タグ「ミート力を上げる」が付けられているもの

バッティングフォーム

非軸脚の膝が曲がると必ず上半身が突っ込む!

バッティングでは、スウィング中に非軸脚の膝が曲がったら負けだと思ってください。右打者なら左膝、左打者なら右膝です。この膝が曲がってしまうと必ず上半身が突っ込んでしまいます。

もちろんこの膝が曲がってしまっても、野球の場合は勝負で負けて結果で勝つ(例えばボテボテの内野安打やテキサスヒットなど)こともあるわけですが、しかし根本的に打率を上げていくためには、この膝は曲げたくないんです。

バッティングでもピッチング同様、上半身を突っ込ませないために非軸脚を使っていきたいんです。そうすることによって力強いスウィングを実現できるのですが、しかし上半身が突っ込んでしまうと、当てるだけのバッティングになりやすいんです。

この膝が曲がってしまうスウィングは、バッティング技術がまだ未熟な小中学生に特に多く見られます。上半身の突っ込みを抑え、力強いスウィングを実現させるためにも、スウィング中の非軸脚の膝は突っ張るくらいの感覚でピーンと伸ばしていきましょう。

特にステイバック打法で打っている選手に関しては、この左膝を伸ばし切ることができるだけでも打力がアップしていくはずですので、もし今まで曲がってしまっていた選手は、今日からは伸ばし切るようにしてみてください。

バッティングフォームを短期間で改善して、できるだけ早く試合で活躍できるようになりたい選手は、僕の個別ZOOMレッスン野球塾のページも覗いてみてください。数多くの小中学生から草野球までの選手たちが、毎日めきめき上達しています!

20210204.jpg

バットを短く持つとバットの性能を活かせない!

ミート力をアップさせるためにバットを短く持つことってよくあると思います。でも僕のレッスンでは生徒さんたちには、基本的にはバットは短く持たない方が良いと伝えています。

その理由は、バットを短く持ってしまうとバットの性能を最大限活かすことができなくなってしまうからです。例えばバットを短く持ってしまうとヘッドを効かせたスウィングができなくなり、スウィング速度が低下してしまいます。

バットを短く持つと、バットとボールをぶつけられる確率は上がると思います。ですがそれイコール、ミート力がアップした、と言うことはありません。バットとボールをぶつけられても、スウィートスポットに当てられなければ強い打球を打つことはできないからです。

バットを短く持つと選球眼は低下する!

バットを短く持ってスウィング速度を低下させた状態では、より早いタイミングでバットスウィングを始動させる必要があります。するとボールのコースを正確に見極める前に振り出さなければならない、ということになり、これでは選球眼もミート力も大幅に低下してしまいます。

だからこそバットとボールをぶつけられる確率が上がっても、ミート力がアップしたわけではない、と書いたわけです。

例えばこれは極論ですが、ミート力が誰よりも優れていたイチロー選手は、どんなカウント、どんな状況であってもバットを短く持つことはありませんでした。

それどころか右手の小指をノブにかけて、バットをできる限り長く持って打席に立っていました。

下半身主導で股関節を上手く使ってバットを振ることができると、バットをより長く持った方がヘッドを効かせることでき、リラックスしたスウィングでもスウィング速度を速めることができ、さらにはヘッドも下がらなくなるため、バットを出したいところに正確に出せるようになります。

そしてヘッドを効かせてスウィング速度が速くなっていれば、ボールをそれだけ長く見てからバットを始動させられるようになり、選球眼がアップし、それが根本的なミート力アップに繋がっていきます。

バットを2cm短く持つよりも、2cm短いバットを使おう

ただ単に、とにかく反対方向にゴロを打てればそれで良い、ということならバットを短く持っても良いと思います。

しかしヒット&ランなどのサインが出ていても、できればヒットを打ちたいという場合は、下手にバットを短く持つよりは、下半身主導のヘッドを上手く効かせられるスウィングを身につけることを優先すべきです。

