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なぜ変化球を投げると肘を痛めるのか?!

野球肘の原因が変化球にあるとはよく言われることですが、これは正解であると同時に不正解でもあります。正しい投げ方をすれば変化球で肘を壊すことはありませんし、正しい投げ方ができていなければ多投しなくても変化球によって肘を痛めてしまいます。

スライダーにしてもシュートにしても他の球種にしても、ストレートとまったく同じ腕の振りで投げられれば肘を痛めることはありません。もちろんそのためにはまず、ストレートを肩肘を痛めにくい良いフォームで投げられるようになっている必要があるのですが💦

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スライダーとは、カーブとは異なり途中まではストレート

スライダーとは?と問われたら、僕は必ず「途中まではストレートで、ある地点から球に曲がり始める変化球」という感じで答えます。スライダーとカーブはまったく別物であり、カーブはリリースした瞬間から変化がはじまっていきますが、スライダーは途中まではストレート軌道であるべき球種です。

スライダーはとにかく、リリース後にどれだけ長くストレート軌道を維持できるか、が鍵になってきます。このストレートである時間が短ければ短いほど、バッターからすると球種を見極めやすくなりますし、バットも合わせやすくなります。

フォークボールにもメリットとデメリットがある

フォークボールを投げられると投球の幅が一気に広がります。しかしスライダーやカーブと比べると、フォークボールの難易度はやや高いんです。その理由はやはり、特殊な握り方にあるのではないでしょうか。

そしてフォークボールはその習熟度が低かったり、多投し過ぎると肘への負荷が大きくなる変化球としての知られています。良い投げ方で多投しなければそう簡単に肘を痛めることはないと思いますが、しかし習熟度が低い投手は要注意です。

野球の教科書:フォークボールの持ち方、必要な握力などを徹底解剖!

フォークボールに握力は必要なのか?!

僕がまだ肩を怪我する前のメインの持ち球はドロップとシュートとフォークボールでした。スライダーやチェンジアップ、シンカーやパームやナックルといった球種は一通り投げられたのですが、比較的自在に操れた球種がこの3つでした。ちなみに僕のスライダーは縦に曲がるヴァーティカルスライダーだったため、フォークボールを投げられればスライダーを投げる必要はほとんどありませんでした。

フォークボールの握り方はシンプルです。人差し指と中指を思いっきり開き、ボールの赤道付近にその2本の指を置いて挟みます。握力が重要、と言われることも多いフォークボールですが、僕の握力は50kg弱と比較的弱かったため、かなりの握力がないと投げられない球種、というわけではないと思います。重要なのはどれだけ回転数を減らせるかということであり、強く握ることではありません。回転数を減らしてストレート同様に投げるからこそ、ストレートが突然落下していくんです。つまりマグナス力を発生させない、ということですね。

手首を立てておかないと抜けやすいフォークボール

ストレートがすごく速いピッチャーの場合はスプリッターも効果的ですが、高校野球以上でストレートが140km未満の場合はスプリッターよりもフォークボールの方が有効です。ストレートが遅いピッチャーがスプリッターを投げても、落ちる幅が打者に見極められやすいためです。ですので130km台以下のピッチャーは、スプリッターよりもフォークボールの習得を目指した方が打者を抑えられるはずです。

フォークボールを投げる注意点としては、やはり手首をしっかり立てておくということです。投球時に手首を前後に曲げてしまうと、フォークボールはすっぽ抜けやすくなり、高めに浮くことも多くなるため、落ち幅があったとしてもバットが届くところに行ってしまいます。ですのでフォークボールを練習する際は、しっかり手首を真っすぐに立てた状態で投げるように注意してください。

下手な投手がフォークを投げると肘を痛める?!

さて、フォークボールを投げるヒントとしてもう1点。親指の位置やボールの握る場所をいろいろと変えてみてください。例えばボールの同じ場所を挟んでいたとしても、親指を置く場所を変えるとスライダーやシュート回転を加えられるようになり、カーブやシンカーのように曲がるフォークボールを投げることもできます。

フォークボールは人差し指と中指に力を入れすぎると連合反応により薬指と小指にも力が入りやすくなります。習熟度が低い投手はこの点をしっかり注意して練習をしてください。小指の筋は肘に繋がっているため、この指が力んでしまうと肘がロックされるようになり、肘を痛めやすくなります。どんなに落差があっても怪我をしては意味がありませんので、肘を痛めないようにこのあたりのポイントにも注意しながら練習をしてみてください。

投げ方を間違わなければシュートで肘を痛めることはない!

シュートには良い投げ方と悪い投げ方があります。僕は仕事柄プロ野球選手とお話をさせていただく機会も多いのですが、12球団の投手コーチや選手の中にも、シュートは肘を痛めるから避けている、という方がけっこう多いんです。

シュートは確かに投げ方を間違えると肘を痛めますが、しかしそれはスライダーもカーブも同じです。ですが投げ方さえ間違わなければ、シュートを投げることによって肘を痛める、ということにはなりません。

肘を捻ってシュートをかける投げ方は絶対にダメ!

まず、なぜ多くの方がシュートを投げると肘を痛めると思っているのかを考えてみましょう。その原因は単純で、リリース時に意図的に肘を内側に捻るような動作でボールにシュート回転を与えようとするからです。この投げ方ではシュートでもスライダーでも、どっち回転のボールであっても肘を痛めてしまいます。

変化球というのはどの球種に関しても絶対に肘や手首を捻ったり、無理やり回転を与えようとしてはダメなんです。仮にそうしてしまうと必ずストレートと違うフォームで投げることになってしまいます。すると野球のレベルが上がるほど球種が打者にばれやすくなりますし、球速が上がるほど肘を痛めるリスクも高くなります。

シュートには2種類の投げ方がある!

