「制球力アップ」と一致するもの

SLP理論を導入した際のメリット・デメリット

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まず上記の図をご覧ください。赤い点線がTeamKazオンライン野球塾が推奨するストライドラインです。そしてこのラインを用いて投げる動作を、TeamKazオンライン野球塾ではSLP理論と呼んでいます。ストライド・ライン・ピッチングの略です。

一般的には青い点線を用いてストライド(ステップ)していく投手も多いようですが、TeamKazオンライン野球塾が研究している限りでは、青いラインを使って投げると確かに体は楽になるのですが、しかし同時に体が開きやすくなるのです。右投手なら着地後の左膝が一塁側に割れてしまい、シュート回転しやすくなります。

一方赤い点線を用いて投げると、体は少しきつくなります。ですが体が開きにくくなるため、ストレートのバックスピンをきれいにかけられるようになり、伸びのあるお辞儀をしないストレートを投げられるようになります。

SLP理論というのは、この赤い点線を用いた投球理論となります。極力この両足で作るストライドライン上(赤い点線)で、手に握ったボールと軸脚骨盤を動かしていきます。そうすることによりボールの伸びだけではなく制球力もアップさせることができ、更には腕が遠回りしにくくなるため、肩や肘への負荷も大幅に軽減させることができます。

SLP理論を実際に投球動作内に導入していくためには、様々な細かい動作調整が必要となります。両肩関節の内旋外旋、肩甲骨の動かし方、胸郭の割り、骨盤の運び方、両股関節の内旋外旋、上半身と下半身の割りなどなど、書き出せば切りがなくなるほどたくさんの細かい動作です。ですがもちろん、それらをすべて完璧に使う必要はありません。完璧であればそれが一番であるわけですが、しかしそれ以上に大切なのは、最終的に自然な動作として投げられるかどうかです。

制球力という面で見ていくと、赤い点線を使っても青い点線を使っても、線が直線でなくなると制球力は大幅に低下してしまいます。ストライドラインが折れてしまうということは、曲がった矢を射ることや、軸棒が曲がっている竹とんぼを飛ばすのと同じことです。もしくは湾曲したバットでボールを打つ動作と同じと言うこともできます。当たり前すが、曲がった道具を使えばベストパフォーマンスを発揮することはできません。そして投手にとってこの道具となるのが、ストライドラインなのです。

ストライドラインは足部で作ります。つまりピラミッドであれば、一番下の段です。もしピラミッドの一番下の積み方がいびつであれば、それより上を安定させることはできませんよね。ピッチング動作もそれとまったく同じで、このストライドラインを最適化し、それを安定させることができなければ、足首から上を安定させることができません。ということは当然、制球力は低下してしまいます。

ちなみに上述した細かな動作調整ができないまま、ただ赤い点線だけを見てSLP理論を実践しようとしてしまうと、不自然な投げ方になってしまう恐れがあります。例えば握ったボールが遠回りしないように腕を変に縮ませてしまい、肘をロックさせて投げてしまうこともあります。肘をロックさせてしまうと、これは肘を痛める非常に大きな原因となってしまいます。ですのでSLP理論による投球動作を正しく身に付けるためにも、必ず適切な知識を持ったコーチの下で動作改善をしてください。例えばTeamKazオンライン野球塾のコーチと同じだけの投球動作知識を持っているコーチが身近にいれば、TeamKazオンライン野球塾のコーチングを受ける必要はないわけなのです。

しかし何十年も野球指導に携わっている方であっても、本当に正しい知識を持っている指導者は決して多くはありません。私たちも仕事柄、学生野球の指導者とお話をする機会も多いのですが、未だに20年前の技術理論で指導されている方がほとんどです。ですがスポーツ医学、スポーツ科学は日進月歩で進歩しています。指導者は、それらをしっかりと勉強する必要があります。

さて、話が少し逸れてしまいました。SLP理論を投球動作に導入すると制球力アップ、球威・球速のアップ、故障リスクの軽減といういくつものメリットがあるのです。今まで楽な投げ方をしていた投手にとっては少しきつい投球動作になるかもしれませんが、しかし導入して生じるデメリットはほとんどありません。大きなデメリットとすれば、これを適切に指導できるコーチが全国的にほとんどいない分、TeamKazオンライン野球塾の高額なコーチングを受けなければならないという点でしょうか。こればかりは申し訳ありませんが、どうぞご了承くださいませ。

ちなみにTeamKazオンライン野球塾でコーチングを担当するのは、最高の指導技術、知識を持った者のみです。アルバイトや経験の少ないコーチが指導を担当することは、一切ありません。

制球力というのは、投手にとっては何よりも重要な要素です。そしてこの制球力を向上させるための方法は多々あるわけですが、その中の一つに、常に同じポイントでボールをリリースする、というものがあります。しかしこの考え方は、半分は正解なのですが、半分は不正解なのです。正しくは、適切なアームスウィングで常に同じポイントでボールをリリースする、となります。

投手の腕の振り方は主に2種類あります。直線タイプと、弧線タイプです。どちらが制球力が安定し、さらに肩・肘に負荷がかからないかと言うと、これは絶対的に前者となります。弧線タイプの腕の振りで投げている投手で抜群の制球力を持つ投手はほとんどいません。

ちなみにプロ野球レベルで見ていくと、弧線タイプで投げている投手でも制球力の良い投手はいます。しかしその中でさらに、肩・肘を痛めていない投手を探してみると、ほとんど存在しないのです。弧線タイプの腕の振りで投げても、プロ選手のように尋常ではない回数のトレーニングを重ねれば、制球を安定させることができます。しかし尋常ではない回数肩・肘に負荷をかけてしまうことにより、ほとんど確実に肩・肘を痛めてしまうことになります。

