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OPSが何の略語かご存じですか?

今回は OPS という野球用語をご紹介したいと思います。OPS とは「出塁率+長打率」によって計算されます。一般的には.900を超えるとクリーンナップ級と呼ばれるようになり、1.000を超えると球界を代表するレベルのスラッガー、という指針になっていきます。

この OPS 、何の略語かご存じですか?On-base Plus Slugging の略語が OPS となります。これはセイバーメトリクスを開発したビル・ジェームズという人物が仲間とともに開発した指針です。日本語に直訳すると「出塁+長打のパーセンテージ」ということになります。

現在は日本でもすっかり定着した OPS という指針。出塁率が低くても、長打力が低くても OPS は上がりません。両方が高いからこそスラッガーの名に相応しい打撃成績を残せるようになる、というわけです。この指針は打率だけで見るよりも、打者の能力をより正確に知ることができますので、野球観戦する際はぜひ選手名鑑で OPS もチェックしながら応援してみてください。

「4打数3安打」を英語で言えますか?

野球ではよく何打数何安打という表現をするのですが、この表現はもちろん英語でもまったく同じものがあります。ただ、順番が日本語とは逆になるんです。日本語で4打数3安打と言うと、4回打席に立って3回ヒットを打った、ということになります。英語ではこの数字の位置が逆になるんです。

3-for-4 と書くのですが、こう表現した場合、3本のヒットを4回立った打席で打った、ということになります。そして書く時は -(ハイフン)を加えることもポイントです。もちろん 3 for 4 と書いてもちゃんと通じるのですが、3-for-4 と書いた方がより親切でわかりやすくなります。

ちなみにこれが4打数4安打だと、4-for-4 となり、読み方はフォーフォーフォーになります。なんかちょっと面白いですよね(笑)

「レガース」を英語で言えますか?

レガースという野球用品をご存じでしょうか?打者や捕手がすねに付けるプロテクターのことで、自打球による怪我を防いでくれます。しかしこの「レガース」という言葉は、日本でしか通用しません。そもそもレガースという言葉は英語のようで、実は英語ではないんです。なのでどんなに英語っぽい素晴らしい発音で「レガース」と言ったところで、英語圏の方にはまったく通じません。でも仮にそれが「レガーズ」だったら通じるかもしれません。

レガースは英語では shin guards や shin pad,  leg guards などと言います。一般的にはレッグガーズが変形してレガースになったと言われています。僕の肌感覚では shin guards という言葉の方が使われる頻度は高いように感じます。shin というのは「すね」という意味です。

近代野球はムーヴィングファストボールが全盛ですので、芯を外されて自打球になるケースも増えています。なので硬式野球をされる場合は shin guards を付けて打席に立った方が良いと思います。

「死球」を英語で言えますか?

日本では死球のことをデッドボールと言います。アメリカでも死球のことを dead ball と言うかと言うと、実は違うんです。確かに dead ball という野球用語もあるのですが、これはプレーが中断している状態のことをそう呼びます。例えば野手が捕球できないエリアにファールが飛んだ時、ボールが取れない場所に入ったり挟まったりした時、つまり審判がタイムをかけている最中のことを dead ball と言うんです。

では死球を英語では何て言うのかと言うと、hit by a pitch と言います。つまり四死球で言うと、four ball も dead ball も英語では四死球という意味ではまったく通じない、ということになりますので要注意です。
ランニングホームランを英語で言うと running home run となりそうなものですが、実はランニングホームランというのも完全な和製英語で、アメリカではほぼ通じません。勘の良いアメリカ人なら running home run をランニングホームランと察してくれることもありますが、でも稀です。running homu run と言っても頭の上に「?」を浮かべるアメリカ人が大半だと思います。

ではランニングホームランは英語ではどう言えば良いのでしょうか?

inside-the-ballpark homer って言います。日本人からすると、まったくピンと来ませんよね(笑)。でもアメリカ人からすると running home run こそピンと来ないんです。