シュートには主に2種類の投げ方があります。まず1つ目はリリースポイントをストレートのリリースポイントよりも遅らせる投げ方です。ストレートのリリースポイントを少しだけ通り過ぎ、手のひらがやや外側を向いた状態でリリースを迎えることにより、ボールにシュート回転を与えられるようになります。

ちなみに肩関節を曲げながら(水平内転させながら)投げてしまう手投げの選手は、腕を強く振れば振るほど手のひらが相手と正対したポイントを通り過ぎたところで投げるようになり、ボールがシュート回転してしまいます。しかし投手が「意図して」この投げ方でシュートを投げても肘が不自然に捻られることはありませんので、痛めるリスクも最小限に抑えられます。ただし下半身の動作が安定しておらず、股関節をしっかり使いこなせていなければ、この投げ方では肘を痛めにくい良いシュートは投げられません。

自動的にシュート回転になる握り方を覚えよう!

もう1つのシュートの投げ方は、握り方を変えることによって自動的にシュート回転させていく投げ方です。ただしこの投げ方はすっぽ抜けやすいため、フォームの完成度が低い投手にはお勧めできません。しかし肘を痛めるリスクはほとんどなくなります。投げ方そのものは簡単で、ツーシームの握り方で人差し指を折り曲げて、その人差し指の指先でボールを押さえる握り方をするだけです(中指は普通の握り方のまま)。

この握り方でストレートを投げるように、右投手なら真ん中から右側、左投手なら真ん中から左側を狙って投げるだけでボールはシュートしていきます。ちなみに真ん中から反対側に投げてしまうとシュートはせず、ただの棒球になってしまうため要注意です。日本では小学生の変化球は肘を痛めるという理由で禁止されていますが、しかしストレートよりも球速が遅い分、投げ方を間違わなければ変化球によって肘を痛めることは実はないんです。でも大人が間違った変化球の投げ方を教えてしまうために、子どもたちが肘を痛めてしまうんです。

もし肘を痛めにくい良い変化球の投げ方を身につけたいようでしたら、ぜひ僕のオンラインレッスンを受けてみてください。わかりやすく丁寧に、理論的にレッスンさせていただきます!

カーブという球種にはいくつもの種類があります。普通のカーブ、タイトカーブ、パワーカーブ、スラーブ、スローカーブ、ドロップなどなど。投げる投手によって変わる十人十色の変化球と言ってもいいのかもしれません。今回はその中でも、ドロップというカーブについて少し書き進めてみたいと思います。

肩肘への負荷が最も小さいドロップ

ドロップとは縦に大きく割れるカーブのことです。岸孝之投手が得意とする球種ですね。ドロップという球種は正しい投げ方で投げることができれば、実はストレート以上に肩肘への負荷を小さく抑えることができるんです。その理由は単純で、トップポジションからボールリリースにかけてのアクセラレーションを半分しか使わないためです。

遅いボール=肩肘への負荷が小さい、とは言い切れないのですが、良い投げ方のドロップに関しては肩肘への負荷は非常に小さくなります。また、ドロップを投げるためには肘を柔らかく使わなければならないため、腕力に頼ったフォームではドロップは投げられないんです。つまりドロップを投げられるということは、肘を柔らかく使った良いフォーム、と判断することもできるわけです。

ドロップの投げ方

ドロップの投げ方は難しくはありません。中指の薬指側の側面を縫い目にかけて、人差し指はやや浮かせ、ストレートのリリースポイントの90°手前でリリースするだけです。するとボールはすっぽ抜けるようにしてリリースされ、一度やや上に投げ上げられます。しかしドロップにはトップスピンがかかっていますので、投げ上げられてもしばらくするとすぐに下に向かって曲がり始めます。

ストレートのリリースポイントの90°手前でリリースすると書きましたが、この時重要なのはトップポジションで肩関節がしっかりと外旋されていて、ボールリリースにかけて内旋させながらアクセラレーションを進められているか、という点です。肩関節はトップポジションからリリースにかけては、外旋過程の中で内旋されていき、ボールリリースでニュートラルになります。そしてリリース後に内旋過程の中でさらに内旋されていきます。

この肩関節の使い方でドロップを投げられるようになると、肩肘への負荷はほとんどなくなります。また、上述したように肘を柔らかく使う癖付けを行うこともできるため、ストレートを含めた他の変化球を投げる際も、柔らかい肘の使い方で投げられるようになっていきます。

ドロップから始めるキャッチボール

良い投げ方のドロップは、ストレートよりも肩肘への負荷が小さいため、キャッチボールをドロップから始めることもオススメです。何人かのプロ野球のピッチャーにもこのことを伝えたところ、その中の数名はキャッチボールをドロップから始めるようになりました。そして肘の動きを柔らかくした後でストレートを投げ始めると、ストレートの回転の質も今まで以上にさらに良くなっていきました。

ストレートの鍵はバックスピンの質です。近年はメジャーでエース級の投手たちも、ツーシームよりもバックスピンストレートを重視するようになってきています。そしてドロップを投げられる肘の使い方ができると、そのバックスピンの質を大幅に向上させられるようになるわけです。

ドロップという球種はこのように、メリットがたくさんあります。挑戦しないための理由はありません。仮に試合で使える球種に育っていなかったとしても、日常的にドロップでキャッチボールをすることにより、柔らかい投球フォームを身につけられるようになります。もちろん小学生の野球肘を防ぐ効果もありますので、大人も子供もチャレンジしてもらえたらと思います。

フォークボールの原理というのは非常にシンプルです。投げるボールにバックスピンをかけないことにより、マグナス力という揚力を発生させず、空気抵抗と重力によってボールを落下させていきます。魔球にもなりうる球種ですが、しかし肘を痛めやすいので注意が必要です。


