アーム式で投げると野球肘になりにくい、という嘘

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肘を先行させると野球肘になりやすいという考えは間違い

近頃アーム式の投げ方(カタパルト投法)が見直されているという話をよく耳にします。その理由としては、肘を先行させて投げると肘を痛めるリスクが高くなるからだそうです。しかしこの考え方は完全に間違いで、野球動作を科学的に勉強したことがない人たちの思い込みです。

肘を先行させて投げると肘への負荷が高まる、とだけ書くとこれは正しいとは言えませんが、確かに間違いではありません。しかし言い方を変えると、正しい肘の先行のさせ方をすれば肘に負荷はかからない、と言えます。肘を先行させると野球肘になりやすいと話す指導者は、間違った肘の先行のさせ方しか教えることができない人である、と判断して間違いないと思います。

肘を先行させないためにあえてアーム式で投げる、もしくはアーム式を直さない、というのは非常に危険なことです。肩関節や肩甲骨の可動域が広ければ広いほど、アーム式の投げ方では肩にかかる負荷が大きくなります。また、肩関節の内外旋の順番が間違っていれば、同時に肘へのストレスも高まります。

じゃあ可動域が狭ければアーム式でも良いのか、となると、体が硬ければそれはそれで怪我につながりますので、アーム式云々ではなく、野球をされるのであればスポーツを楽しむのに最低限必要な柔軟性は身に付けておくべきです。

アーム式では正しいオーバーハンドスローはできない?!

そしてアーム式の投げ方でオーバーハンドスローで投げようとすると、多くのケースで肘が高くなり過ぎてしまいます。投球時に肘が下がるのは良くない、ということはみなさんよくご存知だと思いますが、上がり過ぎても同じように良くないんです。

右投げであれば左肩・右肩・右肘を結んだ線分が一直線になっている必要があります。左投げなら右肩・左肩・左肘です。アーム式のオーバーハンドスローでこれを実現させようとすると、上半身をグラブ側にほぼ90度傾けていかなければ、純粋なオーバーハンドスローにはなりません。しかしこのような投げ方は物理的にはほとんど不可能です。

となると、どうしても肘を必要以上に高く上げることにより、上述の線分を上へ折り曲げていかなければ、アーム式の投げ方ではオーバーハンドスローにならなくなります。すると肩への負荷は、肘が下がっている時と同様に大きくなります。

「アーム式は野球肘になりにくい」という間違った思い込み

もちろんオーバーハンドスローではなく、スリークォーター以下の腕の高さであれば、アーム式でも肘を上げ過ぎずに投げることは可能です。しかし基本的には、ボールを投げる動作では肘が伸ばされている時間が短ければ短いほど、肩肘への負荷を抑えられるようになります。

もし子どもたちが「アーム式にすれば野球肘にならない」という話を聞き、アーム式で投げるようになってしまえば、必ず多くの子どもたちが野球肩になってしまうでしょう。そうならないためにも、野球に携わる大人たちは無責任に思い込みで情報発信をすることは避けなければなりません。

情報発信をするなら思い込みや経験則は一旦横に置いて、その情報が理論的に本当に正しいのか、理論的に説明がつくのか、ということを確認してからアウトプットしていくべきです。

「アーム式なら野球肘になりにくい」という考え方は100%間違いです。「内外旋の順番が正しい肘を先行させる投げ方なら野球肘になりにくい」なら、理論的に説明することができます。しかし「アーム式=野球肘になりにくい」という言葉は、理論的には間違いです。

エビデンスがまったくないアーム式に関する情報発信

代表的な選手1〜2名がアーム式で1〜2年怪我せずに活躍できた、というのはエビデンス(論拠)にはなりません。100名以上の選手を数年間観察し、それでもほとんどの選手がパフォーマンスがアップし、肩肘を痛めることもなかった、という状況であればそれはエビデンスになるかもしれません。

しかし近頃情報発信されることが増えた「アーム式=肘を痛めにくい」という考え方にはエビデンスが存在しておらず、無責任な情報発信だと言い切ることができます。アーム式で投げたい選手は投げれば良いと思います。しかし「野球肘にならないようにアーム式にする」という考え方は、絶対にしないように気をつけてください。

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コラム筆者:カズコーチ(野球動作指導のプロ/2010年〜)
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