「飛距離を伸ばす」と一致するもの

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ハンマーを振り下ろすように打っていた中学生たち

先日1時間くらい、ある中学野球部のケースバッティングを見物していました。まずピッチャーは下半身を使っていない完全な手投げで、バッターも全員が手打ちでした。

大人の指導者は2人いたのですが、この2人が一生懸命手打ちになるフォームを中学生たちに教え込んでいるんです。そのためケースバッティングを1時間くらい見物していても、クリーンヒットはせいぜい1〜2本というところでした。

打席に入る前のその子たちのスウィングを見ていると全員が、まるでハンマーを振り下ろすようなダウンスウィングで振っているんです。これは昭和の軟式野球の完全に間違った指導法であり、この指導で子どもたちがたくさんヒットを打てるようには絶対になりません。

軟式球がまだ高く弾んだABC号であれば、高いゴロを打てば内野安打を稼ぐこともできたでしょう。しかしMJ号はそれほど高く弾みませんので、高いバウンドで内野ゴロを稼ぐことは以前より難しくなっています。

そもそも高いバウンドのゴロを打って内野安打を稼ぐ野球なんて、やっていて楽しいでしょうか?僕が選手なら、そんなプレースタイルに魅力は感じません。

大人の指導者が野球塾に通うのが一番手っ取り早い

軟式球は硬式野球とは違い、面と面で打つことによってヒットを増やすことができます。ただし打球にスピンをかけることはできないため、軟式球は硬式球ほど飛距離を伸ばすことはできません。

そしてポイントとして、投球軌道上にどれだけ長くバットのスウィングプレーンを重ねられるかということが、打率を上げるか下げるかという分かれ目になります。

投球軌道上に長くスウィングプレーンを入れられるとまず空振りは大幅に減り、スウィングプレーンも自ずと地面に対してはアッパースウィングになるわけですが、しかしボールの軌道に対してはレベルスウィングになるため、内外野の頭を越えるような角度で打球を上げられるようになります。

しかしハンマーを振り下ろすようなダウンスウィングをしてしまうと、投球軌道とスウィングプレーンが交差地点の一点でしか交われないため、その一点を少しでも外してしまうとあとは空振りをするしかなくなってしまいます。

日本ではまだまだダウンスウィング、レベルスウィング、アッパースウィングというものを、野球指導者が正しく理解することができていません。そのため中学野球レベルであっても、先日僕が見物していた野球部のように、選手全員が手打ちをしているという状況も珍しくないんです。

僕が見物した野球部の指導者2人にキネティックチェーンについて聞いても、おそらくは答えることはできないでしょう。そう思えるほどその指導者2人は一生懸命、上半身でバットを振る動作を中学生たちに教え続けていました。

このような勉強不足の野球指導者にこそ僕のレッスンを受けてもらい、科学的に本当に正しいバッティング技術をチームに持ち帰ってもらい、それをチームの子たち全員に伝えてあげて欲しいなと思います。絶対にその方が手っ取り早いんです、子どもたち1人1人が野球塾に通うよりも。

根拠もなく盲信されている「体重は重い方が良い」という考え方

日本の野球界では未だに飛距離を伸ばすために体重を増やす、ということが妄信され続けています。確かに体重移動をして打った場合、体重は軽いよりも重い方がボールにぶつけられるエネルギーは大きくなります。しかし指導者はそろそろ、体重移動をする打ち方ではミート力はアップしないということを学ばなければなりません。

実はプロ野球選手の中でも、平気で「体脂肪率21%です」と話す選手がいます。しかしこれはアスリートとして恥ずかしい数字だということを知るべきです。日本の中高の野球チームではドカベンを食べさせることにより無理やり体重を増やしているチームがあります。しかしこのやり方はコラム内でも何度か取り上げたように、完全に間違いです。

確かに落合博満選手は細身の体をあんこ型にすることによってホームラン数を伸ばしました。しかし落合選手には確かな技術があったため、このやり方が上手くいったのです。しかし技術がない選手が体重を増やしただけでは、ただ体が重くなるだけで、パフォーマンスを向上させることはできません。

【ポジション別】野球選手にとって理想的な体脂肪率とは?

スピード+重さ+正確性で飛距離をアップさせよう!

