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肘を痛めている野球少年の多さには驚かされますが、それ以上に驚いてしまうのは、痛みを訴えているのに投げさせる指導者の存在です。これはまったくあってはならないことです。全日本野球協会と日本整形外科学会の調査によれば、痛みを感じて病院で受診する選手は全体の1割程度なのだそうです。つまり痛みを感じている選手の10人中9人は、その痛みを放置しているということになります。

さらに筑波大学のリサーチによれば、痛みを感じていない選手であっても、その4割程度は肘に腫れや緩みが見られるのだそうです。実際当野球塾に個人指導を受けに来てくれる野球少年たちの中でも、過去に肩肘にまったく痛みを感じたことがないという選手は全体の2割にも満たない状況です。

野球肘になる原因はいくつか考えられ、主だったところでは全力投球過多と投球動作の悪癖によるものです。投手は本来、全力投球はすべきではないのです。もちろん試合を決める1球という場面では力を入れていいとは思いますが、しかし日常的に全力投球をしてはいけません。簡単に肩肘を痛めてしまいます。

そして肩関節の内旋・外旋の順番が間違っている悪癖がある場合も、肘を痛めやすくなります。特に内側側副靱帯へのストレスが大きく、上述した筑波大学のリサーチ結果でも、靭帯に見られる腫れが顕著だったそうです。つまり、今は痛くないから大丈夫、という考え方は通用しないということであり、筑波大学の岡本先生も仰っていますが、痛くなってからでは遅いのです。

今は痛くなかったとしても、全力投球や悪癖による投球を続けてしまっては、必ず痛みが出てきてしまいます。やはり体がまだできていない小学生のうちに適切な投球動作を身につけておくことが肝要なのです。当野球塾は昨年までは中学生の受講が一番多かったのですが、この冬からは小学生の受講が一気に増えてきました。小学生の時期に適切な動作を覚えさせたいという親御さんのご判断は、子どもたちの将来にとって必ず大きなプラスになるはずです。

野球肘は基本的には防ぐことができます。そのためにも全力投球過多はもちろん、投球過多もケアし、投げるならば適切な投球動作・送球動作で投げるということが大切なのです。ボランティアであるお父さんコーチでは専門的な知識は持っていないことがほとんどです。専門的な知識とはもちろん経験則ではなく、野球動作を専門的に学ぶことによって身につけられる知識と指導力のことです。

当野球塾TeamKazオンライン野球塾のようなプロコーチに教わるのもいいですし、プロコーチじゃなくてもちゃんと勉強をされている指導者に教わるということが大切です。少なくともミスをした選手をかんたんに怒鳴りつけるような指導者は、適切な知識など持ってはいません。それだけはハッキリ言うことができます。
様々な選手のコーチングをお引き受けしていると、肩痛・肘痛を患っている選手が本当に多いことに驚かされます。しかしもっと驚くことに、選手が痛みや違和感を訴えているのに投げさせる監督やコーチが非常に多いことです。わたしのような職業としてコーチをしている身からすれば、これは信じがたい現実です。

プロ野球選手のように2軍に落とされてしまうと給料が減り、生活に関わってくるという場合は痛みを押すこともやむを得ないかもしれません。現に痛み止めの注射を打ちながら、痛みに堪えて投げ続けるピッチャーもいます。ですが学生野球では痛みがある選手は絶対に投げてはいけません。

「短いイニングだけ」と言ってマウンドに送り出す監督もいるようですが、これもありえません。痛みを訴えている時点で投球禁止にすべきです。そうしなければ、子どもの将来を奪ってしまうことになるからです。例えば小学生時代に無理して痛めた肩肘のせいで、中学・高校で野球ができなくなったとしても、少年野球チームの監督は決して責任など取ってはくれません。ある意味、痛みを訴えている選手に投げさせる監督というのは、その子の将来に対し無責任極まりない起用を行っているということなのです。

ちょっとラジカルな表現ではありますが、しかしそのようなチームが1つや2つではないのです。この6年ほどで数百人の選手たちをコーチングしてきましたが、痛みがあっても投げさせられた経験を持つ投手は何十人もいて、そのようなチームも思い出せるだけでも20例以上あります。

もう一度言いますが、中学・高校に入ってから投げられなくなったとしても、少年野球チームの監督は責任など取ってくれません。更には「責任を取ってくれるんですか?」と言うと、「じゃあチームを辞めてもらって構いませんよ」と逆ギレする監督も現に存在しています。

少年野球は往々にして大人の事情で試合を組まれがちです。そして大人の事情で子どもたちを酷使しがちです。先日の5連休の5日間で10試合以上行ったとわたしに伝えて来てくれた親御さんが、実に4名もいらっしゃいました。5日で10試合だったとしても、少年野球の場合は50イニング前後になるのでしょうか。

プロ野球であっても週6試合で54イニングです。小学生がたった5日間で50イニング戦うというのは、これは教育でもなんでもありません。大人のエゴによる子どもの酷使に他なりません。そもそもプロ野球選手であっても6日で6連戦を戦うというのはかなり疲れるものなのです。それを考えていただければ、5日で10試合・50イニング以上というのがどれだけ酷いペースであるかをおわかりいただけると思います。

小学生のうちはとにかく基礎を大切にして野球を楽しみ、野球を好きになってもらうことを最優先にすべきです。すると中学に入ってから「野球が好き」という気持ちから、「もっと上手くなりたい」と本格的な努力をできるようになり、中学で努力をしておくと高校に入ってからグンと伸びていくことができます。しかし逆に、小学生のうちに肩肘を酷使してしまえば、中学・高校でどんどん尻すぼみになってしまいます。

わたしが感じるに、多くの少年野球の監督というのは子どもが好きで、子どもたちを大切に考えているわけではないと思います。ただプロ野球の監督の気分を味わいたいだけなのではないでしょうか。尊敬すべき指導者も多い中で、それ以上に多いのが子どもたちの将来を無視する指導者の存在です。この現状を変えて行かない限り、日本球界の底上げというのは将来的にかなり難しくなるのではないでしょうか。
野球肩や野球肘はなぜ発症してしまうのでしょうか?その理由はもちろんたくさんあるわけですが、疲労という要素を差し引くと、原因は投球動作に問題点がある、ということに絞ることができます。今回はその中でもいくつかの問題動作をご紹介したいと思います。