使い方としては、"Ichiro belted an inside-the-ballpark homer!!" という感じになり、意味は「イチローがランニングホームランをかっ飛ばした!!」となります。ちなみに belt は「かっ飛ばす」「強打する」という意味です。ぜひこの言い回しも覚えて使いこなしてみてください。
今回は「自打球」を英語ではどう言えばいいのか?ということについて書いてみたいと思います。結論から言うと batted ball という言葉を使います。ただ、batted ball だけだと「打ったボール」という意味になってしまいますので、own という単語を付け加え、my own batted ball という風に表現します。

Hit on the foot by my own batted ball となると、「足に自打球が当たった!」という意味になります。
また、Hit on the foot by his own batted ball だと、「彼は足に自打球を当てた」となります。

自打球を英語にすると、一言で「自打球」を表す名詞というのは実はないんです。batted ball という言葉の頭に own を付け加えることによって、自打球という英語を表現する形になります。しかしただ own batted ball と書くだけではちょっと足りないので、さらに my や his といった単語も付け加える必要があります。

ちょっとややこしいですが、自打球は1〜2試合に1回くらいは発生しますので、覚えておいて損はないと思います。

放物線を描くホームランを英語で言うと?

かつて大杉勝男選手がコーチから「あの月に向って打て」と言われ打席に入ったというエピソードは、あまりにも有名な話です。ただ、この時は高く登った月に向って打ち上げるのではなく、レフトスタンドのすぐ上の顔を出したばかりの月に「弾丸ライナーを打ち込め」というニュアンスだったそうです。

アメリカでも実は似たような言い回しがあるんです。月にも届きそうなほど高く舞い上がって美しい放物線を描くホームランのことを moon shot と言います。His moon shot attracts fans. だと、彼のムーンショットはファンを魅了する、という意味になります。

冒頭の大杉選手の結果はライトフライだったそうですが、でも月に向って打ってそれがホームランになっていたら、あまりにも格好良すぎてまさにファンを魅了します!でも最近日本ではドーム球場が増え、月を見ながら観戦できる機会がずいぶん減ってしまいました。屋外球場でのナイトゲームは風情があって僕は好きでした。

主砲/big gun

日本ではホームランバッターのことを主砲、大砲と呼んだりしますが、それと同じニュアンスで、英語では主砲のことを big gun と呼びます。直訳すると大きな銃、つまり大砲ですね。The big gun came to the plate. となると、主砲が打席に立った、という意味になります。

ちなみにメジャーリーグの場合はチーム最強打者が4番ではなく、3番に座ることがほとんどです。時々2番に立つというケースもあります。アメリカではチーム最強の打者は、初回に100%打席が回ってくる3番に座るというケースが多く、チームで2番目に信頼されているバッターが4番を打つケースが大半です。

近年は日本のプロ野球でも3番バッターが打点王になるケースが増えてきました。ちなみに一部の高校大学野球では、チーム最強の打者が最も多く打席が回ってくる1番に座るというチームもちらほら見受けられます。まずは主砲に出塁してもらい、後続で繋いでホームに返す、といういわゆるスモールボールですね。big gun が1人しかいないチームにとっては、このような戦術も有効となってきます。

ただ理想としてはやはり、リードオフマンが出塁し、2番打者でチャンスを広げ、3・4番で返していくという形が最もチームに勢いを与えられるとは思います。

先頭打者/leadoff

日本語では先頭打者のことをトップバッターと言いますが、これもやはり和製英語なんです。英語で top batter と言うと、おそらく首位打者のことだと勘違いされると思います。英語では先頭打者のことを leadoff と言います。

leadoff には1番打者という意味があり、同時にイニングの先頭打者という意味もあります。リードオフマンという言葉は、近年は日本でも普通に使われていますので、野球中継などで聞いたことがある方も多いかもしれませんね。

leadoff には「最初の」とか「先頭の」という意味があります。ですので leadoff hitter となると、「最初のバッター」ということになるわけです。leadoff という言葉は野球以外でもけっこう使いますので、覚えておいてももちろん損はないと思います。

グリップエンド/knob

バットの握る部分の一番下の少し膨らんでいる部分を、日本ではグリップエンドと呼んでいますが、グリップエンドという言葉はやはり和製英語で、アメリカでは通じません。グリップエンドは英語では knob と言います。ドアノブのノブと同じです。

