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バッティングの効果的な練習方法を聞かれた時、僕がまずお答えするのはティーバッティング(置きティー)です。これが良いフォームを作る作業では最も効果的な練習方法です。時速0キロのボールを力強く打っていくためには、しっかりとした良いフォームで打つ必要があります。しかも1人でもできる練習ですので、何よりもまずは、僕はティーバッティングをオススメしたいのです。

ホームランは腕力ではなく技術で打つ!

ティースタンドをお持ちでない場合は、誰かにティーアップしてもらって打っても良いと思いますが、そうなると2人いないとできなくなってしまいます。ティースタンドは安いものだと2000円くらいで買えますので、1つ持っているととても便利です。ただ、安いものだと打つたびに倒れてしまうため、100円ショップなどで売られているペグで固定すると良いと思います。

ティーバッティングでも、さらに良いのはロングティーです。もちろんロングティーを行える場所がない地域の方が多いとは思いますが、もし場所がある場合はロングティーを頻繁に行うと良いと思います。ロングティーでは、腕力に頼って打つだけでは大した距離を打つことはできません。下半身から上半身にかけて上手にエネルギーを伝えていかなければ、ロングティーでは遠くには飛ばせません。ちなみに埼玉西武ライオンズの中村剛也選手や山川穂高選手などは、ホームプレートからロングティーを打ち、時速0キロのボールをスタンドインさせられる技術を持っています。そうです、彼らは腕力ではなく、技術でホームランを打っているんです!

ちょっと重いけどバックスピンティーもオススメ

硬式野球の場合、バックスピンをかけることによって飛距離を伸ばしていくわけですが、数年前に登場したバックスピンティーというティースタンドも便利です。実は僕も購入したのですが、野球塾のコーチングでは使っていません。というのは、単純に重すぎて持ち運ぶのが難しいためです。ちなみに中村選手や山川選手はバックスピンティーではなく、通常の置きティーを使っています。

バックスピンティーを使うと、確かに簡単にバックスピンをかけて打てるようになります。しかし普通の置きティーでも、良い形で打つことができればちゃんとバックスピンをかけることができます。ですので両方使ってみた者の感想としましては、置きっぱなしにできるのならバックスピンティーを購入してもいいのかなと思いますが、毎回片付けなければならなかったり、持ち運びする場合はバットケースにも入れられる普通の置きティーが良いと思います。

時速0キロのボールを打つティーバッティングがオススメ!

ティーバッティングのポイントは、時速0キロのボールをどこまで加速できるか、というところにあります。ですのでスピードガンとセットで行うと、より効果的です。スピードガンはどこかに固定して、トリガーをテープなどで押しっぱなしにしておけば、1人でもこの練習を行うことができます。ただ、スピードガンは安くても3万円前後しますので、必ずしも持っている必要はありません。ただ、高価な複合バットを購入するよりは良い投資になるとは思います。

ティーアップされたボールや、バッティングセンターのボールにはそれなりのエネルギーが加えられていますので、当てられれば良くないフォームでも簡単に強い打球を打つことができます。しかし置きティーの場合はそうはいきません。良いフォームで、ボールの良いポイントを打っていかなければ、打球を上げることも加速させることもできません。また、腕力に頼って打つとバットスウィングの波動に乱れが生じ、その波動がボールに伝わることによってボールの飛距離が低下します。

素振りもフォームを作るという意味で非常に大切な練習ではありますが、それ以上に効果的なのはやはりティーバッティングです。少しでも多く加速させ、少しでも遠くへ飛ばせるように、まずは良いフォームを理論的に頭で学び、そのフォームを体現できるように練習を繰り返していくようにすると、上達への近道へと繋がっていくはずです。

アメリカのリトルリーグなどでは、チームに1人僕のようなプロコーチが派遣されているんです。ですので、常にチーム単位で正しい動作を教わっていくことができます。ただ、やはりそこはチームに1人のため、全選手がガッツリ教われるということはなく、それ以上のレッスンを受けたい場合はチーム練習後にレッスン料を払ってマンツーマンレッスンを受けます。なのでアメリカは野球塾という概念ではなく、僕の野球塾のようにマンツーマンレッスンが主流ということになります。

少年野球の監督でも驚く超理論的なレッスン内容

上述した通り、アメリカのリトルリーグの場合は、よほどの初心者のみのチームではない限り、チームに1人プロコーチがリトルリーグ連盟から派遣されます。そのためお父さんコーチの役割は野球を教えることではなく、チームの輪を整えることがメインとなります。でも日本の場合、野球を専門的に勉強していない野球経験者が、子どもたちに間違ったことを教え続けてしまっています。それに関してはメジャーリーガーとなった筒香選手も同様の警鐘を鳴らしていますね。

「頭や目線を動かすな」という指導は正しいんです。頭は確かに動かさない方がミート力は格段とアップします。テイクバック時に捕手側に動くのは良いのですが、投手側に頭が動いてしまうのはダメです。ミート力が低下するだけではなく、相対速度もアップさせてしまい、自ら差し込まれに行くようなものです。でも「頭は動かすな」という正しい指導をしながらも、どうすれば頭が移動しなくなるのか、という方法まで教えられているお父さんコーチはどれくらいいらっしゃるでしょうか?

僕のマンツーマン野球塾には、少年野球の現役監督やコーチがお子さんを連れていらっしゃることも多々あります。監督・コーチをされている野球経験者のお父さんであっても、僕の理論的でわかりやすい指導法にはビックリされることがほとんどです。お子さんを連れて受講された監督さんたちには、ぜひ僕の指導法をチームに持ち帰って、子どもたち全員に伝えてあげて欲しいと思います。

本を出すレベルの人でも理論があるとは限らない

実は、頭は移動させずに打つものではないんです。体重移動をせずにステイバックモーションを身に付けることによって、自然とスウィング時に頭が移動しなくなるんです。頭を移動させないことを前提に練習をさせてしまうと、下半身と上半身がまったく連動しないちぐはぐな動作でのスウィングになってしまいます。ましてや体重移動をしてしまうとなおさらです。

