長身投手が大成するために必要な技術

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以前「長身じゃない方が投手として大成しやすい」というコラムを書きましたが、これはもちろん長身投手は大成できないという内容の記事ではありません。190cmを越えるような長身投手の場合、180cm前後の投手と比較をすると、故障のリスクを軽減し同時にパフォーマンスを向上させるためには、より高度な技術が必要になってくるのです。

ダルビッシュ投手のように長身の割にそれほど腕が長くないような特殊な場合を除き、長身選手は一般的に手足が長くなります。腕が長いということだけを見ていっても、長身で腕が長い投手の場合慣性モーメントが大きくなります。慣性モーメントとは運動軸と、手に握ったボールの間の距離のことで、この距離が遠くなるほど肩肘への負荷は高まりやすく、投球をコントロールすることも難しくなります。

長身投手が故障のリスクを軽減させ、パフォーマンスをアップさせるためには、手に握ったボールを運動軸(脊柱軸とは別)に近づけられる動作を習得する必要があります。例えばランディ・ジョンソン投手は208cmという長身で、若い頃はノーコンで有名な投手でした。しかしトム・ハウスという名コーチの指導を受け、慣性モーメントを小さくするための動作を習得することにより、故障も少なくメジャーで通算303勝を挙げる大投手へと進化していきました。

日本にも長身投手はたくさんいますが、指導者が指導方法を誤ってしまうと慣性モーメントが大きいままの投球動作になってしまい、パフォーマンスが安定しなくなります。速いボールを投げられたとしても、思ったところに思うようなボールを投げられない投手になってしまいます。

長身投手の場合、慣性モーメントを小さくし、その上で長い手足を活かした投球動作を習得することができれば、これは非常に大きな武器となります。例えば大谷翔平投手藤浪晋太郎投手のように、長身でも高いパフォーマンスを発揮できるようになります。つまり「長身」というのは投手にとっては諸刃の剣というわけなのです。高い技術を習得できれば長身を活かすことができ、習得できなければ故障しやすくパフォーマンスも低下してしまいます。この差が一般的な身長の投手よりも極端になりやすいのが、長身投手ということになります。

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