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2014年05月21日

子どもの未来を奪う投球過多が目に余る少年野球の現実


【投手の投球数に関するガイドライン】
USAベースボール・メディカル&セーフティ・アドヴァイザリ・コミティより引用
推奨される最多投球数
年齢 最多投球数/試合 最多試合数/週
8~10歳 50球 2試合
11~12歳 65球 2試合
13~14歳 75球 2試合
15~16歳 90球 2試合
17~18歳 105球 2試合
推奨される登板後の休息期間
年齢 投球数
1日 2日 3日 4日
8~10歳 20球 35球 45球 50球
11~12歳 25球 35球 55球 60球
13~14歳 30球 35球 55球 70球
15~16歳 30球 40球 60球 80球
17~18歳 30球 40球 60球 90球

【野球障害に対する提言】
(日本臨床スポーツ医学会より引用)
練習日数・時間 小学生 1日2時間、週3日以内 ・野球肘の発生ピークは11~12歳
・野球肩の発生ピークは15~16歳
・登板翌日はノースロー
 (ほぐす程度の軽いキャッチボール)
・投込み翌日は投球数を減らす
・1日2試合の登板は禁止
中学・高校生 週に1日以上の休養日
全力投球 小学生 1日50球、週200球以内
中学生 1日70球、週350球以内
高校生 1日70球、週350球以内

今回はまず、上記表をご覧ください。これは日米のスポーツ医学会がそれぞれ1995年に発表している未成年の選手に対する投球数の提言です(現在も有効)。投球数の制御によって肩痛・肘痛のリスクを軽減させるためには、これくらいの投球数が良い、という一般的な目安となります。しかし実際はどうでしょうか。甲子園を見ていても完投翌日にまた登板することは珍しくなく、それを美談と報道するメディアもあるほどです。小学生にしても制球力がある子ばかりが投げさせられて酷使され、その子の将来よりも、目先の勝利が優先されてしまう現実が想像以上に多いようです。

野球肩や野球肘というのはもちろん、投球数の制限だけで完全になくすことはできません。その理由は、投球過多でなくても痛みが出ることがあるからです。投球動作が適正ではないと体への負荷が高まり、それほどの数を投げていなくても痛めてしまうことになります。とは言え、肩痛・肘痛を100%なくすことはできません。ボールを投げている限りそこにはリスクが必ず発生するためです。だからこそ小中学生という体がまだ発達し切っていない時期に、正しい投げ方をしっかり身に付けることが重要なのです。つまり肩痛や肘痛のリスクを軽減させることができる、人体の構造に則した投球動作ということです。そのような形で投げることができれば、故障のリスクを軽減し、更には制球や球威などのパフォーマンス面も向上させることができます。これこそが今、Littlerockheartが子どもたちに対し取り組んでいるコーチングの流れとなります。

チームによっては、多少の痛みならば少年少女を平気でマウンドに登らせることもあるそうです。そのような経験を持つ子の親御さんからのLittlerockheartへのご相談は、未だ絶えることがありません。子どもたちに対し、痛みがあるのに投げることを指示するなど、言語道断としか言いようがありません。例えチームに9人しか選手がおらず、その子が抜けたら試合ができないような状況だったとしても、果たしてチームの運営と子どもたちの将来と、どちらが大切なのでしょうか?少なくともわたしは試合をすることよりも、子どもたちが怪我なく野球の楽しさを覚えることの方が大切だと考えています。試合とは、その上で行うべきものです。

2010年以降、Littlerockheartでは100人を超える小学生を指導してきました。その中で親御さんと話をしていると、チーム内にいる複数の投手の中に、複数の肘痛を抱えた投手がいることが珍しくないという現実が見えてくるのです。肘痛の場合は投球過多よりも先に、投球動作の良し悪しが大きく影響します。つまり適切な投球動作を指導することができない監督・コーチが、非常に多いと言えるのかもしれません。中にはもちろんボランティアコーチであるにも関わらず、たくさん勉強をされている素晴らしいコーチも多くいらっしゃいます。しかしそれはほんの一握りでしかありません。

日本球界は野球をする子どもが減り、底辺が萎んできていると言われ続けています。しかしそうではありません!肩肘を痛めてしまうことにより野球の楽しさを実感できなくなり、野球から離れていく子どもたちが非常に多いのです。その子たちが野球から離れて行かないような指導ができる監督・コーチが増えて行けば、子どもたちの野球離れは食い止めることができるのです。

もしこのコラムをお読みいただいている方が野球指導者であるならば、最後に一つ質問があります。あなたはAEDの使い方と、普段練習しているグラウンドから一番近くにあるAEDの場所をご存知ですか?肩痛や肘痛を減らす技術指導は非常に難しく、勉強も本当に大変です。ですが子どもたちの命を救うこともあるAEDの知識に関しては、その意識さえあれば誰でもすぐに身に付けることができます。子どもたちを指導する身となった際は、まずは最低限ここから始めてみてはいかがでしょうか。

※子どもたちの健康や未来を大切に考えている野球チームもたくさんあります。お子さんをチームに加入させる際は、そのようなチームを選ぶことも大切なのかもしれません。

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