タグ「飛距離を伸ばす」が付けられているもの

根拠もなく盲信されている「体重は重い方が良い」という考え方

日本の野球界では未だに飛距離を伸ばすために体重を増やす、ということが妄信され続けています。確かに体重移動をして打った場合、体重は軽いよりも重い方がボールにぶつけられるエネルギーは大きくなります。しかし指導者はそろそろ、体重移動をする打ち方ではミート力はアップしないということを学ばなければなりません。

実はプロ野球選手の中でも、平気で「体脂肪率21%です」と話す選手がいます。しかしこれはアスリートとして恥ずかしい数字だということを知るべきです。日本の中高の野球チームではドカベンを食べさせることにより無理やり体重を増やしているチームがあります。しかしこのやり方はコラム内でも何度か取り上げたように、完全に間違いです。

確かに落合博満選手は細身の体をあんこ型にすることによってホームラン数を伸ばしました。しかし落合選手には確かな技術があったため、このやり方が上手くいったのです。しかし技術がない選手が体重を増やしただけでは、ただ体が重くなるだけで、パフォーマンスを向上させることはできません。

【ポジション別】野球選手にとって理想的な体脂肪率とは?

スピード+重さ+正確性で飛距離をアップさせよう!

スポーツ選手にとって必要なのは、少ない体脂肪率で増やす体重です。例え体重が90kgあったとしても、体脂肪率が18%以上あっては本末転倒です。アスリートの場合15%でもまだ多く、科学的には12%未満が望ましいとされています。しかし先にも述べた通り、日本はプロ野球選手でさえ平気で「体脂肪率は21%です」と言ってしまっています。

打球の飛距離を伸ばすためには「スピード+重さ+正確性」が重要になってきます。「スピード+重さ」でパワーを計るわけですが、そこに正確性が加わってこないと、ヒットの本数は増えません。当たれば飛ぶけどまったく当たらない、というタイプのバッターになってしまいます。

無闇に体重を増やしてからスピードをアップさせることは困難です。まずスウィングスピードを速くして、その速さをアップさせながら体脂肪率を減らしながら、体重を増やしていくのがベストです。そうすれば、正確性も飛距離も同時にアップさせるための下地を作ることができます

長打力をアップさせるのは体重ではなく技術!

ちなみにBMIの数値でコンディションを測ることもありますが、これはアスリートにはあまり有効的な数値ではありません。BMIでは体脂肪率や筋肉量を見ることはできませんので、BMIというのはあくまでも一般の方の痩せ過ぎ、太り過ぎを測るための目安です。

体脂肪率によってスウィングスピードをアップさせることはできません。そして体脂肪率というのは質量としては筋肉よりも軽く、そして柔軟性もありません。つまり体脂肪率が高ければ高いほど、体のキレが低下するということになります。これらのデータを分析していった結果、アスリートの場合科学的には体脂肪率12%未満が最も体を動かしやすくなる、ということになるわけです。

当たれば飛ぶ。でもなかなか当たらない。では試合で活躍することはできません。例えば当たれば飛んだとしても、打率1割台では意味がないわけです。打率3割以上を打ちながら長打力をアップさせていく必要があります。そのために必要なのは体重を増やすことよりも、バッティングの正確性をアップさせるための技術です。

しかしほとんどのアマチュア指導者がその技術を理論的にわかりやすく教えることができないため、「体重を増やして体格で勝負する」野球をするしかなくなってしまうんです。

飛距離を伸ばすために必要なのはとにかく技術です。体を大きくする前に、まずはその確かな技術をTeamKazオンライン野球塾で身につけてみませんか?

近年メジャーリーグでホームラン数が急増していることに関し、あらゆる方々が研究や論文を発表しています。メディアなどでは特に今季2019年は「飛ぶボール」が使われているのではないかという疑惑が多く取沙汰されましたが、僕はそうは思いません。実際、数値測定をする専門家のレポートを読んでも、昨季と今季でボールの質が意図的に変えられたという証拠は見つかっていないことがわかります。ではなぜメジャーではこんなに急激にホームラン数が増えたのか?!

0.025ミリ低くなったメジャーの公式球

もちろん最も大きな要因はフライボールレヴォリューション(フライボール革命)だと思います。バレル打法という科学的根拠に基づいた技術をメジャーリーガーたちがマスターしたことにより、飛距離が格段とアップするようになりました。つまり変わったのはボールの質ではなく、バッターの技術だったのです。

ただし、レポートによるとボールの縫い目の平均高さは昨季と比べると、2019年は0.025ミリ低くなっていたそうです。この数値はもちろん見た目では確認できませんし、普通に売っている定規で計測することもできません。しかし縫い目がわずかに低くなったことにより空気抵抗が小さくなり、飛距離が伸びるようになったと考えることはできそうです。メジャーの投手では、フォークボールやスプリッターが落ちにくくなったと感じている投手も多いようですが、それは空気抵抗が小さくなったことが原因だったのかもしれません。

ですが果たして、わずか0.025ミリの差でそこまでフォークボールの落ち方が変わるものでしょうか。正直言うと、僕はそうは思いません。0.025ミリの縫い目の差が生み出す落差よりも、湿度、気圧、風、コンディション、投球フォームのわずかな誤差が生み出す落差の方がずっと大きいはずだからです。例えば湿度30%と60%の球場では、当然60%の球場の方がボールは重くなりますので、重力の影響も受けやすくなります。

客足を増やすのはホームラン数の増加ではなかった!

10年20年前は、メジャーのオーナーたちも「ホームランの増加が観客数を増やす」と考えていましたが、近年はそれが正しくなかったことに誰もが気付いています。ホームランの増加よりも、試合時間を短縮する方が客足が増えるのです。そのためオーナーたちの中では、飛ぶボールを導入したいと考える人はかなり減ったようです。

飛距離という意味では、投手の質も影響しています。近年はメジャーリーグの投手たちはパワーポジションを意図的に採用するなど、投球術ではなく、パワーピッチで打者を抑えに行く投手が増えてきています。つまり球速ばかりに意識が行ってしまい、投球術を磨いたり、回転数を増やすことに意識を持っていく投手が日本同様に決して多くはありません。そのため球速は速いけどバックスピンが少ないストレートが増え、球速をそのまま飛距離アップに利用されてしまうケースが多々見受けられます。これはトラックマンなどの数値を観察するとよくわかることです。

ピッチャーにとってのバックスピンはバッターにとってのトップスピンであり、トップスピンで打ってもホームランにはなりません。つまりピッチャーが投げるボールのバックスピンが強ければ強いほど、バッターは打球にバックスピンをかけにくくなり、飛距離を伸ばしにくくなるという結果になります。

