マネージャー/caretaker

日本ではタッチに登場する浅倉南ちゃんのような女子マネージャーのこと、普通にマネージャーと呼びます。でも英語ではマネージャーのことを manager と呼ぶことはありません。英語で manager というのは監督のことを指します。

近年は女子マネだけではなく、男子マネージャーの存在も増えてきましたね。このいわゆるマネージャーのことを、英語では caretaker と呼びます。つまり「世話係」ということですね。ちなみに caretaker はスターウォーズ/最後のジェダイでも登場しましたので、もしかしたらここ最近で耳にされたことがある方も多いかもしれませんね。

英語で「私は野球部のマネージャーです」と言いたい場合は、 I'm a caretaker of our baseball team. というふうになります。これが仮に I'm a maneger of our baseball team. となると、「私は野球部の監督です」という意味になります。

ベース/base

日本ではベースのことをキャンバスと呼んだりしますが、アメリカでベースのことを canvas と言ってもまったく通じません。これもやっぱり和製英語となります。日本ではベースがキャンバスで覆われていたことからキャンバスと呼ばれるようになりましたが、英語では普通にbaseと呼びます。

変わった呼び方としては the sack, the bag というニックネームもあります。日本でベースのことをキャンバスと呼ぶような感覚ですね。

ただ、特定の塁を指す時は first base, second base, third base となり、first sack, second bad とは言いません。

クッションボール/carom

日本ではフェンスに当たって跳ね返ってきたボールのことをクッションボールと言いますが、実はこれ野球用語ではなくて、ビリヤード用語なんです。なのでアメリカの野球場で cushion ball と言っても「?」という顔をされてしまいます。ビリヤード台の壁のことをクッションと呼ぶのですが、クッションに当てたボールのことをクッションボールと呼び、それに似ているために日本ではフェンスに当たったボールがクッションボールと呼ばれるようになりました。

野球のクッションボールは英語では carom と言います。これも実はビリヤード用語で、carom というのは手球(白い球)を2つの的球(番号が書かれた球)に続けて当てるプレーのことを言います。その用語が野球では、日本のクッションボールの意味で使われています。

例えば、
The left fielder fumbled a carom.
は、左翼手がクッションボールをお手玉した。という意味になります。

バックネット/backstop

キャッチャーの後方にあるネットのことを日本ではバックネットと言います。まさに後ろにあるネット、という意味ですね。しかしアメリカではバックネットとは呼ばず、backstop と呼びます。

日本の場合、スタンドの最前方にはバックスクリーン付近を除くほとんど球場一周に、防球ネットが張り巡らされています。ですので後方にあるネットのことをバックネットと呼ぶわけですが、アメリカの野球場にはバックネットしか張られていないんです。他の内野スタンド前方には防球ネットは張られていません。ですのであえてバックネットと呼ぶ必要はなく、backstop と呼ばれています。ちなみに他のスポーツでもこのようなネットは backstop と呼ばれます。

ですが近年、メジャーリーグ観戦者にファールボールが直撃するという事故が続いているため、今後は内野エリアにも防球ネットを張る可能性をメジャーリーグは示唆しています。ちなみに選手会側は、内野エリアにも早急にネットを張るべきだという意見であるようです。

確かに防球ネットが多すぎるとエキサイティング度合いが減ってしまうかもしれませんが、子どもやお年寄りも安心して野球観戦ができるように、やはり内野エリアにも日本のようにネットはあった方がいいのかもしれませんね。

シングルハンドキャッチ/one-handed catch

日本では片手でボールをキャッチすることをシングルハンドキャッチ、シングルキャッチ、逆シングルハンド、などと言ったりしますよね。一昔前までは「打球は両手で捕りなさい」という指導が当たり前でしたが、今は片手で捕って、捕球後にグラブに手を入れてボールを握る、という動き方が常識となっています。さて、このシングルハンドキャッチという言葉ですが、これも実は和製英語であり、アメリカでは通用しない野球用語の1つです。

英語では片手で捕球することを one-handed catch と言います。英語の single という単語のは「1つだけの」というニュアンスを持っています。つまり single hand catch となると、片手しかない人がキャッチする、というニュアンスになりかねません。手が2つあるうちの1つを使う、というニュアンスの場合は single ではなく、one という単語を使います。

ですので日本語で言うシングルハンドキャッチというのは、英語では one-handed catch となります。ちなみに逆シングルハンドキャッチは、backhanded catch となります。逆シングルでは両手で捕ることはしませんので、あえて「片手で」というニュアンスを含む必要はない、ということになります。