そしてどうしてもバットを短く持ちたい場合は、バットを短く持つよりは、短いバットを使うことをお勧めいたします。例えばライオンズの栗山巧選手などは、プロ野球選手だと通常85cmのところを、83cmのバットを振っています。

2cmバットを短く持つくらいなら、はじめから2cm短いバットを使った方が、よりバットの性能を活かせるバッティングができるというわけです。

ですのでミート力をアップさせるためにバットを短く持つのならば、ぜひ少し短いバットを選んで振るようにしてみてください。

2cm短いバットを使っていて長く持ちたい時は、小指をノブにかけてバットを握れば良いだけです。そしてそれによりバットの性能が低下することはありませんので、プロコーチとしてはこのようなバットの使い方がお勧めです。

今回のスラッガー養成コラムでは、打席に立った際、投球を見極める3種類のボールの見方について書き進めてみたいと思います。今回は主要な3種類のみのご紹介となりますが、人によってはもっと違う見方をしていることもありますので、ぜひご自身に一番合う見方を探してみてください。

投球を見続けられるだけ見続ける見方

まずは一番の基本、最も多くの方がこの見方を使っていると思います。ボールが投手の手から放たれてからボールを見続けられるだけ見て、ギリギリまでボールを目視する見方です。この場合、ボールを見極める場所は最も自分自身に近い場所になりますので、ミート力や瞬時の判断力に自信がない選手はこのやり方が一番シンプルだと思います。打率は上がりにくいですが、一番の基本だと言えます。

ただし、ボールが140kph、150kphを超えてくると、ボールは自分自身の5~7m手前で目視できなくなります。90~100kph程度であればかなり手元までボールを目視し続けることができますが、球速が速くなるほど手前でボールを見失うことになりますので、これはまだ球速が遅い小中学生や、草野球レベルに最もフィットしたボールの見方だと言えます。

マウンドとホームの中間に枠を設置する見方

2つ目は、マウンドとホームプレートの中間地点あたりに仮想ストライクゾーンを作ることです。そこに頭の中でストライクゾーンの枠を設置して、「中間地点で枠のここを通ったらホームプレートの上ではここに来る」という判断基準を作っていきます。そうすることによって比較的早めにボールから目を切って、目線をホームプレート上に持っていくことができます。

ちょっと難易度は高く、枠をイメージする想像力と瞬時の判断力に優れた選手にしかできないと思います。プロ野球レベルであっても一部の限られた打者しか使っていない手法なのですが、しかしこれができるようになると選球眼が飛躍的にアップし、しっかりとストライクだけを打っていけるバッターになり、打率も上がるようになります。

投手がリリースした瞬間に目を切る見方

3つ目は、投手の手からボールが放たれた瞬間にボールが来る場所を予測して目を切り、目線をホームプレート上に置いてボールが来るのをじっくりと待つ見方です。しかしこれは3つの中では最も難易度が高く、プロ野球でも毎年のように首位打者争いに加わっている超一流のバッターにしかできない技術です。

非常に難易度が高いわけですが、これができるようになると目線をほとんど動かすことなく高速で飛んでくるボールを捕らえられるようになるため、ミート力は飛躍的にアップしていきます。しかし2つ目の見方以上に瞬時の判断力が必要となりますので、アマチュア野球でこれができるのは数千人に1人いるかいないかではないでしょうか。2つ目と3つ目は難易度が高い技術ですので、小中学生や草野球選手は、まずは1つ目の見方をしっかりできるように練習してみるといいと思います。

非軸足がクルッと回ってしまうバッターはけっこう多いと思います。右打者なら左足部、左打者なら右足部。この非軸足がクルッと回ってしまうと股関節が回れなくなってしまうため、結果的に手打ちをするしかなくなってしまうんです。ですのでステップした非軸足は、スウィング後も反対打席に向いているように心がけてください。

日本人選手がメジャーリーガーのような体幹を作るのは難しい

ただし、回ってしまっても良い場合もあるんです。メジャーリーガーのように体幹のスタビリティとストレングスが最上級の状態にあって、さらにそれを使いこなしているスウィングができていれば、この非軸足を踵を支点にしてクルッと回す動作を入れてしまっても大丈夫なんです。例えばバリー・ボンズ選手らがそういうタイプの打者で、この打ち方にはハードメイプルがジャストフィットします。

