野球選手はスポーツをしている限り怪我をするのが当たり前、という考え方が野球界には未だに存在しています。しかしこれは大きな間違いです。スポーツをしているから怪我をするのではなく、下手だから怪我をするんです。上手な選手はほとんど怪我をすることなく野球を続けることができます。
例えば打者、野手で痛めやすい部位と言えば腰、手首、足首、肘などがあると思いますが、体に負荷のかからない良いフォームで動けていれば、これらの部位を痛めることなどほとんどありません。
例えば全力でバットを振るいわゆる「マン振り」と呼ばれるスウィングですが、非常に高い確率で腰、もしくは手首を怪我します。それはなぜなのか?本来ならば8割の力でバットを振っても、ホームランを打つ技術を身に付けていればスタンドインさせることができます。しかし技術がまだ足りないとフルパワーでバットを振り、力で遠くまで飛ばすしかなくなってしまうんです。
野手であれば選手同士の激突や、フェンスへの激突で怪我をしてしまうこともあります。しかし選手同士の激突は前もったフォーメーションに関するコミュニケーションと、声の掛け合いで防ぐことができます。フェンスへの激突に関しても、フェンスまでの距離がしっかりと頭に入っていれば激突することはありません。
守備や走塁時のスライディングにしても同様です。そもそも守備でスライディングキャッチをする必要性はほとんどありません。スライディングできるだけの時間があるのであれば、ほんの少しだけ斜め後ろに走って打球を追い駆ければ、立ったまま捕球することができ、すぐに次のプレーに移ることができます。そしてもちろんスライディングやダイビングによって強打し怪我をすることもなくなります。
クロスプレーのように、お互い避けようとしても避け切れないという場合ももちろんありますが、そういう状況以外での単独の怪我に関してはすべて技術不足が原因と考えて間違いありません。
技術を身につけるという作業はパフォーマンスをアップさせるためではなく、怪我することなくプレーをし続けるためにも必要なことなのです。そして技術を身につけるためにはただ漠然と毎日練習を続けているだけではダメです。もっと理論的に「こういう風にプレーをすれば、こういう風に良くなる」「今のフォームはこういう原因で怪我をしやすい」と考えながら練習しなければ、本当の意味で上達することはありません。
投手育成コラムでもスラッガー養成コラムでも何度も書いていますが、怪我をせずにパフォーマンスをアップさせられるフォーム、モーションこそが正しい動作なのです。
- 怪我をした選手を美談として語りたがる時代遅れの野球界
- 怪我は仕方ないのではなく、下手だから怪我をする!
- 怪我をせずにパフォーマンスアップできるのが正しい動作
コラム筆者:カズコーチ(野球動作指導のプロ/2010年〜)
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