フォークボールの投げ方は、人差し指と中指を最大限開き、ボールの真横と反対側の真横にその2本の指を置きます。そしてサッカーの無回転シュートのようにボールにバックスピンを与えないようにリリースしていきます。このリリース時に手首を使ってしまうと余計な回転がかかってしまい落ちなくなるため、手首はストレートを投げる際と同様に、真っ直ぐな状態でロックしておく必要があります。

フォークボールは人差し指と中指だけで挟んで投げるボールなわけですが、しかしこの握り方のデメリットは、同時に薬指と小指にも力が入りやすいという点です。このデメリットは決して小さいものではありません。薬指と小指の筋というのは、肘関節に直結しているんです。つまり薬指と小指がロックされてしまうと、投球時に肘までロックされやすいということになり、ロックされた動きにくい状態で使わざるを得ないために、肘にかかるストレスが非常に大きくなってしまうんです。

また、フォークボールは肩関節の内外旋も浅くしてしまいます。するとトップポジションそのものも浅くなってしまい、手のひらがずっと正面を向いたままアクセラレーションフェイズを進むことになってしまいます。すると肘の内側にかかるストレスが大きくなり、内側側副靱帯を損傷しやすくなります。

フォークボールは投手にとってはまさに諸刃の剣です。魔球にもなりますが、怪我もしやすいんです。ですのでストレートが速い投手はフォークボールよりも、スプリッター(SFF)を選択した方が怪我予防という意味では良いかもしれません。ストレートが遅い場合はスプリッターは大きな武器にはなりませんが、速い場合はスプリッターもフォークボール同様大きな武器となり、しかも肘へのストレスもフォークボールよりは小さくすることができます。

球速が速ければ速いほど、フォークボールの肘への負荷は大きくなりますので、球速が遅い投手はフォークボール、速い投手はスプリッターという投げ分けをすると良いかもしれませんね。球速が遅ければ、フォークボールを多投しても肘にかかるストレスは最大限までは行きにくくなります。ぜひこの辺りも踏まえながら、フォークボールとスプリッターの選択をしてみてください。

実は最もホームランを打ちにくい球種はストレートなんです。硬式野球で、腕力ではなくて技術でバックスピンをかけてホームランを打ちに行った場合、質の良いストレートは最もホームランを打ちにくい球種になるんです。


結論から言います。なぜそうなるかと言いますと、質の良いストレートというのはバックスピンの角度・回転数が優れている球種ということになります。そしてピッチャーにとってのバックスピンというのは、バッターにとってはトップスピンとなります。バッターが飛距離を伸ばすためには打球にバックスピンをかける必要があります。しかしストレートという球種は、バッターにとってのトップスピンで飛んでくるため、バッターからすればその回転を真逆にしなければならないということになり、これは中途半端な技術ではなかなかできることではありません。

逆にドロップ(縦に大きく割れるカーブ)はバッターにとってのほぼバックスピン、スライダーも斜め回転で、バックスピンにやや近い角度で回転しながら飛んできます。そのためこの2つの球種は、バッター側からするとバックスピンをかけやすい球種ということになり、長打を打つのが比較的楽な球種、と言うことができるわけです。

ただし、ドロップの場合はバッターの目線を上下に大きく動かされてしまいますので、ミートをすることはスライダーよりは難しくなります。逆にスライダーが真ん中付近に入ってきた場合、これは完全なホームランボールとなってしまいます。スライダーはストレートよりはやや球速が落ちます。そのためミートポイントがストレートよりもやや前に出て行き、引っ張る方向への強打がしやすくなります。

ピッチャー目線から行くと、絶対に長打を打たれたくない場面は、実は変化球で勝負をするよりも、変化球を見せておいてストレート勝負をしに行った方が、実は長打になる可能性は低くなるんです。ただし、しっかりとバックスピンをかけた質の良いストレートを投げられている、ということが前提になり、中途半端なストレートでは簡単に打たれてしまいますし、変化球を活かすこともできなくなります。

きれいな4シームバックスピンストレートを投げられるようになり、回転数も増やせるようになってきたら、このようなことも考えながら配球をデザインしていくと良いと思います。配球というのはチェスや将棋と同じです。先の先の先の先まで考えながら次の一手を打っていかないと、場当たり的な中途半端な配球になってしまい、痛打される可能性を高めることになってしまいます。

カーブとスライダーを混ぜ合わせたような球種をスラーブと言ったりしますが、僕個人としてはカーブとスライダーというのはやはり分けて考えるべきだと思います。なぜかと言うと、その方がピッチングの幅を広げやすいからです。もちろんちゃんとしたカーブも、ちゃんとしたスライダーも投げられる上でスラーブを投げるのであればいいと思うのですが、スラーブだけとなると、幅は狭くなりがちです。


皆さんはカーブとスライダーの違いを厳密に説明することはできるでしょうか?両方とも横や縦に曲がる球種な訳ですが、この2つの球種には明確な違いがあるんです。

まずカーブというのは、ピッチャーの指先から放たれた瞬間から変化が始まる球種のことです。一方スライダーは、途中まではストレートの軌道で、ある一点を通過すると横に曲がり始める球種のことです。スライダーの場合、ストレート軌道の距離が長いほどキレがある良いスライダーということになります。バッターの手元まで行ってカクッと曲がるスライダーなら最高ですね。

さて、カーブという球種はトップスピンに近い回転をかけることによって進行方向に対するマグナス力を小さくし、ブレーキをかけながら落ちていくという変化を見せます。ですので英語ではブレーキングボールと言われることもあります。特徴としては中指の、薬側の腹を使って、縫い目を広く使ってボールを抜きながら回転をかけるという点です。

