当野球塾では通常、体重移動を行わない打ち方をコーチングしております。現代野球ではレベルが上がれば上がるほど、体重移動をする打ち方では対応が難しくなり、プロ野球選手を観察しても、何年も続けて活躍しているバッターは日米問わず体重移動をしない打ち方を採用しているバッターがほとんどです。例えばジャイアンツの坂本勇人選手も、体重移動をする打ち方から、体重移動をしない打ち方に変えたことにより、2016年以降打撃成績が非常に安定するようになりました。
さて、体重移動を行わないステイバック打法というのは、非軸足の上げ方が1つの鍵になってきます。体重移動を行うウェイトシフト打法の場合は、非軸足を軸足に引き寄せるようにして上げるのが一般的だと思います。しかしこの上げ方では頭の位置がほとんど確実に動いてしまいます。頭の位置が動けば目線も動いてしまいますので、自分が動きながら高速で飛んでくるボールを正確に打っていくことは非常に難しくなります。
非軸足はその場で上げて、少しだけ投手寄りに着地させるのが一番シンプルなモーションとなります。このモーションであれば、非軸足を上げた際の頭の動きを最小限に抑えられるようになります。しかしここで1つ注意点がありまして、腸腰筋群が発達していない選手の場合、非軸足を真上に上げる動作が世代を問わずできないことが多いんです。
日本ではよく運動神経という言葉を使いますが、運動能力を直接的に司っているのは腸腰筋群という筋肉群なのです。ちなみに腸腰筋という名前の筋肉があるわけではありません。腸腰筋群というのは、大腰筋・小腰筋・腸骨筋をグループ化させたものの呼び方となります。
例えば腸腰筋群が発達していない選手が腸腰筋群を鍛えると、それだけで突然足が速くなることもあります。腸腰筋群というのは、スポーツ動作に対してはそれだけ大きな影響を持っているのです。その腸腰筋群が発達していないと、踏ん張るという動作も弱くなりますし、非軸足を真上に上げられない分、体重移動を行う動作で打たざるをえなくなってしまいます。
つまり言い換えると、腸腰筋が発達する → 運動能力が高まる → ステイバックで打てるようになる、という流れになります。もしくは徹底的にステイバック打法のモーションを繰り返すことにより、腸腰筋群を鍛えることも可能です。どちらからアプローチしてもいいと思いますが、やはり効果的なのは先に腸腰筋群を鍛えてしまうことだと思います。
ステイバック打法を身につけ、打率と飛距離の両方をアップさせるためにも、腸腰筋群を鍛えてみてください。そうすればバッティングだけではなく、運動動作そのものも全体的に向上していくはずです。
- 運動能力が高い選手はプロアマ問わず腸腰筋群が発達している!
- 腸腰筋群が発達しているからスポーツ動作が安定する!
- 動作が安定するからこそ打撃成績も安定していく!
コラム筆者:カズコーチ(野球動作指導のプロ/2010年〜)
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