僕が知る限り、一般書店で市販されている数ある野球教則本の中で、ステイバックについて本格的にページが割かれている本は本当に数冊だと思います。片手の指も余ってしまうほどではないでしょうか。つまり本を出版するようなレベルの方でも、理論的に野球を学んでいる方は少ない、ということです。一方野球動作を誰よりも研究している野球専門のトレーニングコーチが出版されている本は、書かれていることはやや難しいのですが、適切な技術が解説されていることが多いと思います。

「打てる」「打てない」理由は明確に存在している

打率が上がらない打ち方と上がる打ち方、飛距離が伸びない打ち方と伸びる打ち方というのは、理論的にも技術的にも明確に存在しています。なんとなく打てなかったり、なんとなく打てたりすることは絶対にありません。もちろん相手投手のレベルが低ければまぐれでヒットを打てることもありますが、投手のレベルが自分と同等かそれ以上であれば、なんとなく打てるようになることは絶対にありません。

僕のマンツーマンレッスンを受けていただければ、パフォーマンスがアップする打撃モーションを明確に、理論的に、わかりやすくお伝えさせていただきます。適切な動作を1回のコーチングで学んでいただいて、ご自宅などでそれができるようになるまで練習をしてください。できているつもり、ではダメです。正しい動作を、意識しなくても自然とできるようになった段階だけを、「できるようになった」と言います。

毎日100回200回素振りを続けていても、良くないフォームで振り続けてしまうと、その悪いフォームを覚えるためだけの練習になってしまい、せっかくの努力も水の泡になってしまいます。「練習は嘘をつかない」とはよく言いますが、正しい動作で練習を続けることによって、はじめて練習は嘘をつかなくなります。毎日の素振りがただの筋トレになってしまわないように、まずは適切な動作を頭で理解した上で練習をするようにしてください。それができれば、どんな初心者の方であってもすぐに上達していくことができます。

今回のスラッガー養成コラムでは、重いバットと軽いバットとではどちらが良いのか、ということについて書き進めてみたいと思います。まず結論から言うと、僕は軽いバットの方が良いと考えています。特に体が出来上がる前の小中学生に関しては、重いと感じるバットは避けた方が無難です。。

バッティングではスウィング速度が重要

バッティングでは、バットのスウィング速度が非常に重要な要素になっていきます。もちろん軽すぎるバットは逆に良くないわけですが、多少軽く感じる程度のバットの方が、重いバットよりも速く振ることができます。すると筋肉がその速い動きを覚えていってくれますので、体が大きくなってバットが少しずつ重くなっていっても、速いスウィング速度を維持できるケースが多くなります。

逆に「身長はすぐに伸びるから少し長めのバットを買っておこう」と考えてしまうと、小学生選手にとっては重すぎるバットになってしまうことがあります。重いバットでは最速で振ることはできませんので、遅いスウィング速度を筋肉が覚えてしまい、体が大きくなっても意外とスウィング速度がアップしない、というケースがよく見受けられます。

スウィング速度が速いほどミート力もアップする

スウィング速度が遅いと、ピッチャーが投げるボールがまだ手元まで来ていない段階でバットを振り始めなければ、完全に振り遅れる形になってしまいます。しかし始動を早くしてしまうとボールの見極めが困難になり、ボールがどこに飛んでくるのかという予測も立てにくく、選球眼もミート力も低いバッターになってしまいます。

逆にスウィング速度が速いと、ボールをギリギリまで見極めてから振り始めても、振り遅れることなくしっかりとミートすることができます。そのためボール球に手を出すことも減り、四球を増やせるようになることで打率も上がりやすくなります。スウィング速度は飛距離をアップさせるためだけではなく、ミート力をアップさせるためにも非常に重要な要素なんです。

バットは成長に合わせて買い換えるのがベスト

身長に対して長すぎるバットはドアスウィングになりやすいですし、重すぎるバットはスウィング速度を低下させます。ちなみに中高生になると1kg程度の非常に重いマスコットバットを振り始める選手も多いのですが、これはやめるべきです。重いバットでトレーニングした選手と、普通の重さのバットでトレーニングをした選手とでは、スウィング速度にほとんど差は生じないというエビデンス(検証実験によって証明された結果)もあります。つまり日常的にマスコットバットを使うことは、腰椎分離症のリスクを高めてしまうだけで、スウィング速度の向上にはほとんど役立たないということです。

これは以前のスラッガー養成コラムでも書いたことですが、理想は最初の8割は普通の重さのバットでトレーニングをし、最後の2割くらいの練習を軽いバットで行うというのがベストです。軽いバットで、より速い動きでトレーニングを締めることによって、筋肉が速い動きに馴染んだ状態で動作を覚えてくれるようになるんです。つまり筋肉を高速で動かしやすくなる、ということです。僕のオススメとしては、小学生のうちは安いバットを成長に合わせて1〜2年置きに買い換えるのが良いと思います。小学生用の金属バットはちゃんとしたメーカーのものでも5000円程度ですので、仮に6年間毎年買い替えたとしても、小学生用のビヨンドマックス1本分よりも安上がりなんです。親御さんは、このあたりも考えてあげると良いかもしれませんね。

バッティングで飛距離を伸ばすコツというのは多数あるわけですが、今回はその中でもテイクバックと割れについて書いてみたいと思います。マンツーマン野球塾でコーチングをしていても、実はテイクバックがテイクバックになっていない選手がけっこう多いんです。

テイクバックはただ引くだけでは意味がない

テイクバックではラギングバックモーションを作り出したいんです。いわゆる「割れ」というやつですね。このラギングバックが発生してなければ、テイクバックはテイクバックとして機能していないと言うことができます。テイクバックは、ただ後ろに引くだけでは大きな効果を生むことはありません。ラギングバックを発生させることによって反動を使えるようになり、バットスウィングをさらに速く強くしていくことができます。

ラギングバックはバッティングでもピッチングでも重要なモーションとなるわけですが、バッティングの場合はテイクバックした際、グリップはキャッチャー方向に進もうとし、下半身は投手方向に進む形(体重移動の有無は関係ありません)となります。わかりやすく言うと、ゴムを伸ばして手を離せば、ゴムは勢いよく縮んでいきますよね?これと同じです。ラギングバックによって体幹をゴムのように伸ばすことによって、バットスウィングの勢いをアップさせていきます。僕の野球塾にいらっしゃったことがある方であれば、「二段階スウィング」というトレーニングを経験された方もいらっしゃると思います。これがまさにラギングバックを強めるための1つのトレーニングとなります。