一方スライダーは指先を縫い目に斜めにかけ、ストレートのように投げて鋭いサイドスピンを与え、空気抵抗に勝つ勢いがなくなったポイントで、横方向へのマグナス力によって曲がっていくのが特徴です。

今回の投手育成コラムではカーブとスライダーの違いを少し解説してみましたが、文章だけだとちょっとわかりにくいですね。怪我をしない変化球の投げ方、キレのある変化球の投げ方をもっと教わりたいという方は、ぜひ当野球塾にコーチングを受けにいらしてみてください。

第二次世界大戦中、日本もアメリカもプロ野球選手たちの多くが兵士として戦争に駆り出されました。日本で言えば沢村賞として名が残る沢村栄治投手も戦地に赴き、ピッチャーだからという理由で手榴弾を投げ続けさせられ肩を壊し、以降ピッチャーとしてかつての球速を取り戻せないまま再び赴いた戦地で戦死しました。27歳という若さでした。


日本球界が沢村栄治というスター選手を失った頃、アメリカ球界ではナックルボールという新球を得ていました。アメリカ軍も戦地ではプロ野球選手たちに手榴弾を投げ続けさせたのですが、アメリカの場合、その手榴弾の大きさや重さを野球のボールに近づけるという工夫をしていました。

ですが形をまん丸にしたことで爆発しやすくなったようで、選手たちは野球のように豪速球を投げられず、手榴弾にあまり刺激を与えずに投げなければ自爆してしまう危険性もあったそうです。手榴弾をなるべく回転させることなく投げる方法を試行錯誤しながら見つけられたのがナックルボールの握り方でした。これにより手榴弾をほとんど回転させずに投げられるようになり、投げた直後に自分たちの近くで爆発することもなくなったそうです。

これがナックルボールが誕生した瞬間でした。戦後、選手たちは早速野球場で手榴弾を投げた時の握りでボールを投げ始めました。すると投げた本人にも予測できない曲がり方をし、キャッチャーでさえ捕球できない魔球となりました。そのためメジャーリーグでは今もナックルボーラーが投げる際は、ファーストミットのように幅の広いキャッチャーミットを使っています。

さて、ナックルボールを上手く投げるコツは、あまり山なりでは投げないということです。山なりに投げてしまうと進行方向に対する空気抵抗が小さくなってしまい、ボールが揺れなくなり、ただのスローボールになってしまいます。

もちろん球速が出ない分多少は山なりに投げないとキャッチャーまで届かないわけですが、この山なりを水平に近づけられるほど、ナックルボールは不自然に揺れるようになり、バッターがジャストミートできるかは運次第という魔球になります。

ですので球速を出せない投手がナックルボーラーになるよりは、本来は速いボールを投げられる投手がナックルボーラーになった方が、より打ちにくいナックルボールを投げられるようになります。ウェイクフィールド投手が投げていたナックルボールも、山なりになっていないから打ちにくかったわけですね。

戦争という悲しい過去が生み出したナックルボールではありますが、ピッチャーにとってはこのボールだけでも高額年俸を得られる魔球へと進化を続けています。日本のプロ野球ではナックルボーラーはほとんどいなくなってしまいましたが、メジャーリーグではまだサイ・ヤング賞投手がナックルボーラーとして活躍を続けています。

ナックルボールは肩肘への負荷が非常に小さいため、投手としての選手寿命も延びやすくなります。例えばディッキー投手は今年42歳で2桁勝利を挙げ、ウェイクフィールド投手も45歳まで現役を続けました。ライト投手は33歳ですが、これからあと何年投げ続けられるのか、今からとても楽しみですね!
広島カープに復帰した黒田博樹投手が投げていることで今、右投手が投げるフロントドアと呼ばれるシュートボールが注目されています。これはどのようなボールかというと、右対右の順手対決の場合、シュートボールを外角ボールゾーンからストライクゾーンに入れていくシュートのことです。バックドアというのは逆に、スライダーやカッターを内角ボールゾーンからストライクゾーンに入れていくボールです。ツーレーンピッチャーと呼ばれるタイプの投手が得意とする攻め方です。

日本球界ではストレートのシュート回転=欠点とみなされることがほとんどです。確かに意図しないシュート回転のボールは良くありません。なぜならそれは体が開いた状態か、リリースポイントが前後にずれている状態、もしくはその両方であるためです。しかし意図してシュート回転のボールを投げているのであれば、そのシュート回転のボールはフロントドアとして大きな武器となります。

黒田投手の場合はもちろんですが、非常に質の良い伸びのあるストレートを投げています。それとは別物として、外角のボールゾーンにシュート回転するストレートを投げていきます。これは意図したシュート回転のボールであって、シュート回転してしまったストレートとは異質のものです。

フロントドアというボールの存在を知ると、シュート回転していても良いと勘違いしてしまいそうですが、そうではありません。あくまでもしっかりとしたバックスピンストレートを投げられた上での、意図したフロントドアである必要があります。意図しないシュート回転のボールでは、どのコースでもシュート回転してしまいます。するとストライクゾーンの外角で勝負にいったボールが意図しないシュート回転により真ん中に入ってしまい痛打されてしまいます。

フロントドアと呼ばれるシュートボール(ツーシーム)はこれからはメジャーだけではなく、日本のプロ野球でも見る機会が増えるかもしれません。ですがそのボールが意図したものか、意図しないものかにより、黒田投手のような素晴らしい成績を収められるか、連打されて降格させられるかが決まってきてしまいます。ですのでフロントドアを活用するためには、まずはシュート回転しないバックスピンストレートをしっかり投げられるようになってください。
ピッチャーの球種の中で最も難しいのは、わたしはストレートであると確信しています。なぜなら、質の良いストレートを投げられる投球動作でなければ、質の良い変化球を投げることはできないからです。一方、例え良い変化球を投げられる投球動作であっても、その動作で良いストレートを投げられるとは限りません。

