昨年から今年にかけて、軟式のA号・B号はM号に、C号はJ号に変更されました。それぞれボールは少しずつ重くなり、さらに非常に硬くなりました。それに伴い体に当たった時の痛みも、旧軟式球よりも大きくなったと思います。軟式球の今回のメジャーチェンジは、軟式球をより硬式球に近付け、軟式野球から硬式野球へのシフトをしやすくするというものが1つの目的とされていました。しかし実際のところは、硬式野球の打ち方で打つことはまたできないようです。
硬式野球の打ち方とは、打球にバックスピンやトップスピンをかける打ち方のことです。確かに旧軟式球よりはスピンをかけやすくなりました。ノックのように細いバットで軽く振って飛ばしていく場合は、M号・J号にもある程度のスピンを与えられるようになりました。しかし普通のバットで普通に打っていく場合は、やはりボールがかなり潰れてしまうため、硬くなったとは言え、まだ硬式野球の打ち方で打つことはできません。
この写真は、小学4年生がJ号を打った瞬間のものです。小学4年生のスウィングであっても、これだけボールが潰れてしまうんです。時速0キロのティーバッティングでもこれだけ潰れてしまいますので、ピッチャーが投げたボールを打った際にはもっと潰れやすくなります。
ボールが潰れてしまうとバックスピンやトップスピンをかけることは非常に難しくなり、かけようとしてもボールが潰れた分歪な回転になり、内野フライやキャッチャーフライ、もしくはファールエリアに逃げていくゴロになってしまいます。ちなみにビヨンドなどの複合バットでは、バット側が潰れていくためスピンを与える打ち方はできません。
新しい軟式球をしばらく使ってみた感想としましては、硬式球に近づいたという実感はそれほどありません。確かに硬く重くなりましたが、それでもプレーしている実感としては、あくまでも軟式球であり、旧軟式球とほとんど大差はないというのが僕個人としての実感です。
やはりボールの中身が空洞になっている限りは、ゴムをどれだけ硬くしても、バットで叩いた際には必ず潰れてしまうと思います。これが準硬式球(中身が詰まった軟式球/H号)のような軟式球になれば、もう少し硬式野球に近い感触でプレーができると思います。しかし現状の新しい軟式球では、硬式野球と同じ感覚でプレーすることはできないため、今回のメジャーチェンジに大きな意味はなかったのではないか、というのが僕個人の感想でした。
バウンドはしなくなったけどスピンを与えることもできないので、確かに弱いゴロを捕球するという面では硬式野球に近づいたのかもしれませんが、それ以外の面ではまだまだ硬式野球とは別物であると考えた方が良さそうです。
- 硬式野球に近付けるために導入されたM号とJ号
- まだまだ硬式野球とは別の野球という実感の新軟式球
- 非力な選手が打ってもまだ潰れてしまうM号とJ号
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