ただ引くだけのテイクバックでも効果は0ではない

テイクバックをしてもラギングバックを発生させずに、グリップを引いた後、そこで待機させてしまっているバッターを多く見かけます。スウィングのアクセラレーションの距離を伸ばすという意味では、待機させるだけのテイクバックでも効果は0ではないわけですが、しかしテイクバック本来の効果を得ることはできません。ですのでグリップを引いた後、そこで待機させてはいけないわけです。

テイクバックが一番深い位置に来た瞬間に合わせてラギングバックを発生させていきます。このタイミングを上手く作れるかどうかによって、飛距離はまったく変わっていきます。ただこのタイミングに関しては人それぞれであり、フォームが変われば合うタイミングも変わっていきます。ですのでタイミングに関してはフォームを見ない限りはコーチとして何も言えないわけですが、とにかく自分のフォームにおいてそのタイミングを合わせられるタイミングを探し、そのタイミングでバットを振っていくことが大切になります。

ノックでテイクバックとラギングバックを身につけよう

テイクバックとラギングバックを習得するための最適な練習法がノックです。埼玉西武ライオンズの中村剛也選手も日常的に行なっている練習なのですが、ノックはテイクバックとラギンバックを最適にしていかなければ打球を遠くに飛ばすことはできません。ちなみに中村選手はノックでもメットライフドームでスタンドインさせることができます。もちろん腕力があるからではありません。テイクバックとラギングバックを上手に作れているからです。

最後にノックの打ち方を簡単にお伝えしておきたいと思います。右打者なら、まず左手に持ったバットを左肩に担いでください。そしてそのバットを、ゴルフスウィングを逆再生するように下から回していき、回しながら右手で打ちたい方向に向けてトスを上げていきます。トスを上げる際、左右の腕があまり交差しないように気をつけてください。交差してしまうと、トスを上げた後にグリップを掴みにくくなります。そして、トスを上げたらテイクバックを一番深い位置にし、下半身は一歩前へ歩いていくようなイメージでラギングバックを発生させていきます。これが正しいノックの打ち方です。ぜひこの打ち方でノックを打ち、テイクバックとラギングバックの感触を強めていってください。

バッティングセンター通いをしている草野球選手はかなり多いと思います。仕事帰りや、草野球に行く前に寄るバッセン、なかなか良いものですよね。でも仮に毎日バッセンに通ったとしても、それによって試合で打てるようになるということはないんです。

バッセンスラッガーにはなるな!

バッセンスラッガーになってはいませんか?バッセンでは良い当たりを連発させられるのに、試合で打席に立つとどうしてもヒットが打てない。そんな選手、少なくないと思います。特に学生時代にガッツリと投手の球を打ち慣れたという経験がない草野球選手の場合、バッセンスラッガーになってしまうケースが多いと思います。

ご存知の通りバッセンのピッチャーは、ほとんど同じタイミングで、ほとんど同じ場所に、ほとんど同じスピードで投げてくれます。つまりバッセンのボールというのはタイミングとバットを出すところさえ良くなれば、誰でも打ててしまうんです。例えば非力な女子選手であっても、慣れればバッセンであれば130キロのボールを打ててしまうんです。

バッセンの130キロより、生身の投手の100キロ

バッセンの130キロと、生身の投手が投げる100キロのストレートとでは、当然後者の方がずっと打ちにくくなります。バッセンで130キロのボールを連打できたとしても、生身の投手が投げる100キロのストレートを打てるようになるか、と問われれば答えはノーです。重要なのはバッセンに通うことではなく、バッセンでどんな意識を持って打ち込むか、ということです。

バッセンではタイミングとコースが合えば誰でも打ててしまいますので、バッティングフォームがめちゃくちゃだったとしても打ててしまうんです。でも生身の投手が相手の場合、めちゃくちゃなフォームではよほど幸運が重ならない限りはヒットを打つことはできません。

錆びたノコギリでは丸太を切るにも時間がかかる

仮に週1〜2回バッセンに通っても打率が3割、4割を超えていかないのなら、バッセンに通う前に野球塾に通うべきです。ご近所の野球塾で、まずは試合でヒットを打てるようになる適切な打撃フォームを教わってください。そしてそのフォームを身につけた上でバッセンに通い、フォーム固めをします。適切なフォーム、つまりヒットを打つための適切な技術がインストールされていなければ、いくらバッセンに通ってもあまり効果はないということです。

太い丸太を切る際に、いきなり力任せにノコギリでゴリゴリ切ろうとするよりは、切る前にノコギリを研いでから丸太を切った方が速く切れますし疲れません。バッティングも同じです。バッセンに通う前に適切な技術をインストールしておかなければ、錆びたノコギリで丸太を切ろうとしているのと同じことになってしまいます。バッセンスラッガーは草野球選手に多いのですが、試合でヒットを連発するためには、まずは適切な技術を身につけてからバッセンに通うようにしましょう。

スポーツ選手は道具に過度に頼ってはいけないと僕は考えています。特に「上達したい」という気持ちが強い場合は。ですがそれほど上達を求めていない、レベルが高くないリーグでプレーしている選手は道具に頼ってしまうのもなしではないと思います。例えばビヨンドなどの複合バットの存在ですね。


道具というのは技術に合わせられるものではありません。技術を道具に合わせるんです。プレー中に失敗をすると、よく道具やサーフェス(地面などのプレー環境)のせいにしている選手を見かけますが、これは素人が取るべき行動です。年代やレベルを問わず上達を目指している選手は、ミスを道具やサーフェスのせいにすることは絶対に避けるべきです。責めるべきは対応し切れなかった自らの技術です。

例えばイチロー選手は毎年、何十本もの同じバットの中から、数本だけ実際に試合で使うバットを選んでいました。しかしこの選択は、アマチュア選手が金属バットとビヨンドのどっちを選ぶか、という問題とはまったく異なる選択となります。イチロー選手は自らの技術をアジャストできるバットを選んでいたのに対し、後者は自らの技術不足を道具で補うための選択となります。