本来ストレート、カッター、スライダー、カーブ、シュート、シンカーというのは、すべて同じ腕の軌道で投げられるべき球種なのです。フォークボールやチェンジアップも同様です。しかし指導者に変化球の正しい投げ方に関する知識、スキルが足りないと、ストレートと違う投げ方で変化球を投げるようになってしまいます。そしてそれにより野球肘を患うようになります。

変化球は、実はストレートさえ良くなれば自動的に良くなるんです。ストレートは良いのに、変化球が全滅ということは考えられません。もちろん普段、数種類の良い変化球を投げられている投手の場合の話です。

変化球はただ曲がればいいというものではありません。カーブとシンカーを除いては、途中までは完全にストレートだと打者に思わせる必要があります。カーブとシンカーに関しては、指先からボールが放たれた瞬間から変化が始まるので、キレよりも抜け具合が重要になります。

たくさんある変化球の中でも特にカッター、スライダー、シュート、フォーク、チェンジアップという変化球は、打者の手元付近までは完全にストレートとして見せていく必要があります。そうしなければ打者に簡単に球種を見極められてしまいます。だからこそストレートを磨く必要があり、ストレートが最も重要で、最も奥が深く、最も難しい球種だと言えるのです。ストレートを極めようとすれば、変化球よりも奥が深いのです!

質の良いストレートを投げるためには、それを可能にするための適切な投球モーションがあります。見た目(投球フォーム)はどんな形でも構いません。しかしモーション(投球動作)に関しては適切な動きを一つでも多く投球動作内に組み込んでいく必要があります。TeamKazオンライン野球塾のコーチングを受けていただければ、それができます。

TeamKazオンライン野球塾のコーチングを受けていただき、まず質の良いストレートを投げられるようになり、その上で半ば自動的に質の良い変化球を投げられるようになりましょう。そう、まさに握りさえ変えれば自動的に良い変化球を投げられるようになるのです。

特に小学生のスライダー回転は親指の位置が重要

ボールがシュート回転することに悩んでいる選手と同じくらい、スライダー回転してしまうことに悩んでいる選手がいると思います。ボールがスライダー回転してしまうことにはいくつもの原因が考えられる訳ですが、今回はその中でもすぐに改善できるものを一つご紹介したいと思います。

これは特に手の小さい小学生選手に多いのですが、ボールを握った際に、親指の位置が人差し指側にずれてしまっていることが多いのです。本来親指を人差し指側にずらすというのは、ツーシームでシュートやシンカーを投げる際の握り方です。そしてさらに親指を人差し指側にずらすと縦スライダーになります。

意図しないシュートの握りがスライダー回転を生む?!

しかし意図してシュート回転のボールを投げていない時にこの握り方をしてしまうと、リリース時に前腕から手首にかけて必要以上に回内しやすくなり(本来は肩関節を内旋させる)、さらにストレートのリリースポイントまで待てずにボールをリリースせざるを得ない形になってしまうため、手のひらが相手と正対していない状態でのリリースになることで、ボールがスライダー回転になってしまうんです。

これが意図したシュートであればリリースポイントが、ストレートのリリースポイントをわずかに通り過ぎたポイントになりますので、ちゃんとシュートしていきます。しかし不思議ですよね。シュートを投げる握りなのにスライダー回転になってしまうなんて。シュートを意図しているか否かで、実際に投げられるボールの回転は大きく変わってしまうのです。

捕球からの内野送球はシュート回転する前提で投げる

ちなみに内野手と捕手の場合はほとんどの選手はボールがシュート回転していきます。これも素早く投げる際、親指が人差し指側にずれてしまっていることが一つの原因となっています。捕球からの送球の場合、投手の股関節を使った適切なリリースとは異なり、肩関節の水平内外転でリリースしやすくなるため、内野手や捕手の送球はシュートする前提で投げていきます。

キャッチボール・投球時のスライダー回転や、野手のシュート回転を改善させるためには、まずは親指の位置をチェックしてみてください。指1本分弱広げた人差し指と中指の真裏に親指が来ていれば大丈夫です。軟式球の場合はボールに必ず赤道(つなぎ目の線)が付いているはずなので、チェックしやすいですね。キャッチボールの際から、常にこの赤道に沿ってボールを握るように癖づけいきましょう。

意図しないスライダー回転のボールは肩肘への負荷を高める!

意図せずボールがスライダー回転してしまう投げ方は、肩肘に大きなストレスを与えてしまいます。故障しにくい投げ方を覚えるためにも、まずはボールの握り方が大切なのです。良い回転のボールを投げるための基礎として、ボールは赤道に沿って握るようにしてください。

そして踏み出す足は投げたい方向に真っ直ぐ踏み出してしっかりと踏ん張り、その上で股関節を深く回すことによって肩肘に頼らず投げられるようになると、ピッチングでもキャッチボールでもきれいなバックスピンがかかったボールを投げられるようになります。

ボールを投げる動作ではとにかく股関節が一番大事!

ボールを投げる作業では、とにかく股関節が重要です。股関節は下半身と上半身のつなぎ目で、この股関節を上手に使って投げることができないと、いくら下半身を鍛えていても、下半身で作り出したエネルギーがすべて股関節で止まってしまうようになります。その結果、上半身のみで投げざるを得ない形になってしまい、肩関節の水平内外転が深くなり、スライダー回転になる前提のリリースの手の向きになってしまうんです。

ボールの握り方も大切ですが、それ以上に大切なのは踏み出した足をしっかりと踏ん張り、適切な形で股関節を上手に使って投げる、ということです。これができるようになれば肩肘への負担はグンと減り、スライダー回転だったボールも、きれいなバックスピンに変わっていくはずです。

もし本気でスライダー回転のボールを直したいという方は、ぜひ僕のオンラインレッスンを受けてみてください。あなた専用の動作改善法を60分間のビデオにまとめてお送りいたします!

