試合で役立たない素振りをしている小学生が本当に多い!
バッティングに於いて一番の基礎練習と言えば素振りです。野球チームに入っている選手の中で、今まで一度も素振りをしたことがないという人は一人もいないはずです。野球を始めたばかりの小学生はもちろん、プロで大活躍している選手であっても日々の素振りを欠かすことはありません。
しかし残念ながら、この素振りを間違ったやり方で続けている選手が非常に多いんです。数こそ少ないとは言え、プロ野球選手の中にも間違ったやり方で素振りをしている選手はいて、そのような選手はやはり一軍ではなかなか活躍できずにいます。
これが少年野球になってくるとなおさらで、ある軟式少年野球チームを観察していると、半数以上の選手が間違ったやり方で素振りをしているようでした。
ではどんな間違ったやり方かというと、ボール球を振る素振りです。この素振りをしてしまう小学生は本当に多いと思います。肩の高さにバットを通して行う素振りなのですが、肩の高さというのは根本的にボール球です。そして野球というスポーツは、ボール球を振ってもなかなかヒットにはならないように設計されています。
そしてボール球を振る素振りを続けてしまうと、試合でも自然とボール球に手を出すようになってしまいます。このような練習を続けてしまい、大人のコーチたちが修正してあげられない状態が続くと、何年野球を続けてもなかなかヒットを打てない選手になってしまいます。
そしてヒットを打てなければ野球を最大限楽しむこともできなくなり、野球チームをやめてしまう子もどんどん増えてしまいます。
ストライクゾーンのおさらい
ここでストライクゾーンのおさらいをしておきましょう。ストライクゾーンの左右は、もちろんホームプレートの幅です。ホームプレートの両サイドのラインにボールがすれすれでも触れていればストライクです。つまりホームプレートの幅+両サイドのボール2つ分がストライクゾーンの横幅になります。
そしてストライクソーンの下は膝のラインで、上は肩とベルトの中間線となります。この上下のラインに、やはりボールがすれすれでも触れていればストライクとなるため、この上下のライン+上下ボール2つ分がストライクゾーンとなります。
ちなみにこの上下のラインはバットを振る前の姿勢ではなく、スウィング中の姿勢で審判は見ていきます。つまりバットを振る前はしゃがむほど低い姿勢を取っていたとしても、スウィング中にはもっと姿勢が高くなる場合、しゃがんだ状態でボールを見送って、ボールが頭の高さを通ってもストライクとなります。
時々中学野球や高校野球でも見かけますが、打席でしゃがむようにして投球を待つ打者がいますよね?もしスウィング中に姿勢を高くしてしまうのであれば、このしゃがむ動作はまったく無意味になります。もちろんしゃがんだまま振ればほとんどすべての投球がボールとなるのでしょうが、しかししゃがんだままバットを振ってもキャッチャーゴロを打つのが精一杯です。
何年野球をやっていても、このストライクゾーンを理解していない選手・ボランティアコーチが非常に多いように思います。ご存知の方も多いと思いますが、毎年3月下旬〜4月上旬あたりに最新の公認野球規則が発売されます。
僕らのようなプロの野球コーチは毎年必ず新しいものを買うのですが、一年や二年でルールが大幅に変わることはまずありません。ですので野球に携わる方は、せめて4〜5年に一冊くらいのペースでこのルールブックを購入し、しっかりと野球のルールを確認していくことが大切だと思います。
上の写真は僕が所有している公認野球規則です。¥1,000で買えるので最新じゃなかったとしても一家に一冊、せめてチームで一冊は持っておきましょう。
大人が少年野球でBPを務める際の注意点
もし大人のコーチがちゃんと野球のルールを理解していれば、子どもたちがボール球を振る素振りを繰り返していたらすぐに修正してあげられるはずです。でもそれに気づかずにボール球を振る素振りを繰り返させてしまうと、その子たちはなかなかヒットを打てなくなってしまいます。
それともう一点注意していただきたい点として、大人のコーチが小学生にボールを投げるフリーバッティングです。大人と子どもには30cm前後の身長差があります。この身長差により、フリーバッティングがボール球を打つ練習になってしまっているケースがとても多いんです。
大人が16mの距離から70〜80km/hのボールをフワリと投げると、ボールは必ずやまなりになります。そしてそのやまなりのボールはインパクトゾーンでは、小学生バッターの肩や頭の高さを通過して落ちていきます。
つまり大人のコーチが小学生バッターにボールを投げた場合、かなり高い確率でボール球を打たせるフリーバッティングになってしまうということです。
もちろん僕も小学生相手にフリーバッティングで投げた経験は豊富にあります。ですが僕の場合、投球時は屈むようにして姿勢を低くし、肘が脇腹に触れそうになる程肘を下げ、小学生の身長に合わせたリリースポイントの高さから投げます。そのためフワリとしたボールを投げても、ボールはちゃんと小学生の身長のストライクゾーンを通っていきます。
少年野球で大人がフリーバッティングのBP(バッティングピッチャー)を務める際には、必ずこのような工夫をしてください。そうしなければ子どもたちは大根切り打法を覚えるばかりになってしまいます。
もちろん一番良いのは小学生バッターには、小学生ピッチャーが投げて練習することなのですが、しかし少年野球チームで防球ネットを所有しているチームはまずないと思います。特に軟式チームでは。
ですので安全性を考えればどうしても大人が投げる必要があるわけですが、その際にはとにかくストライクゾーンに注意しながら、小学生の身長に合わせたリリースポイントから投げてあげるようにしましょう。そうすればちゃんと試合でヒットを打てる子たちを育てられるはずです。
カズコーチのレッスン動画:間違った素振りを繰り返すとせっかくの努力が水の泡になる!
今回のビデオでは、先日少年野球の練習と練習試合を観察していた際に気になった、間違った素振りについてレッスンをしています。例えば毎日頑張って100回ずつ素振りをしたとしても、それが間違ったやり方では好成績につながることはなく、せっかくの努力が実を結ぶこともありません。
素振りという基本練習を、しっかりと試合にプラスになる素振りにしていくためにも、間違ったやり方で素振りを繰り返すのではなく、正しいやり方を覚えて毎日の素振りを繰り返すようにしましょう。
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