バーランダー投手でも増やしてしまった被本塁打

アメリカには科学的に数値を出しながらコーチングを受けられる野球専門のジムがいくつかあります。そのようなジムに通ったり、自らパーソナルコーチを付けて技術を学んでいる投手は、ストレートの回転数がけた違いに多く、毎年のように15勝、もしくはそれ以上勝ち続けることができています。

野球のデータも、もっとセグメントを絞って数値を出す必要があるかもしれません。例えばバレル打法を身に付けている打者vsバックスピンの質が一級品の投手、というように。当然メジャーリーグでも、一級品レベルの選手よりも、そうではない選手の方が絶対数は圧倒的に多くなります。一級品の技術を持った選手同士の対戦に絞ってデータを出していくと、まったく違った数字になるはずです。

ちなみにボールの中心の6ミリ下を打つと打球は最も遠くへ飛んでいくわけですが、これが7ミリに下になると、ホームランやヒットになる確率は格段に下がってしまいます。つまりピッチャーが投げるボールのバックスピンの質が高いほど、バッターはボールの中心の6ミリ以上下を打つことが多くなり、フライアウトや空振りが多くなるという結果につながっていきます。

打者全盛とも言われるこの時代、メカニクスを学んでそれを投球動作に取り入れる投手がもっと増えていかなければ、ホームラン数を減らせるようにはならないと思います。例えばバーランダー投手は超一流投手であるわけですが、近年は被本塁打数がかなり増えてきています。バーランダー投手の技術がまったく低下していないと仮定しても、打者の技術が向上されているのならば、バーランダー投手の技術も比例して向上しない限り、バーランダー投手の被本塁打数が増えたという結果はまったく不思議ではありません。むしろ自然な流れだったと言えるのではないでしょうか。しかし非本塁打が増えても今季21勝したバーランダー投手は、やはり一流中の一流投手だと言えます。しかもWHIPは0.80とスーパーマンレベルでした!

今回のスラッガー養成コラムでは、バレル打法というものについて解説をしてみたいと思います。いわゆるフライボール革命を実践するための技術であり、このバレル打法を身に付けなければ、本当の意味でのフライボール革命的なバッティングはできない、ということになります。フライボール革命とはもちろん、ただフライを打てば良いというわけではないわけです。

バレル打法とはこのスウィングのことを言います

結論から言います。フライボールに革命に必要な数値は、128kph以上のスウィング速度、初速158kph以上の打球速度、24°~33°の打球角度の3つとなります。これらが揃って初めてバレル打法が成り立つ、というわけです。しかしもちろん小中高の選手がこれだけの数字を出すことはできません。出そうとすれば確実にどこかを怪我することになってしまいますので、小中高の選手に関してはこの数字を目指すというよりも、投球に対するバットの入れ方を意識していくべきだと思います。

では投球に対するバットの入れ方とは?投球の軌道に対し、45°の角度でバットを入れていき、ボールの芯の6mm下をバットの芯で打ち、19°の角度でアッパースウィングしていく打ち方を目指してください。すると最もヒットになりやすい打球角度になっていきます。ただし、手でバットをコントロールしてこの角度を付けようとしてもダメです。下半身を適切な動き方にコーディネイト(動作調整)し、できるだけ自然にこの角度になっていくように練習していかなければ、手だけでバレル打法を目指しても成績が向上することはありません。

アッパースウィングはダメと言われ続けた日本野球

僕の打撃指導を受けたことがある方ならもうご存じだと思いますが、僕はバレル打法やフライボール革命という言葉が登場するずっと前から、2010年の時点でもうバレル打法っぽい打ち方を選手たちには指導し続けています。僕の野球塾は2010年1月1日にスタートしたのですが、その時点でもうバレル打法っぽい打ち方を選手たちには伝えていたんです。「っぽい」と書いたのは、まだこの頃は厳密な角度や速度が定義されていなかったため、数値に関してはお伝えできなかったからです。ただし、僕がコーチングさせていただいた動作を今も続けてくれていれば、間違いなくバレル打法が身につく動作になっているはずです。

日本ではとにかく「アッパースウィングはダメ」と指導されることがほとんどでした。僕自身もチームではそのような指導を受け続けました。しかし野球科学が進歩した今、ダウンスウィングのメリットはヒット&ランの時にゴロを転がせることくらいしかないのではないでしょうか。しかしヒット&ランに関してもただゴロを打つというよりは、できれば外野まで飛ばすような打球を打った方が得点力は上がるはずです。

打球速度5%アップで飛距離10%アップ

僕の打撃コーチングを受けてくれた小中高生たちの多くが、年間大会打率4割以上をマークしています。なぜならバレル打法を実践できる下半身主導の打ち方をマスターしたからです。中高となると投手のレベルも上がるため、打率4割でも十分だと思います。しかし投手のレベルが高くはない小学生や草野球の場合は、5割前後打てるようになった選手もいます。中には一年間の大会打率が8割近くになった小学生受講者もいらっしゃいました。

打球速度が5%アップすると、飛距離は10%アップします。ビヨンドなどの複合バットに頼る必要なんてないんです。何度も書きますが、小学生のうちに金属バットや木製バットを使い慣らしておかないと、小学生のうちにビヨンドに慣れてしまうと、中学生以上になってビヨンドが使えなくなった際、まったくヒットを打てなくなってしまいます。道具の質はとても重要です。しかし道具のスペックに頼ってヒットを打とうとしても、技術がなければ必ず成績は頭打ちします。このコラムをお読みになっている方で、果たしてどれくらいの方がバットの芯とスウィートスポットが交差するポイントで、ボールの芯を打つことができているでしょうか?

