上半身の力を抜いてボールを投げるための一つのコツ

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杉内俊哉投手の投球動作を見ていると、非常にゆったりとしていて、リラックスできた形で投げていることがよく分かります。理想的な力の抜き方ですよね。ダルビッシュ有投手の投球動作もリリース手前まではゆったりと動いているように見えるのですが、リリースするか否かというタイミングになり急激に動作速度が速くなっています。これも程よく力が抜けているからこそ可能な理想的な形です。

皆さん理想に関しては十分ご理解されていると思います。体は極力リラックスし、上半身ではなく下半身の力を使って投げる。これは誰もが目指すところでありながらも、実際できている投手は非常に少ないというのが現状です。もちろんプロアマ問わずです。その理由は何故なのか?まず第一に考えられることは、リラックスすることと下半身をメインで使うことを適切に指導できる指導者が少ない、ということが考えられます。とは言えもちろん、少年野球などのボランティアコーチでは知識がないだけに、指導する技能がないのは仕方のないことです。

野球で名門と呼ばれる高校野球や大学野球の監督でさえも、それを指導できる技能を持っていない方が多いようです。そのため高校大学では資質を武器に大活躍できていた投手たちが、プロに入ると完全に鳴りを潜めてしまうケースが近年特に多いように感じられます。アマチュア時代には通用していたレベルも、資質だけでプレーをしてしまうとプロでは通用しないということになるのです。

さて、ではどのようにすれば杉内俊哉投手やダルビッシュ有のような理想的な投げ方に近付けることができるのでしょうか?その前に、何故分かっていても上半身に力が入ってしまうのだと思いますか?答えは単純です。上肢というのは脳と脊柱に非常に近いところにあります。そのため脳から出された指令も遂行しやすいのです。一方下肢というのは脳と脊柱から遠いところにあります。それにより脳からの指令が伝達される速度が遅くなってしまうわけなのです。このような理由から、下肢よりも上肢に意識を持っていくことの方が、人間にとっては楽なことと言うことができます。楽であるためにどうしてもそちらを選んでしまうのが、人体というものなのです。

ですので体のどこかに意識を集中させたい場合、それは必ず下肢に持っていくべきだとTeamKazオンライン野球塾では指導しています。上肢は放っておいてもいつでも意識することができます。しかし下肢に関してはそうは行きません。形状は異なりますが、足の指よりも手の指の方が遥かに器用ですよね?これもやはり手の指の方が脳・脊柱に近いためだと考えることができます。足の指だけを見てもそれだけ不器用なのですから、下肢には上肢の何倍もの意識を持っていかなければ、なかなか思い描く動作を取ることはできないということになります。

最初はぎこちない動きになってしまうかもしれませんが、最短でも2~4週間という時間を目安にして、下肢だけに意識を集中させる練習を試しに続けてみてください。2日や3日でできるようなことではありませんので、できる限り中長期というスパンで見ていくようにしてください。意識するポイントとしては、①足の指で地面を握る、②股関節を内旋させ内股を極力維持する。まずはこの2点、もしくはどちらか1点を意識するところから始めてみてください。

神経というのは使えば使うほど研ぎ澄まされます。今までは下肢に対する神経をあまり活性化できていなかった投手でも、意識を下肢に集中させることにより、その神経を活性化させていくことができます。そしてそれができ、下半身メインで投げられるようになるからこそ初めて、上半身を適切にリラックスさせることができるのです。結論として、下半身が安定していない状態で上半身をリラックスさせることはできません。ピラミッドと同じです。下の段が安定していなければ、上の段を安定させることは物理的に困難となります。

ただ意識するというアバウトな考え方では上手く行きません。ですので上記①と②を参考にし、具体的に下肢に意識を集中させていくようにしてください。

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