しかし日本人選手の場合骨格の都合上、プロ野球レベルであっても、メジャーリーガーのような体幹を作り上げることはなかなかできません。実際バリー・ボンズ選手と同じレベルの体幹を持っている日本人選手を、僕個人としては日本プロ野球ではまだ見たことがありません。

筋力がある=体幹力がある、という図式は成り立たない

かつてのG.G.佐藤選手のように筋骨隆々にするという考え方もあるわけですが、しかしG.G.佐藤選手はアスリートレベルで見ていくと、柔軟性のある選手ではありませんでした。重要なのは鍛え上げるだけではなく、高い柔軟性を維持して鍛えるということです。ですので筋力がある=体幹力がある、という図式は成り立たないんです。

柔軟性に乏しい筋肉は、アスリートレベルで使いこなすことは絶対にできません。これは断言できます。そして使いこなせない筋肉はただの重りにしかなりませんので、パフォーマンスアップに直結させていくことも難しくなります。使いこなせない筋力をたくさん抱えるよりも、使いこなせる筋力が少しだけあった場合の方が、パフォーマンスは向上しやすくなります。例えばイチロー選手は非常に細い選手でしたが、持っている筋肉を満遍なく使いこなせる選手だったため、あれだけのパフォーマンスを怪我なく続けることができました。

つま先が開くとアウトサイドインになって打率が下がる

体幹が鍛え上げられていて、なおかつ使いこなせていれば、上半身と非軸脚で長い軸を作り、その軸のスピンを極限まで鋭くしていくことができた場合は、非軸足は踵を支点にクルッと回ってしまっても大丈夫です。ですがそうではない場合は股関節の内旋によってバットを振っていきたいですので、非軸足は絶対に回すべきではありません。

回すのであれば、フォロースルーもほとんど終わりかけているようなタイミングで回してください。ただし、フォロースルーを終えてもまだつま先が反対打席にしっかり向いている形が理想です。そしてこのつま先が開けば開くほど、アウトサイドインという打率を上げることができないスウィングになってしまいますので要注意です。

バッティングにおいて打球をスライスさせないというのは、けっこう難易度が高い技術なんです。プロ野球選手たちを観察しても、打球をスライスさせない非常に高い技術を持っているのは、ライオンズの中村剛也選手らをはじめとして、本当に数人しか見当たりません。でもこの難易度が高い技術を習得することができると、今までファールになっていた外野への打球がフェアゾーンに落ちるようになり、ヒットの本数を増やすことができます。

コンパクトなスウィングと最短距離スウィングは似て非なるもの

なぜ打球がスライスしてしまうかと言うと理屈は非常にシンプルです。居合のようにバットを投球に対して入れてしまうために、打球に横回転が与えられてしまうんです。物理学的には、どんな時も直角になった時にベストパフォーマンスができるようになることがほとんどです。でも居合のように打ってしまうとバットが投球に対し直角でぶつかることができなくなり、斜めに入ってしまうことによって、レフト線、ライト線のどちらに飛んでも打球がスライスするようになってしまうんです。ゴルフのスライスも同様のメカニズムです

ではなぜ居合のような打ち方になってしまうかと言うと、コンパクトに振るのではなく、最短距離で振ろうとしてしまうからです。コンパクトに振ることと、最短距離で振ることは似て非なるものです。最短距離で振ろうとするとスウィング中にバットがスライドしてしまうようになります。ちなみにコンパクトに振る、というのはスウィングを小さくするという意味ではありません。例えばメジャーリーグのホームランキングであるブライス・ハーパー選手のスウィングは非常にコンパクトです。