日本は道具天国です。ビヨンドだけに限らず、硬式用の金属バットでも反発係数は木製バット以上で、よく飛ぶバットを使うことができます。一方アメリカでは、金属バットの反発係数は木製バットと揃える必要があるため、あくまでも数値的には金属バットの恩恵を受けることはありません。ただそれでも、金属バットの方が木製バットよりも数mm〜1cm程度スウィートスポットが広いので、その点では金属バットの方がまだ優位性は高いと言えます。

正直なところ、僕はコーチとしてはビヨンドの利用に対しては否定的です。ビヨンドはどこに当たっても打球が飛んでいくため、コンタクトスキルが向上することはありません。ですので少しでも今より上達したいと考えている選手は、ビヨンドは使うべきではありません。

ちなみに僕が小学生の頃は当然ビヨンドなんてバットは存在しておらず、金属バットもボールも今ほど飛ぶものではありませんでした。でも僕は頻繁に外野手の頭を超える打球を打っていました。小柄で細かったにも関わらず。中学1年生になった頃、僕の身長はまだ150cmにも届いていませんでした。150cmを超えたのは確か、中学1年生の夏です。こんなに細くてチビだった僕でも、外野まで打球を飛ばすことができていたのです。飛ぶバットなんて使わなくても。

いえ、飛ぶバットどころか、練習ではディスカウントショップで売られていた無名の怪しげな木製バットを使っていました。そのバットのことは今でもよく覚えています。お小遣いを貯めて1980円で買ったのですが、保険に関するシールさえ貼られていませんでした。その代わりに金色の「高級バット」という、何の説得力もないシールが貼られていました(笑)。普通のメーカーの普通のバットと比べると、まるでガラクタのようなこのバットですが、それでも僕は小学生から中学生にかけて、紅白戦では上級生たちからこのバットでたくさんのヒットを打ちました。

僕は高校入学の直前に肩を痛めてボールを投げられなくなってしまったのですが、中学最後の1年間の僕の出塁率は9割以上で、打率も8割くらいでした。

ちょっと自慢しちゃいましたが、伝えたいことは自慢話ではないんです。僕は普段は1980円の高級バットで練習をし、公式戦になると学校や友達の金属バットを借りて打席に立っていました。スウィートスポットがあるのかないのかもわからない高級バットで練習をした後だと、普通のバットでジャストミートさせることがすごく簡単なんです。金属バットは広いものだとスウィートスポットが1.5〜2cm程度あるのですが、高級バットで練習をしたあとだとこの1.5cmがものすごく広く感じ、「どこに当たってもヒットになる!」という風に感じていました。

もはやビヨンドは軟式野球のスタンダードとも言えるようになりました。バットに3〜4万円も出すなんて僕には考えられませんが、現代では普通のことのようです。ですので試合でビヨンドを使うのは、もはや止めることはできません。それならばせめて、練習だけは安物のバットを使うべきだと思います。僕が使っていた高級木製バットのような、スウィートスポットがあるのかないのかわからないようなバット、、、、なんてものはもう売っていないと思いますが、普通のメーカーの普通の安いバットで練習すべきだと思います。

上達を目指しておらず、ただ野球を趣味で楽しみたいという選手はいつもビヨンドでも構いません。しかし上達したい選手にとってビヨンドは致命傷になります。野球のレベルが上がれば上がるほど、ビヨンドを使えないリーグに入った際、ビヨンドの後遺症に苦しむことになります。

ですのでビヨンドはあくまでも野球が趣味の場合にのみ利用し、少しでも上手くなりたいという選手はビヨンドの利用は避けてください。どんなに安物のバットであっても、そのバットの性格をしっかりと理解することができれば、外野手の頭を越していく打球を打つことはそれほど難しくはありません。

ですがバットの性格を知ったとしても、その性格に技術を合わせることができなければ意味がありません。ビヨンドでその技術を磨くことは不可能ですので、単純に練習は木製・竹・ラミなどを利用し、試合では金属バットを使う、という使い分けをされるのがベストだと思います。そうすれば高いコンタクトスキルを身につけることができ、どんなバットにも技術をアジャストしていけるようになりますので、ミスを道具のせいにしてしまう格好悪い選手になってしまうこともなくなると思います。

バットスウィングを速くする方法はたくさんあるわけですが、今回はその中でもバットが描く円に注目をしてみたいと思います。


結論から言います。バットスウィングを真上から見た際、その軌道がきれいな正円に見えるスウィングが正解です。例えば他の高速で回転するものを思い描いてみてください。車輪、プロペラ、スクリュー、ハンマー投げなどなど。もしこれらが正円ではなく、楕円で回転させられていたらどうでしょうか?車輪なら当然車はうまく走ることができませんし、プロペラなら飛行機は浮力を得られずに飛ぶことができないでしょう。

バットスウィングも同じなんです。しっかりと正円でバットスウィングを描いていかなければ、スウィング速度というのはなかなか上がらないんです。でも多くの選手が頭の位置が移動し、さらには肘の伸ばし具合が変わってしまうことにより慣性モーメントに対する長さが変わってしまい、正円ではなく楕円でバットを振ってしまっています。これではスウィング軌道が滑らかになることはなく、スウィング速度もなかなかアップしません。

近年は筋トレによってバットスウィングを速くしようとする選手が増えていますが、しかし筋トレの前にスウィング軌道そのものを正円にしておく必要があるんです。筋トレだけでバットスウィングを速くしようとすると、スウィング軌道の中で、部分部分で速度に変化が生じてしまうんです。つまり振り始め、振っている最中、打っている最中などで、バットのスウィング速度が変わってしまい、その速度が一定にならないために投球に対するタイミングも取りにくくなってしまうんです。

筋トレはもちろん大切なトレーニングです。しかし筋トレありきで野球を考えてしまうと、パフォーマンスというのはアップしそうで実はあまりアップしないんです。ですので技術あってこその筋力だと思ってください。

技術がレベル2からレベル3になったら、その後で筋力もレベル2からレベル3に上げてください。もしくはレベルが1差の場合であれば、筋力を2から3にしてから、技術を2から3にしようとしても大丈夫です。しかし避けたいのは、筋力をレベル1からいきなりレベル5、レベル10まで上げて、その後で技術をレベル1から5、もしくは10にしていこうとする手順です。

