佐々木朗希投手のフォーム分析〜球界トップクラスの超理論的フォーム

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ページ更新日:2022年12月12日

完全試合達成!佐々木朗希投手のフォーム分析

佐々木朗希

2020年春、佐々木朗希投手のプロ入り1年目のフォームを見させていただき、一番心配だったのが肘に負荷がかかりそうな投球フォームだったという点ででした。高校時代の佐々木投手は実は僕はほとんど見たことがありませんでした。何となく知っている程度で、左脚を高く上げるということくらいしか知りませんでした。

ですが千葉ロッテマリーンズに入団されたことで、佐々木投手のフォームをじっくりと観察する機会を得ました。初めて見たのは入団した際の春季キャンプだったと思うのですが、このままの投げ方を続ければ、いつか必ず肘の内側を痛めるだろうな、という投げ方をしていました。

それから時が経ち、佐々木投手のモーションは随分と変わったように見えます。見た目のフォームに大きな変化はないと思うのですが、メカニクスとなるモーションの部分は、分かる人が見ればすぐに分かると思うのですが、プロ入り時とは比べられないくらい良いフォームに変わっています。

これだけ大きくモーションが変わったというのは、これは高卒1〜2年目の選手がひとりでできることではありません。間違いなく吉井理人コーチ(元千葉ロッテマリーンズ監督)の手腕によるものだと思われます。吉井コーチは日米を通じても、球界随一と言えるほどのコーディネーションスキル(動作改善の専門スキル)を持った超理論派コーチです。

完全試合を達成した際のフォームを見ても、入団1年目の時よりもはるかに肘への負荷が小さいフォームになっていました。佐々木投手はドラフトでパ・リーグ4球団から1位指名を受けたわけですが、吉井コーチが在籍していたマリーンズに入団したことは、最善のオプションだったと言って良いと思います。

慣性モーメントが非常に小さくなった3年目のフォーム

一般的には慣性モーメントが大きくなった方が良いボールを投げられるようになる、と言われていますが、これは人体力学という観点から科学的に見ていくと実は間違いです。慣性モーメントとは、平たく言うと遠心力を大きくして腕を強く振る、というような説明になるのですが、遠心力は投球フォームからできるだけ排除したい要素だと言えます。

ちなみに未だに慣性モーメントに頼って投げてしまっているのが元阪神タイガースの藤浪晋太郎投手です。藤浪投手も佐々木投手同様に長身の投手であるわけですが、長身投手の場合はスケール効果が大きくなり、一般的な選手よりも慣性モーメントが大きくなります。これが藤浪投手が未だに不安定なピッチングを続けている最たる原因です。おそらくタイガースには吉井コーチのような理論派コーチが在籍していないのでしょう。

スケール効果
ピッチングの場合、長身選手ほど腕が長くなり、その長い腕にかかる遠心力が大きくなりやすく、小柄な投手の場合は腕が長くはなく、遠心力もかかりにくい状態のこと。腕が長ければ長いほどスケール効果が大きくなり、自分の身体を自由自在に動かすことが難しくなる。

佐々木投手にしても、もし吉井コーチとの出会いがなければ、もしかしたら藤浪投手のようになっていたかもしれません。しかし吉井コーチのコーディネートのおかげで、スケール効果が大きな佐々木投手であっても、慣性モーメントを最小限に抑えることができています。言い換えると、遠心力ではなく求心力で投げるとても良いフォームになっているということです。

ただし佐々木投手の求心力は、求心力を使える他の投手よりもやや強すぎるため、ストレートのリリースが中指の薬指側に行きやすくなります。その結果若干シュート回転しやすいフォームであると見ることもできるのですが、しかし球速が速く回転数そのものも非常に多いため、実際にシュートする前にボールがキャッチャーミットに収まっていることも多いようです。ただし最速付近に至っていないストレートの場合は実際にシュートしています。右打者にとって真ん中から食い込んでくるこのボールは脅威となりますが、左打者をしっかりと抑えるためには、将来的にはこのシュート回転はなくしていきたいところです。