ノブはバットを強く降った際、バットがすっぽ抜けて飛んでいかないように滑り止めの役割を果たしています。このノブを上手く使っていかないとバットを必要以上に強く握らなくてはならず、握力が強くない選手の場合、フォームが硬くなってしまったり、手首を痛めやすくなります。

ですのでバットが長いなと感じたら、短く持つよりは、短いバットを使った方がパフォーマンスは良くなると言えます。

トスバッティング/pepper

日本語ではトスバッティングと呼ばれる練習、これは野球経験者なら誰もが経験したことのある練習メニューだと思います。2人1組で行う練習で、1人がボールを軽く投げてあげて、もう1人がワンバウンドで相手に打ち返す、という野手と打者によるキャッチボールみたいな練習です。しかしこれ、英語では toss batting とは言いません。トスバッティングは和製英語ですので、この言葉はアメリカでは通じません。英語では pepper と言います。胡椒を意味する単語と同じですね。pepper には「浴びせる」という意味もあり、野球の場合はこちらの意味になります。

アメリカの場合、日本のトスバッティングと同じように pepper を行うこともあれば、野手&ノッカーというスタイルで pepper を行うこともあります。つまりコーチがノックを打ったら、野手が捕球し、ノッカーのストライクゾーンに返球します。そしてノッカーはその返球をダイレクトに打ち返す、ということを繰り返す守備練習法です。

わたしは以前、プロコーチとしてトスバッティングの練習意義に関し疑問を抱いたことがありました。果たしてピッチャーゴロを打つ練習をすべきなのだろうか、と。でもセンター返しをするためのミートポイントの確認と、スウィートスポットにボールを正確に当てていく、という意味で、やはり大切な練習だと改めて認識するようになりました。

トス(軽く投げられたボール)を正確に相手にワンバウンドで打ち返すためには、それなりのバッティングスキルが必要です。スキルが低ければトサーを怪我させてしまうような強い打球を打ってしまったり、トサーがいない場所に打ってしまい、練習が続かなくなってしまいます。ですのでトスバッティングはキャッチボール同様、ウォームアップの一環として日々取り入れていくと良いと思います。

ピッチャーゴロ/comebacker

ピッチャーゴロとは、もちろんピッチャーに転がっていく内野ゴロのことです。ピッチャーゴロの説明はあえて必要ないと思いますが、ピッチャーゴロとピッチャー返しはまさに紙一重だったりします。強いライナーを打っても運悪くピッチャーのグラヴがあるところに飛んでしまうこともありますし、ボテボテだったとしてもピッチャーの足の間を抜けていくこともあります。

ピッチャーゴロは英語で comebacker と言います。投げたボールが自分のところにカムバックしてくる、ということです。純粋にピッチャーゴロを英語で言うと、grounder to the pitcher となります。直訳すると「ピッチャーへのゴロ」ですね。

叩きつけて打つ/Baltimore chop

日本の軟式野球では叩きつけて打つことが主流となっていました。大学軟式野球などを見ていても、叩きつけて高いバウンドを打って、内野安打を稼いで得点していくという戦術が長年重宝されてきました。しかし新しい軟式球のM号とJ号はそれほど弾まないため、この戦術は今後、部分的にしか通用しなくなるかもしれませんね。

アメリカでも叩きつけるバッティングというものがあります。しかしアメリカの場合は軟式球がないため、高いバウンドの打球を打つのではなく、荒れたグラウンドでイレギュラーバウンドを狙うために叩きつけて打つます。その昔、ボルティモアの野球場のコンディションが酷く、ゴロを打てばほとんど必ずイレギュラーをするという状況でした。ですので選手たちはイレギュラーバウンドを打つために、叩きつけるバッティングをしていたそうです。そのため、叩きつけるバッティングのことをアメリカでは Baltimore chop と呼ぶようになりました。

メジャーリーグの実況を聞いていると、あえて叩きつけていなくても、内野安打になりそうな緩いゴロを打ってしまった際にも Baltimore chop という言葉を使うようです。

