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野球の流れを生み出せる監督や選手がいる

野球の試合の流れとは一体なんのか?流れは本当に存在するのか?という研究やデータを集めた記事が散見されますが、プロコーチとしての僕の見立ては、流れは確実に存在しているというものです。

あらゆる数字を根拠にして流れは存在しないと解説されている方もいらっしゃいますが、流れという抽象的なものを数字で表すことは僕はできないと考えています。だからこそ野球チームにはその流れを読める監督や、大勢のコーチ(生身の人間)の存在が必要なのです。

もし流れをデータによってあらかじめ予想しておくことができるのならば、監督の存在など必要ありません。しかし監督は経験値が物を言う立場であり、経験値が浅かったり、空気を読まない人物では監督という職責を全うすることはできません。

女子野球

上達速度が上がる子、上がらない子

僕は男子だけではなく、女子野球選手のコーチングも5〜10%くらいの割合で任されています。小中学生だけではなく、日本代表候補の選手や、代表チームの女性コーチの指導も行います。

女子選手へのコーチングを全般的に見ていくと、男子選手と比べて先入観があまりないことが大きなアドバンテージだと言えます。上達速度だけを見ていくと、一般的な男子選手よりも、僕がコーチングを担当してきた女子選手たちの方が速いと断言できます。

ヤーキーズ・ドットソンの法則

ヤーキーズ・ドットソンの法則

試合前に、とにかくリラックスしようと試みる選手はけっこう多いと思います。しかし実は、リラックスし過ぎてしまうとパフォーマンスは逆に落ちてしまうんです。

例えばこんな選手いたりしませんか?緊迫した試合だとナイスピッチングやナイスバッティングを見せてくれるのに、大量リードしていたり、大量リードを許してしまった緊張感が少し途切れた試合になると、突如としてマウンドで崩れてしまったり、別人のように凡打を繰り返してしまう選手。

記者会見を拒否するという選択をした大坂なおみ選手

今、テニスの大坂なおみ選手が試合後の記者会見を拒否したことが世界的に大きなニュースになっています。大坂なおみ選手の気持ちはよく分かります。ですが個人的には、記者会見を一方的に拒否すべきではなかったのかな、と思っています。

プロテニス界では、試合後の記者会見はルール化されています。これは大会に出場する一つの条件となっているため、やはり一方的な拒否というのはルール違反になってしまい、それに対しペナルティが課せられることは仕方がないことだと思います。

しかし大会運営側も、冷酷にペナルティを課したわけではないので、そこはスポーツファンとしては誤解すべきではありません。大会運営側も大坂選手のサポートをすると申し出てくれているわけで、決してルール違反をした大坂選手を突き放したわけではありません。

僕個人の意見としては、大坂選手は一方的な記者会見の拒否をする前に、運営側と協議し、記者会見を免除してもらう方向で調整した方がよかったのかなと思っています。そうすればここまで世界的問題としてニュースで扱われることもなく、大坂選手のストレスも軽減させられたのではないでしょうか。

日本の野球界にもうつ病予備軍がたくさんいる

大坂選手はうつ病を患っていたのだそうです。うつ病ということであれば、当然記者会見どころか、大勢の前で話すことだって辛いと思います。コート上であればテニスに集中することにより、メンタリティを維持できるのかもしれませんが、しかしラケットをおいた後は、大坂選手もひとりの人間にすぎません。コートでは見せられない弱さだって当然抱えているのでしょう。

うつ病と診断されているのであれば、大会運営側と協議すれば記者会見を免除してもらうことだってできたはずです。そうすれば罰金という形ではなく、賞金の減額という形に留まったり、次戦以降の出場権が危ぶまれることもなかったはずです。

ちなみにスポーツ選手のうつ病は、野球選手にも見られる症状です。特にストイックで、あまり人と話すのが得意ではない真面目な性格の選手によく見られる症状です。そのため野球選手にとっても、大坂選手の状況は決して他人事ではありません。

これは中高でよく見られるのですが、監督による酷い罵声や叱責によりうつ病になってしまう野球部員も少なくありません。そしてそれにより野球から離れてしまう子もかなり多いんです。また、プロ野球選手であっても同様で、現役時代にうつ病を患ってしまった選手は一人や二人だけではありません。

