ストラスバーグ投手の投球動作分析

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ワシントンナショナルズのスティーブン・ストラスバーグ投手は、類稀なる素晴らしいピッチャーです。大学時代にすでに100マイル(160キロ)をマークしているだけあり、躍動感を感じる瞬発力が利いた投球動作で投げています。しかしこの豪球が諸刃の剣となってしまっているのか、ストラスバーグ投手はメジャー1年目にトミージョン手術を受け、2015年の今季も肩の不調で降板してしまいました。

ストラスバーグ投手はなぜこんなにも肩肘の故障が多いのでしょうか?わたしは100マイルという球速以上に、投球動作に原因があると考えています。まず根本的に投球時、肘が下がっている点に目がいきます。これが特徴といえば特徴なのですが、やはり目視で下がっているとわかるというのは、下がり過ぎという評価になります。

ストラスバーグ投手の場合、胴体はオーバーハンドスローの使い方をしていて、スローイングアームはサイドハンド気味のスリークォーターになっています。これがストラスバーグ投手の肘が下がっている大きな要因です。やはり体の部位すべてで同じ動作を取れなければ、体への負荷はその分大きくなってしまいます。

そう考えるとストラスバーグ投手の場合、胴体をサイドハンドスローの角度に近づけるか、スローイングアームをオーバーハンドスローに近づけるか、という選択肢になってきます。ですがオーバーハンドスローで統一をすると、球速そのものは低下してしまいます。ストレートの伸びはアップするはずですが、100マイルという数字を出すのは難しくなるでしょう。そう考えると胴体をサイド気味のスリークォーターの角度に近づけていった方が、ストラスバーグ投手の魅力を損なわずに済むのかもしれません。

そしてもう1点、投球動作で気になるところがあります。それはフォロースルーです。フォロースルーとは、ボールを投げても使い切れなかった体内エネルギーを解放してあげるための非常に重要な動作です。しかしストラスバーグ投手の場合、そのフォロースルーの途中でブレーキをかけてしまっているのです。運動動作の中で最も大きな負荷がかかるのは、ブレーキをかける動作です。本来はエネルギーを解放しなければならない段階なのに、ブレーキをかけることによってそれができなくなり、体内に余ったエネルギーを体内に残したまま投球動作を終えることになっています。これが肩肘に大きな負荷となってしまっていると、わたしは考えています。

例えば同じライトハンダーのディグロム投手の投球動作を見てみましょう。


フォロースルーが途中で止まることなく、右手で左腰を触れるくらい長くフォロースルーを取ることにより、長い距離を使ってスローイングアームを徐々に減速させていっています。ストラスバーグ投手のフォロースルーと比較をすると、その違いは一目瞭然です。ディグロム投手もプロ入り直後にトミージョン手術を受けているのですが、これは長身投手のひとつの宿命とも言えます。長身で腕が長いとそれだけ大きな慣性モーメントが働くことになり、肘にかかる外反ストレスも大きななりがちです。ちなみにストラスバーグ投手もディグロム投手も193センチという長身です。

ストラスバーグ投手が今後、球威をそれほど低下させることなく故障のリスクを低下させるためには、体幹をサイドハンドスローの使い方に少し近づけることにより、相対的に肘を肩線分まで上げていくということと、フォロースルーをもっと長い距離を使って行うという2つが大きなポイントになるのではないでしょうか。このマイナーチェンジを実現させられれば、ストラスバーグ投手もきっと故障に強い投手に進化していけるはずです。

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