まず一番大きな問題となりやすいのが、肘の高さです。肘は肩線分よりも下がってはいけないし、上がってもいけません。トップポジションからボールリリースにかけては、肘は肩線分上にある必要があります。

さらに細かい点として、コッキング時に肘が90°以上開いてしまったり、トップポジションで肘が深く曲がりすぎてしまうと、これも動作を悪くしてしまう原因となり、肩痛や肘痛に繋がるケースがあります。そしてボールリリース時に肘を伸ばしてしまう投手が多くいますが、これも肩肘を痛めてしまう大きな原因となります。

投球過多という要素が考えにくい状況で肩痛や肘痛がある場合、必ず投球動作内に問題点が存在します。例えば病院に通って痛みを取ってもらってもボールを投げると痛みが再発する場合、間違いなく投球動作内に痛みの原因が存在します。その問題となっている動作を改善しなければ、再発する可能性はなかなか下げることができません。

ボールを投げると肩や肘に痛みを感じる場合、必ず投球動作(送球動作)に問題があると考えてもらって良いと思います。TeamKazオンライン野球塾でもこれまで数多くの肩肘を痛めた投手をコーチングしてきましたが、投球動作内に問題点がひとつもない投手は一人もいませんでした。肩肘を痛めコーチングを受けに来た選手には、全員になんらかの肩肘を痛めてしまう原因を見ることができました。

肩肘の痛みに悩んでいる選手、もしくはお子さんが肩肘の痛みに悩んでいる親御さん、ぜひTeamKazオンライン野球塾のコーチにご相談ください。問題となっている動作を改善することができれば、痛みが和らいでいったり、痛みがなくなることも期待できます。

野球肩・野球肘改善コースも登場しましたので、こちらのコースもご参照ください。

実は肩肘を痛めやすいフォークとチェンジアップ

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ボールを横に曲げるための回転を、肩関節を外旋させることによって投げてしまうと、投手の肩肘は簡単に壊れてしまいます。小学生リーグなどでは選手の肩肘を守るために変化球を投げることが禁止されていますが、しかし本当に必要なのはそういうこと以上に、指導者たちが故障しにくい適切な変化球の投げ方を指導できるようになる、ということだとTeamKazオンライン野球塾では考えています。

さて、横の変化球に関しては適切な投げ方ができれば、故障のリスクはストレートを投げた際と理論上は大差はなくなります。もちろんリリースポイントが異なる分、リスクが完全にストレートと同じだとは言えませんが、大差はなくなると考えることができます。しかし一方縦の変化球、フォークボールやチェンジアップに関しては、リスクをストレートと同レベルに抑えることは難しくなります。

まずフォークボールに関してですが、ボールを人差し指と中指で挟むと、薬指と小指にも自然と力が入ってしまいます。そしてチェンジアップ、特にサークルチェンジの場合は主に中指、薬指、小指でボールを握るため、これらの指の力を抜くすことは難しくなります。

実は薬指・小指と肘というのは、直結しているんです。例えば肘を痛めた時のリハビリ方法として、輪ゴムを使って小指を鍛えることにより、間接的に肘を強化するという方法があります。さぁ、ここまで書けばもうお分かりになりますね。薬指・小指に力が入りやすいフォークボールとチェンジアップというのは、この2本の指(特に小指)に力が入ってしまうことにより、同時に肘にも力が入りやすくなってしまうのです。

肘に力みが生じれば、当然投球時の肘はロックされやすくなります。肘がロックされ、固定されたような状態で腕を振ってしまうと、肘へのストレスは非常に大きくなってしまいます。また、肘がロックされて振られるということは、肩にも同時にストレスがかかってしまうことになります。

近年は肩肘へのストレスが小さいカーブ(ドロップ)より、スプリット(フォーク系)やチェンジアップが全盛期を迎えています。トレーニング技術が進み、数十年前よりも投手の体が強くなっているにも関わらず野球肩や野球肘が絶えないという現状には、もしかしたらスプリットやチェンジアップを投げる投手が増えたことが所以となっているのかもしれませんね。

フォークやチェンジアップを投げてはいけない、とは言いません。しかしこの2つの球種をレパートリーに持っている投手は、肩肘のコンディションをしっかり見ながら投げていくことが大切なのです。
野球肩野球肘というのはどうしてなってしまうのだと思いますか?これを知らなければ、痛みが出てお医者さんに治してもらっても、その後故障前と同じ動作で投げてしまい再発させてしまうことになります。痛みが出たらまずお医者さんに相談することが大切なわけですが、それと同時になぜ痛みが出てしまったのかという、動作内の問題をしっかりと見直すことも非常に大切なのです。

まず野球肩に関してはインピンジメント症候群は良く聞かれる症例となります。インピンジメントとは衝突するという意味で、投球動作に於いては上腕骨と肩峰が衝突することにより、その間に挟まっている肩峰下滑液胞が炎症を起こしたり、損傷することによって痛みが生じる症状となります。そしてこれはアクセラレーション(トップポジションからリリースにかけての加速期)時に肘が下がり過ぎてしまったり、上半身が開き過ぎていると起こりやすい症状となります。

体の開きや肘下がりというのはパフォーマンスを低下させるだけではなく、故障を引き起こす原因にもなりうるのです。だからこそシャドーピッチングにより、最善の投球動作を習得する必要があるのです。しかしそれを習得できても試合になれば疲労感などにより、徐々に最善の動作では投げられなくなってしまいます。だからこそ監督やコーチはそのタイミングを逃さずに、適切な継投を行う必要があるのです。

ちなみに肘下がりに関しもう少し詳しくお話をすると、最も肩肘に負荷がかからないのは完璧な0ポジションによるリリースではなく、リリース時にほんの少しだけ肘が下がり、ほんの少しだけ0ポジションから内転したポイントが、ボールリリースによる負荷を最小にすることができるポイントとなります。「ほんの少し」というのは、肉眼ではほとんど確認できないような僅かな差異です。意識してこの形にすることは難しいため、イメージをする程度で十分だと思います。人為的にこの形を作るのではなく、結果としてこの形になるというのが望ましいからです。