大坂選手の場合は今回は「拒否」という形になってしまったわけですが、これがベストではなかったとしても、拒否するという声を挙げたことは賞賛に値すると思います。

個人的には拒否する前に協議すべきだったと僕は考えるわけですが、しかし拒否をしたということは、もしかしたら協議しても受け入れられなかったのかもしれませんね。その結果、拒否するしか選択肢が残されなかったのかもしれません。

そして選手や保護者が協議の場を求めても、それを受け入れない少年野球や野球部の監督・コーチが日本には数え切れないほどいます。僕も中学時代に、実際そのような監督の下でプレーをした経験があります。このような状況を鑑みると、日本の野球界にはうつ病予備軍がたくさんいると言うこともできるのではないでしょうか?

集中力とは?

他人の子どもを預かる指導者はもっと勉強すべし!

「集中力」という言葉は野球指導の場だけではなく、勉強や仕事、普段の生活の中で頻繁に使われる言葉です。でもあまりにも使い古されてしまっているためなのか、そもそも「集中力とは何なのか?」ということを明確に説明できる方は少ないのではないでしょうか?

「もっと集中しろ!」と言う野球指導者ほど、集中力というものを理解していないということは明白です。もし集中力というものを理解していたならば、「もっと集中しろ!」という言葉など出てこないはずです。

普通のお父さんお母さんがお子さんに対し「もっと集中して勉強しなさい」と言うことは、別に変える必要はないと思います。さすがに普通のお父さんお母さんが野球心理学・運動心理学を含めた心理学を勉強する必要はないと思いますので。

しかし他人の子どもを預かる野球チームや野球部の監督・コーチとなれば話は別です。繰り返しますが、他人の子どもを 預かって野球指導をするわけですので、ここでは運動心理学に関する最低限の勉強は必須です。

もしあなたのお子さんが、まったく勉強もしていないような他人に「もっと集中しろ!」「もっとちゃんと捕って投げろ!」なんて怒鳴られていたら、逆にそのコーチを怒鳴ってやりたくなりませんか?僕ならそうなります。

集中力とは?

ではここで改めて、集中力とはいったい何なのか、という定義について書いておきたいと思います。

集中力とは、思考回路が同時に対応できる複数の物事や思考の中から、一つだけを選び出して、その一つを明確かつ鮮明に捉え、その選び出したものに対しての行動の質を高めるためのものです。

つまり集中力が途切れている状態というのは、選択肢の中から何を選べばいいのかが分かっていない状態のことです。分からないから選べない。選べないから集中できない。これが集中力が途切れるメカニズムです。

集中力が途切れている選手に対しては、まず今どのような選択肢があるのかを伝えてあげる必要があります。そしてその中から何を選ぶのが一番良いのかということと、その理由を伝えてあげることにより、集中力を外的に高めてあげることができます。

一般的にはこうすれば集中力の途切れを少なくできる!

ちなみに心理学的には「頑張ったらご褒美をあげるね」というやり方よりも、「これをあげるから頑張りなさい」と先にご褒美をあげた方が作業効率が良くなることが分かっています。

例えば被験者の前にクッキーを置いたとします。「宿題が終わったらクッキーを食べて良いからね」と伝えたグループと、「クッキーを食べながら宿題をしなさい」と伝えたグループでは、後者の方が作業効率が良くなります。これは世界中の心理学者が実験によりほとんど同じ結果を得ています。

ただしこれはあくまでも平均値であり、100%そうなったというわけではありませんので、そこは前者の方が効率がよくなるタイプの子には、前者のやり方を取り入れていくという見極めと柔軟性も必要です。

野球はメンタルスポーツ

野球はとにかくメンタルが非常に重要なスポーツです。そのメンタルを強化するためのスポーツ心理学者の役目というのは、集中力の途切れをできるだけ少なくできるように選手をサポートすることです。

集中力の途切れというのは0にすることはできません。ですので、できるだけ少なくする、という取り組み方がベターになるわけです。

野球だけではなく、あらゆる場面で役立つと思いますので、ぜひ一度集中力に関してじっくりと考えてみてください。

【野球心理学】野球指導者が絶対に混同してはならないものとは?