ブラッシュボール/brushback

それほど多く耳にする野球用語ではないと思いますが、投手が内角を攻めて、打者を仰け反らせて腰を引かせるボールのことを、日本ではブラッシュボールと言います。しかしこれも和製英語なんです。アメリカでブラッシュボールと言うと、お掃除グッズだと思われてしまうかもしれません。球体のブラシ、つまりタワシっぽい何か(笑)

英語ではブラッシュボールのことを、brushback と言います。brush という単語が使われているという意味では共通なのですが、その後がボールか、バックかになることで、意味が大きく変わってきてしまいます。

ちなみに内角をえぐるカミソリシュートのことを、アメリカでは Gillette と呼んだりします。Gillette とはアメリカのカミソリメーカーですので、ニュアンスは日本語と同じくカミソリボール、ということになります。ちなみに僕も Gillette 愛用者です。野球でもひげそりでも。

ファーストミット/first baseman's glove

日本では一塁手用のグラヴのことを、普通にファーストミットと呼んでいますが、でもアメリカではファースミットとは言わないんです。ミットはキャッチャーミットだけで、ファーストミットは、first baseman's glove と言います。分類の仕方としては、指5本をそれぞれ別の穴に入れるものをグラヴと呼び、親指+他の指というように2つに分けられているものをミットと呼びます。

キャッチャーミットは基本的には親指以外の指を入れる穴は分かれてはいません。レースで簡単に分けられている場合が多いと思います。ですがファーストミットの場合は必ず指5本を入れる5つの穴があるため、厳密にはミットではなくグラヴという扱いになります。

ファーストミットは、ややキャッチャーミットに形が似ているため日本ではミットと呼ばれていますが、厳密にはミットではなくグラヴという分類になりますので、国際試合に参加する可能性がある選手などは、知識として覚えておいてもいいかもしれませんね。

ゲームセット/game

日本語では試合終了のことをゲームセットという風に言いますが、アメリカの野球の試合ではこのような表現はしません。Game and set という、試合終了を意味する言葉はあるのですが、しかしこれはテニス用語であって野球では使いません。野球では単に"Gme!", "That's the game!", "The game is over!" という風に言います。

ちなみに Game set と言ってしまうと「試合設定」という意味になってしまうので、おそらく通じないと思います。Game and set であれば、テニス観戦をする方であれば試合終了の合図だと知っていますので、「野球の試合なのに変だなぁ」と違和感は持たれるとは思いますが、一応試合が終わったということを伝えることはできます。でも野球ではやはり "Game!" というコールで試合終了を宣言した方が自然ですね。

ウィニングショット/money pitch

日本ではよく決め球のことをウィニングショットと言ったります。Winning shot とアメリカ人に言って、通じる可能性もあるのですが、でもあまり使う言葉ではないため「?」という表情をする方が多いかもしれません。英語ではウィニングショットのことを money pitch や strikeout pitch と言います。

money pitch というのは、まさにプロ野球選手のための言葉ですね。「お金を得るための決め球」というニュアンスです。例えばかつてレッドソックスで活躍されたウェイクフィールド投手は、ナックルボールだけを投げ続け、そのナックルボールによって大金を稼いできました。ですのでウェイクフィールド投手にとっては、ナックルボールがまさに money pitch となるわけです。

メジャーリーグの解説を聞いていると、時々 bread-and-butter という言葉が耳に入ってきます。パンとバターという意味です。これは英語では「お金を稼ぐ」という比喩なわけですが、bread-and-butter pitch という言葉が耳に入ってきたら、それはウィニングショットという意味でアナウンサーは喋っています。決してピッチャーが空腹なわけではありません。

先頭打者/leadoff

日本語では先頭打者のことをトップバッターと言いますが、これもやはり和製英語なんです。英語で top batter と言うと、おそらく首位打者のことだと勘違いされると思います。英語では先頭打者のことを leadoff と言います。

leadoff には1番打者という意味があり、同時にイニングの先頭打者という意味もあります。リードオフマンという言葉は、近年は日本でも普通に使われていますので、野球中継などで聞いたことがある方も多いかもしれませんね。

leadoff には「最初の」とか「先頭の」という意味があります。ですので leadoff hitter となると、「最初のバッター」ということになるわけです。leadoff という言葉は野球以外でもけっこう使いますので、覚えておいてももちろん損はないと思います。