バッティングで飛距離を伸ばすコツというのは多数あるわけですが、今回はその中でもテイクバックと割れについて書いてみたいと思います。マンツーマン野球塾でコーチングをしていても、実はテイクバックがテイクバックになっていない選手がけっこう多いんです。

テイクバックはただ引くだけでは意味がない

テイクバックではラギングバックモーションを作り出したいんです。いわゆる「割れ」というやつですね。このラギングバックが発生してなければ、テイクバックはテイクバックとして機能していないと言うことができます。テイクバックは、ただ後ろに引くだけでは大きな効果を生むことはありません。ラギングバックを発生させることによって反動を使えるようになり、バットスウィングをさらに速く強くしていくことができます。

ラギングバックはバッティングでもピッチングでも重要なモーションとなるわけですが、バッティングの場合はテイクバックした際、グリップはキャッチャー方向に進もうとし、下半身は投手方向に進む形(体重移動の有無は関係ありません)となります。わかりやすく言うと、ゴムを伸ばして手を離せば、ゴムは勢いよく縮んでいきますよね?これと同じです。ラギングバックによって体幹をゴムのように伸ばすことによって、バットスウィングの勢いをアップさせていきます。僕の野球塾にいらっしゃったことがある方であれば、「二段階スウィング」というトレーニングを経験された方もいらっしゃると思います。これがまさにラギングバックを強めるための1つのトレーニングとなります。

ただ引くだけのテイクバックでも効果は0ではない

テイクバックをしてもラギングバックを発生させずに、グリップを引いた後、そこで待機させてしまっているバッターを多く見かけます。スウィングのアクセラレーションの距離を伸ばすという意味では、待機させるだけのテイクバックでも効果は0ではないわけですが、しかしテイクバック本来の効果を得ることはできません。ですのでグリップを引いた後、そこで待機させてはいけないわけです。

テイクバックが一番深い位置に来た瞬間に合わせてラギングバックを発生させていきます。このタイミングを上手く作れるかどうかによって、飛距離はまったく変わっていきます。ただこのタイミングに関しては人それぞれであり、フォームが変われば合うタイミングも変わっていきます。ですのでタイミングに関してはフォームを見ない限りはコーチとして何も言えないわけですが、とにかく自分のフォームにおいてそのタイミングを合わせられるタイミングを探し、そのタイミングでバットを振っていくことが大切になります。

ノックでテイクバックとラギングバックを身につけよう

テイクバックとラギングバックを習得するための最適な練習法がノックです。埼玉西武ライオンズの中村剛也選手も日常的に行なっている練習なのですが、ノックはテイクバックとラギンバックを最適にしていかなければ打球を遠くに飛ばすことはできません。ちなみに中村選手はノックでもメットライフドームでスタンドインさせることができます。もちろん腕力があるからではありません。テイクバックとラギングバックを上手に作れているからです。

最後にノックの打ち方を簡単にお伝えしておきたいと思います。右打者なら、まず左手に持ったバットを左肩に担いでください。そしてそのバットを、ゴルフスウィングを逆再生するように下から回していき、回しながら右手で打ちたい方向に向けてトスを上げていきます。トスを上げる際、左右の腕があまり交差しないように気をつけてください。交差してしまうと、トスを上げた後にグリップを掴みにくくなります。そして、トスを上げたらテイクバックを一番深い位置にし、下半身は一歩前へ歩いていくようなイメージでラギングバックを発生させていきます。これが正しいノックの打ち方です。ぜひこの打ち方でノックを打ち、テイクバックとラギングバックの感触を強めていってください。

打球の飛距離が伸びずに悩んでいる選手は多いと思います。そんな時にまず見直して欲しいのがテイクバックです。テイクバックが浅くなってしまうと打球の飛距離が伸びることはまずありません。軟式野球でビヨンドなどの複合バットを使っていたとしても、テイクバックが浅ければ、思うほど飛距離は伸びていかないはずです。

肘が伸び切るくらいテイクバックしよう!

テイクバックの基本的な形としては、ステップした足が着地したタイミングで最も深くすることです。このタミングで、右打者なら左肘、左打者なら右肘が伸び切るほど、捕手側にグリップを引いていきます。これが一番オーソドックスなテイクバックの作り方です。

このテイクバックが、肘がほとんど伸びていない形になってしまうと動作のメカニクスではなく、腕力だけで打つ形になってしまうため、打球を遠くに飛ばすことはできなくなってしまいます。逆にテイクバックを良い形にすることができると、細身の選手でも小柄な選手でも打球を遠くまで飛ばせるようになります。

テイクバックを作るにはノックが最適!

テイクバックを作るのに最も効果的な練習方法の1つがノックを打つことです。この時、できるだけノックバットを使ってください。ノックバットは非常に細くて長いため、腕力で打球を遠くに飛ばそうと思ってもできません。しっかりと深くテイクバックを取らなければ、ノックバットでは打球をホームプレートから外野のスタンド席まで運ぶことはできません。

ちなみにミートスキルが低い選手の場合は、木製のノックバットは避けた方が良いです。ノックバットのバレル(バットの太い部分)は非常に狭いため、バレル以外で打ってしまうと、ノックバットはすぐに折れてしまうためです。ですので金属製のノックバットを使うか、軽く感じる重さの普通のバットを使ってください。

ノックでスタンドインさせられるようになろう!

右打者の場合、左手でバットを持ち、右手でボールをトスしてノックを打ってください。この手が逆になってしまうとテイクバックを深く作ってノックを打つことができなくなってしまいます。ですのでノックで練習をする際も、実際にコーチとしてノックを打つ際も、必ずボトムハンドでバットを持ち、トップハンドでトスをするようにしてください。

ノックバットや軽いバットだと、腕力だけで打球を遠くに飛ばすことはできません。テイクバックを深く取り、バットの加速距離を長くしていかなければスタンドインどころか、打球は外野の定位置にさえ届かなくなります。しかしこのテイクバックを一番深いところに持っていき、ラギングバックモーションを強くしていくことができると、ノックでもプロ野球サイズの野球場で打球をスタンドインさせられるようになります。非常に効果的な練習法ですので、ぜひ試してみてください。

コーチングをしていると、世代を問わずにフォロースルーが非常に浅い選手が、深くフォロースルーできている選手よりもずっと多いことに気付かされます。フォロースルーはもちろん深い方が良いですね。野球ではフォロースルーを深くする前提で振っていくと、よりインパクトを強くできます。そしてインパクトが強ければ、もちろん打球も強くなっていきます。


打った後のグリップが耳よりも大幅に手前で止まってしまうスウィングというのは、いわゆる当てに行ってしまっているからスウィングそのものが弱くなり、投球のエネルギーに力負けする形でフォロースルーが浅くなってしまっているんです。当てに行ったスウィングでは、ピッチャーのパワーボールに簡単にバットを押し返されるようになります。

最高のフォロースルーは、バットの先端が最後地面に叩くまで振り抜く形です。ここまで深くフォロースルーを取ることができれば、インパクトも自然と強くなっていきます。とは言え地面をただ叩けば良いというものではありませんので注意が必要です。正しい叩き方と、意味のない叩き方というものがあります。ここを間違って作ってしまうと、打球の質が思ったほど向上しないということにもなりますので注意が必要です。