野球の練習を運動心理学的に考えてみよう

今回は野球心理学(運動心理学)について少しお話をしてみたいと思います。「野球の練習をする」ことというのは、運動心理学的には「運動技能を高める」ために行う「運動行動」というふうに表現します。

運動技能というのは「スピード」「コレクトネス(正確性)」「フォーム」「スタビリティ(安定感)」の4種から成り立ちます。そしてこの4種は、競技によって割合が変わってきます。

例えばサッカーの場合は、ドリブルからシュートする場合はスピードが最重要視されます。しかしPKからシュートしていく場合はスピードよりもコレクトネスが重要です。同じ競技であっても場面によって4種の重要性が変わってきます。

一方野球の場合、バッティングであれば正しいフォームのスタビリティを高めることにより、ハイスピードでコレクトネスを高めていくことができます。つまりバットを速く正確に振るためには、「フォーム」の「スタビリティ」が重要だということです。

野球指導者が絶対に混同してはならないもの

野球指導者としてまず適切に理解しなければならないのは、「運動技能」と「運動技術」の違いです。これを混同してしまったり、まったく理解していない状態で指導しようとしても、選手を最短距離で上達に導くことはできません。

運動技術というのは「Understand(分かる)」という形で身につけていくもので、運動技能というのは「Can(できる)」という形で身につけていくものです。

この2つを混同することなく、適切な順番で指導やレッスンをしていかなければ、上達を遠回りさせてしまうばかりです。まずは選手には「分かる」という形でインプットさせていき、分かった上で「できる」ようにするための練習法を伝えてあげる、という順番が重要です。

運動技術の習得なくして、運動技能の習得はない、ということです。もちろんこれは個人差もあります。分かっていなくても自然とできるようになる選手もいれば、分かったからこそできるようになる選手もいます。さらに言えば分かっていてもできない選手や、分かっているけどできない選手と、こちらも主に4種類のパターンが存在します。

非常に大事なのでもう一度繰り返しておきますが、指導者は「運動技術」と「運動技能」は絶対に混同させてはいけません。指導者がこれを「分かって」いなければ、選手が「できる」ようになることもない、ということになります。

ブルペンでは良い投球ができるのに、いざマウンドに登ると実力を発揮できないピッチャーは少なくないと思います。このようなピッチャーを「ブルペンエース」なんて呼んだりするわけですが、では一体なぜブルペンエースになってしまうのでしょうか?

練習のための練習をしていませんか?

ブルペンエースになってしまうピッチャーによくありがちなのが、いわゆる「練習のための練習」をしてしまっているパターンです。例えばピッチャーとキャッチャーだけでブルペン投球をしてしまう、などの練習です。しかしこの練習だけでは試合では実力を発揮できるようにはなりません。練習とは、試合でのプレーを簡単にするために行うものですので、試合よりも簡単な内容で練習をするだけではダメなんです。

チームメイトたちに審判役、打者役をしてもらうのがベストです。そして審判役には、試合以上にストライクゾーンを厳しく判定してもらったり、打者役もどちらかの打席だけではなく、両打席に同時に立ってもらうと良いと思います。もしチームメイトも練習中で頼みにくいという場合は、何か物を積んで案山子のような仮想打者を作ると良いと思います。

こんな風に練習の難易度を高めてみよう

とにかくポイントは練習は試合以上に難しくする、ということです。試合よりも易しい練習を続けていても、試合で活躍できるようにはなりません。例えば試合以上に難しくする練習としては上記以外だと、18.44mを19.44mにして投げる、というやり方もあります。つまりキャッチャーに1m後ろに下がって構えてもらう、ということですね。

あとは的を小さくする、という練習法もあります。キャッチャーにはバッターボックスのラインまで横に移動して座ってもらい、手だけを横に伸ばしてミットをストライクゾーンに置いてもらいます。こうすると的が非常に小さくなるため、ピッチャーとしては狙いを定めにくくなるわけです。この練習をした後でキャッチャーに普通に座ってもらうと、的が大きく感じてすごく投げやすさを感じられるようになります。

練習とは試合を易しくするために行うもの

練習とは、練習中に上手くプレーするために行うものではありません。あくまでも試合で結果を出すために行うものです。もちろん基礎が身につくまでは低い難易度から丁寧に練習する必要がありますが、基礎が身について、さらに試合で活躍できるようにする、という段階になったら、練習の難易度はどんどん上げていく必要があります。