最近はヤンキースの田中将大投手の肘痛が大きなニュースとなっていますが、田中投手の場合はスプリットが肘に負荷を与えてしまったのかもしれません。スプリットやフォークのように人差し指と中指で挟んで投げるボールは、アクセラレーションで肘がロックされやすくなります。すると肘関節を柔軟に使うことができず、肘に対する外反ストレスも大きくなりやすく、肘を痛めてしまうことになります。メジャーで使われているボールは、日本のプロ野球のボールよりも僅かに重いと言われていますが、それももしかしたら影響したのかもしれませんね。いずれにしても、一日でも早い復帰を祈るばかりです。

皆さんもこれからもずっと野球を続けていくために、ぜひ野球肩や野球肘になりにくい投球動作の習得を目指してください。「パフォーマンスが向上する投球動作=故障しにくい投球動作」という図式は必ずしも成り立ちませんが、「故障しにくい投球動作=パフォーマンスが向上する投球動作」という図式は成り立ちます。パフォーマンスを良い形で向上させるためにも、故障しにくい投球動作の習得を目指してください。ご相談いただければ、TeamKazオンライン野球塾のコーチがお力になります。
メジャーリーグで今、肘痛が大きな問題となっているようです。トミー・ジョン手術という言葉を聞いたことがあるでしょうか?これは肘の靭帯を再生するための手術であり、過去日本人投手も複数人この手術を受けています。もはや珍しい手術ではなくなったわけですが、しかし決して簡単な気持ちで受けられる手術でもありません。それがメジャーリーグでは開幕から2ヵ月しか経っていないにも関わらず、すでに20人の投手がトミー・ジョン手術を受けているのです。

トミー・ジョン手術を受けると、最短でもマウンド復帰までは1年かかってしまいます。そして実際にパフォーマンスが安定するまでには2年かかるとも言われています。つまりこの手術を受けてしまえば、少なくとも1年間はプレーできなくなってしまうのです。それでもこの手術を受ける投手が後を絶たないほど、メジャーリーグでは肘痛を抱える投手が多いということなのです。

ではなぜメジャーではこれだけ肘を痛めてしまう投手が多いのでしょうか?それはメジャー球界の指導方法に理由があるのです。一般的にまだ複数年の結果を残せていない投手の場合、投手コーチからはとにかくスピードボールで打者のバットを押し返すようにと指導されます。つまりストレートを全力で投げて、力には力で勝て、ということです。これだけの全力投球を続けてしまえば、どんなに良い形で投げられていても肘は痛めてしまうでしょう。

日本の学生野球でも未だに、制球力が良い投手よりもスピードが速い投手の方がエースナンバーをもらいやすいという傾向があります。選手たちもそれを理解しているために、少しでも速いボールを投げようとし、全力投球を繰り返すようになります。するとそれが成長期の投手の体にとって大きな負担となってしまい、肩肘に疲労やダメージが蓄積され、例え中学生までは何ともなくても、高校・大学に進んだ時に一気に痛みが出てきてしまうようになります。

先日のコラムでは球数制限の目安を書きました。しかし球数制限だけで肩痛や肘痛を防ぐことはできません。投手個々の体に適した運動強度・運動量を監督・コーチがしっかりと見極め、その上で指導をしていく必要があります。全力投球というものも、これはいざという時だけ行うべきものです。例えば絶対に抑えなくてはならない場面の勝負球などですね。それ以外は8~9割程度の力で投げるのがベストです。もっと言えば7~8割で常時投げられればそれは更にベストです。

そして監督・コーチは、その力配分でも抑えられるような技術を子どもたちに指導していく必要があります。ちなみに、「スピードボールを投げられる投球動作=体に必要以上の負荷のかからない投げ方」という図式はほとんど成り立ちませんが、「制球力が良くなる投球動作=体に必要以上の負荷のかからない投げ方」という図式はほとんどの場合で成り立ちます。このような点も、特に成長期の子どもを預かっている監督・コーチは、しっかりと考えながら指導に当たる必要があるとTeamKazオンライン野球塾では考えています。

そもそも投手の役割とは、まず第一に走者を出さないことであり、第二に出した走者をホームインさせないことにあります。スピードボールを投げられたとしても、この役割を果たせなければ意味はないわけです。久しぶりに書きますが投手にとって大切なのは、「制球力>変化>球速」という図式です。これを忘れてしまうと、スピードばかりを追い求める故障のリスクを高めやすい投げ方になってしまいます。ぜひご注意ください。

野球肘の改善に効果的なリハビリトレーニング

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今回は久しぶりに野球肘のリハビリトレーニングに関して書いてみたいと思います。ですがその前に、野球肘と診断されて痛みがあるうちは、絶対に投球もトレーニングもすべきではありません。もちろんキャッチボールレベルであっても控えるべきです。病院の先生もそう仰られると思いますが、しかし不思議なことに肘痛というのは、体が温まると一時的に消えてしまうことが多いのです。それで大丈夫だと思い投げてしまうと治癒を遅らせたり、更に症状を悪化させてしまうケースがあります。ですので野球肘と診断された際は、先生が許可するまでは投球は絶対に控えるようにしましょう。

さて、スポーツショップなどに行くと握力を鍛えるための柔らかいボールを見つけることができると思います(このような物)。野球肘のリハビリは、このボールを使うのが効果的です。やり方は簡単です。このボールを鷲掴みにして、親指・薬指・小指の3本で握ったり離したりを繰り返すだけです。薬指と小指の筋(神経:尺骨神経/筋肉:尺骨手根屈筋など)は肘に繋がっているのです。ですのでこの3本の指で鍛えることによって、同時に肘を鍛えていくことができるのです。肘をぶつけた時、小指や薬指がしびれた経験ありませんか?それを引き起こしているのが尺骨神経なのです。

投げているボールの強度に対し、肘周辺の筋力が足りていないことで肘を痛めてしまっている場合には、特にこのリハビリトレーニングは効果があります。そしてもちろん肘を痛めている投手だけではなく、肘痛予防のトレーニングとしても効果的です。

野球肘は成長痛など骨格の問題を除くと、そのほとんどの原因は投球動作にあります。投球動作が良い形ではないために、肘を痛めてしまうのです。ですので野球肘と診断をされて完治させたあとであっても、野球肘になってしまった同じ動作で投げ続ければ、また肘痛は繰り返してしまうことになります。そしてそれは野球肩に関しても同じことが言えます。

野球肘になってまず一番大切なことは、とにかく痛みを消すこと、つまり完治させることです。そしてその次にやらなくてはならないことは、野球肘になりにくい良い形の投球動作を覚えるということです。

TeamKazオンライン野球塾でも過去、何十人という肘痛に悩んでいる投手や選手をコーチングしてきました。そこでしっかりと良い形の投げ方を覚えていただくことで、ほとんどすべての選手が肘痛に苦しまなくなりました。そしてさらに言えば良い形の投げ方をマスターしたことにより、肘痛が消えた上にパフォーマンスも向上しています。

ですが良い形の動作を覚えるというのは非常に難しいことです。だからこそTeamKazオンライン野球塾にご相談いただきたいのです。TeamKazオンライン野球塾のコーチングを受けていただければ、まず何が肘痛の原因になっているのかを的確に見極め、それを改善するための方法を明確にコーチングさせていただきます。プロアマ問わず、肘痛に悩んでいる選手はすぐにでもご相談いただければと思います。マンツーマンコーチングによって動作改善を行い、これからは肘痛に悩まず目一杯野球を楽しめるようになっていきましょう!