スポーツ選手にとって必要なのは、少ない体脂肪率で増やす体重です。例え体重が90kgあったとしても、体脂肪率が18%以上あっては本末転倒です。アスリートの場合15%でもまだ多く、科学的には12%未満が望ましいとされています。しかし先にも述べた通り、日本はプロ野球選手でさえ平気で「体脂肪率は21%です」と言ってしまっています。

打球の飛距離を伸ばすためには「スピード+重さ+正確性」が重要になってきます。「スピード+重さ」でパワーを計るわけですが、そこに正確性が加わってこないと、ヒットの本数は増えません。当たれば飛ぶけどまったく当たらない、というタイプのバッターになってしまいます。

無闇に体重を増やしてからスピードをアップさせることは困難です。まずスウィングスピードを速くして、その速さをアップさせながら体脂肪率を減らしながら、体重を増やしていくのがベストです。そうすれば、正確性も飛距離も同時にアップさせるための下地を作ることができます

長打力をアップさせるのは体重ではなく技術!

ちなみにBMIの数値でコンディションを測ることもありますが、これはアスリートにはあまり有効的な数値ではありません。BMIでは体脂肪率や筋肉量を見ることはできませんので、BMIというのはあくまでも一般の方の痩せ過ぎ、太り過ぎを測るための目安です。

体脂肪率によってスウィングスピードをアップさせることはできません。そして体脂肪率というのは質量としては筋肉よりも軽く、そして柔軟性もありません。つまり体脂肪率が高ければ高いほど、体のキレが低下するということになります。これらのデータを分析していった結果、アスリートの場合科学的には体脂肪率12%未満が最も体を動かしやすくなる、ということになるわけです。

当たれば飛ぶ。でもなかなか当たらない。では試合で活躍することはできません。例えば当たれば飛んだとしても、打率1割台では意味がないわけです。打率3割以上を打ちながら長打力をアップさせていく必要があります。そのために必要なのは体重を増やすことよりも、バッティングの正確性をアップさせるための技術です。

しかしほとんどのアマチュア指導者がその技術を理論的にわかりやすく教えることができないため、「体重を増やして体格で勝負する」野球をするしかなくなってしまうんです。

飛距離を伸ばすために必要なのはとにかく技術です。体を大きくする前に、まずはその確かな技術をTeamKazオンライン野球塾で身につけてみませんか?

ページ更新日:2023年1月6日

ビヨンドのスウィートスポットは木製バットの100倍って本当!?

ビヨンドなどの複合バットが最も売れるのは、やはりクリスマスシーズンや誕生日ではないでしょうか。クリスマスや誕生日プレゼントにビヨンドをねだるお子さんはやはり多いと思います。親御さんとしても「ビヨンドを使ってヒットが増えるのなら」との思いで、ビヨンドをプレゼントされる方も多いかと思います。しかし僕は選手たちの技術を向上させるプロコーチという立場なので、基本的にはビヨンドを使うことには一貫して「ノー」と言い続けています。


ミズノのビヨンド(少年野球用)

ただし、ガッツリ上達したいわけじゃないけど友達とただ野球を楽しみたいというお子さんや、草野球レベルであればビヨンドなどの複合バットに頼ってしまっても良いとは思っています。しかし僕のレッスンを受講するような意識の高い小中学生であれば、やはりビヨンドは使うべきではありません。

通常、バットのスウィートスポットは木製バットが2mm程度、金属バットが5~20mm程度だと言われています。しかし複合バットの場合それが20cm以上あることが普通です。つまりバットのどこに当ててもある程度飛距離が伸びてしまうことで、ボールをスウィートスポットに当てるためのミート力がまったく養われないんです。

仮にビヨンドなどの複合バットに慣れた選手が中学高校へと進み、金属バットや木製バットを使うようになると、まったく対応することができなくなります。バットのスウィートスポットにボールを当てることがまったくできず、打球もほとんど前に飛ばなくなります。甲子園を沸かせたスター選手が高卒でプロ入りして、木製バットにまったく対応できない状態とよく似ています。


ローリングスのハイパーマッハ(少年野球用)

初心者でも簡単にトランポリン効果を得られるビヨンドの特性

ミズノのビヨンドと、普通の金属バットの反発係数には20%もの差があります。普通の金属バットを100とすると、ビヨンドの反発係数は120になるということです。つまり単純計算すると、金属バットで60m飛んでいた打球が、ビヨンドでは72m飛ぶようになる、ということです。もちろんこの飛距離は不確定要素によって変動していくわけですが、まったく同じ条件で打ったと仮定すると、これだけ飛距離に差が出てくるんです。

