パワーポジションでの指導が多い日本の少年野球チームの現状

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皆さんはパワーポジションという投球動作用語を聞いたことがあるでしょうか?トップポジションという言葉は聞いたことがあると思いますが、パワーポジションという言葉を聞いたことがある方は、日本では少ないのではないでしょうか?


トップポジションという言葉は、投手育成コラムではこれまで数え切れないほど登場してきました。しかしパワーポジションという言葉は初登場です。と言いますのは、あまりオススメしたくない動作だからです。トップポジションの復習をしておきますと、コックアップをし終えた後に肩関節が最大限外旋したところをトップポジションと言います。このトップポジションの形になって、初めて腕がしなっているように見えるようになります。

一方パワーポジションとは、コックアップし終えた後、肩関節を内旋させて、肘の内角を90°よりもやや広く伸ばした形のことを言います。パワーポジションは、メジャーリーガーを数多く指導しているアメリカ人パーソナルコーチが推奨している、パワーボールを投げるためのモーションなのです。でもわたしは絶対に推奨しません。

日本の少年野球でも、パワーポジションに近い形が指導されているケースが非常に多く見受けられます。しかしもちろん、少年野球のコーチたちがパワーポジションのメカニクスを理解していることはないと思います。パワーポジション、もしくはそれに近い形、つまりコックアップを終えたポイントで肩関節を内旋させてからアクセラレーション(加速期)に入ってしまうと、肘の内側が強制的に伸ばされる状態になってしまうんです。

肘の内側、つまり内側側副靱帯ですね。野球肘と呼ばれる症状のほとんどはこの内側側副靱帯の損傷です。そしてトミー・ジョン手術もこの内側側副靱帯を修復するための手術です。

パワーポジションを作ると、確かに力に頼りやすくなるため、初速をアップさせることができます。しかし終速もアップするかと言えばそんなことはありません。もちろん相対的には多少はアップするかもしれませんが、パワーポジションでアップさせられるのはほとんど初速だけです。

メジャーリーガーのように160キロ前後のボールを投げられれば、そのままの勢いをある程度はキャッチャーミットまで維持することができます。しかし140キロ以下、特に小中学生の球速程度では、初速と終速の差は広がるばかりとなってしまいます。つまり失速して打ちやすいストレート、ということですね。しかも肘を痛めるリスクが非常に大きい!!

簡単にトミー・ジョン手術を受けられるメジャーリーガーで、内側側副靱帯への大きな負荷を承知した上でパワーポジションを作るのならば良いと思います。しかしそうでない場合はパワーポジションではなく、トップポジションを作るべきです。トップポジションは、パワーポジションほど初速はアップさせられませんが、ボールの回転数を増やしやすいため、初速と終速の差が小さくなります。その結果、仮に球速が遅かったとしても空振りを取れる伸びのあるストレートを投げられるようになります。

しかもトップポジションを良い形で作ることができると、肘への負荷はほとんどなくなります。なぜなら肘が伸ばされる瞬間がなくなるからです。筋肉や靭帯の損傷は、それらが伸ばされた時に起こります。良いトップポジションを作ることができれば肘が伸びなくなりますので、肘への負荷はほとんどなくなり、野球肘になるリスクも最小限に抑えられるようになります。

野球をやる上でとにかく一番大事なことは、怪我をしない、させないということです。そのためにも特に少年野球チームのコーチはパワーポジションではなく、トップポジションを使った投球・送球モーションを子どもたちに指導すべきだとわたしは考えています。
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