ボールを横に曲げるための回転を、肩関節を外旋させることによって投げてしまうと、投手の肩肘は簡単に壊れてしまいます。小学生リーグなどでは選手の肩肘を守るために変化球を投げることが禁止されていますが、しかし本当に必要なのはそういうこと以上に、指導者たちが故障しにくい適切な変化球の投げ方を指導できるようになる、ということだとTeamKazオンライン野球塾では考えています。

さて、横の変化球に関しては適切な投げ方ができれば、故障のリスクはストレートを投げた際と理論上は大差はなくなります。もちろんリリースポイントが異なる分、リスクが完全にストレートと同じだとは言えませんが、大差はなくなると考えることができます。しかし一方縦の変化球、フォークボールやチェンジアップに関しては、リスクをストレートと同レベルに抑えることは難しくなります。

まずフォークボールに関してですが、ボールを人差し指と中指で挟むと、薬指と小指にも自然と力が入ってしまいます。そしてチェンジアップ、特にサークルチェンジの場合は主に中指、薬指、小指でボールを握るため、これらの指の力を抜くすことは難しくなります。

実は薬指・小指と肘というのは、直結しているんです。例えば肘を痛めた時のリハビリ方法として、輪ゴムを使って小指を鍛えることにより、間接的に肘を強化するという方法があります。さぁ、ここまで書けばもうお分かりになりますね。薬指・小指に力が入りやすいフォークボールとチェンジアップというのは、この2本の指(特に小指)に力が入ってしまうことにより、同時に肘にも力が入りやすくなってしまうのです。

肘に力みが生じれば、当然投球時の肘はロックされやすくなります。肘がロックされ、固定されたような状態で腕を振ってしまうと、肘へのストレスは非常に大きくなってしまいます。また、肘がロックされて振られるということは、肩にも同時にストレスがかかってしまうことになります。

近年は肩肘へのストレスが小さいカーブ(ドロップ)より、スプリット(フォーク系)やチェンジアップが全盛期を迎えています。トレーニング技術が進み、数十年前よりも投手の体が強くなっているにも関わらず野球肩や野球肘が絶えないという現状には、もしかしたらスプリットやチェンジアップを投げる投手が増えたことが所以となっているのかもしれませんね。

フォークやチェンジアップを投げてはいけない、とは言いません。しかしこの2つの球種をレパートリーに持っている投手は、肩肘のコンディションをしっかり見ながら投げていくことが大切なのです。

投手育成コラム
横の変化球が抜ける確率を下げる投げ方

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抜けたスライダーを打たれて痛恨の失点を喫してしまう、という場面は1試合に1回は見かけますよね。果たして変化球とはなぜ抜けてしまうのでしょうか?中でもスライダーやカーブという横の変化球は、ストレートに比べると抜けやすくなります。その理由はスライダーならスライダーを曲げようと意識してしまうからなのです。

人間の意識というのは不思議なもので、体はまったく同じように動かしているつもりでも、意識が変わると動作も変わってしまうのです。例えばわざわざ外角に投げるための投球動作を取らなくても、ただ「外角に行け」と念じながら投げるだけでボールは外角に行くようになります。まったく同じ動作を取っているつもりでも、こうして意識をするだけで僅かに動作は変わってくるんです。

変化球を横に曲げようとする意識が強くなり過ぎると、腕が横振り(肘が下がり、遠回りしたアームスウィング)になりやすくなります。そうすると指先はどうなるでしょうか?オーバーハンドスローである場合、リリース時の人差し指と中指は通常はある程度の角度で上方を向きます。これによってボールが抜けるのを、上から指を被せることによって防げるようになります。

しかし横振りになってしまうと指先が上方ではなく、横向きに近づいてしまいます。するとボールが抜けるのを上から抑えられなくなり、すっぽ抜けやすくなるのです。これを防ぐためには、スライダーやカーブを決して曲げようとしないことです。ドロップの場合は抜かなければならないわけですが、スライダーやタイトカーブの場合は特に曲げようとしないことです。ストレートを投げるつもりでスライダーを投げる、というくらいの意識が必要です。

一般的に変化球を投げる時、捕手はボールを到達させたいところにキャッチャーミットを構えます。これを、曲がり始めるポイントに構えてもらうだけでも投手の意識は変わってきます。つまり「ここから曲げろ」というポイントでミットを構えてもらい、スライダーの握りで、そこにストレートを投げ込むつもりで投げます。スライダーの握りをしている時点で、ボールはストレートのリリースポイント以前でリリースされるようになりますので、あえて曲げようと強く意識する必要はないのです。

スライダーの握りでストレートを投げる、くらいの意識をすれば、スライダーを投げる際に肘が下がったり、腕が遠回りすることをある程度防ぐことができます。ただしこれは、あくまでも適切な変化球の投げ方ができていることが前提となります。アームスウィング時に肩関節が外旋過程にある投げ方では抜ける可能性を低下させられないどころか、肩肘を痛めてしまうリスクを高めてしまうことになります。

横の変化球が抜けやすいという投手は、ぜひ一度キャッチャーに、ボールが曲がり始めるポイントでミットを構えてもらってください。ど真ん中でも良いと思います。ど真ん中にミットを構えてもらい、スライダーの握りでストレートを投げるつもりでど真ん中を狙って投げます。するとボールは自ずと外角低めへと近づいていくと思います。