佐々木投手のフォームをじっくり見ていただくと分かると思うのですが、スローイングアームがまったく遠回りしていません。その結果、投げるボールの角度も非常に浅くなっています。一般的には角度を付けた方が打者は打ちにくいと言われていますが、これは身長が2メートル近くある投手に限った話です。185cm以下の投手が角度を付けたとしても、打者からするとその角度はボールとの距離を測りやすい要素になってしまい、タイミングを合わされやすくなります。逆に埼玉西武ライオンズの平良海馬投手のように、プロ野球選手としては低い身長から重心を下げて投げられるようになると、非常に小さい発射角度でボールがリリースされるようになり、打者としては非常にタイミングを合わせにくくなります。

佐々木投手の場合は長い腕で角度が付きそうなものなのですが、スクロールモーションと骨盤の使い方が非常に上手いため、慣性モーメントを最小限に抑えることができ、発射角度が付きにくくなっています。これもプロ入り時とは変わってきていることですので、やはり吉井コーチのコーディネートの影響なのかもしれません。

上述の通り、ボールに発射角度が付いていないと、打者はボールとの距離感を測ることができなくなります。するとタイミングを合わせにくくなり、例えばホークスの和田毅投手のように球速を抑えたとしても簡単に打者を差し込めるようになります。ですが佐々木投手の場合はストレートのアベレージそのものが高速であるため、打者としては手も足も出なくなってしまうわけです。

ピッチャーズプレートの真ん中からホームプレートの真ん中を結ぶ一本の線を想像してみてください。佐々木投手が手に握っているボールは、その線からほとんどはみ出すことがありません。この線のことをストライドラインと呼ぶのですが、僕は2010年にプロコーチに転身して以来、このSLP理論(ストライド・ライン・ピッチング)に則ったコーチングをし続けています。つまり遠心力ではなくて求心力によってボールを投げるフォームのことで、肩肘への負荷を軽減させながら、球速と制球力をアップさせられる技術のことです。

野球動作を科学的に学んでいくと、必ずこの理論にたどり着くんです。吉井理人コーチの理論も、根底部分では僕の理論とまったく同じだと言えます。いえ、逆ですね、僕の理論は根底的には吉井コーチとまったく同じです。慣性モーメントを小さくし、求心力を使ってストライドライン上でボールを加速させてリリースし、角度のないボールを投げられるフォーム。これができている佐々木投手は、今日メジャーリーグに渡ったとしても短期的には十分通用するレベルだと断言できます。ただし長期的に活躍するためには、さらなる技術力の向上と、自らのパフォーマンスの高さに耐えられる身体の強度が必要になると思われます。

佐々木朗希投手の右肘に大きな負荷をかける諸刃の剣フォークボール

ただし、佐々木朗希投手のフォームが明らかに改善されているとは言え、怪我をしにくい状況であるとは言い切れません。その大きな要因となっているのがフォークボールです。佐々木投手はスプリッターではなく、しっかりとボールを挟むタイプのフォークボールを投げています。

しかもかつてのロッテのエース故村田兆治投手のようにかなり深く挟んでいるフォークボールであるため、これは肘への負荷はかなり大きいと言えます。佐々木投手のこの球速でこのフォークボールを投げ続ければ、遅かれ早かれ右肘の内側を痛めることになるでしょう。

もちろん体作りによってこの肘の怪我を予防することはある程度は可能なわけですが、しかし残念ながら痛めるのは内側側副靱帯であり、筋肉ではありません。筋肉は鍛えることができるのですが、靭帯は鍛えて筋肉のように肥大させることはできません。そのため考え方としては、この靭帯周辺の筋力を鍛えることにより、保護していくしかないわけです。

肘の筋というのは、小指と中指から繋がっていきます。そのためボールを投げる際に小指と薬指に力が入れば入るほど肘がロックされやすくなり、肘がロックされると肩関節の適切な内外旋も行えなくなり、肘の内側にかかる外反ストレスも大きくなり、その外反ストレスによって内側側副靱帯が伸ばされてしまい損傷してしまいます。