しかしこれだけ飛ばせる複合バットであっても、バッティングの基礎が身についていなければ宝の持ち腐れにしかなりません。例えば金属バットで40m飛ばせていた場合、ビヨンドだと単純に48mになるわけですが、48mという飛距離は少年野球では平凡な外野フライの飛距離でしかありません。ちなみに少年野球の場合、ホームプレートから二塁ベースまでの距離が約32mです。

つまり金属バットならテキサスヒットになっていた打球が、ビヨンドで打つことによって平凡な外野フライになってしまうということです。ただ逆に、内野フライしか打てなかった選手であれば、ビヨンドを使うことによってテキサスヒットを打てるようになる可能性は高まります。

誰でもカンタンにトランポリン効果を得られるのがビヨンドなどの複合バット

ところで、バットでボールを打って飛距離を伸ばすためには「トランポリン効果」という物理効果を使う必要があります。これはまさにその名の通り、トランポリンのように金属バットを上手くへこませたり、木製バットをしならせることによって発生させていきます。

ビヨンドなどの複合バットは、このトランポリン効果を技術がなくても使えるように設計されているんです。バットのどこに、どんなタイミングで当たってもバット側が凹んでトランポリン効果を得られるため、初心者でもある程度の飛距離を出せるようになっています。

しかし金属バットや木製バットの場合、最良のタイミングでボールをスウィートスポットに当てられなければ、トランポリン効果を得ることはできません。そしてスウィートスポットが狭い分、金属バットよりも木製バットの方がトランポリン効果を得ることは難しくなります。


ゼット ブラックキャノン(少年野球用)

飛距離が伸びても打球速度が上がらなければヒットは増えない?!

ヒットの本数を増やしたいのならば、実は飛距離を考えるよりも打球速度を重視すべきなんです。ビヨンドを使って飛距離を伸ばしたとしても、そこに打球速度が加わっていなければヒットを増やすことはできません。例えば少年野球でビヨンドを使って60m飛ばせるようになったとしても、打球の速度が遅ければ、左中間・右中間に飛んだとしても外野手が簡単に追いついてしまい、ただの外野フライにしかなりません。複合バットはとにかく「飛距離がアップする!」という謳い文句で売られていますが、ヒットを増やすために必要なのは飛距離ではなく、打球速度なんです。

例えばビヨンドで60m飛ぶということは、金属バットでは50mくらい飛ぶということです。しかし打球速度をアップさせられる打撃動作の基礎を身に付けていれば、50mしか飛ばなくても速い打球で左中間・右中間を割っていくことができます。もちろん技術が身に付いた上で複合バットを使えばそれが最強なわけですが、しかし野球のレベルが上がるほど、ビヨンドを使えないリーグが増えていきます。特に将来硬式野球に進みたいと考えている方は、絶対にビヨンド慣れすべきではありません。当然ですが硬式野球ではビヨンドは使えませんので。

どこに当たっても飛んでしまうビヨンドではミート力は養われない!

ビヨンドのような複合バットの場合、どのタイミングでバットのどこに当てても打球はある程度は飛んでしまいます。そのためミート力がまったく養われず、ビヨンド慣れした選手が突然金属バットや木製バットを使い始めると、打球を前に飛ばすことがまったくできなくなります。硬式野球の場合、バットの芯とスウィートスポットが交差した一点で、ボールの中心の6mm下を打つことによって最も遠くに打球を飛ばせるようになるのですが、そのようなバッティングを実践することもできなくなります。

ビヨンドを使ってしてしまうと、芯とスウィートスポットが交差する一点にボールを当てる技術が、まったくと言っていいほど養われません。そのような選手が硬式野球で木製バットを使ったら、頻繁にバットを折ることになってしまうでしょう。ちなみにプロ野球選手でも技術がある選手は、例えば埼玉西武ライオンズの中村剛也選手のように、1年を通してもバットは1本折るか折らないかです。しかし技術がない選手は年間5本、10本とバットを次々と折ってしまいます。もちろんそういう選手はプロではレギュラーになることはできません。


アシックス スターシャイン(少年野球用)

ビヨンドを買ったら野球塾でバッティングの正しい基礎を身に付けよう!