コースに逆らわないことがスライスさせないコツ

いつも引っ張る方向にしか打つ練習をしていない選手は、打球がスライスしやすくなります。「コースに逆らわずに打つ」という言葉がありますが、打球をスライスさせないためにはこの基本概念が非常に重要になります。例えば外角のボールを引っ張ろうとすればボールの外側を打つ形になり、ここで打面に角度がついてしまうことによって、大飛球になったとしても引っ張った打球がファールゾーンに逃げていくようになります。

中村剛也選手や中島裕之選手らは、コースに逆らわずに打って、どの方向にも長打を打つことができます。しかし反対方向に打つ時も流し打ちをしてはダメです。しっかりと振り抜いて反対方向に強い打球を打つことが大切です。これを「反対方向に引っ張る」と表現したりするのですが、この技術が最も高いのはダントツで中島裕之選手や、往年の清原和博選手だと思います。

反対方向へのホームランを喜んでいてはダメ

遠心力を使うと、確かに引っ張った方が飛距離は伸びます。しかしこの打ち方ではミート力が低下してしまうため、打率が上がることはありません。例えばメジャーリーグで何度も何度も首位打者に輝いたトニー・グウィン選手は、引っ張って打ったホームランをまったく喜びませんでした。この結果を生む打ち方はフォームを崩しやすいからです。しかし左打者のグウィン選手は、ショート方向に強い打球を打てた時はアウトになったとしてもその結果に満足をしました。この打球は少なくとも3回に1回以上はヒットになると知っていたからです。

グウィン選手の打球もスライスすることが非常に少なかったと思います。あとはイチロー選手のレフト線へのヒットもあまりスライスしないためにファールにならずにヒットになることが多かったですね。中村剛也選手の打球も同様で、大飛球がレフト線に飛んでもライト線に飛んでも、多くの打球でスライスしないためにそのままフェアゾーンでスタンドインしていくんです。中村剛也選手の打撃技術は球界随一です。力任せにホームランを打つことはせず、プロ野球選手としては非常に小柄なのにも関わらず、あれだけ多くのホームランを打つことができます。そしてもちろん僕のコーチングでも、小学生から草野球、そしてトップクラスの選手たちに中村剛也選手が持っている技術のコーチングを日々行なっています。ご興味あれば、ぜひ受講しにいらしてみてください。

僕は選手たちには常々「よりレベルの高い野球に進みたいのならビヨンドは使うべきではない」と伝えています。特に軟式野球から、将来は硬式野球に進みたいという目標がある選手の場合は、絶対にビヨンドなどの複合バットは使うべきではありません。

手の痛みがミート力を向上させる

木製バットのスウィーツスポットはだいたい2〜5mmくらい、金属バットは5〜20mmくらい、でもビヨンドなどの複合バットは10cm以上あります。つまりどこに当てても打球が飛んで行ってしまうんです。軟式野球しかやる予定はなく、さらにはあくまでも趣味として野球をするのであれば、ビヨンドを使っても良いと思います。しかしより上達したいのであれば、複合バットは使うべきではありません。

複合バットに慣れてしまうと、スウィートスポットで打球を捕らえるという技術がまったく磨かれないんです。つまりミート力が向上することは絶対にないということです。硬式野球では特に顕著ですが、軟式野球の普通の金属バットでも、スウィートスポットを大きく外して打つと手が痛くなります。そして打球もまったく飛びません。その痛さを経験しているうちに、痛くない打ち方をしようとしてどんどんミート力が向上し、高い確率でスウィートスポットでボールを捕らえられるようになっていくんです。

複合バットを使うと硬式野球に進んだ時に苦労する

でも複合バットの場合、ウレタンの部分に当てれば、どこに当たってもある程度打球が遠くまで飛んで行ってしまいます。さらには手が痛くなることもありません。もちろんヘッド寄りで遠心力を使って打った時が一番遠くまで飛ばせるわけですが、詰まったとしても外野まで飛ばすことができてしまうんです。まさに当たれば飛ぶ、というバットです。

例えば小中学生の軟式時代に複合バットに慣れてしまうと、中高生になって硬式野球に進んだ時、金属バットにまったく対応できなくなってしまいます。まったくスウィートスポットに当てることができず、打球もケージが飛び出すことがなくなります。と言うと少し大げさですが、でもそれくらい打球が飛ばなくなってしまいます。金属バットに慣れた高校生がプロ入り後に何年も木製バットに対応できないのと同じですね。

