ピッチャーの中には肩や肘が痛くても、練習を始めたり試合になると痛みがなくなる選手がいます。そういう選手の場合、どうしても休んだり、治療をするという発想が頭の中から消えてしまいます。やはり投げてみると大丈夫という状態であれば、投げたいと思うのがピッチャーです。でもこれは、非常に危険な状態です。絶対的な痛みがあるピッチャーの場合、監督やコーチが見ればすぐに痛みを我慢しているということが分かります。ですので監督やコーチの指示で治療に専念させることもできます。しかし練習や試合で痛みがなくなる選手の場合、監督やコーチは選手からの報告がない限り、なかなかその痛みに気づくことはできません。
痛みの原因は選手により様々です。そして痛みの具合も選手により様々。その具合によっては、身体が温まることによって痛みがなくなる場合も多々あります。練習の前後や普段の生活の中では痛みを感じていても、身体を動かし始めると痛みがなくなる。すると痛くないから投げてしまう。この状態を続けてしまうと、取り返しの付かない大怪我に繋がる可能性が出てきてしまいます。
練習や試合になると痛みがなくなる理由は、まず身体が温まることによって血流が良くなり、痛みが緩和されるということが考えられます。これは鎮痛剤バファリンの原理によく似ています。バファリンは血流を良くすることによって痛みを取り除くという効果を持っています。これが身体が温まると痛みがなくなるという理由です。
痛みがなくなる主な理由のもう1つには、アドレナリンというものがあります。試合になると当然アドレナリンが多量に分泌されます。このアドレナリンには痛みなどを取り除く効果などがあります。アドレナリンが分泌され始めると痛みは軽減されますが、分泌が少なくなり始めるとまた痛みが戻ってきます。
ちなみに僕は今年、本格的な花粉症になりました。3月、草野球で先発をしたのですが、試合が始まるまでは鼻水が止まらない状態でした。ですが試合が始まりマウンドに登ると、ピタッと鼻水が止まりました。これもアドレナリンが持つ特殊な効果の1つです。ちなみに試合が終わりアドレナリンの分泌が少なくなると、再びくしゃみが止まらなくなりました(苦笑)
アドレナリンの分泌量によっては、このように痛みが取り除かれたり花粉症が一時的に治ることがあります。ですが僕の花粉症の話の通り、アドレナリンの分泌が少なくなれば痛みは必ず戻ってきます。つまり見方を変えれば、痛みが感じられなくなっても患部が治っているわけではないのです。痛みがなかったとしても患部は傷ついたままです。痛みがなかったとしても傷ついた患部のまま投げ続ければ、肩や肘は悪化する一方です。
練習の前後は痛くても、練習中は痛くない。このような場合、例え痛くなくても絶対にピッチングなどを行ってはいけません。この状態でプレーを続けていれば、必ず常時痛みが取れない状態に悪化してしまいます。そうなってしまえば治るものも治らなくなります。選手生命を自ら縮めないためにも、痛みがある内はまず痛みを取り除くことだけに集中してください。プロ野球選手のように、痛みがあっても投げなければならない状況ならば話は別です。しかしアマチュア選手の場合は豊かな将来があります。それこそ痛みがなくなればプロ野球を目指せるようにもなります。豊かな将来を自ら閉ざさないためにも、痛みを感じたらまず痛みを取り除くことだけに集中してください。
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