ミズノのビヨンドのような複合バットは上記写真のように各社で製造されています。しかし繰り返しますがヒットの本数を増やすために重要なのは飛距離よりも打球速度です。飛距離を伸ばしても打球速度が上がるとは限らないのですが、打球速度をアップさせると比例して飛距離も伸びていきます。

僕は野球のプロコーチとしてマンツーマン野球塾で毎日多くの生徒さんのレッスンをしているのですが、このレッスンでは打球の速度をアップさせ、同時に打球の発射角度を下半身の使い方を改善させることによって調整し、長打力をアップさせることができます。例えばビヨンドのような高額なバットを使ったとしても、ヘッドが下がったスウィングでは意味がないわけです。しっかしと下半身の基礎動作を身に付けた上でなければ、ビヨンドを使っても目に見えてヒットの本数を増やすことはできません。

逆にしっかりと基礎動作が身についていれば、6,000円程度の普通の少年野球用の金属バットであってもヒットを量産し、同時に長打力をアップさせることができます。きっとクリスマスプレゼントや誕生日プレゼントにビヨンドなどの複合バットを購入される方は多いと思います。しかし大切なのはビヨンドの性能だけに頼ってしまうのではなく、打撃動作の基礎をしっかりと身に付けた上で、ビヨンドを使うということです。

ヒットを増やすために重要なのは飛距離よりも打球速度

そして大事なのでもう一度言っておきますが、ヒットの本数を増やすために重要なのは飛距離よりも打球速度です。飛距離が出ても打球速度が遅ければヒットにはなりませんし、逆に飛距離が出ていなくても打球速度が速ければ内野手、外野手の間をあっという間に抜けていき、ヒットの本数を増やすことができます。

そして単純に打球速度が速ければ速いほど、飛距離もどんどん伸びて行きます。ですのでせっかくビヨンドのような高価なバットを使われるのでしたら、僕のマンツーマンレッスンや、お近くの野球塾でしっかりと適切な基礎動作を身につけた上で、ビヨンドを使われることをオススメいたします。

バッティングで飛距離を伸ばすコツというのは多数あるわけですが、今回はその中でもテイクバックと割れについて書いてみたいと思います。マンツーマン野球塾でコーチングをしていても、実はテイクバックがテイクバックになっていない選手がけっこう多いんです。

テイクバックはただ引くだけでは意味がない

テイクバックではラギングバックモーションを作り出したいんです。いわゆる「割れ」というやつですね。このラギングバックが発生してなければ、テイクバックはテイクバックとして機能していないと言うことができます。テイクバックは、ただ後ろに引くだけでは大きな効果を生むことはありません。ラギングバックを発生させることによって反動を使えるようになり、バットスウィングをさらに速く強くしていくことができます。

ラギングバックはバッティングでもピッチングでも重要なモーションとなるわけですが、バッティングの場合はテイクバックした際、グリップはキャッチャー方向に進もうとし、下半身は投手方向に進む形(体重移動の有無は関係ありません)となります。わかりやすく言うと、ゴムを伸ばして手を離せば、ゴムは勢いよく縮んでいきますよね?これと同じです。ラギングバックによって体幹をゴムのように伸ばすことによって、バットスウィングの勢いをアップさせていきます。僕の野球塾にいらっしゃったことがある方であれば、「二段階スウィング」というトレーニングを経験された方もいらっしゃると思います。これがまさにラギングバックを強めるための1つのトレーニングとなります。

ただ引くだけのテイクバックでも効果は0ではない

テイクバックをしてもラギングバックを発生させずに、グリップを引いた後、そこで待機させてしまっているバッターを多く見かけます。スウィングのアクセラレーションの距離を伸ばすという意味では、待機させるだけのテイクバックでも効果は0ではないわけですが、しかしテイクバック本来の効果を得ることはできません。ですのでグリップを引いた後、そこで待機させてはいけないわけです。

テイクバックが一番深い位置に来た瞬間に合わせてラギングバックを発生させていきます。このタイミングを上手く作れるかどうかによって、飛距離はまったく変わっていきます。ただこのタイミングに関しては人それぞれであり、フォームが変われば合うタイミングも変わっていきます。ですのでタイミングに関してはフォームを見ない限りはコーチとして何も言えないわけですが、とにかく自分のフォームにおいてそのタイミングを合わせられるタイミングを探し、そのタイミングでバットを振っていくことが大切になります。

ノックでテイクバックとラギングバックを身につけよう

テイクバックとラギングバックを習得するための最適な練習法がノックです。埼玉西武ライオンズの中村剛也選手も日常的に行なっている練習なのですが、ノックはテイクバックとラギンバックを最適にしていかなければ打球を遠くに飛ばすことはできません。ちなみに中村選手はノックでもメットライフドームでスタンドインさせることができます。もちろん腕力があるからではありません。テイクバックとラギングバックを上手に作れているからです。