フォークボールの握り方

フォークボールというのは人差し指と中指で挟んで投げるわけですが(写真を参照)、この2本の指でボールを挟んで力を加えてしまうと、人体の構造的に小指と薬指も同時に力ませることになってしまいます。つまりフォークボールは投げられると非常に大きな武器となるわけですが、逆に多投してしまうと肘を怪我してしまう諸刃の剣でもあるわけです。

こうして考えていくと、今後佐々木朗希投手が可能な限り肘を怪我せず投げ続けるためには、靭帯周辺に筋肉のプロテクションを増やすことと同時に、如何にしてフォークボールの割合を減らしながら打者にフォークボールを意識させられるか、ということになってくるのでしょう。

フォークボールは実際に投げなくても、打者に持っていると思わせるだけでも大きな武器となります。このようにフォークボールを使うことなくフォークボールを武器にできる投球術を磨くことができれば、佐々木投手の右肘も悲鳴を上げる前にリカバリーできるようになり、怪我することなく投げ続けることも可能になるはずです。

佐々木朗希投手は涌井秀章投手と同じレベルのスモーキー

そして佐々木投手のボールをさらに打ちにくくしているのが、スモーキースタイルです。投球フォームが進行する過程において、ボールが打者からほとんど見えない投手のことをスモーキーと呼び称賛するのですが、佐々木投手はまさにスモーキーです。煙の中から突然ボールが飛んでくるようなイメージを打者に与えられるピッチャーです。

これに関してもプロ入り時よりボールが打者に見えている時間が大幅に短くなっているため、吉井コーチのコーディネートが入ったのでしょう。これだけ良いフォームになっていると、球速があと15km/h遅かったとしても、佐々木投手は15勝することができるはずです。

スモーキーという話になると、近年は涌井秀章投手が日本ではトップクラスのスモーキーでした。佐々木投手は、すでに全盛期の涌井投手と同じレベルのスモーキーであると言えます。涌井投手の場合は2019年に1年間だけマリーンズで吉井コーチとチームメイトになっているのですが、しかし涌井投手はライオンズ時代からその投げ方ですので、涌井投手の場合は吉井コーチの影響でスモーキーになったわけではありません。彼の場合は独自に研究をしてスモーキーピッチャーになりました。

吉井コーチというのは、僕の印象ではあまり率先してあれこれ選手に教え込むことのないコーチです。選手に聞かれればいくらでも答えるけど、聞かれなければ余程じゃなければ吉井コーチからあれこれフォームに関する指導はしない、これが僕が吉井コーチに抱いた印象でした。

そのような吉井コーチの下でこれだけモーションが変わってきたということは、佐々木投手が吉井コーチを信頼し、あれこれ質問をしながら吉井コーチから理論を学び、2年かけていくつもの技術を身につけたということなのでしょう。しかし吉井コーチの理論は、選手側に理解力がなければとても難しく感じると思います。そう考えると、佐々木投手は体だけではなく、高校までに頭脳もしっかりと鍛えていたタイプの選手だと言えるのではないでしょうか。

僕自身2010年以降、プロアマ合わせて1,500人以上の選手のパーソナルコーチングを担当してきましたが、国語力がある選手はどんどん上達していきますが、国語力が低い選手の上達速度はなかなか上がっていかないことが常でした。そういう意味では佐々木投手は身体能力だけに頼って野球をするのではなく、しっかりと頭でも学び、正しい情報を取捨選択するスキルも持っているのだと思います。

実は渡辺久信投手とも共通点の多い佐々木朗希投手

さて、佐々木投手のフォームなのですが、僕から見ると全盛期の渡辺久信投手にそっくりです。渡辺久信投手の筋肉は非常に柔らかく、疲労も残りにくい体質でした。その柔らかい筋肉を効率的に使い、ダイナミックでありながらコンパクトな投げ方をしています。