弧線タイプとはハンマー投げのような遠心力が働いた投げ方で、直線タイプとは槍投げのような投げ方です。もっと具体的に説明をすると、直線タイプはトップの位置で、ボールとキャッチャーミットを見えない糸で結びます。そしてボールがその糸を通っていくような軌道で投げる投げ方です。投げたいポイントまでの軌道上でボールをリリースするため、多少リリースポイントが前後したとしても、大きく制球が乱れることはなくなります。

一方弧線タイプは、バケツ回しを想像してみてください。水の入ったバケツを持って腕をグルグル回すと、遠心力で水は落ちてきません。しかし遠心力が働いた弧線の軌道上でボールを投げてしまうと、リリースするタイミングが前後すると、ボールの発射角度が完全に変わってしまうのです。そのために制球が定まることがなくなるのです。

弧線タイプの腕の振りを、直線タイプに修正する作業は簡単ではありません。正しい知識を持たない選手が誤った方法で動作修正しようとすると、改善しようと試みているにも関わらず肩・肘を痛めてしまう結果にもなります。ですので弧線タイプのアームスウィングを、直線タイプに修正していく場合、必ず正しい知識を持ったコーチや指導者のアドバイスを聞きながら行うようにしてください。そうしなければ、投球動作に変な癖が染み込んでしまう場合もありますので、要注意です。

壁当ては努力家にとって最高の練習方法

今も昔も壁は、努力家の投手の最高の練習相手として存在しています。「壁当て」をしたことのない選手はほとんどいないのではないでしょうか?学校が終わり、宿題をしたら近所の壁にボールを投げに行く。その時壁にチョークでマークを付け、そこを狙って投げれば制球力アップの練習にも繋がります。これまでTeamKazオンライン野球塾でレッスンさせていただいた投手の中で「良い投手だな」と感じた選手のほとんどは壁当てを経験されていました。

夜間の壁当ては特に注意が必要!

でもこの壁当て、ちょっとだけ注意が必要なのです。特に夜間の壁当ては要注意です。もちろん民家の塀などは音が響いたりしますので近所迷惑に気を付けなければいけないわけですが、それ以外の公園や高架下などで行う壁当てには、別の注意点があるのです。それは「距離感」です。壁というのは二次元の存在です。自分の正面に横幅と高さだけを持って立っています。投手から見て奥行となる要素が存在しないため、標的が二次元になってしまうのです。すると投げる先を立体的に捉えることができず、距離感が狂ってしまうのです。

夜間暗くなると特にそれは顕著となります。二次元な上に明るさまで失われてしまうと、距離感は完全に狂ってしまいます。例えば投げる地点から壁までの距離を巻尺で正確に測ったとしても、体そのものが覚えている感覚を調整することは難しいのです。ここで結論を言うと、立体的に捉えられない対象物は、実際の距離よりも遠くにあるように感じてしまうのです。例え実際のマウンド~ホームプレートまでの距離を測って壁当てをしたとしても、実際には1~2m遠く感じてしまうことが多いんです。

距離感を掴めない壁当てをするとどうなるの?

では投げる対象(壁)を実際よりも遠く感じたとしたら、体はどのような反応を見せるでしょうか?その答えは、ボールが目標まで届くように必要以上に上に向けてリリースしてしまうようになります。ではボールを上に向けて投げるとどうなるでしょうか?試しにボールを真上に投げる動作をしてみてください。肘は両肩を結んだライン(肩線分)よりも大幅に下がってしまいますよね?もし体が勝手に反応してボールをやや上に向けてリリースしてしまうと、壁当てでも肘が下がってしまうのです。すると肩・肘を痛めてしまったり、ボールが高めに抜けてしまうようになります。

ボールが高めに抜け出すと、今度は低く投げようとして肘が上がり過ぎてしまいます。投球時の肘の高さは肩線分よりも下でも上でもいけません。あくまでも延長線上になければならないのです。これはオーバーハンドスローでもスリークォーターでも、サイドハンドスローでもアンダーハンドスローでも同じです。

壁当てのまとめ

ここで話をまとめさせていただくと、壁当てをする際には距離を縮めて行うことが大切ということになるのです。遠くても10mくらいで良いのではないでしょうか。10mくらいであれば、二次元の壁が相手でも薄暗い夜間であっても、ある程度正確な距離感を掴むことができます。そのため体が勝手に反応して、勝手にやや上に向けてリリースをすることや、必要以上に力を入れて投げることもなくなり、常に適切な投球動作で投球練習を行うことができるというわけです。

それでももし距離を伸ばして壁当てをされたいようでしたら、何か立体的に見えるものを置くようにしましょう。例えばホームセンターで売られているパイロンを置いたり、古タイヤを置いてその輪にボールを通す練習などはオススメです。とにかく大切なことは、壁当ての距離を伸ばす際は必ず的を三次元にするということです。そうすれば適切な距離感を保つことができ、不必要に力んで投げることはなくなります。

壁当ては近距離でペッパーのつもりで行おう!

三次元の的を作れない場合には、遠くても10mくらいの距離で、ペッパーだと思って壁当てをするようにしましょう。つまり投げたらすぐに内野手になり、捕球態勢を整えるということです。この練習であれば適切な投球動作は保たれ、さらには反射神経も養われ、守備練習と足腰の鍛錬にもつながります。これが一番オススメできる壁当てのやり方ですので、ぜひ試してみてください。