最後にノックの打ち方を簡単にお伝えしておきたいと思います。右打者なら、まず左手に持ったバットを左肩に担いでください。そしてそのバットを、ゴルフスウィングを逆再生するように下から回していき、回しながら右手で打ちたい方向に向けてトスを上げていきます。トスを上げる際、左右の腕があまり交差しないように気をつけてください。交差してしまうと、トスを上げた後にグリップを掴みにくくなります。そして、トスを上げたらテイクバックを一番深い位置にし、下半身は一歩前へ歩いていくようなイメージでラギングバックを発生させていきます。これが正しいノックの打ち方です。ぜひこの打ち方でノックを打ち、テイクバックとラギングバックの感触を強めていってください。

実は最もホームランを打ちにくい球種はストレートなんです。硬式野球で、腕力ではなくて技術でバックスピンをかけてホームランを打ちに行った場合、質の良いストレートは最もホームランを打ちにくい球種になるんです。


結論から言います。なぜそうなるかと言いますと、質の良いストレートというのはバックスピンの角度・回転数が優れている球種ということになります。そしてピッチャーにとってのバックスピンというのは、バッターにとってはトップスピンとなります。バッターが飛距離を伸ばすためには打球にバックスピンをかける必要があります。しかしストレートという球種は、バッターにとってのトップスピンで飛んでくるため、バッターからすればその回転を真逆にしなければならないということになり、これは中途半端な技術ではなかなかできることではありません。

逆にドロップ(縦に大きく割れるカーブ)はバッターにとってのほぼバックスピン、スライダーも斜め回転で、バックスピンにやや近い角度で回転しながら飛んできます。そのためこの2つの球種は、バッター側からするとバックスピンをかけやすい球種ということになり、長打を打つのが比較的楽な球種、と言うことができるわけです。

ただし、ドロップの場合はバッターの目線を上下に大きく動かされてしまいますので、ミートをすることはスライダーよりは難しくなります。逆にスライダーが真ん中付近に入ってきた場合、これは完全なホームランボールとなってしまいます。スライダーはストレートよりはやや球速が落ちます。そのためミートポイントがストレートよりもやや前に出て行き、引っ張る方向への強打がしやすくなります。

ピッチャー目線から行くと、絶対に長打を打たれたくない場面は、実は変化球で勝負をするよりも、変化球を見せておいてストレート勝負をしに行った方が、実は長打になる可能性は低くなるんです。ただし、しっかりとバックスピンをかけた質の良いストレートを投げられている、ということが前提になり、中途半端なストレートでは簡単に打たれてしまいますし、変化球を活かすこともできなくなります。

きれいな4シームバックスピンストレートを投げられるようになり、回転数も増やせるようになってきたら、このようなことも考えながら配球をデザインしていくと良いと思います。配球というのはチェスや将棋と同じです。先の先の先の先まで考えながら次の一手を打っていかないと、場当たり的な中途半端な配球になってしまい、痛打される可能性を高めることになってしまいます。

バットスウィングにおいて、スウィング中に頭を移動させるべきではないということは誰もがご存知だと思います。頭が移動してしまうと目線も一緒に移動してしまい、高速で飛んでくる投球を目で正確に捉えることができず、ミート力が大幅に低下してしまうためです。


少年野球の指導者たちもこれに関する指導をしているとは思いますが、具体的な方法で頭を移動させないスウィングを指導されている方は果たしてどれくらいいらっしゃるでしょうか?「頭を移動させるな!」としか言えない勉強不足の指導者が多いというのが、少年野球の練習風景を見ていて強く実感することです。

スウィング中に頭が移動してしまう原因は複数考えられるわけですが、今回はその中でも非軸足のステップに関してお話をしてみたいと思います。

スウィング中の頭は前後・左右・上下どの方向にも移動させるべきではありません。しかし非軸足を振り上げて踏み込んで行く際に頭が移動し始めてしまう打者が非常に多いんです。特に、非軸足を軸足側に引き寄せるようにして振り上げてしまうと、片足で立ち続けるためにバランスを保とうとし、頭が上下・前後してしまうことが多くなります。すると目線がストライクゾーンから遠ざかってしまい、遠いところから投球を見て打たなければならないため、ミート力が低下してしまいます。