投手育成コラム
肘を痛めにくい適切なシュートボールの投げ方

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シュートボールの投げ方というのは色々な方法があります。シュート回転するツーシームも含めるとすれば、その数は更に増えます。では適切なシュートボールの投げ方とは、どのような投げ方なのでしょうか。一昔前であれば、シュートボールを覚えると肘を痛めると当たり前のように言われていました。しかし適切なシュートボールの投げ方を身に付けることができれば、シュートを投げたから肘を痛める、ということにはなりません。肘を痛めるリスクは、ストレートを投げた時と同等に近付けることができます。

シュートボールに限らず変化球すべてに言えることではありますが、シュートボールもやはり、ストレートを投げるのと同じ軌道上で投げるということが何よりも大切です。変に捻ってボールに回転を与えようとするために、肘を痛めてしまうのです。しかしストレートと同じ腕の使い方で投げることができれば、繰り返しますが故障のリスクはストレート同等に抑えることができるのです。

シュートボールというのはオーソドックスに考えるとリリースの際、中指の薬指側を使ってボールに回転を与える球種ということになります。このリリースの形を作ることによって、ボールをシュート回転させられるようになります。そしてリリースのタイミングは、ストレートをリリースするポイントよりもほんの少し捕手側になります。

良い投球動作である場合、トップポジションで肩関節は外旋状態にあります。そこから徐々に内旋させながら腕を加速させていき、指先が捕手と正対した瞬間がストレートのリリースポイントです。そしてそこから一瞬遅れ、内旋がもう少し進み、正対した指先がほんの僅か外側を向いた時がシュートボールのリリースポイントです。

シュートボールの投げ方のコツとしては、人差し指を極力使わないという方法があります。するとボールは中指側に引き寄せられやすく、シュート回転を与えやすくなります。そしてこのリリースを自分なりに最も行いやすい握り方が、自分に最も合ったシュートボールの握り方ということになります。こう考えてください、ストレートのリリースポイントよりも少し遅れてリリースせざるを得ない握り方がシュートボールの握り方、と。

このようにストレートを投げるのと同じ腕の使い方、軌道で投げることができれば、シュートボールを投げたために肘痛のリスクを高めることはなくなります。ちなみにこの理屈は他の変化球に対しても同じように言うことができます。野球肘に苦しまずに済むよう、変化球はそのすべてに於いてストレートと同じ腕の使い方で投げられるようにしましょう。ということはつまり、それだけストレートを投げる際の腕の使い方が重要、とも言えるわけなのです。

変化球はどの球種を投げる際でも、ストレートと同じ腕の振りで投げる必要があります。球種によって腕の振り方を変えてしまうと、打者に球種を見極められやすくなり、良いコースに投げたとしても打たれるようになってしまいます。そうならないためにも、変化球はストレートを投げる過程で投げられるようにしましょう。

さて、今回はシュート系のボールについてです。一昔前まではシュートボールを投げると肘を痛めるとされ、投げることを敬遠した投手も少なくありませんでした。しかし適切な投げ方をすれば、シュートボールを投げることによって肘を痛めることはありません。適切な投げ方とはつまり、ストレートを投げる過程の中でシュートボールを投げる、ということです。

ちなみにシュートボールとシュート回転のボールとは、似て非なるものです。シュート回転して真ん中に入ってしまうストレートは、ステップ脚の膝が開いてしまうことによってシュート回転してしまっているのです。一方シュートボールはステップ脚の膝は開かず、ストレートをリリースするよりもほんの少しだけ遅くリリースするという投げ方になります。

適切な腕の振り方とは、トップポジションで最大外旋状態になった腕(肩)を、そこからフォロースルーにかけて内旋しながら振っていく動作のことです。そして内旋させながら振っていく指先がキャッチャーミットと正対した瞬間が、ストレートをリリースするタイミングです。この腕の振り方を実現させられればストレートのリリースポイントは一ヵ所だけになり、制球力はそれだけも安定するようになります。

指先が正対した直後、右投手であれば内旋過程にある指先がほんの少しだけ三塁方向を向き始めた瞬間が、シュートボールをリリースするタイミングです。つまりシュートボールを投げるために腕や肘を捻る必要はまったくないのです。シュートボールを投げやすい形でボールを握り、ストレートよりもほんの少しだけ遅いタイミングでリリースすれば、それだけでシュートボールを投げられるようになり、肩肘にかかる負荷もストレートと同等になります。

ちなみにシュートボールは現代ではツーシームで投げるケースが多いと思います。この握り方をした際、親指を少しだけ人差し指側にずらすとシュートボール、そして45°くらいの角度まで大胆にずらすとシンカーになります。シンカーは中指と薬指でボールを挟み投げる方法もありますが、シュートボールの延長線上で投げることもできるのです。

シュートボールにしてもシンカーにしても、いくつかの投げ方を試し、ストレートと同じ腕の振りで投げられる投げ方を見つけてみてください。そうすれば打者に見極められない変化球を投げられるだけではなく、変化球によって肘を痛めるリスクも減らすことができます。

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上のアニメーションは、左が右投手のリリースポイントを示したもので、右が左投手のリリースポイントを示したものです。

「変化球を投げると肘を痛める」とは、野球界では昔から信じられていることです。しかしその考え方は間違いだと言えます。もちろん正しい投げ方ができていないと肘を壊しますが、それはストレートも同じです。適切な投げ方ができていないと、変化球だけではなくてストレートだけを投げていても肘は壊してしまいます。しかし適切な投げ方ができていれば、変化球を投げてもそう簡単に肘が壊れることはありません。

とは言え、リーグで変化球の使用が禁止されている小学生に変化球を奨めているわけではありません。小学生の場合は、身体的にも技術的にも変化球を投げる必要はありません。本記事はあくまでも、変化球の使用が認められている中学生以上に向けたものと考え、読んでいただけたらと思います。