そしてフォロースルーを含めたバットスウィングは、真上から見たら正円を描くように作っていきます。回転運動は、正円に近い形であるほどシャープになっていきます。逆にバットを遠回りさせて楕円や歪な円を描いてしまうと、バットスウィングはなかなか速くなっていきませんので、打った後のフォロースルーを深くすることも難しくなってしまう場合があります。

僕のパーソナルコーチングではこのようなことを細かく、わかりやすく指導いたしております。「しっかりとした理論で説明できる正しい動作」を学びたいという方は、ぜひコーチングを受けにいらしてみてください。お待ちしております。

野球というのは本当に緻密なスポーツです。いくら一生懸命練習をしていても、大雑把に練習をしてしまっては本当に良い選手になることはできません。では一体どれくらい緻密なパフォーマンスを発揮しなければならないのでしょうか?今回は数字を使って、打球をより遠くに飛ばす方法を解説してみたいと思います。


日本では今だに「上から叩け」という打撃指導が行われています。筒香嘉智選手があれだけ声高に伝えてくれているにも関わらず、「上から叩け」という指導をやめようとしない指導者が大勢います。このような指導者は、自分の指導が間違っていたということを知りつつも、間違いを認めたくないために、その間違った指導を正当化しようとしているのかもしれませんね。

ボールを遠くに飛ばすためには、アッパースウィングでボールを打っていくことを必要です。アッパースウィングといっても、これはボールの軌道に対してではなく、地面に対するアッパースウィングです。スタートから順に説明をしてみましょう。

まずバットは、ボールの軌道に対し上45°から入れていきます。この角度で入れられた時、ボールのスピンが最大限増えやすくなります。そして上45°からどこに入れるかというと、ボールの中心から6mm下がったところに入れていきます。入れるタイミングは、バットスウィングの軌道が一番低くなったポイントです。

ボールの中心から6mm下にバットを入れたら、今度は地面に対して19°の角度でバットを振り上げていきます。45°、6mm、19°、この3つの数字を揃えられた時、打球のバックスピンは最大限増えやすく、そして遠くにボールを飛ばすために最適な角度で打球を上げていくことができます。

ただし、通常の選手にコーチがこのような数字を伝えても、選手はなかなか理解することはできません。ですのでコーチが、上記のパフォーマンスに近づけるように、選手のモーションをコーディネイトしてあげる必要があるわけです。僕のコーチングではまさに、小学生からプロ選手まで、そのような流れで指導を行なっています。ただ、ある程度数字を理解できる年代や、プロ選手が相手の場合は、先にガッツリと数字を伝えてしまうこともあります。そこは選手のレベル次第ということですね。

木製バットのスウィートスポットは2mm程度しかありません。バットの芯と2mmしかないスウィートスポットが交差するポイントのみを使って、45°、6mm、19°という数字に近付けていく必要があります。ね?野球って緻密なスポーツだと思いませんか?

ちなみに打球が20°〜30°の角度で飛び出した時、長打率はもっとも高くなります。これが40°を超えてしまうとほとんどヒットにはなりません。逆に0°未満の角度、つまりゴロになった場合、外野までボールが転がったとしても長打になる確率はほとんどありません。

ここ2〜3年、しきりにフライボール革命という言葉が使われていますが、僕はこの言葉が誕生するずっと前、プロコーチに転職した2010年1月から打率・飛距離をアップさせるためには打球を最適な角度で上げていくことが大切、ということをコーチングし続けています。7〜8年前、まだフライボール革命という言葉が誕生していなかった頃に僕のコーチングを受けた選手たちは、きっと今頃「Coach Kazが言っていたことは正しかった!」と改めて確信してくれていると思います。久しぶりに会ってみたいな、その頃に指導した選手たちに。

今回のスラッガー養成コラムでは、走り打ちをテーマに書き進めてみたいと思います。走り打ちとは、しっかりと打ち終わる前に一塁に走り出そうとする打ち方のことですね。僕のコーチングでは基本的には走り打ちはすべきではないと選手たちには伝えています。


ではなぜ走り打ちは良くないのか?

答えはシンプルです。バットを最後まで振り抜かない前提のスウィングでは、強い打球を打てなくなってしまうからです。フォロースルーが弱くなるほど、インパクトも弱くなってしまいます。

同じようにバットを振っているつもりでも、しっかりと振り抜く前提のスウィングと、振り抜かない前提の走り打ちとでは、打球の速度がかなり変わってきてしまいます。

これは左バッターの場合も同じです。打ち終わった後に一塁に走り出しやすい向きになる左バッターであっても、走り打ちをしてしまうとインパクトは弱くなります。

あなたはどちらのバッターになりたいですか?
(1)打球は弱くても走り打ちをして走力で内野安打を稼ぐバッター
(2)しっかり振り抜いて強い打球を外野まで飛ばせるスラッガー

当然後者を目指したい選手の方が多いと思います。50mを5秒台中盤以上で走れる左打ちの選手であれば、内野安打を稼ぐことを主軸にしても良いのかもしれません。しかし5秒台後半よりも遅い選手は、やはりしっかり振り抜く癖をつけた方が打率は上がっていくはずです。

バッティングもピッチングも同じなのですが、フォロースルーが弱くなる前提の動作では、インパクトやリリースも同じように弱くなってしまいます。外野まで飛んでいく打球を打つことができれば、慌てて一塁に向かって走り出さなくても十分セーフになるんです。

確かに少年野球の場合は内野手のエラーが非常に多いため、ゴロを打てばエラーによる出塁や内野安打も増えるかもしれません。でもそんな野球をさせて、子どもたちは本当に野球を楽しめるでしょうか?子どもたちは「ぼくもホームランを打ってみたい!」と思っているはずです。だからこそ大人のコーチたちがホームランを打てる正しいバッティングフォームを、子どもたちに丁寧に指導してあげる必要があるわけです。

最初から内野安打を稼ごうとする消極的な野球をするのではなく、みんながホームランを打てるようになる積極的な野球を、大人のコーチたちには子どもたちに伝えてあげてほしいなと、僕は常々考えています。でもどうしても身近にそのような良いコーチがいない場合は、僕がコーチングをするスラッガー養成コースであったり、お近くの野球塾などに通ってみてください。ボランティアコーチからは絶対に受けられないような理論的でわかりやすいコーチングを受けていただけるはずです。

ここ最近、バッティングにおけるヒッチについてスラッガー養成コースのコーチング中に尋ねられることが多いため、もう少しヒッチについて解説をしてみたいと思います。


ヒッチ打法は悪い動作なのではなく、難易度が高い動作』でも書いた通り、ヒッチ打法というのはバッティング技術の中では非常に難易度が高いものの1つになります。ですので初心者はヒッチさせて打つことは避けた方がいいと思います。ヒッチさせることにはいくつかのメリットがあり、ボールの下半分にバットを入れていきたいという場合、その動作にフィットした角度でのテイクバックを最も深くすることができます。