満塁/bases full

満塁とはもちろん一塁・二塁・三塁のすべてが走者で埋まっているチャンス、もしくはピンチのことです。満塁のことを日本語ではフルベースと言いますが、英語では逆なんです。bases full と言います。bases juiced という表現もしますが、こちらはどちらかと言えば「満塁」と言うよりは「塁が埋まった状態」というニュアンスに近いような印象です。ただ、もちろんどちらでも「満塁」という意味になりますので、どちらを使っていただいても大丈夫です。オーソドックスなのが bases full で、ちょっと語彙力を高めたい時は bases juiced を使う、という使い分けが良いかもしれませんね。

弧/loop

大きな放物線を描いたホームラン、なんていう表現をよくしますが、弧、放物線は英語で loop と言います。大きな放物線となると、そのまま big loop となります。大きな弧を描いてどこまでも飛んでいくホームランは、打球にバックスピンをかけていかなければ打つことはできません。そして当然ですが手打ちではバックスピンを増やすことはできませんので、下半身主導でバットを振っていけるようにしましょう。

アッパースウィング/uppercut

日本ではすくい上げるようなゴルフスウィングで打つことをアッパースウィングと言います。しかしこのアッパースウィングという言葉も和製英語で、英語では uppercut と言います。アッパースウィングを効果的に使うコツは、ボールを打った後でアッパーになるようにする、ということです。ボールを打つ前からアッパーにしてしまうと、ボールを遠くまで飛ばせなくなってしまうので要注意です。要するに、綺麗なスウィングプレーンを描く、ということですね。

見逃す/take

ピッチャーのボールを見逃すことを英語では take と言います。take a pitch だと、投球を見逃す、となります。そして見逃し三振した際には caught looking という言葉がよく使われます。

ネクストバッターズサークル/on-deck circle

日本語では次の打者が打順を待つ場所をネクストバッターズサークルとか、ウェイティングサークルと言ったりします。ですが英語ではこのような言い方はしません。on-deck circle と言います。例えば David is on deck. だと、「次の打者はデイビッド」という意味になります。

この場所は、攻撃時は滑り止めスプレーやバットの重りが置いてありますが、攻撃が終わったらそれらはベンチにしまう必要があります。この付近にファールフライが飛んできたら、野手が踏んづけてしまうかもしれないからです。攻撃時に関してももしこの付近にフライが飛んできた時は、そこにいる選手がサッとスプレーなどをどかしてあげたり、それができなければ相手チームの野手に大きな声で教えてあげると、スポーツマンシップ的には良いと思います。

ちなみにメジャーでは滑り止めスプレーはほとんど使いません。マニモタスティック(パインター)という、でかいリップスティックのようなものがあり、それをグリップに塗って滑り止めにしています。スプレーのように吹きかける際に無駄にならないし、何よりもスプレー以上に滑らなくなるんです!日本ではほとんど取り扱われていない商品ですが、一部のネットショップでは輸入販売しているようです。

ハーフスイング/checked-swing

日本語では振ったバットを途中で止めることをハーフスウィングと言いますが、英語ではハーフスウィングという言葉は使いません。ハーフという言葉には半分というニュアンスがあるため、ハーフスウィングだと、半分だけ振る前提のスウィング、という感じになってしまうかもしれません。

英語では checked-swing と言います。打ちに行ったんだけどやっぱりやめて、バットを途中で止めた場合に使います。そして打つ気はないのに、投手とのタイミングを量るために、スウィングを取られない程度にバットを出すことを、check(チェック)と言います。

テキサスヒット/Texas leaguer hit

日本語ではポテンヒットと言ったりしますが、これを英語では Texas leaguer's hit と言います。その理由はアメリカのテキサス地方は空気が非常に乾燥していて、ボールに含まれる水分が少ないため、ボールの質量が小さくなるんです。つまりボールが軽くなるため、その分少しだけ飛距離が伸びて、力無い小飛球であっても内野手と外野手の間にポテンと落ちてしまうんです。(レンジャーズだけではなく)テキサスの野球リーグ全般に見られる現象だったため、テキサスリーガーズヒットと呼ばれるようになりました。

ちなみにこれがコロラドロッキーズの本拠地クアーズフィールドのように、高地にある球場だとさらに事情が異なってきます。高地にある球場は空気が薄くなるため、空気抵抗も小さくなるんです。そのため他の球場よりもホームランが出やすくなります。そんな事情もありメジャーでは、ロッキーズに進んで移籍したがるピッチャーがすごく少ないんです。