野球肘の原因は多種多様な外反ストレスにあり

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野球肘になる最たる要因の一つが肘にかかる外反ストレスです。外反ストレスのかかる投げ方をしてしまうと、その投手は将来的に確実に肘痛を起こしてしまうことになります。肘をまっすぐ伸ばした際、肘関節は一方向にしか曲がりませんよね。外反ストレスとは、その真逆の方向に肘が曲がって行こうとする際に発生するストレスなのです。

投手育成コラムではたびたび「良い投げ方」という表現をしていますが、良い投げ方だと言える指針の一つが、外反ストレスの有無にあります。ですのでTeamKazオンライン野球塾のコーチングに於いても、投球動作を改善する際はまず外反ストレスのかからない投げ方を指導しているのです。

外反ストレスのかかる投げ方には百害あって一利もなしです。リリースの瞬間に腕を一直線にしてしまっても、肩関節の回旋方向を間違っても、グラブ側の腕の使い方を間違っても、腹筋・背筋が弱くても外反ストレスはかかってしまいます。外反ストレスのかかる投げ方をしている投手というのは、何が原因で外反ストレスがかかってしまっているのか、それはまさ多種多様なのです。コーチが実際に投げ方を見てみなければ正確なことは何も言えません。

肘に痛みを抱える野球選手は数え切れないほど存在します。中には痛みを堪えながら投げている野球少年や、その痛みにより野球をやめていく野球少年もいます。もしこれが、正しい知識のないコーチの指導が原因だったとしたらどうでしょうか?正しい知識のないコーチが知らず知らずのうちに外反ストレスのかかる投げ方を子どもたちに教えてしまう。するとそれが原因で、その子は将来肘を痛めてしまう。「もし」という言葉は使いましたが、しかしこれは現実に起こっていることなのです。たくさん勉強をされているコーチもいらっしゃる中、間違った知識で間違ったことを子どもたちに教えてしまっている野球指導者も非常に多いのです。

そういう意味では、TeamKazオンライン野球塾のコーチングは選手だけではなく、野球指導者にも受けてもらえたらと考えています。一人の野球指導者が正しい野球知識をマスターすることができれば、今後その指導者が携わる子どもたちが肘痛を起こす可能性は非常に低くなるためです。つまり10人の選手がTeamKazオンライン野球塾のコーチングを受けるより、10人の野球指導者がコーチングを受けた方がはるかに効率が良いというわけなのです。

適切なコーチングを受けることができれば、外反ストレスのかかる投球動作を改善することは可能です。現にこれまでTeamKazオンライン野球塾では、肘痛を抱える多くの投手たちの動作問題を改善し、投球パフォーマンスを向上させてきました。そして先述した通り、外反ストレスの原因は多種多様です。選手個々その理由が異なるわけですが、一人一人をしっかりとコーチングしていくため、非常に細かい動作問題にも気付くことができるのです。

過去、一度でも肘痛や肘の違和感を感じたことがある投手の投げ方には、外反ストレスがかかっている言ってほとんど間違いはありません。ですので病院に通って痛みが取れたら、その後は投球動作・送球動作を正しい知識のもとで改善していくことが何よりも重要なのです。そうしなければ何度も病院通いを強いられるばかりか、最悪の場合は野球をやめなくてはならない状況にもなってしまいます。コーチとしてはもちろんのこと、親御さんとしてもそれだけは絶対に避けたいところだと思います。

ですのでTeamKazオンライン野球塾でなくても構いません。ご近所にある野球塾でも、野球分野を得意とする理学療法士がいる病院などでも構いません。肘痛を経験したら、正しい知識を持った人のもとで必ず投球動作の改善に取り組むようにしてください。

パーソナル投手コーチング(家庭教師の野球版)をご依頼頂いた選手の中で最も多かったご相談は、制球難と肘痛でした。2010年から始まった当パーソナル投手コーチングに於いて、制球難と肘痛は二大問題とも呼べるほど、相談件数が非常に多かったのです。それに次ぐのが肩痛と球威アップでした。球威アップに関してはポジティブな相談内容とも考えられるわけですが、肘痛・肩痛・制球難というのはどちらかと言えば、マイナス面を改善させたいという要素が強くなります。つまり投手のほとんどはマイナス面を自覚していて、それを改善したいと考えているわけなのです。

肘痛・肩痛・制球難を投手三大問題として考えると、実はこの改善方法は非常にシンプルであることが分かるのです。制球難を克服することができれば、肘痛・肩痛も同時に克服できる可能性が高く、逆に肘痛・肩痛を克服することができれば、それも同時に制球難の改善に直結する場合が非常に多いのです。つまり、いかに人体の構造に則った適切な投げ方ができるか、ということです。しかし現状はかなり厳しく、少年野球チームでの指導内容が原因でこの三大問題を抱えてしまっている投手が非常に多いのです。

もちろん少年野球チームにも素晴らしい指導者は大勢いらっしゃいます。忙しい合間を縫って最新の野球科学を勉強されている方もいらっしゃいます。ですがそのような指導者はごく一部に限られ、ほとんどの指導者は経験則でしか指導することができないようです。「自分はこう指導されたから、子どもたちにもそう指導する」という考え方ですね。その指導方法や理論が正しければ全く問題はありません。ですが「腕を大きく振れ」「腕は上から真っ直ぐ振れ」「トップの位置ではボールを外側に向けろ」「投球後は体をグラブ手側に流すな」などと指導されている方は想像以上に多いようです。どのような理論を持ちこのような指導をされているのかは分かりません。しかしこの言葉通りの動作を子どもたちが覚えてしまうと、これは間違いなく三大問題を引き起こしてしまうことになります。

