩を水平にして振りなさい」と教える指導者は勉強意欲0の人
少年野球、クラブチーム、野球部問わず、未だに「肩を水平にしたままバットを振りなさい」と教えている野球指導者が多いようです。このような話を聞くと、野球指導者の多くは本当に勉強が嫌いなんだなぁと思ってしまいます。
バットのヘッドを下げずにストライクゾーンのボールを打っていく場合、トップハンド側の肩(右打者の右肩、左打者の左肩)を下げなければバットをストライクゾーンに持っていくことはできません。
プロ野球選手たちのインパクトの瞬間の写真をご覧になってみてください。ストライクゾーンを打っている場合、ほとんどすべての選手のトップハンド側の肩が下がっているはずです。つまり「肩を水平にして振りなさい」と教える野球指導者は野球動作の勉強が嫌いなだけではなく、プロ野球選手の写真さえも見たことがない、という話になってしまうわけです。
肩を水平にすると打球の質が少し良くなるケース
ただし、肩を水平にすることによって打球の質が少し良くなるケースもあります。その条件は、①大人がリリースポイントの高さを小学生の身長に合わせずに、小学生相手にバッティングピッチャーをしている場合、②スウィング時のヘッドが下がっている場合。この2つの条件が揃うと、肩を水平にすることによって打球の質が少し上がります。
しかし根本的にヘッドが下がっているスウィングでは、最高級のビヨンドやカタリストを使ってもヒットはそれほど増やせません。また、大人の身長から小学生相手に普通にボールを投げても、小学生の身長に合ったストライクゾーンに投げることは物理的には不可能です。
バットと軸は直角にした状態でバットを振り、そして大人が小学生相手に投げる場合はストライドを広く取って重心をかなり落とし、投げる時も大きく肘を下げて、リリースポイントの高さをバッターの頭くらいの高さに合わせていく必要があります。そうしなければ、ストライクゾーンを縦断するようなボールになってしまい、それを落ちる前に打とうとして、高めのボール球に手を出しやすいバッターを育てることになってしまいます。
肩を水平にした状態でヘッドを下げずに振れるのは、高めいっぱいのストライクゾーンのみです。それより低いボールはど真ん中でさえ、少なからずトップハンド側の肩を下げなければヘッドを下げずに打っていくことは物理的には不可能です。
ヘッドが下がりやすい子の特徴
ちなみに小学生でヘッドが下がりやすい子の特徴としては、①体格に合わせるとやや重いバットを振っている、②トップハンドの肘を伸ばしてバットを振っている、③軸足(スパイクを履いた足部)を正しく使えていない、などの要素が考えられます。もちろんその他にもヘッドが下がってしまう原因は多数あるのですが、一般的なポイントとしてはこのあたりがメジャーとなります。
それと、これはどのレベルの選手にも言えることなのですが、両脇を同時に閉めてバットを振ってしまうと、かなり高い確率でヘッドが下がるようになります。両脇の開閉は逆の動きにしていく必要があります。
とにかく「肩を水平にして振りなさい」という指導をしてしまうと、必ずヘッドを下げてバットを振る選手を育ててしまうことになります。逆の見方をすると、ヘッドが下がりやすい子というのは「肩を水平に」という指導を受けている可能性が高い、と言うこともできます。
「肩を水平にしてバットを振りなさい」という指導に隠されている負のスパイラル
僕の個別レッスンでもヘッドを下げる癖が強い小中学生が複数人いるのですが、話を聞くとチームで「肩を水平にして振りなさい」と言われている子ばかりでした。その間違った指導によりヘッドを下げて打つ癖が抜けない、という悪循環に陥っているわけです。
「肩を水平に」と言われるからヘッドを下げなければ真ん中のボールを打てなくなる-、その指導によりヘッドがどんどん下がるから肩を水平にしたり、重心をお尻側に落とさなければ真ん中のボールを打てなくなるー、重心をお尻側に落としてしまえば根本的に踏ん張れなくなり股関節を使わない手打ちをするしかなくなる-、股関節を使えなければ正しい打ち方で上下の打ち分けができなくなる-、股関節を使えない手打ちだと肘が伸びやすくなりヘッドはさらに下がりやすくなる-、すると「もっと肩を水平に」と言われるようになるー。「肩を水平にして振りなさい」という指導には、このような負のスパイラルが隠されているわけなんです。
ヘッドを下げずにバットを振るためにはまずバットと軸を直角にし、上下の打ち分けは股関節を曲げることにより、上半身を反対打席側に傾けることによって行います。これができるようになれば低めいっぱいのボールでもヘッドが下がらなくなり、外角低めの難しいボールでも強い打球を打てるようになります。
文章で説明するだけでは分かりにくいかもしれないので、もしご興味があれば僕の個別レッスンを受けていただいたり、僕のオンデマンドレッスンビデオ(一週間無料)をご覧になってみてください。オンデマンドは特にオススメです。
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