目先のヒットが欲しいだけなら複合バットもあり

プロ野球という最もレベルが高いリーグにいる選手であっても、金属バットから木製バットにシフトする際には多くの選手が苦しんでしまいます。金属バットから木製バットであってもそれだけ苦しんでしまうのですから、複合バットから金属バットや木製バットにシフトする際は、文字通り想像以上に苦しむことになります。もしかしたらビヨンドに慣れたスウィングが金属バットに慣れていく前に2年半未満の中学野球や高校野球が終わってしまうかもしれません。でもそれじゃあまりにも悲しすぎます。

軟式野球で、目先のヒットが欲しいのであれば複合バットを使うのも良いと思います。ミート力がなくても、誰にでも簡単に外野まで打球を飛ばすことができますので。でももしもっと上達したいという思いを持っていたり、将来は硬式野球に進みたいという目標がある場合は、複合バットは絶対に使わない方が良いと思います。絶対に金属バットや木製バットにすぐに慣れることができなくなってしまいます。ですので複合バットは、趣味の域から出ない予定の選手だけ使うというのがベストではないかと僕は考えています。

バットのヘッドというのはもちろん下がったり上がったりすべきではありません。スウィングプレーンと軸は極力直角の関係にあるべきです。でもだからと言って、この直角を絶対に崩しちゃダメ、というわけではありません。もちろん崩さないことがベストであるわけですが、状況に応じては上げたり下げたりしても構わないんです。

ゴルフウィングや大根切り打法も野球の魅力!

例えばマリナーズのイチロー選手やエンジェルスの大谷翔平選手が時折見せるゴルフスウィングや、ダイエーホークスなどで活躍した岩鬼正美選手の大根切り打法など、基本動作からは逸脱していますが、しかしこういうプレーも野球の魅力の一つだと言えます。ただし!踏ん張りが弱い状態で、手だけでこれらのスウィングを真似してもダメです。

例えば下記動画の、大谷翔平選手の3本目のヒットをご覧になってみてください。スウィング中にホップしているし、スウィングプレーンはまるでゴルフスウィングのようです。でもよくよく観察すると、ホップした後も体重はしっかりと股関節に乗せられているのがわかります。ここが何よりも重要なポイント!どんな状況であっても股関節に上半身の重さをしっかりと乗せられていないと、股関節という関節は野球動作に於いてまったく機能しなくなってしまうんです。股関節は、重さがかかっているからこそ機能し、踏ん張りを強くすることができます。

踏ん張りの強さと体幹のスタビリティが実現させる打ち方

この大谷選手のスウィングを解説すると、ホップした後に重さを股関節に乗せたというよりは、膝を伸ばして股関節を突き上げることによって、結果的に重さを股関節に乗せる形にしています。この動作は、よほど体幹のスタビリティ(安定感)が高く、なおかつそれを使いこなせている状況でなければ取ることはできません。踏ん張りの強さ、体幹のスタビリティが共に最上級であるからこそ可能となるゴルフウィング打法である、と言えます。

仮に踏ん張りが弱く、体幹のスタビリティも低かった場合、このようなスウィングでバットをボールに当てられたとしても、バットがボールの威力に押し返されてしまい、ボテボテのゴロになるだけです。しかし大谷選手の場合は踏ん張りも人並み外れて強く、体幹のスタビリティも最高であるために、このようなスウィングでも打球をヒットゾーンに飛ばしていくことができるんです。

大谷翔平選手は打者に専念すべき?それとももう一度二刀流へ?