つまり硬式野球の場合、打球にバックスピンをかけて飛距離を伸ばしたいと考えた際、ヒッチさせてからテイクバックを作ることができると、それが非常にやりやすくなる、ということです。

ただ、軟式野球の場合はM号・J号に変わった後でも、やはりそれなりにはボールが潰れてしまいます。ですので硬式野球ほどはバックスピンをかけられないと思います。それでもヒッチさせることにより、ボールをバットに乗せやすくなりますので、打球の角度は上げやすくなります。

打球というのは、内野手がジャンプしても届かないくらいの角度で打っていけるのが理想です。その角度であれば、二塁打三塁打も出やすくなります。そしてさらにフェンスオーバーを目指す場合は、もう少しボールの下にバットを入れていくわけですが、ヒッチさせると、それがやりやすくなります。

バットは上から下、下から上と動かしながら、真上から見ると正円を描いていくと理想的なスウィングプレーンを作っていけるようになります。ヒッチ打法というのは、このスウィングプレーンを良い形にするというメリットもありますので、技術的に高いレベルにあってフィジカルも強いのであれば、ヒッチ打法に挑戦する価値はあります。

ですが繰り返しますが難易度は高いですので、基本がまだ身についていないレベルの選手はヒッチさせない方が無難です。そのレベルの選手は応用編であるヒッチではなく、まずは基本動作を身につけるようにしましょう。

ヒッチして良いバッターと、すべきではないバッターがいます。日本では一般的にはバッティング時にヒッチすることは良くないとされていますが、しかしヒッチ打法にもメリットはあるんです。


まずヒッチして良いバッターは、上半身が非常にパワフルで体幹も使いこなせていて、凄まじいバットスウィングに下半身が振り回されない選手です。タイプとしてはハードメイプルを使いこなせるタイプのバッターですね。プロ野球界でもこれができる選手というのは非常に少ないですので、アマチュア選手や、ましてや小学生であれば基本的にはヒッチ打法はオススメしません。しかしこれは、ヒッチ打法がダメというわけではなく、ヒッチするモーションの難易度が高いからです。

グリップをヒッチさせると、打球にバックスピンをかけやすくなり、マグナス力によって飛距離を伸ばせるようになります。また、フライボール革命の理論によって長打率を高められるようにもなります。スーパースラッガーであったバリー・ボンズ選手などは、まさにヒッチ打法を取り入れていたバッターです。

ヒッチをしてしまうと、テイクバックではなくステイバックという形になってしまうため、上半身の筋力に圧倒的な爆発力がなければ、バットを強く振ることが難しくなってしまいます。

日本人選手のように線が細い場合は、ステイバックよりも、ラギングバックを活かしたテイクバックの方が打球に勢いを与えやすくなります。下半身主導でアオダモのバットをしならせて打てるタイプのバッター、ということですね。

日本では「ヒッチ=ダメ」と言われることも多いのですが、ヒッチは難易度が非常に高いというだけで、悪い動作というわけではありません。ちなみにアマチュア選手があえてヒッチさせて打つ場合、通常よりも少し軽めのバットを使うことをオススメいたします。逆に重いバットでヒッチさせてしまうと、ヘッドの重さに振り回されやすくなりますのでご注意ください。

ヒッチに関してもっと詳しく教わりたいという方は、ぜひスラッガー養成コースに通ってみてください!

ここ1〜2年メジャーリーグでは特に、フライボール革命という言葉が目立つようになりました。フライボール革命とは一言で言うと、ゴロを打って内野手の間を抜いていこうとするよりは、内野手の頭を超える打球を打った方がヒットになる可能性が高まるという考え方です。事実メジャーリーグではフライボール革命に対応するスウィングを身につけた選手の数字が、急に伸びるということが多々起きています。


さて、実は当野球塾は開講した2010年当初から、このフライボール革命に対応した打撃技術の指導を行なっているんです。例えば打球の上げ方であったり、それを可能にするスウィングプレーンの作り方であったり。もちろんコーチング中にフライボール革命の話をすることは、質問がない限りは滅多にないわけですが、しかしわたしの打撃指導を受けたことがある方であれば、わたしがコーチングしている内容がフライボール革命にフィットしているということをご理解いただけると思います。

わたしはコーチング中に常々口にしているのですが、ホームランはパワーで打つものではないのです。もちろんパワーがあるに越したことはないわけですが、小柄でも細身でも、技術さえあればホームランを打つことは可能なのです。そのために必要なのが綺麗なスウィングプレーンを作ることです。ちなみにスウィングプレーンが崩れてしまうと、打球がスライスしてしまい、良い打球がファールになるケースが増えてしまいます。

スウィングプレーンを綺麗な形にし、ボールのやや下をアッパースウィングで叩いて打球を25〜30°の角度で上げていくと、長打になる可能性が非常に高くなります。ちなみにこれが、アオダモのようにしなるバットを上手く使える選手の場合、30°〜40°の角度で上げると綺麗な放物線を描く、滞空時間の長いホームランを打てるようになります。つまりスウィングプレーンの投球への入れ方は、自分自身のバットの使い方によっても変える必要があるということです。

実際にプレーをしている選手からすれば、内野手の間を抜いていくヒットよりも、外野手の頭を超えるヒットの方が打っていて気持ち良いはずです。だからこそわたしはゴロを打つためのバッティングは絶対に指導することはなく、誰にでも長打が打てるような技術を指導し続けています。その結果公式戦で打率5〜6割を打てるようになった選手がこれまで大勢いらっしゃいます。試合数も少なく、ベスト8まで行かなければなかなか強豪と当たるケースも少ないアマチュア野球の場合、打率5〜6割というのはまったく難しい数字ではないのです。

近頃はフライボール革命という言葉が一人歩きしている感もややありますが、しかし単純に、高い打率を維持しながら長打を打てるようになりたいという場合は、ぜひ当野球塾のスラッガー養成コースに通ってみてください。

今回のスラッガー養成コラムでは、テイクバックについて少しお話してみたいと思います。バッティングの基本はセンター返しというのは誰でもご存知だと思います。しかしセンター返しがしにくいテイクバックで打ってしまっている選手、もしくはそれを教えてしまっている指導者が非常に多いようです。


