まず日本の金属バットは、とにかく飛距離を出せることを売り文句にして多数市販されています。スウィートスポットを外してもヒットになってしまうようなバットがたくさん存在しています。ビヨンドはもちろんですが、硬式野球用の金属バットでも同じことが言えます。木製バットと金属バットのスウィートスポットの広さは5〜20倍違うとプロ選手達も語っています。もちろん木製バットの方がスウィートスポットははるかに狭くなります。
金属バットに慣れすぎてしまうと、スウィートスポットに当てられなくてもヒットを打ててしまうので、本当に必要なヒッティングスキル(ミート力)を身に付けることができなくなります。超高校級スラッガーの多くがプロの壁に苦しむのも、これが原因の一つになっています。
ではアメリカではどうなのか?実はアメリカのリーグの多くでは金属バットに厳しい規制が設けられており、反発係数を木製バットと同レベルにしなければならないんです。つまり飛ぶ金属バットは使えないということです。スウィートスポットに関してはどうしても金属バットの方が多少広くなってしまうわけですが、それでも日本の金属バットと比較をすると、アメリカの金属バットのスウィートスポットはかなり狭く感じられます。このようなバット事情もあり、高校生・大学生が木製バットに持ち替えても、バットが変わったことで苦労する選手は日本よりもはるかに少ないんです。
ちなみにアメリカでは金属バットの打ち方に慣れている選手はハードメイプルという材質の木製バットを使います。打感がかなり固く、金属バットに近い感覚で打つことができるためです。ただしハードメイプルを扱うためには鍛え抜かれた体幹が必要ですので、金属バットの感覚が欲しい=ハードメイプルという選び方をしてしまうと、バットを扱い切れないケースも考えられます。
日本は軟式硬式問わず、とにかく遠くまで飛ばせるバットが人気です。しかしこれらのバットに慣れてしまうと本当に必要なヒッティングスキルが身につかないため、レベルが上がるほど通用しなくなってしまいます。日本人打者がほとんどメジャーで通用しないのも、このようなバットの規格の差が影響していると指摘されることがあります。
ですので将来的に野球を続けて、本当に良いバッターになりたいという目標があるのならば、少なくとも小中学生のうちは安くてそれほど飛距離の出ないバットを使うべきです。安いバットというのは、本当にジャストミートしなければ打球を遠くに飛ばすことができませんので、自然とスウィートスポットで打つ技術を養うことができます。
今後は軟式球の感触が硬式球に近づいて行くわけですが、これだけでは本当の意味で技術を硬式野球にシフトすることはできません。世界で通用する打者を育成するためには、多くの野球連盟が飛ぶバットを禁止していかなければ、世界で通用する打者を日本で生み出すことは今後も難しい状況が続くのではないでしょうか。
- 日本とアメリカでは金属バットの規格が違うってホント?!
- 日本は各メーカーが少しでも遠くへ飛ばせるバットを作る!
- 金属バットに近い打感のバットはハードメイプル!
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