左脚を上げた際の膝の角度こそ違えど、左脚の上げ方と下ろし方、セパレーションからテイクバックにかけての間で一度右肘を伸ばす形、左腕の使い方、フィニッシュの形、慣性モーメントの小ささなどなど、佐々木朗希投手と渡辺久信現埼玉西武ライオンズGMのフォームはそっくりです。見た目のフォーム云々ではなく、モーションに多数の共通点があるんです。

佐々木投手も柔軟性が非常に高い選手です。開脚も180°開くことができます。柔軟性の高さは怪我を防ぐと言われるわけですが、それに加えてパフォーマンスもより高いレベルに持っていきやすくなります。もし佐々木投手の柔軟性が平均的であれば、吉井コーチの理論をこれだけ高いレベルで習得することもできなかったはずです。

プロ入り時と比較して、今習得できているスキルはどれもレベルが高いものばかりです。スモーキースタイルにしても、もし難易度が高くなければどのピッチャーもスモーキースタイルで投げているはずです。しかし実際12球団を見渡しても、スモーキーと呼べる投手は数えるほどしかいません。

慣性モーメントにしても、185cm以下の投手であっても大きいまま投げているプロ野球選手がほとんどです。このような状況であるからこそ、エース級になれる投手も非常に少なくなってくるわけです。プロ野球選手は、全員が全員高いレベルのモーションを身につけているわけではありません。プロ野球であっても、未だ身体能力だけに頼ってプレーしている選手が大半であり、吉井コーチのように科学的根拠に基づくコーディネートができるコーチもほとんどいないのが実情です。一方アメリカには科学的に野球動作を学んでいる理論派コーチは大勢います。

実に理に適っている佐々木投手の左脚の上げ方

佐々木投手は、まるで漫画の主人公のように左靴を胸の高さまで上げるフォームをインストールしています。これを批判する野球解説者も大勢いらっしゃるわけですが、しかしこのフリーフットの作り方は球速をアップさせるためには非常に理に適った形だと言えます。

球速をアップさせるためにはいくつかの要素があるのですが、その中でも位置エネルギーというものも重要になってきます。位置エネルギーとは、物が地面に落下した際の衝撃の大きさのことなのですが、位置エネルギーが大きくなればなるほど、並進エネルギーから繋がってくる回転エネルギーを増幅させやすくなり、球速をアップさせることができます。

一般的な投手の場合、フリーフットを高く作っても膝は伸ばさないため、靴はせいぜいベルトの高さまでしか上がっていきません。しかし佐々木投手の場合は胸や肩の高さまで上がります。ベルトの高さから物を落下させた時よりも、胸の高さから落下させた時の方が地面に落ちた際の衝撃、つまり位置エネルギーは大きくなります。

プロ野球の一流レベルのランディング(振り上げたスパイクをステップして着地させる動作)は最大5〜7Gかかっているというリサーチがあります。地球上の重力は1Gですので、5〜7倍の重力がランディングにかかるということです。佐々木投手の場合は左靴が胸の高さまで上がっていくため、このG(Gravity)が一般的な投手よりも大幅に大きくなり、その位置エネルギーを球速アップに繋げることができています。

野球解説者の中には「この脚の上げ方は無駄」と言い切る人もいるほどですが、そう言えるというのは、野球理論をまったく勉強されたことがないということですので、そのような野球解説者の話は真面目に聞かない方が無難です。

佐々木投手のこの高々と上げるフリーフットは、体力の低下が見え始める30代後半まではやめる必要はないと思います。プロとして体力の低下が見え始めた時はこの脚の上げ方を再考しても良いのかもしれませんが、しかしそれはまだ15年以上先の話です。

