バットのヘッドというのはもちろん下がったり上がったりすべきではありません。スウィングプレーンと軸は極力直角の関係にあるべきです。でもだからと言って、この直角を絶対に崩しちゃダメ、というわけではありません。もちろん崩さないことがベストであるわけですが、状況に応じては上げたり下げたりしても構わないんです。
ゴルフウィングや大根切り打法も野球の魅力!
例えばマリナーズのイチロー選手やエンジェルスの大谷翔平選手が時折見せるゴルフスウィングや、ダイエーホークスなどで活躍した岩鬼正美選手の大根切り打法など、基本動作からは逸脱していますが、しかしこういうプレーも野球の魅力の一つだと言えます。ただし!踏ん張りが弱い状態で、手だけでこれらのスウィングを真似してもダメです。
例えば下記動画の、大谷翔平選手の3本目のヒットをご覧になってみてください。スウィング中にホップしているし、スウィングプレーンはまるでゴルフスウィングのようです。でもよくよく観察すると、ホップした後も体重はしっかりと股関節に乗せられているのがわかります。ここが何よりも重要なポイント!どんな状況であっても股関節に上半身の重さをしっかりと乗せられていないと、股関節という関節は野球動作に於いてまったく機能しなくなってしまうんです。股関節は、重さがかかっているからこそ機能し、踏ん張りを強くすることができます。
踏ん張りの強さと体幹のスタビリティが実現させる打ち方
この大谷選手のスウィングを解説すると、ホップした後に重さを股関節に乗せたというよりは、膝を伸ばして股関節を突き上げることによって、結果的に重さを股関節に乗せる形にしています。この動作は、よほど体幹のスタビリティ(安定感)が高く、なおかつそれを使いこなせている状況でなければ取ることはできません。踏ん張りの強さ、体幹のスタビリティが共に最上級であるからこそ可能となるゴルフウィング打法である、と言えます。
仮に踏ん張りが弱く、体幹のスタビリティも低かった場合、このようなスウィングでバットをボールに当てられたとしても、バットがボールの威力に押し返されてしまい、ボテボテのゴロになるだけです。しかし大谷選手の場合は踏ん張りも人並み外れて強く、体幹のスタビリティも最高であるために、このようなスウィングでも打球をヒットゾーンに飛ばしていくことができるんです。
大谷翔平選手は打者に専念すべき?それとももう一度二刀流へ?
大谷選手は打者に専念すべき、と言い切る野球解説者は大勢います。しかし僕はそうは思いません。怪我が完治し次第、また二刀流に挑戦すべきだと思います。メジャーリーグで日本人選手が3番打者として先発マウンドに登るなんて、まさに夢のようです!大谷選手にはその夢を実現できるだけの力があるのですから、消極的にどちらかの刀を置いてしまうのではなく、積極的に二刀流で勝負し、子どもたちにより大きな夢を与えてもらえたらと僕は願っています。
確かに打者、もしくは投手のどちらかに専念すれば、数字の上で歴史に名を残す選手になれると思います。しかし数字を気にする人などほんの一握りです。ベーブルースが投手として何勝して、打者として何本ホームランを打ったかを言える人など、アメリカでも多くはありません。でもベーブルースという名前は野球をやったことがない人であっても、誰でも知っている名前です。大谷選手には、そのような形で歴史に名を残す選手になってもらいたいと、僕は個人的には思っています。やるべきことは大谷選手自身が決めることであって、周りの解説者らがとやかく言うべきことではないと僕はいつも思っている次第です。
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