大谷選手は打者に専念すべき、と言い切る野球解説者は大勢います。しかし僕はそうは思いません。怪我が完治し次第、また二刀流に挑戦すべきだと思います。メジャーリーグで日本人選手が3番打者として先発マウンドに登るなんて、まさに夢のようです!大谷選手にはその夢を実現できるだけの力があるのですから、消極的にどちらかの刀を置いてしまうのではなく、積極的に二刀流で勝負し、子どもたちにより大きな夢を与えてもらえたらと僕は願っています。

確かに打者、もしくは投手のどちらかに専念すれば、数字の上で歴史に名を残す選手になれると思います。しかし数字を気にする人などほんの一握りです。ベーブルースが投手として何勝して、打者として何本ホームランを打ったかを言える人など、アメリカでも多くはありません。でもベーブルースという名前は野球をやったことがない人であっても、誰でも知っている名前です。大谷選手には、そのような形で歴史に名を残す選手になってもらいたいと、僕は個人的には思っています。やるべきことは大谷選手自身が決めることであって、周りの解説者らがとやかく言うべきことではないと僕はいつも思っている次第です。

今回のスラッガー養成コラムでは、上から叩くようにして打つ癖をつけてしまうと、変化球を打てないバッターになってしまう、ということについて書き進めていきたいと思います。変化球を打てなくて悩んでいる選手は多いと思いますが、変化球の打ち方を知ろうとする前に、なぜ打てないのかという原因を改善させていく必要があるんです。

上から叩くと変化球を打てなくなる?!

なぜ上から叩くと変化球を打てなくなるかと言いますと、例えば右対右で投げられた外角へのスライダーを想定してみましょう。スライダーは捕手目線からすると、右下に向かって曲がっていきます。でももしこの時上から叩くようにして打ったらどうでしょうか?捕手目線ではバットが右上を向いているように見えるはずです。

つまり右下に向かうボールの軌道と、右上を向いているバットが十字に交差する一点のみでしか、バットをボールにぶつけていくことができなくなります。そのポイントを外してしまうと簡単に空振りをしてしまいますし、当たったとしてもボテボテのゴロになってしまいます。

スウィングプレーンはアッパー気味に!

でも上から叩くのではなく、体重移動をしないステイバック打法で、上半身を捕手側に傾けて、スウィングプレーンの角度をアッパー気味に下げていくと、右下に曲がっていくボールに対し、バットも右下を向くようになるんです。つまりボールの軌道のラインに、バットが重なるようになるんです。こうなることでヒッティングエリアが広くなり、空振りをするリスクを大幅に下げられるようになります。

さて、スラッガー養成コラムではよくアッパースウィングについて書いているわけですが、アッパースウィングと言っても、実はボールの軌道の下からバットを入れるわけではないんです。入れるまではボールの軌道の上からで、打った後にヘッドを振り上げていきます。打つ前にアッパーになってしまうと、キャッチャーフライや内野フライばかりになってしまいますので要注意です。

変化球の打ち方はいたってシンプル!

上から叩く打ち方にはメリットは1つもありません。軟式野球でさえもM号やJ号に変わってからは高く弾まなくなりましたので、高くバウンドする打球を打って、打球が跳ね上がっているうちに一塁ベースを駆け抜ける、という戦術は通用しなくなりました。

変化球の打ち方というのはシンプルで、バットのヘッドの角度をどれだけ下げられるか、ということが最大のポイントになってきます。でも勘違いしないでください。ヘッドを下げるわけではありません。バットと軸は直角の関係を維持しつつ、どれだけバットの角度を下げられるか、ということです。これを可能にできるのがステイバック打法の下半身の使い方というわけです。

バッティングをしている際に「開きが早い」なんて言われることがよくありますが、では「開きが早い」とは、一体どういう意味なのでしょうか?