治療が必要な状態である場合は除きますが、肘痛・肩痛・制球難には明確な理由が存在しています。コーチである以上、その理由を的確に把握できる能力が求められるわけなのです。TeamKazオンライン野球塾の投手コーチにはもちろんその能力が備わっています。なぜ肘が痛むのか?なぜ制球が定まらないのか?その理由を投球動作の中からすぐに見つけ出すことができます。ただし肩痛に関しては投球動作以外にも問題点があるケースもあり、その場合は改善までに時間がかかってしまう場合があります。

肘痛に関しては、骨が変形してしまったり剥離骨折なども起こしておらず、でも投げていると痛みが出てくるという場合は、月1回のパーソナル投手コーチングを4~5回続けて頂くと90%以上の選手が確実に改善して行きます。ただしこれは普段の積み重ねをコツコツと続けて行けるかが鍵となるため、それができない選手は残りの10%に加わってしまいます。ちなみに制球難に関しても同様です。制球難にも選手個々に明確な理由があり、それを継続的なコーチングにより改善して行けば、着実に制球力は安定して行きます。

パーソナル投手コーチングをご依頼頂ければ、まずその選手が抱えている問題点をご説明いたします。問題点に関しては選手それぞれ異なりますので一概には申し上げられません。問題点はコーチングの場で直接お話しさせて頂きますが、それを説明させて頂き、なぜそれが肘痛・肩痛・制球難の理由になっているのかを分かりやすく解説させて頂きます。この時コーチの言葉をメモして頂いたり、録音・録画をして頂きご自宅で復習して頂ければより効果的です。

投手にとっての問題点を解決するためには、ただ練習をしていても仕方ありません。問題点がなぜ起こってしまうのかという理由を明確にし、その理由を一つずつ解決していくことが何よりも重要なのです。良くない投球動作で毎日100球200球と練習を続けても、制球力は向上しません。野球にとって反復練習は非常に重要です。しかし間違った方法で反復練習をしてしまっては意味がありません。シャドーピッチングをするにしても、投球練習をするにしても、素振りをするにしても、バッティング練習をするにしても、適切な動作で反復することが何よりも重要です。あなたもパーソナル投手コーチングで正しい投球動作をマスターしてみませんか?

リリースの瞬間の肘は伸ばすべき?曲げるべき?

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投手がボールをリリースする瞬間、腕はどのような状態になっていると思いますか?肘はまっすぐ伸びている?それともちょっと曲がっている?イメージからすれば、前者の方が良いと考えている方も多いのではないでしょうか。ですが推奨すべきリリースの瞬間は後者なのです。ボールをリリースする瞬間は、腕は伸展し切っていない状態が望ましいのです。

一昔前は「腕を大きく使え」という指導が一般的だったと思います。ですがこの指導法だと、リリースの瞬間に腕が伸展し切ってしまうケースが多くなってしまうのです。ではリリースの瞬間に腕が伸展し切ってしまうとなぜ良くないのでしょうか?その理由は肘頭(ちゅうとう)が上腕骨と衝突しやすくなってしまうためです。簡単に言えば、肘が痛くなってしまうということです。

2010年以降TeamKazオンライン野球塾がコーチングさせて頂いた野球指導者さんの中にも複数、リリースの瞬間は腕をしっかり伸ばすように指導されていた方がいらっしゃいました。しかしこの投げ方を続ければ遅かれ早かれ、限りなく100%に近い確率で選手は肘痛を発症してしまうことになります。そして痛くなるタイミングは人それぞれであるため、例えば中学生の時にその投げ方を指導されたとしても、実際に肘が痛くなるのは大学生になってからや、プロ野球に入ってからというケースもあるのです。

TeamKazオンライン野球塾は2010年に開講しましたが、これまで野球肘に苦しんでいる選手たちと本当に多く出会ってきました。病院に通って痛みが取れても、投げればまた肘が痛くなり、整骨院に通って痛みが取れても、また投げれば痛くなるということを繰り返していた投手も少なくはありません。

少年野球のコーチをされている方々は、みなさん仕事の合間を縫ってボランティアで活動されているのだと思います。そのような親切なコーチのみなさんに厳しいことは言いにくいわけですが、しかし野球少年たちの将来を思うならば、やはり人体の構造に即した適切な投球動作というものを勉強しなければなりません。もちろん私たちのようなプロレベルの知識をすべて覚えてください、ということではありません。最低限知っておけばいいことというのが、投球動作にはいくつかあります。それを抑えておけば、野球少年や野球少女たちに間違った指導をしてしまうこともなくなり、将来その子たちが野球肘や野球肩に苦しむリスクも軽減させてあげることができるのです。

野球肘というのは、99%は投球動作に問題があります。つまり一度でも肘が痛くなったことがあるという投手には、必ず投球動作内に問題点があるのです。ただし肘痛というのは離断性骨軟骨炎といって、11歳前後のお子さんに関しては何もしていなくても発症してしまうことがあります。成長痛とも違うのですが、骨の成長具合と血管とのバランスがまだ整わないことで、11歳前後のお子さんは肘に痛みを感じることがあるのです。だいたい一学年に一人くらいの割合となるでしょうか。確率としては1%以下と決して高くはないのですが、これと野球肘との見極めが非常に難しかったりもするのです。

TeamKazオンライン野球塾の投手コーチは、書店で市販されている一般的な野球教則本で投げ方を学んだわけではありません。もちろん市販されている教則本は一通り読んでいるのですが、しかしTeamKazオンライン野球塾の投手コーチングの基礎となっているものは、そこから学んだものではありません。多くの投手の映像解析に加え、『臨床スポーツ医学』や『スポーツメディスン』などのスポーツ医学・スポーツ臨床の専門誌で学びながら投球動作の研究をして来たのです。

そのためTeamKazオンライン野球塾の投手コーチングは、コーチの経験則では行いません。あくまでも臨床結果などを踏まえた科学的根拠をベースにし、選手個々の状態に合わせた論理的な方法でコーチングを行います。もちろん選手に対して難しい医学用語などは使いませんが、このように科学的根拠をベースにしているために、TeamKazオンライン野球塾の投手コーチングでは確かな効果を得られることができるのです。そしてコーチとして、難しいことをいかに分かりやすく伝えるか、ということも日々鍛錬しているのです。

