例えば遠心力と求心力という相対するエネルギーがあります。多くのピッチャーは遠心力を使ってボールを投げてしまっています。確かに遠心力を上手く使えると、初速の速いボールを投げることができます。しかしバックスピンをきれいにかけられず、回転数そのものも少なくなりやすいため、打者の手元で失速してしまう、初速と終速の差が大きいボールになってしまいます。
一方求心力を上手く使って投げられると、初速だけを見れば遠心力投げよりは少し速度は落ちます。しかし良いバックスピンで回転数を増やしやすくなるため、初速と終速の差が小さい伸びのあるストレートを投げられるようになります。そしてこの投げ方ができるようになると、ボールを浅い角度でリリースできるようになります。
遠心力投げだとボールが体から遠いところで動いていくため、リリース角度が深くなってしまいます。つまり斜め方向からストライクゾーンを狙わなければならず、コースに投げ分けるための難易度がそれだけで増してしまうのです。一方求心力投げだと、ピッチャーズプレートの真ん中とホームベースの真ん中を結んだ直線上、もしくはその直線に近い場所でボールを動かせるようになるため、コースに投げ分ける難易度が必要以上に上がることがなくなり、制球もしやすくなるのです。
実は遠心力という力は、腕を回してボールを投げる限り必ず生じてしまうものです。重要なのは遠心力を使わないようにするということではなく、遠心力を求心力によって相殺するということです。右投手なら右腕にかかった遠心力を、左手で生み出す求心力で相殺する、ということになります。これができるだけでも、制球力は目に見えて向上していくはずです。
こうして言葉で説明するのは簡単でも、実際に投球動作に導入するとなると意外と難しいことです。投球動作を適切な形で改善していきたいと悩んでいるようでしたら、ぜひTeamKazオンライン野球塾にご相談ください。投手育成コラムを書いているチーフコーチがあなたのパーソナルコーチングを担当させていただきます。
コラム筆者:カズコーチ(野球動作指導のプロ/2010年〜)
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