先に筋力だけ大幅にアップさせてしまうと、体は先に筋力頼ったバットスウィングを覚えてしまいます。その後で技術を上げようとしても、体はすでに筋力に頼った動きを覚えてしまっていますので、動作改善に非常に時間がかかってしまうんです。

ですのでバットスウィングの速度をアップさせたい場合は、まずはきれいな正円を描くバットスウィングを、下半身で土台を作った上で目指して行ってください。そして正円を描ける技術を維持した上で筋力をアップさせてください。そうすれば技術と筋力のバランスを良い関係のまま維持できるようになり、スウィング速度だけではなく、上達速度もアップさせられるようになります。ぜひ試してみてください。

バットスウィングをした後、両足がふらついてしまう選手が意外と多いと思います。しかしこれはもちろん、ふらつかせてはダメです。スウィング後に足がふらつくということは、バットスウィングに下半身が振り回されているということになりますので、下半身主導でバットを振ることはできなくなります。つまり手打ちしかできなくなる、ということですね。


近年の小学生は一般的に、踏ん張るという動作がわからない子が増えているように感じられます。おそらく20〜30年前とは遊び方が変わったせいなのでしょう。例えば休み時間に友だちと相撲をしたり、タイヤの上で押し合いをして落ちないようにしたり。そのような、運動能力を鍛えてくれる遊びをする機会が減ってしまったことの影響は小さくはないと思います。

僕はファミコン世代ですので、小学生時代はもちろん友だちとファミコンをすることもありました。しかしそれ以上に放課後は校庭に集まって野球やサッカー、ドッヂボールなどをすることの方がずっと多かったと思います。

運動能力を高める遊びをしなくなってしまった分、スポーツで上達するためにはやはり基礎体力トレーニングが必要になってきます。だからと言って小学生が筋トレをする必要はありません。例えば野球のウォームアップとして鬼ごっこをするとか、ベースを2つ置いてそれぞれの上に乗り、落ちないように押し合いをするとか。野球チームでもできる、子どもたちが基礎体力や運動能力を強化できるメニューはいくらでもあります。

寿司職人と同じ考え方ができます。研がれていない包丁でどれだけ魚を切る練習をしても、その練習の効果は半減どころではありません。ピカピカに磨かれた切れ味抜群の包丁で練習するからこそ、一流の技術を身につけることができます。

野球も同じですね。基礎体力や柔軟性に乏しい体でたくさん練習をしても、高い練習効果を期待することはできません。柔軟性と各世代にあった運動能力・基礎体力があるからこそ、キャッチボールやノック、バッティング練習による高い効果を期待できるようになります。

素振りもただ振るのではなく、しっかり足を踏ん張って、バットスウィングによって下半身が振り回されないようにして行う必要があります。毎日100回素振りをしたとしても、それが手打ちによる素振りでは意味がない、ということですね。ぜひこのあたりにも気をつけながら、普段の練習に取り組んでみてください。

今回のスラッガー養成コラムでは、ティーバッティングに関して少しお話ししてみたいと思います。ティーバッティングとは、トサーがバッターの斜め横からトスを上げたり、ティースタンドにボールを乗せてそれを打つ練習のことです。練習の目的としては素振りとほとんど同じで、良い打撃モーションを体に覚え込ませるための練習となります。


ですがこのティーバッティングを、フルパワーで打ってしまっている選手が非常に多いんです。そのためコーチング中にスタンドティーで打っていても、ボールではなくティーを打ってしまう選手も非常に多くいます。ボールではなくティーを打ってしまい、ティー部分を吹っ飛ばしてしまうというのは、単純にバットのヘッドが下がっているからです。股関節ではなく、腕力を使ってバットを振ってしまうとヘッドは必ず下がります。

ちなみにトサーにトスを上げてもらって打つティーバッティングなのですが、これはわたしは強くは推奨していません。もちろんティースタンドがない場合は構わないのですが、スタンドがある場合はトサーにティーアップしてもらうよりは、スタンドを使うべきだと思います。その理由は単純で、ピッチャーのボールは斜め横からは飛んでこないからです。

バッティングというのはインサイドアウトで打たなければ打率は上がらないわけですが、もしティーアップされたボールをインサイドアウトで打ってしまうと打球はトサーに直撃してしまいます。つまりトサーにティーアップしてもらうティーバッティングでは、インサイドアウトで打つ練習ができないということになりますので、練習としての効果は最善ではないと言うことができます。

そして上述したように、ティーバッティングというのは打撃モーションを作るための練習です。ですので強烈な打球を打つ必要はまったくありません。大事なのはとにかく良いモーションを心がけてスウィングすることで、それができない強度でバットを振っても、ティーバッティングとしての練習効果はあまり得られません。もちろん完璧なモーションで強打できるレベルに達していれば、どんどん強い打球を打っていって良いと思います。しかしそのレベルではないのならば、ティーバッティングでは良いモーションで振るということを最優先してください。

ティーバッティングは素振りと同じです。ただボールをハードヒットし続けるだけでは、バットを使ったただの筋トレになってしまいます。それではもちろんバッターとしての技能は向上しませんので、少し力加減を落とし、必ず根拠が存在する良いモーションでバットを振るように心がけ、ティーバッティングは行ってください。

根拠がなく、「このモーション良いかもしれない」という適当な感じで練習をしても、運が良ければそれが本当に良いモーションであることもありますが、しかしほとんどの場合ではこのやり方では遠回りするだけです。ですので必ず根拠のある良いモーションを体に覚え込ませるという考え方で、普段からティーバッティングを行うようにしてください。そして根拠のある良いモーションを学ぶことができるのが、当野球塾のスラッガー養成コースというわけです。

今回のスラッガー養成コラムでは、スタンドティーとハンドティーの違いについて少しお話ししてみたいと思います。結論から言いますと、当野球塾ではハンドティーよりもスタンドティーを推奨しています。


まずハンドティーとは、バッターの斜め前からトスを上げてもらって打っていくティーバッティングのことです。日本ではプロアマ問わず、どこのチームでも行なっている練習ですね。しかしアメリカのハンドティーは少々違うんです。バッターの正面(投手側)からトスを上げるための特殊な防球ネットがあるため、斜め前からティーアップするケースは少ないんです。