ここで野球肘に話を戻すと、なぜ野球肘になってしまったのか、将来野球肘になる可能性はないかということを、TeamKazオンライン野球塾の投手コーチは投球動作から見極めることができるのです。もちろん整形外科のような医術を施すことはできませんが、しかし医学的観点から学んできた投球動作解析法により、論理的かつ分かりやすいコーチングをすることができるのです。

今回の投手育成コラムは「コーチはどのような勉強をされているのですか?」というご質問がいくつか届いていたため、いつもとはちょっと違った趣向で書かせて頂きました。コーチングのご相談を頂く際には、ぜひ参考にして頂ければと思います。

P.S.
肘や肩に痛みがある際は、迷うことなく病院に行って治療を受けてください。

野球肘に繋がるのは小指と親指から伸びる筋

野球肘は一度悪化させてしまうと根気強いリハビリが必要になります。しかし退屈なリハビリを頑張って何週間も何ヵ月も継続することで、その効果は確かなものとして現れてきます。ですのでリハビリは、決して諦めることなく、復帰した自分が好投するイメージを常に持ちながら根気強く続けてくださいね。

肘痛のリハビリですが、ストレッチやトレーニングなどがそのメインになるわけですが、今回は輪ゴムリハビリをご紹介したいと思います。肘痛を起こす原因筋は、小指と親指の筋と密接な関係を持ちます。痛めた肘を直接トレーニングしようとすると、それは肘への負担となってしまいます。ですので肘のリハビリをする際は、まず肘以外の部位から始めるようにしましょう。

輪ゴムでチャレンジする野球肘のリハビリ

輪ゴムを使った野球肘リハビリ1

さて、輪ゴムの準備はできましたか?輪ゴムは、文庫本を買った時に付いてくるような細い輪ゴムで大丈夫です。その輪ゴムをまず、グラブ側の手の指に引っ掛けてください。そして引っ掛けた輪ゴムを、投げる側の手の小指に引っ掛け、小指を手の甲側から手のひら側へと掌屈させながら、ピョンピョン引っ張ってください。続いて今後は、投げる側の手の親指で同じことをしてください。

輪ゴムを使った野球肘リハビリ2

それができたら、次は投げる側の手の小指と親指に1本の輪ゴムをかけ、その輪ゴムを繰り返し広げてください。これだけでも、慣れていないけっこう疲れませんか?でもここでへばってる場合ではありません。次は輪ゴムを2本使います。

輪ゴムを使った野球肘リハビリ3

1本はグラブ側の手で持ち、もう1本は口にくわえてください(どこかに引っ掛けてもOK)。そしてその2本の輪ゴムを投げる側の手の小指と親指で、同時に繰り返し引っ張ってください。

輪ゴムを使った野球肘リハビリのまとめ

これらリハビリを継続すると、故障により緩んでしまった肘の筋を程よく締めていくことができ、肘痛を改善させることができます。とても地味だし、なんだか練習している気にならないメニューですが、でも根気良く毎日継続することで、必ず効果は現れてくるはずです。ですので痛みがない限りは、頑張って毎日続けてみてください。

※このリハビリもやり過ぎには注意が必要です。あまりやり過ぎてしまうと、今度はピアニストやギタリストによく見られる腱鞘炎やばね指(弾発指)という症状を引き起こしてしまうことがあります。これはあくまでも肘痛のリハビリメニューですので、絶対にやり過ぎないでください。

受け売りだった野村克也監督の言葉は実は理に適っていた!

野村克也監督の南海ホークス時代、江夏豊という大投手がチームメイトにいました。その江夏投手が肘を痛めた際、野村監督は腕立て伏せをさせて江夏投手に肘痛を克服させたそうです。野村監督は著書にて「メジャーリーガーがそうやって肘痛を治したと言っていた」という理由から江夏投手にも腕立て伏せをさせたそうですが、実はこれ、理に適っているんです。

肘痛を起こす原因筋は、小指と親指の筋に繋がっているということが、これまで研究者の尽力によってわかっています。腕立て伏せは、手の指を広げて行うと細かい筋も鍛えやすく、指を閉じて行うとアウターマッスルをダイレクトに鍛えやすくなります。こういう点から、単純にマッチョになりたい方は指を閉じて行い、野球選手ならば指を広げて行った方が良いということです。

使われる筋をイメージすることでトレーニング効果を高める!

指を広げて腕立て伏せをすることで、小指と親指から繋がっていく筋をバランス良く鍛えることができます。そして小指と親指から繋がって行く筋を頭の中でイメージすることで、さらに意識的に効果を高めることも可能です。

このように、指を広げて腕立て伏せをすることで、小指と親指から肘へと繋がっていく筋群を鍛えることができ、結果肘痛を改善させることができるというわけです。野村監督の著書はトレーニング法には主眼が置かれていないため、そこまで詳しい説明はされていませんでしたが、しかしさすがは野村監督ですね。仰っていることは確かに理に適っています。

ピッチャーは大胸筋は鍛えすぎない方が無難

ちなみに、ピッチャーは腕立て伏せはし過ぎないようにしましょう。50~100回程度をセット分けしてできれば十分です。なぜなら腕立て伏せは大胸筋を大きく発達させてしまいます。この大胸筋を大きくし過ぎてしまうと、これはボールを投げる際に腕の振りの邪魔をしてしまいます。腕の振りが邪魔をされてしまうと、振りは当然鈍くなり、球速も落ちてしまいます。とは言えまったく鍛えないのではなく、鍛えすぎない程度に鍛えるようにはしましょう。

ただし、上体に頼った投げ方をするピッチャーは別です。大胸筋や肩・腕の筋肉が増えるほど球速はアップします。しかし上体に頼った投げ方を続ければ確実に肩・肘を痛めますので注意が必要ですね。それに加え、球速が上がったとしてもボールのバックスピンを増やすことはできないため、初速と終速の差が大きい打たれやすいボールになってしまいます。

力んで肘をロックして投げてしまうと確実に野球肘にある!

