ストライクゾーンの四隅を突くために必要な真ん中に投げる技術

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ついに200記事目となった投手育成コラム。三度上記図に登場してもらおうと思います。TeamKazオンライン野球塾では赤い線を使って踏み出していくようにコーチングしているのですが、この図を見ると、一つ疑問が浮かび上がると思います。「これではど真ん中に投げることが前提になるではないか」という疑問です。もっともな疑問だと思いますが、しかし心配はご無用です。

まず、しっかりとした技術を持っている投手であればいつでもど真ん中にボールを投げ込むことはできます。しかしそれだけの技術がない投手の場合、ど真ん中を狙ってもど真ん中に行くことは少ないのではないでしょうか?ボールを投げる際は、まずは真ん中を狙ってしまっていいのです。むしろ、まずはしっかりと真ん中に投げられる技術を身に付けるべきなのです。最初から外角低めに投げることを前提にした形にしてしまうと、今度は内角に投げることが難しくなってしまいます。逆もまた然りです。

まず真ん中にしっかり投げられる形を作り、その上で左右上下に動かしていくのが制球力なのです。外角に投げる際も、内角に投げる際も、投球動作を変えてはいけません。そもそもそんなことをしていたら、良い打者ならばボールが来る前に投手がどこを狙って投げたのか分かってしまいます。ではどうすればいいのか?それは「意識」することです。

ど真ん中に投げるための形を作ることができれば、あとは意識だけでボールを左右上下に動かせるようになります。例えばキャッチャーが外角にミットを構えたとします。すると投手は当然そのミットを凝視し、意識は外角へと働いていきます。このように意識が外角に働いている状態で、狙って内角に投げることは、完全に投げ損なわない限りはできないことなのです。意識が外角に働いていれば、投球時に発生するベクトルは自然と外角へと傾いていき、ボールも自然と外角に行くようになるのです。

外角に投げるための形を作る必要などないのです。ど真ん中に投げるための形で、意識だけを外角に持って行ってあげればいいのです。例えば実際本当に赤い線の通りのコースにボールを投げたとします。そのボールのリリース角度を、1°外角に開いたとします。すると約18m先ではたった1°変えただけで、ど真ん中のボールが完全な外のボール球になってしまうのです。だからこそ内外上下のコントロールは動作を変えなくても、意識を働かせるだけで十分なのです。いえ、十分過ぎるのです。

例えばダルビッシュ投手のツーシームの例を挙げたいと思います。彼は右打者の内角にツーシーム(シュート)を投げる際、ボールの握り方だけを変えて、「内側に曲がれ!」と念じながらストレートと同じように腕を振っていきます。不思議と念じなければ内角に食い込まない甘いボールになるし、念じると右打者の懐をえぐるようなツーシームになるそうです。

ダルビッシュ投手の例を挙げても分かる通り、投手の制球力やボールの曲がり具合などは、意識を向けてあげるだけでも十分変えることができるのです。野球はスポーツの中でも特に成功率が低いスポーツです。プロ野球でずば抜けた制球力を持つ投手でさえ、本当に自分の投げたいところにキチッと投げられるのは投げたボールのうち僅かに3割程度です。この難易度の高い運動動作の難易度を、自らさらに高めてしまう必要はないと、TeamKazオンライン野球塾では考えています。

外角低めにしっかりと投げ切ることは、非常に難しいことです。そもそもど真ん中にしっかり投げ込めないような投手には、外角にしっかりと投げ込むことなどできません。ですがど真ん中にしっかり投げ込む技術さえ持っていれば、あとはほんの少し意識を向けてあげることで外角にも内角にも上にも下にも投げ分けられるようになる「前提」を身に付けられた、ということになるわけなのです。

皆さんは制球力には自信はありますか?もしなければ、まずはど真ん中に投げる技術を学び、身に付けてみてください。そこに達することができれば、内外上下にボールを振り分けることも、それほど難しいと感じることはなくなるはずです。少なくともストライクゾーンを左右上下に四分割した際、それぞれの枠にならばいつでも投げられるだけの制球力は身に付くはずです。試合でど真ん中に投げるわけにはいきませんが、しかし試合でど真ん中に投げてしまわないためには、練習時ならいつでもど真ん中に投げられるだけの技術が必要なのです。

算数で言えば、足し算ができなければ掛け算はできませんよね。それとまったく同じなのです。ど真ん中に投げられる技術がない投手には、外角低めや内角高めにしっかり投げ込むための技術を身に付けることなどできないのです。

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