そもそもテイクバックとは、打ちたい方向の逆側にグリップを引いていくモーションのことです。センター返しを目指したいのであれば、センターの逆方向、つまりキャッチャーの顔に向かってテイクバックしていく必要があります。しかし一番多いのは、テイクバックを自分の後頭部側に巻いてしまっているモーションを取っているパターンです。さらにはテイクバックでグリップを上げすぎてしまう選手も多く見受けられます。

テイクバックを巻いてしまうとインサイドアウトで打ちにくくなりますし、テイクバックを高く上げすぎてしまうとゴロばかりのバッティングになるばかりではなく、テイクバックも浅くなりやすく、スウィングが最大限鋭くなることもなくなります。

テイクバックの良い動きの目安として、ボトムハンドの腕を伸ばせる方向にテイクバックしているということがポイントとなります。それができる方向にテイクバックをしていれば、グリップを巻かなくなりますのでインサイドアウトでも打ちやすくなり、打率が上がっていく1つのきっかけにもなっていきます。

もし今までテイクバックでグリップを巻いてしまっていたという選手は、巻かないテイクバックに挑戦してみてください。それだけでも少しボールが見えやすくなると思います。

今回のスラッガー養成コラムでは、テイクバックについて書き進めてみたいと思います。投げる動作にしても打つ動作にしても、テイクバックがテイクバックになっていない選手が意外と多いんです。皆さんのテイクバックは、ちゃんとテイク"バック"になっていますか?


テイクバックとは非軸足をステップした際、グリップをキャッチャー側に引く動作のことを言います。この時、グリップと非軸足の距離が長ければ長いほど割れが大きくなり、バットスウィングが鋭くなっていきます。しかしこのテイクバックをキャッチャー側ではなく、後頭部側に入れてしまっている選手がけっこう多いんです。

テイクバックを後頭部側に巻いてしまうと、遠心力を使ったアウトサイドインのバッティングになりやすいんです。また、ボールの内側を叩いたとしても流し打ちのフォームになりやすく、バットを振り抜くことが難しくなります。その結果インパクトが弱くなり、飛距離が低下してしまうという結果に繋がってしまいます。

例えば右打者の場合、誰かに左打席側に立って観察してもらってみてください。まず最初の構えで、グリップと非軸足(靴)のだいたいの距離を見てもらってください。その後でテイクバックした際の距離を見てもらい、その長さを比較して見てください。ウェイトシフトで打つ選手の場合は大きく変わる場合もありますが、ステイバックで打てている選手の場合、テイクバックを巻いてしまうとこの距離の差がほとんど出なくなります。

比較をして、もし距離がステップした分しか変わらなかった場合は、テイクバックを後頭部側に巻いていないかどうかを確認してください。もし巻いていたら距離はほとんど変わらないはずですので、巻かずに、キャッチャー側にグリップを引くように変えて見てください。

テイクバックとは、打ちたい方向の逆方向に体を引く動作のことを言います。つまりグリップを後頭部側に巻いてしまうと、反対打席側に向かって打つ前提の形になってしまうのです。バッティングの基本はセンター返しです。良い形でセンター返しできるモーションであれば、レフト側にもライト側にも強い打球を打てるようになります。

野球場はなぜセンターが一番深いと思いますか?その理由は良いモーションでセンター返しすることができると、センターに飛んだ時が一番飛距離が伸びるからなんです。だから野球場はセンターが、レフト線やライト線よりも遠く設計されているのです。センター方向に質の良い長打を打てるようになるためにも、テイクバックは巻かずに、キャッチャー方向に引くようにして見てください。

今回のスラッガー養成コラムでは、バッティングモーションにおける軸に関して少し書き進めてみたいと思います。一般的には右打者の軸脚は右、左打者の軸脚は左となります。しかしこの軸脚という名前に少々注意を払っていただく必要があるのです。


軸脚という名前であっても、実は軸脚を動作軸として利用してはダメなのです。もちろん軸脚を動作軸として使うことも可能と言えば可能なのですが、しかしそうした場合、上半身を突っ込ませないとバットを振ることができなくなります。ちなみに軸脚は英語でピボットフット(ピボットレッグ)、軸はアクシスと言います。ピボットとは回旋するという意味で、軸という意味ではないんです。

つまりバッティングモーションにおいては、軸脚はアクシスとして使うのではなく、ピボットフットとして使っていく必要があります。当野球塾で打撃指導を受けたことがある選手であれば「W90°」という言葉を頻繁に耳にしていると思います。ピボットフットによるこのピボットモーションができるようになると、軸脚を軸として使わない、本来目指すべきバッティングモーションに近付くことができます。

ちなみにバッティングモーションにおける動作軸は上半身と非軸脚を直線で結んだラインとなります。ここが一直線になり、この動作軸に対しバットを直角の関係で振っていくことができると、力強いフライを打ち上げられるようになり、外野手の頭を越える長打やホームランを打てるようになります。

逆に上半身と非軸脚を結んだラインが一直線でなくなるほど、上半身が突っ込みやすくなり、引っ掛けたボテボテの内野ゴロや、反対方向への力のない内野フライが増えてしまいます。そうならないためにも、軸脚は、軸を回すための脚、という意味で覚えていただければと思います。上半身と非軸脚を結んだ軸の回転運動を、軸脚で始動させることができれば、打球の質は飛躍的に向上していくはずです。

ちょっと難しいお話になりましたので、このような技術をもっとわかりやすく学び、身に付けたいという方はぜひスラッガー養成コースに通ってみてください。

時々左右の手を少し離してバットを握っている選手を見かけますが、この形は修正することをお勧めいたします。手の間に隙間を空けてバットを握ってしまうとバットを振り抜きにくくなり、当てるだけのバッティングになりやすいんです。極端な言い方をすれば、バント打ちになるということですね。


昔中日で活躍された彦野利勝選手は両手に隙間を空けてバットを握るタイプの選手でした。しかしわたしの記憶だけに頼るならば、他に同じようなグリップで打っていたプロ野球選手を思い出すことはできません。もしかしたら他にもいたかもしれませんが。

両手の間に隙間を空けて、つまりトップハンドの小指とボトムハンドの人差し指の間に隙間を空けてバットを握ってしまうと、スウィング時にバットが立ちやすくなります。つまりヘッドが上がりすぎてしまうということになり、ほとんどゴロしか打てないバッターになってしまいます。さらには低めのボールも非常に打ちにくくなってしまいます。

また、このグリップではバットを最後まで振り抜くことが難しくなるため、力強い打球を打つことも難しくなってしまいます。つまり両手の間に隙間を空けてバットを握ってしまうとデメリットばかりが増えてしまうということです。