大人の野球肘・肘痛の原因はほぼ確実に投げ方の悪さにあります。例えば腕の力を抜いて投げることができないために、肘をロックした状態で投げてしまうと、これは確実に肘痛の原因になります。ではなぜ力を抜きたくても抜けないのでしょうか?その理由はとても簡単です。

力を抜いてしまうと投げる際、ボールを握った前腕部分が不安定な動きをしてしまい、コントロールがまったく定まらなくなってしまうためです。これはある意味ではスキーマから起こるイップスだと言えるかもしれませんね。わかっているけど力が抜けない。これはもどかしいものです。

上腕三頭筋が弱いと前腕動作が不安定になり野球肘を誘発

さて、肘痛を抱える投手によく見受けられるケースに、上腕三頭筋の弱さがあります。上腕三頭筋とは、上腕二頭筋の裏側の筋肉。ちからコブを作る筋肉の裏側にある筋肉です。この上腕三頭筋が、上腕二頭筋やその周辺の筋肉と比べて弱いと、上述した前腕動作の不安定さを招いてしまいます。

すべてはここから始まり、肘がロックされることで投球時の肘に大きなストレスがかかり、肘痛に繋がるというわけです。そしてこれが「悪い投げ方」の1つということになります。

まだ痛みが初期の段階であれば、すぐに改善させることができます。上腕三頭筋のバランスを整えてあげれば、痛みは少しずつ改善されていくはずです。

では、上腕三頭筋を鍛えるためのフレンチプレスのやり方を1つ解説しておきましょう。フレンチプレスを行う際は、肘に痛みがない状態を前提にしてください。もし痛みがある場合は、痛みがなくなってから行うようにしましょう。

フレンチプレスで上腕三頭筋を鍛えよう

  1. 500mlのペットボトルを両手に持つ
  2. ペットボトルを持った両腕を真上に上げる
  3. 肘を曲げ、前腕を後方に98%くらい屈曲させる(曲げ切らない)
  4. 屈曲させた肘を98%くらい真っ直ぐにさせ、腕を真上に上げる(伸ばし切らない)
  5. あとは3と4の繰り返し

解説では98%という数字を使っていますが、これはつまり伸ばし切らない、曲げ切らないという意味です。どんなトレーニングでもそうなのですが、伸ばし切ったり曲げ切ったりしてしまうと、それは関節へのストレスになり、故障を引き起こす原因になってしまうので、注意してください。

回数と負荷を少しずつ増やして野球肘を改善しよう

そして肘痛のリハビリとしてフレンチプレスを行う際は、500mlではなく、350mlの缶ジュース程度の重さでも良いと思います。大切なことは、絶対に無理はしないということです。350mlの重さで30回できるようになったら、次は60回。それができるようになったら500mlで30回、50回。そしてそれを1kg、1.5kg、2kgと少しずつ重さと回数を増やしていくようにしましょう。

また、フレンチプレスを立ったままやると肩が辛いという選手は、ベッドやソファなどに寝転んで上記と同じ動きをすれば少し楽になるかも知れません。ぜひお試しください。

肘が痛んだら、まずは迷わず病院に行こう!

野球肘・肘痛のケアには様々な種類や手法がありますが、でもそれらを活かすためにはまず、なぜ肘が痛いのかという原因がハッキリわからなくてはなりません。僕らコーチは、投げ方を見て肘痛の原因を見つけ出したり、痛みの原因を特定することはできます。しかし僕らはあくまでもコーチであって、お医者さんではありません。ですので診療という意味では、痛みを感じたらまずは迷わず病院に行くようにしてください。

肘痛の原因だけでも投げ方の悪さ、上腕三頭筋の弱さ、ルーズエルボーなどがパッと思い浮かべられます。この中で、ルーズエルボーというのはあまり聞き馴染みがないかもしれませんね。逆にルーズショルダーという言葉は一般的です。いわゆる脱臼しやすい肩のことで、肩周りのインナーマッスルが緩いことで起こされる症状です。そしてルーズエルボーというのは、その肘バージョンというわけです。

意外と見落とされやすいルーズエルボーが原因の野球肘

肘周辺の筋繊維が緩いと起こるのがルーズショルダーで、ひどい場合は肘が痛むだけではなく、関節が外れてしまうこともあります。肘痛の初期では意外と見落とされやすい症状でもありますので、病院に行ってもこれと言って原因がわからない場合は、セカンドオピニオンを受けるなどして、しっかり調べてもらうようにしましょう。

ルーズエルボーの改善方法

ルーズエルボーも、エクササイズによってある程度は緩和・改善させることが可能です。以下の流れで試してみてください。

  • ①リラックスして立ち、両腕の力を完全に抜く
  • ②両肘を90°に曲げて、前方へと屈曲させる(小さい前習えの姿勢)
  • ③小指と親指を立てて前方に向ける
  • ④前腕(肘から先)をねじを回すように左右に内旋・外旋させる

この動作によって、緩い肘をある程度締めることが可能です。でもこのエクササイズを行う際は注意が必要です。絶対に締め過ぎないようにしてください。締め過ぎてしまうと逆に固くなり過ぎてしまい、これも肘痛の原因になってしまいます。ですので自分で締まっていく感覚がしっかり掴めるまでは、10回程度でストップさせるようにしましょう。

ルーズエルボー改善エクササイズはやりすぎ注意!

感覚が掴めてくると、ボールを投げるのにどれくらいの締まり具合が良いかがわかってきます。その感覚が分かるまでは腹八分目どころか、腹五分目程度にしておいてください。

そしてもう一点、ルーズエルボーじゃない投手がこのストレッチをやり過ぎてしまうと、ピッチングフォームから柔軟性が減っていってしまうので、やはり注意が必要です。何事もやり過ぎは禁物というわけですね。

11歳前後肘痛は遺伝性である可能性もある?!