日本のように斜め前からティーアップをしてもらい打つと、インサイドアウトで打っていくことが不可能になります。いえ、不可能ではないのですが、もしインサイドアウトで打ったとしたら打球がトサーに直撃して大怪我をしてしまいます。ですのでアウトサイドインに近いゾーンでコンタクトしなくてはならないんです。一方アメリカのように正面からティーアップしてもらえれば、インサイドアウトで打ち続けることができます。

そしてスタンドティーに関しては、これは当たり前ですがトサーがいないため直撃を気にすることなくインサイドアウトで打っていくことができます。ただし注意点として、ボールをスタンドに乗せてくれるヘルパーがいる場合、ヘルパーはスタンドに近付き過ぎないことです。近付きすぎてしまうと打者が気になってしまい、インサイドアウトで打ちにくくなってしまいます。

さらにスタンドティーの場合、本当に良いフォームで打っていくことができなければ遠くまで飛ばすことはできません。ハンドティーの場合は多少なりとも反力がありますので、その力を使ってある程度遠くへ飛ばすことも可能です。しかしスタンドティーの場合は時速0キロのボールを打つため、良いフォームが身についていなければ打球は外野手の頭を越えません。

ハンドティーというのは、ごまかしが利く練習となります。逆にスタンドティーはごまかしが利きません。そのため当野球塾ではティーバッティングでは必ずスタンドを用いています。そしてしっかりとインサイドアウトでコンタクトしていき、下半身のフォームも細かく整えることで打球が上がりやすくなるフォームを指導しています。

やはり叩きつけて打つ内野安打よりも、外野手の頭を越えるような打球を打てた方が野球が楽しくなると思います。当野球塾のスラッガー養成コースでは、それを可能とするフォームを小学生からプロまでコーチングしています。コーチング内容が気になる方は、ぜひ一度無料体験コーチングにいらしてみてください。

バットを最短距離で振る!とは日本の指導現場ではよく使われる言葉のようですが、これが正しいのかどうか、なかなか判断しづらいところです。と言うのは、この指導をされている方数人に話を聞いてみたのですが、それぞれ違う動作として指導されているようでした。ちなみに当野球塾ではバットを最短距離で振るようにという指導は一切行っておりません。


バットを最短距離で振るという指導のニュアンスとしては、おそらくインサイドアウトでインパクトを迎えるように、ということなのだと思います。しかし「バットを最短距離で振る」という言い方をしてしまうと、テイクバックを小さくして短いステイバックで打つ、という風に受け取るのが自然です。ですがそうしてしまうと当然ですがバットスウィングの速度は低下し、強い打球を打つことができなくなります。

では当野球塾ではどのような指導をしているのか?「ノブを体の近くで動かす」という風にコーチングをしています。ノブとはグリップエンドの膨らんだ部分のことなのですが、ここが常に体の近くで動いていけば、テイクバックを小さくすることなくインサイドアウトで打ちやすくなります。

ノブを体の近くで動かすトレーニングとして、ノブヒッティングというメニューがあります。当野球塾で打撃コーチングを受けている選手の多くが体験していると思いますが、これはバットを撞木(しゅもく:鐘を突く棒)のように使い、ティーアップしてもらったボールを強打するというメニューです。

このトレーニングを繰り返していくと、ノブが自然と体の近くで動くようになり、バットが遠回りせずにインサイドアウトでインパクトを迎えられるようになります。その結果空振りが減り、ミート力が向上し、反対方向への強い打球が増え、打率が上がっていきます。

「バットを最短距離で振る」と考えてしまうと、どうしてもスウィングが小さくなってバットを振り抜けなくなります。バットを振り抜けられなけば投球に対して力負けしやすくなりますので、打撃成績は低下する一方です。そうならないためにもバットを最短距離で振るという意識ではなく、ノブを体の近くで動かすという意識を持ってバットを振ってみてください。そうすればスウィングできる距離を短くすることなく、インサイドアウトで打てるようになるはずです。

野球動作はバッティング、ピッチング、スローイング、フィールディング、ランニング問わず何をおいてもまずは安定した土台が必要となります。いえ、これは野球だけではなくどんなスポーツでも同じですね。下半身を良い形で動かし、それによって土台を安定させなければ上半身も良い形で動かすことができません。


打撃コーチングをしていて多いのが、バットスウィングに足を振り回されてしまっている選手です。バットを振った勢いで足もクルッと回ってしまう選手ですね。この状態では、素振りではバットを速く振ることができるかもしれませんが、ピッチャーのボールには押し返されるようになります。

重要なのはバットスウィングに足が振り回されるのではなく、足を使ってバットを振り回すということです。この順番でなければキネティックチェーン(運動連鎖)を活用することができず、手だけでバットを振り、手だけで投手が投げたボールに対応しなくてはならず、打率も飛距離もアップすることはありません。

最近の小学生は、体育の授業で行う運動の種類が一昔前よりも減ったということがあり、基本的な運動能力が発達していない選手が多くなっています。例えば垂直跳びなどは最たる例で、垂直跳びを知らないという小学生がほとんどです。しかし垂直跳びは上半身の動きによって高くジャンプをするという、上下の連動を使った非常に意義のある運動です(身長も伸びます!)