ではメリットはないのか?いえ、1つだけあります。それはバットにボールを"とりあえず"当てやすくはなる、という点です。両手の間に隙間を空けるということはバントの握りに少し近づくということになりますので、その分バントのように、バットに確実にボールを当てやすくなります。

しかしバントの役目はまさにバットにボールを当てて転がすことであり、強い打球を打つことではありません。もしかしたらヒット&ランのサインが出ていて、絶対に空振りすることなく右方向にゴロを転がしたい時などは、両手の間に隙間を空けてバットを持つメリットもあるのかもしれません。ですが通常であればやはり、両手はしっかりとくっつけてバットを握る必要があります。

とにかくバットにボールを当てたいと考える、比較的技術の習熟度が低い小学生が無意識にこの握り方をしてしまうケースがあります。ですのでコーチはそうならないようにしっかりと観察し、バットをしっかりと振り抜くということを選手たちに指導して行く必要があるわけです。バットをしっかり振り抜く癖を付けておかなければ、力強いストレートに力負けしてしまうことになりますので、やはり振り抜きにくくなる両手の間に隙間を空けた握り方は、わたしはすべきではないと考えています。

ピッチング同様、バッティングでもテイクバックという動作は強い打球を打つためには必要不可欠なものです。でもテイクバックのメカニズムが理解できていないと、ただグリップを後ろに動かすだけのモーションになってしまい、テイクバックしているようには見えても強い打球を打てるようにはなりません。


よく見かける良くないテイクバックとして、ラギングバックが発生していない動作を挙げることができます。ラギングバックとは日本語で言うところの「割れ」というやつですね。股関節を境にし、上半身と下半身が一瞬、それぞれ違う方向に動くことによって体に捻りが生まれます。この捻りがバットスウィングの鋭さをアップさせてくれるんです。

つまり良いテイクバックとは、ラギングバックが発生しているか否かで見分けることができるわけです。ラギングバックが発生しない大きな原因としては、手打ちになっていることが考えられます。腕力を使ってしまっていることで両腕の動きが制限され、ラギングバックが発生していない状態です。背番号を一瞬でもピッチャーに見せてしまうタイプの打者に多いように見受けられます。

ラギングバックに関しては、これはまさに十人十色です。その理由は投手側の足のステップのやり方により、テイクバックのタイミングが変わってくるためです。コーチはそこをしっかりと見極めて選手にアドバイスしてあげる必要があります。「あの選手で上手くいったから、この選手も上手くいくはずだ」という考えでコーチングを行なってしまうと、それは選手のフォームを崩してしまう大きな要因となります。

テイクバックの作り方、作るタイミングは下半身の動きから見極める必要があります。バッティングは常に、下半身の動きに上半身を合わせる必要があります。逆に上半身の動きに下半身を合わせてしまうと、良いテイクバックやラギングバックどころか、いつまで経っても手打ちを卒業できなくなりますので注意が必要ですね。

今まで以上に強い打球を打てるテイクバックを身に付けたい方は、ぜひスラッガー養成コースを受講してみてください。

バットはもちろん振り抜くことが最良の形となります。しっかりと最後まで振り抜くからこそ、ピッチャーのボールの力に負けないヒッティングができるようになります。しかし日本の指導者の多くが振り抜くのではなく、打ったら耳のあたりでスウィングを止めてすぐ走り出すようにと指導しているようです。この指導は完全に間違いであると言えます。


まずバットスウィングを途中でストップさせるためには、2つ方法があります。1つ目は途中で止めやすい強さでしかバットを振らないということ。ですがもちろんこのスウィングではジャストミートしたとしてもヒットは打てなくなります。

2つ目はストップモーションをかけることです。力強く降ったバットを途中で止めるわけですので、体への負荷は非常に大きくなります。特に手首を痛めやすくなります。ストップモーションというのは、スポーツ動作の中でもっとも体に負荷がかかる動作となりますので、怪我もしやすいのです。全力疾走からピタッと止まることはできませんし、できたとしても捻挫をしてしまう危険があります。これと同じですね。

そもそもバットはどこまで振り抜けばいいのか?スラッガー養成コラムでも何度も書いてきましたので、もうパッと思い浮かんだ方もいらっしゃると思いますが、金属バットであればプラグが地面に着くまで振り抜きます。そしてブラグが地面に着くまで振り抜くためには、その前の動作が良い形になっていなければ、バットで地面を叩いていくことはできません。

でも中には頑張ってもなかなか振り切れない選手もいるかもしれません。そんな場合の対処法を書いておきたいと思います。まず普通に構えて、両肩のラインは反対打席と平行に真っ直ぐにします。その状態のまま骨盤、膝、スタンスを少しだけ開きます。この形から降り始めると、ヒッティング後の両腕が窮屈にならずに振り抜き易くなります。

振り抜けない選手に多いのは、打ちに行った時に背番号をピッチャーに見せてしまう形です。この形を作ってしまうと自分自身が投球を見にくくなりミート力が低下し、ヒッティング後の両腕が窮屈になり振り抜くことができなくなります。

多少タイミングを外されたとしても、多少スウィートスポットから外れていたとしても、バットをしっかり最後まで振り抜いておけば打球は内野手の頭を越えて、外野手の前で落ちるようになります。クリーンヒットじゃないにしても、今まで凡打で終わっていたものが安打になっていきます。

ヒットを増やすためにも、手首を怪我しないためにもバットは途中では止めず、トップハンドを放してバットを最後まで振り抜く癖をつけておきましょう。

バットスウィングのスピードをアップさせるためには、一番大事なのはキレイな軌道でバットを振るということです。軌道が乱れていたり、腕力を使い過ぎたりしてしまうとバットスウィングのスピードはアップしません。ではどうすればバットスウィングの軌道をキレイにできるのか?!