子どもの肘痛にはいくつかの原因が考えられます。まず1つ目は、やはり大人同様に投げ方の悪さ。そして2つ目は遺伝性による肘痛です。つまり兄弟で野球をやっていてお兄ちゃんが肘痛になれば、弟も肘痛になる可能性が高いということです。

これは離断性骨軟骨炎と呼ばれる症状なのですが、子ども(11歳前後の男女)の場合だいたい0.3~1%の割合で起こると言われています。そしてこれは野球少年に特化された症状ではないため、これをひとくくりに野球肘と呼ぶことはできません。サッカー少年にもバスケ少年にも、陸上少女にもバレーボール少女にも起こる可能性があります。

この場合、放っておけば治る可能性もあります。しかし重要なのは、痛みがあるうちは休むということです。そしてこれは投げ方の問題ではないため、良い投げ方をしていても起こる可能性があるので注意が必要です。

離断性骨軟骨炎は放っておけば治ることも多い

子どもに起こる離断性骨軟骨炎は、休むことで治る可能性もある症状です。ですが痛みがある状態で我慢してプレーを続けてしまうと、治るものも治らなくなってしまいます。いえ、この言い方は正確ではないですね。治るはずのものを悪化させてしまうことがある、というのが正しい表現かもしれません。

肘が痛いと言って病院に行くと、炎症だと診断されて消炎剤を処方されることがあります。もちろんこの処方が悪いという話ではないのですが、しかし炎症というのは、炎症そのものが痛みを引き起こしている根源ではありません。炎症は、その部位で何か問題が起こっているからこそ起こるものであり、炎症を抑えるだけでは肘痛に対する根本的な解決にはならないんです。

炎症というのは、その部位で起こっている問題を身体が自ら治癒しようとする際に起こる生体反応です。ですので、この炎症を起こしている根源を見つけられない限り、厳密にはそれは肘痛の治療にはならないわけです。

さて、子どもの肘痛は遺伝性である可能性もあると上述しましたが、その説明をもう少し付け加えておこうと思います。子どもの骨は日に日に成長していきます。そして骨が成長するのに必要な栄養は、血管から骨へと入っていきます。この時の血管の骨への入り方には個人差があり、その個人差が遺伝性によるところが大きいわけです。

つまり、血管から骨へと栄養が送られる際、送られ方によって骨の成長にバラつきが出てしまうことがあります。この成長のばらつきにより、肘痛を引き起こしてしまうのです。そして放っておけば治るとも書きましたが、この成長していく過程でのバランスが、成長するつれて整えられて行けば治るということです。逆に痛みがあるのにプレーを続けてしまうと、このバランスがさらに崩されていき、生涯に渡り肘痛を抱えてしまう危険性もあるため、注意が必要です。

野球だけをするよりは、いろいろなスポーツに挑戦しよう!

ですので野球少年・野球少女を抱える親御さんは、もしお子さんが肘が痛いと言った場合、絶対に無理はさせないでください。肘が痛いという現象には、必ず理由があります。その理由が明確になり、改善されるまでは、ボールを投げさせるべきではありません。例え目の前の大事な試合に出られなくなったとしても、その子の将来を考えれば、心を鬼にしてでも治るまでは休ませるべきなのです。

そして肘痛が癒えるまでは、水泳や剣道、サッカーや陸上という野球以外の競技を楽しませ、再度野球に繋げていってみてはいかがでしょうか?子どもにとって、野球をすることだけが野球の上達につながるとは限りません。例えばメジャーリーグでも活躍された松坂大輔投手は、子どもの頃は野球だけではなく、水泳や剣道もやっていました。水泳により柔軟で強靭な肩や肩甲骨を培い、剣道により速球を投げるために必要な背筋を作り上げたというわけです。

アメリカの野球少年たちを見ても、一年中野球をやっているというわけではありません。春夏秋は野球をして、冬は屋内でできる他のスポーツをして、春になるとまた野球場に戻ってくる、というパターンがほとんどです。日本でも、子どもたちが野球をしながらも、もっといろいろなスポーツを楽しめるようになっていけば良いのになぁ、と個人的には思っています。

野球肘は後天性のものと遺伝性のものと2種類ある

子どもから大人まで、野球肘と呼ばれる肘痛に苦しんでいる人は想像以上に多くいます。そしてそれを、我慢しながら投げている選手が非常に多いのも実情。でも痛みを我慢しながら投げ続けてしまうと、取り返しの付かないことになってしまいます。甲子園やプロ野球どころか、草野球のマウンドにすら立てなくなることだってあるんです。

肘痛というのは、野球の先生をしている僕に言わせれば2種類しかありません。1つ目は遺伝性によるもので、2つ目は投げ方の問題。遺伝性の肘痛に関しては後日また詳しく書きますが、長男が肘痛になれば次男もかなり高い確率で肘痛を起こします。そしてこれは野球少年に限った問題ではなく、どんな子どもさんにも起こります。野球少年の場合、野球が肘を多く使うスポーツであるため痛みを感じますが、実はサッカー少年にもバスケ少年にもこの症状が起こる可能性はあります。

投げ方が悪ければ変化球を投げても投げなくても肘は痛くなる

さて、遺伝性の話はいったん置いておき、ここでは投げ方の問題を見ていきたいと思います。子どもの場合の肘痛はいくつかの原因が考えられるのですが、大人の肘痛は100%投げ方に問題があります。例えば肘痛を起こして整形外科や整骨院に行って治療すれば、その場では痛みを取り除くことができるかもしれません。しかし痛みの根源となっている悪い投げ方を直さない限りは、ほぼ確実に再発してしまいます。

野球肘と言えば、原因としてよく言われるのは変化球です。少年野球では今は変化球を投げることが禁じられているほどです。でも本当に問題なのは変化球を投げることではなく、変化球の投げ方です。そしてそれは変化球の投げ方だけではなく、ストレートの投げ方も同様。投げ方が悪ければ、変化球を投げても投げなくても肘は痛くなります。

野球肘回避にとって重要なのはトップポジションの良し悪し

では悪い投げ方とは?厳密に言えば投げ方の悪さは人それぞれですが、大雑把に言えば肘の位置。さらに言えばトップポジションの形です。野球の投げる動作ではトップポジションの良し悪しが何よりも重要です。トップポジションが良い形になっていない投げ方は、肘を痛める投げ方になる可能性が高くなります。つまり、肘が下がったり、高過ぎたり、肘の内側や真ん中を伸ばされてしまったりといった状態です。

肘が下がる原因、肘が高過ぎる原因は人それぞれなので一概には言えないのですが、しかしトップポジションをしっかりと良い形に定めてあげることで、肘痛を引き起こさない良い投げ方ができるようになります。そして正しい投げ方ができれば、変化球を投げて肘を痛める可能性も低くなります。

覚えておいてください。変化球は投げることによって肘を痛めるのではなく、その投げ方の良し悪しにより肘痛を引き起こすのです。そして変化球を投げたことがなくても、投げ方が悪ければ肘は痛めてしまいます。野球肘にならない投げ方を身につけたいという方は、ぜひ僕のオンラインレッスンを受けてみてください。誰にでもわかりやすく丁寧に動作改善のお手伝いをいたします!