ブルペンで投げる練習だけで見ていっても、いくらでも工夫していくことができます。例えばキャッチャーがいなければ、ホームベースの両端のラインにバットを立てて、そのバットにボールを当てていくのもいいと思います。さらに難しくしたければ立てたバットにボールを乗せて、そのボールを射抜いていく練習も効果的です。野球人生をブルペンエースで終えないためにも、試合でのプレーが簡単に感じられるようになる練習を行うようにしていきましょう。

ブルペンではコントロール良く投げられるのに、なぜか試合になるとブルペン通りにいかなくなる投手は意外と多いと思います。そうなってしまう原因はシンプルで、試合になると変数が増えてしまうからです。この変数に対応できないと、ブルペンでは良くてもマウンドでは崩れやすくなってしまいます。

試合ではブルペンよりも変数が多くなる

ブルペンでは、基本的には視界にはキャッチャーしかいないと思います。もちろんコーチが審判の立ち位置に立ったり、チームメイトが打席に立ったりすることもあると思いますが、基本的にはキャッチャーしかいないことの方が多いと思います。そのため投手も的となるキャッチャーミットに集中しやすいんです。

一方試合のマウンドからはキャッチャーだけではなく打者、審判、バックネット、観客、サインプレーなどなど、とにかくたくさんの変数が出現してきます。例えば審判が立っているだけでもブルペンとは違う景色になりますし、その審判が自分の感覚と違うジャッジをしてきたら、それもまた気になり始めてしまいます。

様々な状況パターンを準備して試合に挑もう

ブルペンで審判役や打者役を立てて投げ込むのも1つの方法ですが、しかしその間、立ってくれているチームメイトは練習ができなくなってしまいます。なのでそのような状況を作ってブルペンで投げ込むことも1つの方法ではあるのですが、常にそのような形で投げ込むことはできません。それだったら、試合での思考方法を変える方が現実的です。

試合ではとにかく考えなければならないことがたくさんあります。一塁に走者が出ただけでも盗塁をケアしなければならず、やることが一気に増えてしまいます。一番良いのは、練習中や練習後に頭を使う練習をしておくことです。いろいろな状況を想定して、「こういう状況になったらこうしよう」、というパターンをたくさん用意しておくのです。このような準備をしっかりしておけば、どのような状況でも落ち着いてキャッチャーミットに集中できるようになります。

冷静な状態とはこういうこと

マウンドではとにかく冷静でい続けることが重要です。冷静な状態とは、テンションが低い状態のことではありません。冷静な状態とは、常に自分が置かれた状況と自分自身の状態を適切に把握できているということです。仮にテンションが低くてもそれができていなければダメですし、アドレナリン全開でテンションが最高潮になっていても、状況や状態をしっかり把握できていれば冷静だと言えます。

試合では変数が多くなるため、とにかく重要なのは投球前に、どれだけキャッチャーミットにだけ集中できる準備ができるかどうか、ということです。ただし、状況を無視してキャッチャーミットに集中してしまうと、盗塁され放題になったり、牽制球のサインを見逃したりしますので要注意です。色々な状況パターンをたくさん準備し、どのような状況でも対応できるようにしてください。そうすることによって油断なくキャッチャーミットに集中していけるようになり、ブルペン通りのピッチングがしやすくなります。ぜひこのあたりも意識しながら、普段の練習に取り組んでみてください。

さて、当然ですが辛い練習というのは文字通り辛いものです。目的意識の高い選手であれば、小学生であっても大人であってもこの辛い練習に簡単に耐えることができます。しかし意識が高いところにはなかったり、目的を見失ってしまっている場合は、この辛い練習にはなかなか耐えられないものです。ではどうすればこの辛い練習をポジティブ志向に変換していくことができるのでしょうか?