まずスウィングスピードですが、軌道全体の1ポイントのみで最高速度が出る形ではあまり意味はありません。なぜならその1ポイントでジャストミートしなければ強い打球は打てないということになってしまうからです。バットスウィングは盗塁と同じです。どれだけ早いタイミングでスウィングスピードをトップスピードに乗せられるかが鍵になってきます。

スウィングの早い段階でトップスピードに持っていくことができれば、多少差し込まれても強い打球を打てるようになり、多少詰まったとしても打球は外野まで飛んでいくようになります。ポイントは、ヒッティングゾーンに入ったと同時にトップスピードにできるかどうかです。ヒッティングゾーンとは、だいたい左膝から右膝の間となり、このゾーンでコンタクトすることが理想となります。

CDを想像してみてくださいCDの真ん中には小さな穴が空いていますが、その穴に入り込んでください。フラフープのように。入り込んだら背骨とCDの関係を直角にし、それをキープしたまま反対打席側に傾いていきます。CDの上にボールを乗せたら、転がってホームベースとキャッチャーの間に落ちるような傾き方です。反対打席とキャッチャーの中間に向かって傾くイメージです。

その形ができたら、CDの縁をスウィートスポットでなぞるようにしてバットを振ります。この形がスウィングスピードを速められ、早い段階でトップスピードに持っていくために必要な形となります。素振りやティーバッティングをしている際は最後までCDの縁をなぞれるのがベストです。ピッチャーのボールを打った際は、打った衝撃で軌道は縁から外れやすくなりますので、練習でしっかりと縁をなぞれるようになっておくことが大切です。練習でできないことは、ピッチャーを相手にしなければならない打席ではもっとできなくなります。

スウィングスピードを上げるためだけではなく、バットのヘッドが上下しないスウィングを身につけるためにも、CDをイメージした練習は非常に効果的です。イメージが難しい場合は、コーチがフラフープを持ってあげてスローモーションでスウィングさせ動きを覚えさせることも効果的ですので、ぜひ試してみてください。

これまでたくさんの選手の打撃コーチングをしてきましたが、日本人選手の場合プロアマ問わずバットを振り切れない選手が非常に多いようです。手を使ってバットをボールに当てていくことを最優先にしてしまい、バットをしっかりと土台を安定させた状態で振るという動きが二の次になってしまっています。これでは完璧なタイミングで完璧にジャストミートしなければヒットを打つことはできません。


バットを頭の高さで振り終わっている場合は、バットは振り切れていないと判断してほとんど間違いはないと思います。バットを最後まで振り抜くと少なくとも背中やお尻にバットが到達し、さらには最大限の幅で振ることができるとバットが地面まで届くようになります。

バットを最後まで振り抜くためには、もちろん下半身が適切な形で動作し、土台が安定していることが必須になります。今回はそれができていると仮定し話をさらに進めていきたいと思います。

なぜ日本人選手の大半がバットを振り抜くことができないのか?一番大きな理由として考えられるのは、ボールを上から叩けと指導されてしまうからではないでしょうか。ボールを上から叩く動作になってしまうとボトムハンドの動きが窮屈になってしまい、バットを振り抜くことが難しくなります。

ちなみにトップハンドはグリップが左耳(左打者は右耳)まで来たらバットから放し、スウィングの終盤はボトムハンドのみでバットを振り抜いていきます。そのため上から叩きボトムハンドを窮屈な形にしてしまうとバットを振り抜けなくなり、当てるだけのバッティングになってしまうのです。当てるだけのバッティングではジャストミートできたとしても投球の力に押されてしまい、凡打になる確率が非常に高くなります。

しかし振り抜くと言っても、バットスウィングに下半身が振り回されるようではいけません。これではいくらバットを振り抜いたところで投球に力負けしてしまいます。バットスウィングに下半身を振り回されるのではなく、下半身でバットを振り回す必要があるのです。下半身の動作を習得しこれができるようになるとバットのヘッドも下がらなくなり、多少タイミングを外されても、多少芯から外れてもボールを外野まで運んで行けるようになります。

ただし、フルパワースウィングとフルレンジスウィングはまったくの別物となりますので注意が必要です。ここで話す振り抜くという動作は、あくまでもフルレンジスウィングのことですのでお間違いなく。

近年高校野球を始めとし、スウィングスピードを競い合うような風潮が強くなってきました。もちろんスウィングスピードが速いというのは素晴らしいことです。しかしスウィングスピードが速いからといって打撃成績が向上することはありません。現にフルパワースウィングをしてしまうほどバットの軌道にブレが生じ、飛距離を低下させるというエビデンス(科学的根拠)もあります。


「テクニック>パワー」、この図式を決して崩さないでください。この図式が成り立った上でスウィングスピードを上げられれば、打撃成績も比例してアップしていきます。しかし「テクニック<パワー」となってしまうと、完璧なタイミングでジャストミートできた時にしかヒットを打てないバッターになってしまいます。しかし重要なのは多少ミスショットをしてもヒットを打てるバッターになれるかどうかです。

パワーに頼ったバッターというのは、相手投手が自分以上のパワーピッチャーだった場合、力負けしてヒットを打つことはほとんどできなくなります。つまりパワーに頼ったバッターというのは、格下のピッチャーに対する破壊力は凄くても、自分よりも格上のピッチャーと対した時に手も足も出なくなることが多くなるんです。

逆にテクニックを重視したバッターというのは、パワーピッチャーを相手にした際、投球のパワーを逆に利用して飛距離を伸ばせるようになります。つまりテクニックがあれば、必要以上に筋肉を増やさなくてもホームランは打てるということです。例えばPL学園〜西武ライオンズ時代の清原和博選手は非常に細身の選手でしたが、筋肉を増やしてマッチョになった後よりもたくさんのホームランを打っていました。

西武時代の清原選手はパワーよりもテクニックの方が比率が大きかったため、シーズン平均29.9本のホームランを打っていました。しかしこれが巨人に移籍し筋肉を増やしパワーがテクニックを凌駕してしまうとシーズン平均が20.5本まで低下してしまいます。巨人時代は、西武時代よりも年間10本近くホームランが減ったことになります。これはパワーがテクニックを凌駕し過ぎてしまったために体が悲鳴をあげ、怪我が増えたことも大きな原因だったと思いますし、それ以上にパワーアップし過ぎた自分自身の体を上手く扱えなかったことが一番大きかったように考えられます。

パワーアップし、スウィングスピードをアップさせることは良いことです。しかしテクニックよりもパワーの比率が大きくなってしまうと、せっかくパワーアップした自分自身の体を上手く扱えなくなります。するとバットを出したいところからバットが少しずつずれるようになりミート力が大幅に低下し、打撃成績が向上することはなくなります。

野球は重量挙げやハンマー投げのような個人競技ではありません。投手には常に打者の存在がありますし、打者には常に投手の存在があります。だからこそ大事なのは個人のスウィングスピードのアップに喜ぶことではなく、投手が投げたボールをヒットにできる技術を身につけることなのです。

「テクニック>パワー」、この図式を崩さずにスウィングスピードをアップさせられれば最強の打者になれます。例えば落合博満選手、秋山幸二選手、ケン・グリフイーJr.選手、ブライス・ハーパー選手のように。当野球塾でももちろん、小学生からプロまで「テクニック>パワー」の図式を崩さずにコーチングを行なっています。