ウォームアップの目的は筋温を上げること
野球肩野球肘を予防するためには、肩肘を痛めにくい本当に正しいフォームを身につけることも大切ですが、それ以前にウォームアップをしっかりと行ってから投げるという習慣付けも大切です。ウォームアップを疎かにしてしまう選手は、意外と少なくないと思います。
ちなみにウォームアップの目的は体温を上げることではありません。上げたいのは体温ではなく筋温なんです。もちろん筋温が上がれば体温も上がるのですが、体温が上がったからといって筋温も上がるとは限らないのが難しいところです。
平均的には筋温は体温よりも2℃高くなり、運動に最適な筋温は39℃と言われています。つまり筋温が最適な温度になった時、体温は37℃になるということです。
キャッチボールはウォームアップではありません!
筋温を上げるためには、有酸素運動が最適です。ゆっくりと深く呼吸をしながら、息がそれほど上がらないペースで12分前後走ってみてください。そうすれば寒くても体が温まってきます。真冬でも少し汗ばむくらいになると、筋温が39℃くらいになってくる目安です。
12分ゆっくりと走ると、現役の中高生選手なら2kmは軽く走れるくらいだと思います。スポーツ選手にとってのウォームアップというのは、それくらいの内容になるわけで、2kmを余裕で走れないようでは野球選手としても上へは行けないということです。
10年前後前のことだったでしょうか。ベイスターズの春季キャンプを視察しに行ったことがありました。しかしその時投手陣で5kmを余裕で走れたのは当時まだ現役だった番長こと、三浦大輔投手だけでした。ベイスターズ投手陣のこの姿を見て、「横浜は今年もダメだな」と思ったものです。
話は逸れましたが、しっかりと筋温が温まるウォームアップをしなければ肩肘を痛めるリスクも高まるということです。キャッチボールをウォームアップと考えている選手も多いと思いますが、キャッチボールはウォームアップが済んだ後に行う肩慣らしであり、キャッチボールで肩を温めようとするから痛めやすくもなってしまうわけです。
筋温が下がってしまったらその日はもう投げないで!
筋温は、体温よりも上げるのに時間がかかります。体温だけならば食事をするだけで上げられます。しかし筋温は少し汗ばむくらいの量の有酸素運動が必要になります。ちなみにプロ野球選手の中には、湯船に浸かって体を芯から温めた後にウォームアップを始める、という念入りな選手も多数います。この習慣を真似することはプラスになると思います。
ただし注意してください。筋温は一度冷めてしまうと再度温め直すことは難しいんです。アマチュア野球だとダブルヘッダーで2試合とも投げさせられる投手がたまにいますが、筋温は、1試合目と2試合のインターバルで必ず一度冷えてしまいます。イニング間に冷えてしまうことだってあるでしょう。一度冷えて、そこから温め直して投げようとすると、これは非常に大きな負荷になり、肩を痛める大きな原因になってしまいます。
ですのでボールを投げながら一度筋温が下がってしまったら、その日はもう投げないのがベストです。肩に余計な負荷をかけないためには重要な対処法ですので、特に小中学生というまだ体が出来上がっていない世代を指導している監督コーチは、この点に十分注意する必要があります。
監督コーチに適切な知識があるだけでも、子どもたちの野球肩野球肘の多くを防げるようになります。しかし本格的な勉強をされている監督コーチは少数派というのが現実です。子どもたちの肩肘を守るためにも、大人たちがもう少し勉強してくれるようになると良いですね!
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