一番最初に頭が移動してしまう可能性があるのがこのタイミングなわけですが、そうならないためにも非軸足はその場に上げて、その場に下ろすことが基本となります。非軸足の踏み込みはタイミングを取るための作業であり、飛距離を伸ばすためのものではありません。確かにウェイトシフト打法の場合はこの踏み込みの深さによって飛距離がアップすることもありますが、ミート力・飛距離を同時にアップさせられるステイバック打法の場合は、あくまでもタイミングを計るための作業となります。

ですので最初からある程度スタンスを広げて立ち、あらかじめ重心を下げておき、その姿勢のまま非軸足でタイミングを計って打つ形がもっともミート力がアップしやすくなります。この機会にぜひ、非軸足の振り上げの際に頭が移動してしまっていないかをチェックしてみてください。もし具体的な改善方法をもっと学びたいという場合は、スラッガー養成コースを受講しにいらしてください。

10年20年前までは、プロ野球では3割30本打つことは非常に難しいことだと論理的な理由なくして信じられていました。いわゆる迷信というやつですね。しかし現代では3割30本を目指せるバッターがたくさんいます。では20年前と今とでは、打者のバッティングスキルはどう変わっているのでしょうか?今回のスラッガー養成コラムでは、そのあたりについて少しだけ掘り下げてみたいと思います。


まず20年前のことを思い返すと、首位打者と本塁打王を同時に獲得できるというのは非常に稀なケースでした。それこそ三冠王を獲得したことのある一部の打者のみに許された特権とも言えたのではないでしょうか。では三冠王を獲得できた打者と、本塁打は打てるけど打率は伸びなかった打者とでは、一体何が違っていたのか?!

答えはヒッティングポイントの位置です。三冠王を獲得できた打者はポイントを、自分の体の近くに置いていました。ポイントを自分の体の近くに置くということは、それだけ正確にミートできるということです。逆に三振か本塁打かという打者の場合、ポイントを大きく投手寄りに出す打者がほとんどでした。

ポイントを前に出すと遠心力を大きく使えるため、当たった時は確かに遠くまで打球を飛ばすことができます。しかし自分の体から遠い場所で打たなくてはならない分ミート力は大幅に低下し、緩急をつけられるとカンタンに泳がされてしまいます。

逆に本塁打は打てないけど単打ならたくさん打てるという打者の場合、バットを短く使うことによってポイントを自分の体の近くに持ってくる打者が大半でした。短いバットを使ったり、バットを短く持ったりしてそういう形にしていました。そのためバットにかかる遠心力が小さくなり、ミート力は上がりますが飛距離を伸ばすことはできませんでした。

なおここで勘違いしてはならないことは、バットを短く使うことと、バットをコンパクトに振ることは似て非なることということです。例えばバットを短く持ったとしても大振りしては意味がありません。

一方三冠王を狙えるレベルにあった昔の打者たちは、バットを長く使いながらコンパクトに振る技術を持っていました。バットを長く持っているのでヘッドの重さを活かすことができ、遠心力に頼らなくても鋭いスウィングができるようになります。そしてコンパクトに振っているのでポイントを自分の体の近くに置くことができ(具体的には右打者は左膝付近、左打者は右膝付近)、ミート力が低下することもありませんでした。落合博満選手などは、まさにその典型的なタイプと言えます。

ホームランの打ち方には主に2種類あります。圧倒的なパワーで遠くに飛ばそうとする打ち方と、打球にバックスピンをかけて揚力を高めることによって飛距離を伸ばす打ち方です。弾丸ライナーのホームランが多い打者は前者で、放物線を描けるタイプの打者が落合選手をはじめとし後者となります。日本人選手の体格からすると、やはり後者の方が飛距離と打率の両方を求めやすくなります。

現代で3割30本を目指せるレベルにある打者の多くは、基本的にはポイントを体の近くに置いています。そして緩い球が来たらそのポイントを前に出し、速いボールならポイントを引いて打っています。そのためタイミングを外しての空振りが非常に少なくなります。例えば内川聖一選手、浅村栄斗選手、大谷翔平選手などはそのような打ち方をしています。だからこそ不振が長期間続くことがありません。

ポイントを自分の体の近くに置き、バットを長く使ってコンパクトに振るという技術は、ステイバック打法を採用することによって初めて可能となります。そしてまさに当野球塾のスラッガー養成コースでは、そのステイバック打法を小学生〜プロ選手に対しコーチングしています。打率も飛距離もアップさせたいという選手は、ぜひスラッガー養成コースを受講することで、確かな技術を身につけてください!