バットスウィングというのは、よほど高めのボール球を振らない限りは、軌道は必ず反対打席側に傾きながら弧を描いていきます。そしてその弧が、一番低くなったポイントをミートポイントとすべきなんです。開きが早いというのは、この一番低いポイントで打つことができず、軌道が登り始めている場所で打ってしまう形のことです。

物体速度というのは当然、下り坂よりも上り坂の方が遅くなります。つまり軌道が一番低くなったポイントよりも投手寄りで打ってしまうと、バットスウィングの速度が上り坂によってどんどん低下している中で打つという状態になってしまいます。すると当然強い打球を打つことはできなくなります。

単純に、胸を投手に見せない形にすると、ヒッティングポイントというのは自然と自分の体の近くに置かれるはずです。ポイントが自分の体の近くに来るために、正確に打っていけるということになります。逆に胸を開いてポイントを投手寄りに置いてしまうと、遠ざかるほどミート力は低下してしまいます。

また、ポイントを投手寄りに置いてストレートを待った場合、緩急をつけられると簡単に空振りをするようになってしまいます。

イチロー選手が打席に入る前に、よくゴルフのようなスウィングをしていたのを覚えている方は多いと思います。あの動作はまさに、胸を開かずに打つ癖付のためのルーティンワークなのです。ゴルフっぽく見えても、決して低めを打つためのスウィングチェックではない、ということです。

僕のコーチングでお伝えしている動き方を身につけられれば、根本的にスウィング時に胸を開くことができなくなるはずです。そうなっていく下半身の動かし方を毎日選手たちには伝え続けています。

大切なのは「胸を開かないようにする」と考えることではなく、「胸が開かなくなる下半身の動きを覚える」ということなのです。小手先の修正だけで胸を開かないようにしても、それが習慣付けられることはありません。しかし下半身の動きを、胸が開かなくなる形にしていければ、それほど意識をしなくても胸は開かなくなるんです。

もし僕のバッティング個人レッスンを受けてみたいという場合は、お気軽にご相談くださいませ。毎日朝9時〜夜9時まで営業中です!

人間の目は横に並んで付いています。そのためバッターはどうしても縦の変化に弱くなってしまうのですが、今回のスラッガー養成コラムでは、目は縦でも使える、ということについて少しお話してみようと思います。


上述したように人間の目は横に並んで付いているため、スライダーなどの横の変化には比較的かんたんに対応することができます。しかし逆にフォークボールや、横回転を与えないチェンジアップなど、垂直方向にだけ動くボールを正確に捕らえることは難しくなります。

でも下半身を適切な形で使い、股関節を最大限活用できるようになると、この目を縦で使えるようになるんです。ピッチャーが投げるボールは、ストレートでさえも垂直方向に動きながら飛んできます。つまり勢いが衰えることで、少しずつ落下しながら飛んでくるということですね。ですので目を縦に並べて使えるようになると、縦の変化球だけではなく、実はストレートやカーブも非常に打ちやすくなるんです。

この技術の難易度は少々難しいのですが、下半身の使い方が最適化され、上半身と非軸脚で長いスウィング軸を作ることができ、さらに軸脚側股関節を反対打席方向に前傾させることができると、横に並んでいる目を縦にできるようになります。実際にはだいたい45°前後の傾きになると思いますが、しかしそれでも縦に動いてくるボールを捕らえるには十分な角度です。

実はこの技術、プロ野球選手でもできる選手は少ないのですが、しかしだからと言って小中学生にはできない、ということではありません。下半身の使い方が最適化されていれば、小学生でもできる技術です。あとはこの技術が存在するということを、知っているか知っていないかの問題だけです。

目を縦に並べて使えるようになり、スウィング時にその使い方に慣れることができると、空振りすることがほとんどなくなります。縦の動きが見やすくなる、ということももちろんそうなのですが、この技術ができるようになると、インサイドアウトでしかバットを振れなくなるんです。つまりバットが絶対に遠回りしなくなり、遠回りしないからこそバットを正確にボールにぶつけていけるようになります。

僕のコーチングでは、基礎がしっかりと身についたレベルに達した選手に対し、この技術を伝えるようにしています。これをお伝えできるレベルの選手であれば、ほとんどのケースで打率が.350を下回ることはありません。そして普通に.400を超えていけるようになります。

野球というのは、ただ毎日たくさんバットを振っているだけでは絶対に上手くなれません。ある技術が存在し、その技術を習得するための目的を持っていかないと、素振りがただの筋トレで終わってしまいます。そうならないためにも、このような技術の存在をたくさん知っていく必要があるわけですね。