前脚を振り上げたら、ステップする前に股関節を締めよう

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男性は女性に比べると、O脚(がに股)の割合が高くなります。両脚がO脚である場合もあれば、片脚だけがO脚の場合もあります。O脚はすなわちアライメントの歪みということになるので、メリットはほとんどありません。例えば右投手の右脚がO脚であれば、プレートに対し足を水平に置きにくくなってしまいます。O脚の投手はそれだけではなく、骨盤や股関節も適切に動かせなくなる傾向があります。アライメントが正常であればできることも、O脚であるばかりにできなくなってしまうのです。

O脚の投手は骨盤が開き気味にあります。骨盤が開いた状態では、タメのある良いモーションでボールを投げることはできませんし、右投手の場合左肩も開きやすくなり、打者にボールを見極められやすくなります。このような投手は、アライメントを改善させることと同時に、投球動作に工夫をしていく必要があります。

O脚の投手が骨盤や股関節をしっかり使うためには、まずは骨盤を閉ざすための動作が必要となります。とは言え実はこれ、O脚の投手だけではなく、アライメントが正常の投手にとっても大切なことです。右投手の場合、左脚を振り上げてボールを投げます。この振り上げた左脚がトップに来て、そこからステップしていく動作に入る寸前、両股関節を内旋させ、内股の状態(足の付け根をキュッと締める)にさせるのです。すると動作内にタメを作ることができ、体が開きにくくなるばかりか、安定して広いステップをキープしやすくなります。

広いステップをキープしやすくなるということは、球威が衰えにくくなり、肘も下がりにくくなるということになります。投手にとってはメリットばかりです。しかしできない投手は、たったこれだけの動作ができないということも決して珍しくはありません。そんな投手は、まずゴムボールを1つ用意してください。そのゴムボールを椅子に座った状態で両膝に挟み、股関節を動かすことで繰り返し潰してください。このトレーニングにより股関節から内転筋の筋力が鍛えられ、股関節の動きをコントロールしやすくなります。

膝でボールを潰す動作が楽にできるようになったら、次はアウフバウトレーニングにもチャレンジしていきましょう。股関節は肩関節同様に重要な関節です。人間の体にはたくさんの関節がありますが、ボール&ソケットと呼ばれ、回旋動作が可能なのは両股関節と両肩のたった4つの関節だけなのです。適切な動作でピッチングを行なうためには、この4つの関節を適切に回旋させて使っていく必要があります。それができないと、例えば股関節が回らないことで肩を余計に回す必要が生じ、野球肩を引き起こしてしまったりもするわけです。

股関節は柔軟性ばかりが注目されがちですが、股関節には強さも必要不可欠です。股関節を内旋させた状態でステップすることでタメを作り出し、切れのあるストレートが投げられるようになります。これができていない投手は、これができるようになるだけでも球威はアップするはずです。とても大切な動作ですので、ぜひこの機会にもう一度投球動作における股関節の動きを確認してみてください。

コラム筆者:カズコーチ(野球動作指導のプロ/2010年〜)
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