投球やバットスウィングは下半身で行います。逆にランニングやジャンプは上半身の動きを使うことによって下半身を動かします。この運動連鎖を論理的に理解できなかったとしても(小学生にはもちろん理解は難しいと思います)、体でその感覚がわかるかわからないかでは、スポーツ選手として差は非常に大きくなってしまいます。

ですので小難しい話は横に置いておくとしても、とにかくまずはバットスウィングに足を振り回されないようにすることが大切です。もっと簡単な言葉を使えば、しっかり踏ん張った上でバットを振るということですね。すべての野球動作は踏ん張ることが大切です。しかし踏ん張ることができない小学生が非常に多く、踏ん張るという感覚がまったくわからない小中学生も決して少なくありません。

理論はわからなかったとしても、まずはしっかりと踏ん張った上でバットを振るようにしてください。手打ちを卒業するためにはまずはそこからスタートしていく必要があるのです。

日本の野球界は昔から見逃し三振は「悪」のように考えられている節があります。見逃し三振をしただけで怒鳴り散らす無学なコーチが日本には非常に多いように感じられます。ではアメリカではどうなのか?確かに激情的な監督が何かにつけて怒鳴っているケースはたまにありますが、ほとんど稀でし、そういう指導者は必ず連盟から指導が入るはずです。


アメリカの少年野球では見逃し三振をすると親御さんたちが「今のは確かにボール臭かった!でも次そこに来たら打っていこう!」と、とにかく前向き!コーチ陣にしても見逃し三振をした後の対応を選手たちにちゃんと指導しています。

ではなぜ日本では見逃し三振が、悪いことでもしたかのように責められてしまうのか?責められる一番の理由は恐らく今も昔も変わらず、バットにボールを当てなければ何も始まらないという考えだからなのでしょう。しかしこれは当たり前ですが間違いです。野球は失点を防ぐスポーツです。つまり相手が失点(味方の得点)してさえくれれば、極端な話ヒットなど出なくても試合には勝てるのです。もちろんヒットを打った方が楽しいんですけどね。

見逃し三振は決して「悪」ではありません。例えばボールだと思った外角球を見逃して三振になったとしましょう。ということはこの試合の球審は外角を広く取る癖がある、ということになります。この情報をチームで共有できるだけでも、その見逃し三振には大きな価値があると言えます。

見逃し三振を「悪」とする風習が広がってしまうと、追い込まれてもいないのにわざわざ自分が得意ではないコースにも手を出して凡打してしまうケースが増えます。そして打者自らストライクゾーンを広げて待ってしまうことにより投手を楽にし、調子の良かった打者でさえもたった一つの見逃し三振から調子を急降下させてしまうことがあります。

見逃し三振は活かせばいんです。例えば上述したように外角を広く取る球審であれば、続く打者たちは内角を狭くして打席に立ち、外角球に的を絞ることも戦術の一つとなります。

ただし注意点として、審判を敵にするような言動はしてはいけません。例えば「今日の審判外角広いから見逃すなよ!」などと大声で言ってしまうと、審判に対する心象が悪くなります。ですのでそうではなく、味方投手に対し「今日の審判は外角を取ってくれるから楽に投げていこう!」という感じで、審判を味方にする言い方で情報をチームに広げる工夫が必要です。審判も選手も人間であり、感情があるということを決して忘れてはいけません。

見逃し三振というのは消極的なプレーだと思われがちですが、必ずしもそうではありません。見逃すということはボールをよく見ているということですので、監督やコーチはまずはそこを評価してあげる必要があります。「このボールはしっかり見逃して、次に来た甘いボールを強く打っていこう!」と考えて見逃し三振しているケースだって多くあるのです。見逃し三振をした選手を怒鳴る暇があるなら、その見逃し三振を活かすためのアドバイスをしてあげるのが指導者の役割です。

例えばどうしても外角を見逃してしまう癖がついてしまった選手であれば、流し打ちをするようにアドバイスをしてあげれば外角球にバットを出していきやすくなります。このようなアドバイスを送ってあげるのが監督・コーチの役割であり、見逃し三振をした選手を怒鳴る行為はただの野次でしかなく、指導者の資質がないと言うしかありません。

問題解決は非常に簡単です。指導者が見逃し三振を活かす方法や、見逃し三振をしない方法をわかりやすく選手にアドバイスしてあげればいいだけの話です。それができないボランティアコーチであれば怒鳴るなど無意味なことはせず、ただ優しく静かに選手たちが怪我をしないように見守ってあげるだけで十分だと思います。いつの日か日本から、見逃し三振をした選手を怒鳴り散らす監督・コーチが絶滅してくれることを、わたしのような職業コーチとしては願うばかりです。

バットを振る際の軸足を動かすタイミングには主に2種類あります。動かし方としては基本的には軸足の指の付け根を折って90°立たせ、90°回していきます。当野球塾のコーチング中に使っている言葉でいうところの「W90°」ですね。このW90°をどのタイミングで作るかによって、バッティングのメカニクスが大きく変わっていくことになります。

結論から言うと、まず1つめは軸足を回してから割れによってバットを振っていくタイミングです。軸足が回ってからバットがあとから動き始める動作で、捻転(キネティックチェイン)を活用していきます。当野球塾では基本的にはこの形を指導しています。なぜならこの形ができれば、2つめの形もできるようになるためです。

2つめは軸足とバットを同時に回していくというタイミングです。1つめと2つめとでは、ぱっと見ほとんど変わりません。専門的に野球動作を研究しているわたしたちのようなコーチが見なければ、瞬時にその動きを把握することはできないと思います。それくらい一瞬のうちに行われる動作なのです。

1つめができれば2つめもできるのですが、しかし2つめのタイミングを先に覚えてしまうと、あとから1つめを身につけることは非常に難しくなります。

1つめはバットをしなやかに使い、技術でヒットやホームランを打つタイプに向いたタイミングです。バットで言えばアオダモのようにしなるバットを使うと最大限の飛距離を得られるようになります。

2つめは体幹の安定感がずば抜けていて、破壊力でホームランを打てるタイプの打者に向いたタイミングです。ハードメイプルや金属バットのように、ボールを打ってもほとんど変形しないバットを使うとより効果的です。

1つめのタイミングでは埼玉西武ライオンズの中村剛也選手のようにしなやかなバットスウィングで、フルパワースウィングをほとんどすることなく、技術によってヒットやホームランを打てる打者になります。

2つめのタイミングは、筋骨隆々で体幹の安定感がずば抜けた欧米人選手に向いたタイミングと言えます。体幹の安定感という意味では、このタイミングの使い方は日本人にはあまり向いていないと言えます。ちなみに腹筋が6つに割れるシックスパックだったとしても、体幹の安定感があることにはなりませんので、ご注意ください。

アマチュア選手の場合は特に、1つめのタイミングの取り方で練習を続けていった方が後々プラスになることが多いはずです。単純に1つめのタイミングの方が、下半身を使いやすくなることもその理由の一つです。いえ、使いやすいと言うよりは、使わなければバットを振れなくなるのです。