結論から言うと、いわゆるランナーズハイという現象を用います。ランナーズハイとはマラソンをしていて、30キロくらいの地点で「もうダメだ」と思っても、その辛さを乗り越えると体が一気に楽になり、パフォーマンスがアップしていく現象のことです。

一説ではこのランナーズハイはエンドロフィンが影響していると言われています。世界中で長い間そう信じられていたのですが、近年の研究によってそれが間違いだったことが判明しました。エンドロフィンには鎮痛作用があり、エンドロフィンが分泌されると頭痛や筋肉痛、野球の場合は肩痛や肘痛の痛みが緩和されるケースがあります。しかしこのエンドロフィンは、辛い練習を好きになるという高揚感を与えてくれるものではありませんでした。

ランナーズハイとは、内在性カンナビノイドが生み出している現象なのです。と言ってもよくわかりませんよね(笑)。カンナビノイドというのは、マリファナに含まれている高揚感を生み出す成分と同じものです。しかしマリファナのように外的に体内に入れるものではなく、カンナビノイドは体内で生成される物質のため、マリファナのように依存性などのデメリットが生じることはありません。

カンナビノイドもマリファナと同じ成分という意味では、エンドロフィン同様に鎮痛作用を持っています。しかしカンナビノイドはパフォーマンス中に分泌されるものに対し、エンドロフィンはパフォーマンス後に効力を発揮することができます。つまり練習中に必要なのはカンナビノイドで、練習後に必要なのがエンドロフィンということですね。

カンナビノイドを分泌させるためには、一度自らの限界を超えていこうとするチャレンジが有効となります。「もうたくさんノック受けて、今日はこれ以上立てないかもしれない!」と思ってもそこで諦めるのではなく、もう一度立ち上がってみて「俺頑張ってるじゃん!」と自画自賛してみることです。このタイミングでそれをすると急に高揚感が生まれてくることがあり、その瞬間がカンナビノイドが分泌され始めた瞬間ということになります。

ちなみに限界を超える作業は自発的である必要があります。周囲の人間が限界を超えさせようとしては絶対にダメです。もちろん限界に関して説明することは問題ありませんが、限界越えを強要してしまうことは絶対にダメです。受動的に限界を超える作業をしようとしても、それはカンナビノイドの分泌を促すどころか、逆に選手の練習嫌いを促進させてしまうだけで、怪我に繋がるケースも多くなってしまいます。ですので限界越えへの挑戦は、必ず能動的である必要があります。

今回の投手育成コラムは少々難しい内容ではありましたが、より上のレベルを目指したい選手や、コーチにとっては必要な知識だったと思います。辛い練習をポジティブに変換していくためにも、ぜひ一度限界越えに挑戦してみてください。ただし怪我をする可能性がある限界越えはコーチの適切な判断によってさせないように注意してください。
本番に強い選手、本番に弱い選手というのはどの競技でも存在しています。野球でももちろんそうです。本番になるとなぜか実力を発揮できない選手、逆に本番でもいつも通りのプレーができる選手とだいたい2つに分かれます。ではこの2タイプの違いとは一体どこにあるのでしょうか?

まず本番に弱い選手の特徴を挙げると、とにかく自他共にポジティヴシンキングであるケースが多いと思います。「自分は絶対にできる!」「失敗など恐れずプレーしよう!」「失敗などするはずがない!」「負けるはずがない!」というように考えている選手はほとんどの場合で本番に弱い選手になってしまいます。

ポジティヴシンキングは確かに大切なことですが、ポジティヴシンキングだけで試合で活躍することはできません。どんな競技でも必ず失敗します。野球でもミスをして、ボールゾーンに投げるはずがど真ん中に投げてしまうことがあります。普段は四球など出さないのに、突然崩れて連続四球を出してしまうこともあります。スポーツには必ず失敗が伴います。陸上のような個人競技であってもミスをし、いつもなら7メートルを目指せる幅跳び選手が5メートルしか飛べないこともあります。

では本番に強い選手とは?それは失敗をすることを前提にし、失敗した時の対処方法をシンプルな形で用意し、その上でポジティヴシンキングができる選手です。例えば「突然ストライクが入らなくなったら一度マウンドを外して深呼吸をしよう」とか、「コントロールがつかなくなったらそれを活かし、真ん中を狙って投げて内外に散らばるようにしよう」という風ように考えられる選手は、本番でもいつも通りのプレーができることが多くなります。

本番で考えられるミスをいくつか想定し、それに対する対処法を準備しておくだけでも平常心を維持しやすくなります。何事も大切なのは準備です。転ばぬ先の杖ではありませんが、ミスをした時の対処法という杖を準備しておくだけで安心感が高まり、本番でも舞い上がることなくいつも通りのプレーをいつもと同じようにできるようになるんです。本番に弱かった選手はぜひこの準備を試してみてください。