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2012年07月18日

野球肩は硬い股関節が原因である場合が多い



Littlerockheartでは、これまで数多くの投手たちのコーチングを行ってきました。その中でつくづく感じることは、股関節が硬い投手が非常に多いということです。もちろん中には素晴しい柔軟性を持った投手もいるのですが、しかし9割方の投手たちは、股関節が正常であるとは言えません。そして肩痛を克服したくてコーチングのオファーをしてくれた投手に関して言えば、ほぼ100%が股関節が非常に硬い状態でした。

ここ数年、股関節や骨盤の重要性はあらゆるところで声高に叫ばれています。そのため股関節や骨盤を意識しているアスリートも多くなってはいます。ですが本当に正しい知識を持って股関節のトレーニングに取り組んでいる選手は、決して多くはありません。その中でも投手というポジションに限定して話を進めていくと、股関節の鍛錬を怠っている投手は、非常に高い確率で肩・肘を痛めてしまうことになります。

ではなぜ、股関節の不調が肩痛・肘痛を引き起こしてしまうのか?その理由は非常に簡単です。投球は、体の構造を上手く使い、捻る動作(関節の回旋動作)によって勢いを生み出し、ボールを高速で発射するという動作になります。そして捻るという動作に関しては、これは筋肉を捻るだけではありません。もっと言えば、捻るのは筋肉ではなくて関節なのです。その関節の中でももっとも重要なのが股関節となります。

右投手の場合、左脚を振り上げて投球動作をスタートさせて行きます。この左脚を振り上げた際、右股関節を内旋させることによって体に捻りを生み出さなければなりません。ですが股関節が硬い投手の場合はその動作を行うことができず、見た目は体を捻っているように見えたとしても、体のメカニズムという観点で見れば、捻りは生れていないということになります。そして股関節を使った捻りを生み出すことが出来なければ、ヒップ・ファースト・フォールで投球動作を進めていくこともできなくなります。つまりお尻から並進移動をしていくことができなくなるわけです。

股関節の内旋・外旋運動は、肩や肘、膝などと比べると決して大きな可動域を持っているわけではありません。そのために股関節をそれほど重視していない投手も多く見受けられるのですが、股関節は肩関節と同じくらい投手にとっては重要な関節となります。股関節を機能させて投球できない場合、股関節が使えていない分、投球に利用するためのエネルギーを必要なだけ確保することができなくなります。するとどうしてもスローイングアーム(ボールを投げる腕)を意識して強く振ることによってエネルギーを生み出そうとしてしまいます。

スローイングアームは、リリースするその瞬間以外はリラックスしている必要があります。ですが股関節で生み出せなかった分のエネルギーを補うためにスローイングアームを使ってしまうと、どうしてもリラックスすることはできなくなります。すると本来かかるはずじゃなかったストレスがスローイングアームにかかってしまうことになり、そのストレスは肩・肘に直結し、野球肩・野球肘という症状を発症させてしまうのです。

ピッチングという動作は、スローイングアーム主導で行ってはならない動作です。スローイングアーム主導でピッチングという動作を行ってしまうと、確実に上体の力に頼った投げ方になってしまいます。つまり体全体を満遍なく使って投げるのではなく、右投手ならば右腕の腕っ節によって投げる運動動作となってしまうのです。これでは肩・肘はまさに消耗品と化してしまいます。

肩・肘を消耗させないためにも、股関節をしっかりとコンディショニングする必要があるのです。ちなみに股関節は、硬過ぎてもいけないし、柔らか過ぎてもいけません。高い柔軟性は必要なのですが、そこに強度がなければ踏ん張りが利かなくなり、その場合もピッチングに股関節を適切に使うことはできなくなります。投手育成コラムでは以前、アウフバウトレーニングについて書いたことがありますが、アウフバウトレーニングはまさに股関節の柔軟性と強度を同時に獲得するためのトレーニング方法です。

肩肘にストレスを与えず、連投の利く投手になるためにも、股関節のコンディショニングは非常に重要な要素となります。アマチュア野球では公式戦の球数制限や登板制限が設けられていますが、しかしそれよりも重要なことは、野球界全体でもっと、股関節を含めたコンディショニングの重要性、そして投球動作に必要なメカニズムを考えていくことではないでしょうか。プロアマ問わず、野球界全体で正しい知識を共有することができれば、日本球界はさらなる高みを目指せるはずなのです。


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コラムカテゴリー:コンディショニング
コラム著:Coach Kaz
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