実際に上に曲がるようになるかもしれない佐々木朗希投手のストレート

佐々木投手が投げるストレートの回転数は公式の数字は発表されていないのですが、プロ1年目は2,300rpm程度だと言われていました。これがプロ3年目になると、2,500〜2,600rpmに増えてきたと伝える専門家も出てきました。藤川球児投手の全盛期の回転数が2,700rpmですので、先発投手である佐々木投手のストレートが、スーパーリリーフ投手のその数値に近いレベルになっているということです。ちなみに2,700rpmというのは、メジャーリーグでもトップクラスの回転数です。
※ rpmとは、1分間あたりに回転する回数のこと。1秒間あたりならrpsで表記

ストレートの伸びを向上させるためにはボールにかかる空気抵抗要素が重要になってきます。この空気抵抗は、ボールの速度が150km/hになった時にボールの重さ1個分になります。

そしてマグナス力というものは、球速が120km/hを超えてくると一度大幅に低下し始めます。そして160km/hを超えてくるとまたマグナス力は戻り始め、170km/h以上になると空気抵抗を凌駕するマグナス力を産める可能性が出てきます。

球速が100〜110km/hだと空気抵抗がまだ小さく、回転数を増やせれば文字通りホップするストレートを投げることができます。しかし120km/hを超えてくると、ホップしているように見えるストレートを投げることはできるのですが、文字通りホップするボールを投げることは、物理的には不可能です。

しかしもし佐々木投手が将来170km/hを超すストレートを投げられるようになったら、もしかしたらストレートが実際にホップするようになるかもしれません。科学的には170km/hを超えてくれば、実際にホップするストレートを投げることが可能となります。これは夢が膨らみますね!

ちなみに人類最速のストレートを投げたのはスティーブ・ダルコウスキー投手という、1950年代のオリオールズの投手でした。この時は試合ではなく、練習中に計測された数値なのですが、184km/hという数値だったそうです。ただし制球力がまったくなかったため、メジャーで活躍することはできませんでした。

ですが佐々木投手には完全試合を達成できる制球力と、164km/hを計測するストレートがあります。そして佐々木投手はまだまだ発展途上の投手です。もしかしたら将来は170km/hに届くストレートを投げられるようになり、文字通り上に曲がるストレートを投げるようになるかもしれません。上述した通り170km/hを超えてくると物理的にホップさせることも可能になってくるため、これは決して夢物語ではないわけです。

佐々木朗希投手の投球フォームに関するまとめ

今現在のピッチャーとしてのレベルは、大谷翔平投手よりも佐々木朗希投手の方が上だと僕は思います。それは決して完全試合を達成したからではなく、これだけの長身なのに慣性モーメントが非常に小さく、求心力で投げることができているためです。慣性モーメントの小ささと、求心力の強さは、大谷投手よりも佐々木投手の方が圧倒的に上です。その結果投げるボールに角度がなくなり、打者目線からのアンギュラーベロシティ(投球を目視で追い続けられる角度)がさらに狭くなってボールとの距離感を測れなくなり、タイミングを合わせられなくなります。

160km/hのストレートであっても、タイミングをとりやすいボールでは無意味です。例えば180km/hのバッティングマシンであっても、目が慣れてくればマシンは一定のリズムでしか投げてきませんので、中学生でも打てるようになります。150km/hを打てるバッティングセンターは全国的には多数ありますが、その球速を涼しい顔で打っている女性も同様に少なくありません。

しかし佐々木投手のストレートには角度がなく、あらゆるコースに複数の球種がスモーキーに制球されてきますので、タイミングを合わせるのが非常に困難なのです。特にリリースポイントからできるだけ長くボールを見続けようとする打者は、アンギュラーベロシティが大幅に狭くなることにより、ほとんどミートできなくなります。

佐々木投手を攻略するためには、イチロー選手の目線の使い方が必要です。つまりリリースされた瞬間に球種とコースを予測してすぐにボールから目を切り、目線をミートポイントに置いた状態でボールが来るのを待って打つ打ち方です。これができなければ、佐々木投手のボールを安定的にヒットさせていくことはできないと僕は考えています。

そう考えると見てみたかったですね、佐々木朗希投手と2004年にメジャーで262安打を記録したイチロー選手との対決を。

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