遠心力を用いたバッティングというのは以前より注目されており、わたし自身ボールを遠くへ飛ばせるというメリットはあると考えています。しかしわたしのコーチングでは遠心力を用いる打ち方は推奨しておらず、逆に極力遠心力に頼らない打ち方で選手たちの打率を上げることに成功しています。


遠心力を最大限使っていくためには、体の回転(ボディスピン)を強くしていく必要があります。極端な言い方をすると、竹とんぼやコマのような回り方です。この動きを強くするためにはスタンス幅を狭くし、重心を高くする必要があります。そうするとボディスピンが強くなり、バッドのヘッドが利いた遠心力打ちができるようになります。

この打ち方をすると、確かに当たると打球は遠くまで飛ばせるようになります。しかし当たる確率を同時に高めることは難しくなります。まずスタンスの幅を狭くすると踏ん張りが弱くなるため、下半身から生じるキネティックチェーン(運動連鎖)によってバットを振ることが難しくなり、どうしても手を使ってバットをコントロールしなくてはならなくなります。

するとバットと背骨を直角の関係で保てなくなり、バットのヘッドが上がったり下がってりしてしまいます。バットのヘッドが上下すれば当然ミート力は低下し、ジャストミートした時以外の打球の質が低下してしまいます。

遠心力を用いた打法というのは、基本的には体重移動をするウェイトシフトで行います。逆に、遠心力ではなくて求心力を用いる打ち方は体重移動はしないステイバックで行います。

わたしのコーチングでは飛距離を伸ばすことはもちろん重視していますが、その前にまずミート力を高めることに主眼を置いています。まず打率を上げ、その上で飛距離を伸ばしていけるという形でコーチングを行なっています。その結果、遠心力を用いた体重移動をする打ち方ではなく、求心力を用いた体重移動をしない打ち方を指導しているという形になります。

ただし、バットを回転させてボールを打ちに行っている限り、遠心力を0にすることはできません。わたしのコーチングでは遠心力を求心力で極力相殺し、自分の体の近くでボールをバットで叩きにいく形を指導しています。

例えば腕相撲を想像してみてください。腕相撲は肘を90°にすると力が入りますが、肘を伸ばすと絶対に勝てないですよね?この理屈と同じで、力強いピッチャーのボールを、力強いバットの押し返しで打っていく打法を、当野球塾では指導しています。

バーンとボールを弾き返すというよりは、グググっとバットでボールを押し返して飛ばしていくという表現の方が正しいかもしれません。もっと物理的な表現をすると、バットとボールが接している時間を長くし、長くしたその時間を使ってボールを押し返すという打ち方になります。

もしどこの野球塾に通っても打率がまったく上がらないという選手がいましたら、ぜひ当野球塾にご相談ください。打率1〜2割未満のバッターが4割打てるようになることなど、当野球塾ではまったく珍しいことではありませんので。

強い打球を打って飛距離を伸ばすためには、バットスウィングを速くしていく必要があります。パワーとはスピード×重量ですので、同じ重さのバットであれば、スウィングスピードが速いほどパワーが増してジャストミートした際の飛距離がアップするということになります。


スウィングスピードをアップさせるために必要なことやコツは多数あるわけですが、今回はその中でaもバットを振る際の軌道に注目してみたいと思います。

  1. バットをインパクトゾーンまで直線的にダイレクトで振り下ろしていく
  2. スキーのジャンプ台のような曲線を描いてバットを振っていく
  3. グリップを一度下に下ろしてからL字でバットを振っていく
上記の1〜3で、どの振り方がバットスウィングを一番速くできると思いますか?一般的には1の形でトップからインパクトゾーンに向けて、直線的に最短ラインでバットを振っていく指導がなされていると思います。上から下に向けて叩きつけて打つ形などは、まさにその最たる典型です。

上半身を鍛え上げた南米選手は、3番の形で打っている選手も多いように見えます。特に前回のWBCでチャンピオンになったドミニカ共和国の選手はこの形が多いのではないでしょうか。その次に南米選手で多いのは、フライングエルボーからの2番の形でのスウィングだと思います。

結論を言うと、バットスウィングが速くなりやすいのは2、3、1の順番です。つまり1番のバットを上から直線的に最短ラインで振っていく形は、スウィングスピードが最も速くならない振り方なのです。しかし日本ではこの形での指導しかほとんど行われていません。特に少年野球では構えた時点から脇を締めて上から下に叩く、という指導がほとんどではないでしょうか。