野球は下半身でボールを投げ、下半身でバットを振り、下半身でボールを捕らなければなかなか上達しません。だからこそ当野球塾では下半身を使わなければバットを振ることのできない、1つめのW90°のタイミングで打撃指導を行っているんです。

バッティングで飛距離と正確性を同時にアップさせるためには、とにかくバットを遠回りさせないことが重要です。つまりアウトサイドインではなく、インサイドアウトで振っていくということですね。一昔前のホームランバッターはアウトサイドインでバットを遠回りさせ、遠心力に頼ってインパクトを強くさせ長打を狙う選手が大半でした。そのため当たれば飛びますが、打率は上がらないという選手がほとんどだったと思います。


未だにホームラン数と打率は比例しないと考えている野球指導者は多いとは思いますが、そんなことはありません。プロ野球を見ていても近年は3割30本を打って、打率も本塁打数も伸ばしている選手はたくさんいます。そして彼らはバットを遠回りさせない適切なフォームで振っているからこそ、それを実現させることができるのです。

インサイドアウトで打つ癖をつけるための良い練習方法があります。それはティーバッティングをノブ(グリップエンド)で打つ練習です。パートナーにティーアップをしてもらい、それを除夜の鐘を突くようにノブで打ってみてください。最初はかなり難しく、下手な選手ですとノブではなく、手に当ててしまうこともあると思います。

この練習で強めの打球を打てるようになると、鋭いスウィングをした際もインサイドアウトでバットを出しやすくなります。アウトサイドインでは叩けるボールの面が限られてしまい、手首が早めに返ってしまう分、力のあるストレートを押し返すことが難しくなります。

ですがインサイドアウトで振っていければボールを叩ける面積が広がりヒッティングの正確性が高まり、さらにはトップハンドを使ってバットを押し込んでいけるため、強いストレートに力負けすることも減っていき、長打力をアップさせることもできます。

これはブライス・ハーパー選手ら、メジャーリーグのホームランバッターたちが毎日の練習に取り入れているティーバッティングのやり方でもあります。スタンドティーでは少々やり難いので、パートナーにティーアップをしてもらい挑戦してみてください。この時手に当たるのを恐れて、バットを短く持たないようにしましょう。バットは長く持った状態で、ノブでボールを突く練習を繰り返してください。そうすれば自然とインサイドアウトでのバットの出し方が身についていくはずです。
少年野球でフリーバッティングを行う場合、大人がピッチャーを務めるケースも多いと思います。しかしこの時注意しなければならないことがあります。それは大人と子供の身長差です。

プロ野球であっても2メートルを超える長身投手のボールは、180cmある打者でも打ちにくいですよね。これと同じ現象が起こってしまうのです。いえ、実際にはこれ以上の現象と言えるかもしれません。

大人が子供に投げる際は、かなり遅い山なりのボールを投げると思います。すると身長差+山なりの軌道により、子供からすると本当に真上から落ちてくるようなボールに思えるのです。そうすると必要以上のアッパースウィングでボールの軌道に合わせようとしてしまい、打撃フォームを崩してしまう可能性が出てきます。ちなみに山なりのボールをダウンスウィングでコンタクトしていくことは、よほど高い技術を持っていなければ難しいと思います。

江戸川河川敷には数え切れないほどのグラウンドがあり、そのあちこちで少年野球チームが練習をしています。その風景を眺めていると、やはり大人が山なりのボールを投げることにより、小学生打者があごを上げて(上を向いて)バットを振ってしまっているのを頻繁に見かけます。まるで埼玉西武ライオンズの岸孝之投手が投げるカーブに翻弄されているような姿です。

このような非効果的な練習にならないように、大人が子供のバッティングピッチャーを務める際は、重心を目一杯下げたサイドハンドスローで投げるのが良いと思います。もしくは18m程度離れた距離から、90km程度の山なりになりにくボールを投げてください。つまり、子供たちがあごを上げてバットを振らずに済むボールを投げるということであり、それが可能になればどのようなスタイルでも構わないと思います。
素振りを毎日100回や200回行っているという選手の話をよく耳にします。実際わたしがコーチングを担当している選手の中にも、毎日欠かさずたくさんの素振りを続けている選手がいました。しかし素振りとは、適切な動作で行えば非常に疲れやすいトレーニングです。つまり100回も200回も続けられてしまうということは、効果的な素振りができていないということなのです。

では効果的な素振りとは?答えはかんたんです。しっかりと下半身を使い、下半身主導でバットを振る動作です。下半身主導でバットを振る感覚がわからない選手は、まず脚を大股で開いて、膝を90°くらいまで曲げて低い体勢を作ってみてください。力士が四股を踏むような体勢です。その体勢のままバットを振ってみてください。かなり下半身に来るとと思います。この感覚が、最大限下半身を使ってバットを振れた時の感覚です。

小学生や中学生でまだ体が大きくない選手に多いのですが、下半身が浮いた状態でバットを振っている選手がいます。この形であれば100回振っても腕が少し疲れる程度で、200回振ろうとしても十分振っていけると思います。

ちょっと大げさな表現をすると、バットスウィングとは足部からのうねりでトルネードを作り、下から突き上げてくるそのエネルギーを徐々に上に伝えていき、末端である手で握ったバットにそのエネルギーを伝えていく動作です。本来は非常に大きなエネルギーを要しますので、10回連続で振っただけでもかなり疲れを感じるはずなのです。このような良い形で練習を続けていけば、最初は10回で疲れていたのが、徐々に30回50回と回数を増やしていくことができます。

上半身で200回振れるモーションで振るよりも、下半身からのうねりで20回振っただけで疲れる形で振った方が、練習効果ははるかに高くなります。ただ、うねりといっても体を回転させるようなテイクバックは取らないようにしてください。この形でテイクバックを取ってしまうとバットがアウトサイドインになりやすく、背番号を投手に見せてしまうので投球も見えづらくなります。

この機会に素振りからしっかりとした打撃モーションを身に付けたいという選手は、ぜひスラッガー養成コースを受講してみてください。教則本でも読めないような細かい内容のコーチングに、きっとご満足いただけるはずです。まずは一度、お気軽にお問い合わせくださいませ。そのあとで受講をご検討いただければと思います。