上のアニメーションは、カーブ~スライダー~カットボール~ストレート~シュートの順番で、それぞれの球種のリリースポイントを示しています。これを見てもあまりピンと来ないかもしれませんが、変化球とはこのアニメーションの通り、ストレートを投げる過程に於いて投げ分けるべくものなのです。そしてそれを可能にするためには、トップからアクセラレーション、リリース、フォロースルーにかけて腕(肩関節)は内旋過程になくてはいけません。

肘を壊しやすいボールの投げ方とは、トップからフォロースルーにかけて腕を外旋させながら投げてしまう投げ方です。この投げ方を続けてしまうと、ストレートしか投げていなくても肘は簡単に痛めてしまいます。よく、トップの位置で腕を内旋させてトップを作らせる、という指導をされている指導者さんがいますが、これは適切な投げ方ではありません。トップの位置では腕は最大外旋状態にある必要があります。そしてそこから腕を内旋させながらアクセラレーション、リリース、フォロースルーと腕を振っていきます。

トップで最大外旋状態になった腕を、今度は内旋させながら振っていきます。その途中、人差し指と中指がキャッチャーミットと正対したポイントでリリースするのがストレートという球種です。そしてストレートのほんの少し手前でリリースするのがカットボール、45°くらい手前でリリースするのがスライダー、90°近く手前でリリースするのがカーブです。また、ストレートのリリースポイントを過ぎ、もう少し深い内旋角度でリリースをするのがシュートボールです。

内旋過程に於いてこのような投げ方ができると、ストレートも変化球もすべて同じ腕の振りで投げ分けることができるのです。つまりダルビッシュ有投手のように同じ腕の振りで多数の球種を投げ分けられるようになり、打者からすると投手の腕の振りを見るだけでは球種の見分けができなくなるのです。さらにこの投げ方をしていれば、肘を痛めるリスクも軽減させることができます。

「腕がしなって見える」とよく言いますよね。ですが人間の腕は、当たり前ですが絶対にしなりません。これはあくまでもしなって見えるだけなのですが、このしなりを生み出すのがトップ時の最大外旋状態です。最大外旋状態でトップの形を作ると、自然と肘頭が前を向くようになり、それだけでも腕はしなって見えるようになります。ですが内旋状態でトップの形を作ってしまうと腋が開き、腕はしなって見えないはずです。

さて、話を変化球に戻しましょう。変化球は上記のリリースポイントと、その変化球特有の握り方によって投げ分けます。その握り方ですが、決まった形はありません。自分自身が特定のリリースポイントで、最もボールをリリースしやすい形で、望む形で変化をしていくならどのような握り方でも良いのです。例えば私の場合、カーブを投げる際は人差し指は完全に浮かし、中指と親指の2本だけでボールを握ります。そしてもちろん、すべてストレートと同じ握り方だって構いません。

変化球は、手首や腕を捻ることによってボールに回転を与えようとしてはいけません。これこそが肘を痛める原因なのです。肘を痛めないためにも、変化球は必ず腕の内旋過程に於いて、リリースポイントを前後にコントロールすることによって投げ分けるようにしてください。この形ができ、さらに腕に力みが生じていなければ、肘を痛めるリスクは大幅に軽減させることができます。

投手の腕の内旋・外旋に関するお話は、投手育成コラムでも幾度となく取り上げてきました。今回はその腕の内旋・外旋と、カーブの関係についてお話をしていきたいと思います。近年プロアマ問わず、ドロップというカーブを投げられる投手が減ってしまいました。そのためドロップは大きな武器となり、投げ手が少ない分、打者も対応に苦労しているように見えます。

ちなみにドロップというのはカーブの一種で、水面にたらした釣糸のような弧線軌道で縦にフワリと曲がっていく球種のことです。140kmを超えるストレートを投げる投手であっても、90km台のドロップを投げる投手がいます。その球速差は実に50km近く!これだけの球速差をつけられれば、打者はなかなかタイミングを合わせることができません。

このドロップと呼ばれる魔球を投げるためには、リリース時のスローイングアームは内旋過程にある必要があります。そうしなければドロップを投げることはできません。いえ、厳密に言えば外旋過程のリリースでもドロップの軌道を作ることはできるのですが、しかしその場合は腕の角度などを大きく変えなければならず、ボールをリリースする前に打者に球種を読み取られてしまいます。そのためストレートと同じ腕の振りでドロップを投げるためには、リリースは内旋過程である必要があるのです。

ドロップの腕の使い方は、ストレートとまったく同じです。ただ握り方が違うだけです。基本的な握りは、中指と親指でボールを軽く握り、中指を縫い目にかけます。人差し指はボールから浮いているくらいで大丈夫です。内旋過程に於いてこの握り方でストレートのように腕を振れば、ボールは自ずと、掌がキャッチャーミットと正対する前に指先を抜けていきます。そしてこの時縫い目が中指にかかっているため、ドロップの変化を実現させるトップスピンに近い回転がボールに与えられるのです。

一つの目安として、ドロップを投げられるだけ腕を柔らかく使えている投手は、肩肘の故障は少ない傾向にあります。逆にドロップではなく、横滑りの速いカーブやタイトカーブ、もしくはスラーブしか投げられない投手は腕の使い方が硬いことが多く、肩肘を痛めるリスクは高くなる傾向にあります。

TeamKazオンライン野球塾ではこれまで数えきれないほどたくさんの投手をコーチングしてきましたが、その中で内旋過程でボールをリリースできていた投手は1割程度しかいませんでした。これを肩肘を痛めた経験のある投手に限定をすると、9割以上が外旋過程でボールをリリースしていたのです。そして当然ドロップを投げることはできません。

さて、あなたはボールを内旋過程で投げられていますか?それとも外旋過程で投げていますか?これを機会に適切な投球動作をマスターされたい方は、ぜひお気軽にTeamKazオンライン野球塾にお問い合わせください。