軸足側の股関節を使ってスキーのジャンプ台の曲線を描くようにバットを振るようにと指導している少年野球指導者も、もしかしたらどこかにいらっしゃるのかもしれませんが、わたしはまだ出会ったことがありません。

ではなぜ最短ラインで直線的に振り下ろすとスウィングスピードは落ちてしまうのでしょうか?答えは非常に簡単です。最短ラインで振ってしまう分、バットを加速させられる距離が短くなってしまうためです。加速距離が短いので、加速する前にバットを振り終えてしまうのです。

しかしスキーのジャンプ台のような緩やかな曲線を描いてバットを振ることができると、加速距離を十分に得られるようになります。そして曲線が緩やかなため、その曲線によってエネルギーの進行が阻害されることもありません。そのためバットを十分加速させた状態でインパクトを迎えられるようになるわけです。

ちなみに3番の形の場合も加速距離は稼ぐことができるのですが、曲線ではなく角を描くような軌道になってしまう分エネルギーがスムーズにインパクトまで向かいにくくなり、2番に比べるとスウィングスピードは劣ります。ですので体幹に絶対的な安定感があり、その体幹を使った鋭いボディスピンによってバットスウィングを速められるレベルにある選手でなければ、3番の打ち方では安定した成績を残すことは難しいと思います。

エネルギーをスムーズに進め、スピードアップさせていくという物理学はピッチングにも同じことが言えます。ピッチングもバッティング同様、股関節を上手に動かして滑らかな曲線を描くように動作していくと、スピードアップしやすくなります。ピッチングもバッティングも、スピードアップを目指すためにはやはり股関節が重要なわけなのです。
2016年、当野球塾でわたくしチーフコーチにバッティング指導を受けた選手の中から、今年は10人、打率.400以上を記録した選手が誕生し、そのうち3人は.500以上をマークすることができました。2010年1月のスタート当時はピッチング指導しか行っていませんでしたが、近年は打撃指導も大変好評をいただいております。ありがたいことです。

さて、ではなぜ当野球塾で打撃指導を受けた選手が.400以上の打率をマークすることができたのか?!実は上述した10人のうち7人は打率1割台で、1人はヒットを打ったことさえない選手でした。それでもわたしのコーチングを中期的に真面目に受けてくれたおかげで、飛躍的に打率を上げることができました。

打撃指導でわたしが最も重視しているのは目線です。頭を動かさないということと、目線を極力投球の軌道に近づけるという点です。頭を動かさないということの重要性はみなさんご存知だと思います。ですが頭を動かさないでバットを振るための明確な方法をご存じの方はほとんどいらっしゃいません。ただ闇雲に頭を動かさないように意識してバットを振っている方がほとんどです。これでは適切な技術が身につくことはありません。

最初の構えから頭を動かさないためには、体重移動をしないということが何よりも重要です。体重移動をしてしまうと、頭の位置はどうしても前後に大きく動いてしまいます。ですが体重移動をせずに、軸足を直角点にした直角三角形を描きながらバットを振ることができると、頭の位置をまったく変えずにバットを振れるようになります。

そして軸脚側の股関節の内旋と屈曲を上手に使えるようになると、下半身主導で目線を投球軌道上に近づけられるようになります。上述した点とこの点を同時に実現させられると、ミート力が飛躍的にアップします。また、体重移動をしないステイバック打法は飛距離を伸ばすこともできますので、当野球塾で指導している技術を身につけられれば、打率も飛距離も同時に向上させられるようになります。

「上から叩け」という指導で良い打者が育つ可能性はほとんどありません。あるとすれば「上から叩け」という指導を右耳から入れて左耳からすぐ抜いていける選手だけです。つまり身体能力が高くコーチのアドバイスをほとんど聞かないタイプの選手ですね。例えば新庄剛志選手のようなタイプです。

下半身により土台を安定させることができれば、上述したような技術をさらに身につけられるようになります。ですが下半身の土台が安定しなければこれを身につけることはできません。打つにしても投げるにしても、何よりも重要なのは足部によって土台を安定させることです。

相手投手のレベルがまだそれほど高くはない小中学生であれば、しっかりとした技術を当野球塾で身につけていけば飛躍的に打力を向上させられる可能性は高いと考えています。当野球塾では毎回必ず宿題を出していますので、その宿題を次のコーチングまでにしっかりとクリアして来てくれれば、技術の習得速度はどんどん上がっていきます。

当野球塾は無料体験コーチングをご用意しておりますので、ご興味がある親御さんは、ぜひお子さんを無料体験にお連れいただければと思います。お待ちしております!