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2011年12月21日

打者の手元で伸びるストレートを投げるための原理


投手にとって、打者の手元で伸びるストレートを投げられるかどうかは、まさに投手として生命線です。ストレートに威力がなければ、いくらたくさん変化球を投げられたとしても意味はありません。なぜなら、変化球はみなさんご存知の通り、ストレートあってこその変化球なのです。

トム・ハウスというアメリカの投手コーチをご存知でしょうか?ノーラン・ライアンや、ランディ・ジョンソンを育て上げた敏腕投手コーチです。彼はその昔、打者の手元で伸びるストレートを投げられる投手たちを研究したことがありました。ストレートに伸びがあれば、打者はどうしても振り遅れてしまうし、打ったとしても打球は詰まってしまいます。1球でアウトを取れるということを考えれば、最低でも3球投げる必要のある三振を取る能力以上に、投手には必要な能力であると言えるかもしれません。

伸びのあるストレートに球速は関係ありません。球速という情報は、投手が投球をする以前に打者の頭の中に入っています。プロレベルであっても、130kmのストレートであっても打球を詰まらせることができます。オリックスなどで活躍された星野伸之投手は、まさにそのお手本ですよね。

ボールの回転数ももちろん影響するわけですが、しかしこれには投手それぞれにある程度の限界があります。松坂大輔投手や藤川球児投手のような高い回転数は誰にでも出せるものではありません。ここに主眼を置いてしまうと、星野伸之投手の130km以下のストレートにも伸びがあるという理屈も崩壊してしまいます。

さて、ここでハウスコーチが導き出した結論をお話しましょう。打者の手元で伸びるストレートを投げる方法はいたってシンプルなのです。それは、打者から見てリリースポイントを見極めにくい投げ方をすればいいだけなのです。たったこれだけのことで、球速も回転数も関係ありません。

人間の目は2つあります。これは、物体を三次元で見ることにより、その物体までの距離、移動速度を正確に知るためです。つまり、打者が見極めにくいリリースポイントとは、情報量の多い三次元よりも二次元であるということになります。人間の目は三次元による「立体視」が効果的に働くためには、物体が6~9mの距離まで近づく必要があります。しかし一般的な選手の立体視が効果的に働き出す6mと言えば、マウンドからホームプレートまでの18.44mの1/3を過ぎていることになります。限りなく二次元に近いリリースを行なうということは、このような生物学的観点から見ても、高い効果が期待できるということになるわけです。

バッティングマシンを思い浮かべてみてください。アーム式のものと、ローラー式のものがあります。アーム式は、ボールを乗せたアームが大きく弧を描くため、ボールがいつリリースされるかを正確に掴むことができます。つまりリリースポイントが縦・横・奥行きの三次元ということになります。一方のローラー式のものは、マシンにボールを入れてくれる人が合図を出してくれないと、いつボールが飛んでくるか打者には分かりません。この場合アームのように横の動きがなく、穴から突然ボールが飛び出してきます。二次元どころか、一次元と言えるかもしれませんね。そのため合図なしでローラー式から投げられるボールを打つことは、非常に困難となります。

しかし実際に試合で投げるのは生身の人間です。さすがに一次元でボールを投げることは出来ないし、もし出来たとしても恐らくボークを取られるでしょう。ではどうすればいいのか?それは、アーム式になっていた腕の振り方を改善するということです。

まずボールを握った手を後頭部に付けてください。これがいわゆるトップとなります。そして次に、後頭部につけたボールと、キャッチャーミットを見えない架空の糸で糸電話のように結んでください。それができたら、ボールの中心に糸が通るように、糸の軌道から外れないようにボールを投げる練習をしてみてください。

慣れない内は非常に難しいと思います。しかしこれこそが、トム・ハウスコーチが導き出した伸びのあるストレートの投げ方だと、僕は解釈しています。ボールはテイクバックされ、コッキングの終着点で、頭の後ろに隠れている状態となります(トップ)。この状態では打者からボールの位置は見えません。そのまま振り上げた前足が着地するまで、可能な限りトップを残します。そしてアクセラレーション(腕の加速)に入ったあとに、グラブをはめたリーディングアームをわき腹に力強くひきつけることにより、体をグラブ手側に傾けます。すると頭もボールの軌道上からは外れることになり、いよいよボールの通り道ができ、リリースを迎えます。

頭の後ろにずっと隠れていたボールが突然現れ、高速で飛んでくれば、打者は反応しきれなくなります。これこそが、手元で伸びを感じるストレートの正体なのです。このような投手のことを、「スモーキー」と呼びます。煙の中から突然ボールが飛んでくる、という意味です。星野伸之投手、和田毅投手、涌井秀章投手はまさにスモーキーです。ボールそのものの速度はビックリするようなものではありません。しかしそれでも打者は手元でボールに伸びを感じ、振り遅れてしまいます。

誰もがダルビッシュ投手のような剛速球を投げられるわけではありません。だからこそストレートの伸びを意識した投球練習が必要になるのです。ウォーレン・スパーンは「打者の仕事はタイミングを合わせることで、投手の仕事はそのタイミングを外すこと」という名言を残しています。伸びのあるストレートとはまさにこの言葉通り、打者にタイミングを合わせさせないための1つの技術なのです。いつリリースされるか分からないため、打者はタイミングを合わせることができないわけです。

150kmのストレートを目指すこともとても大切なことです。しかしそれ以上に大切なのは、打者がタイミングを合わせにくいボールを投げるということです。150kmのストレートを投げられても、それが打者にとってタイミングを合わせやすいボールであったならば、意味はないわけです。逆に130kmしか投げられなくても、打者がタイミングを合わせにくいボールであれば、打たれる可能性を最大限下げることができるのです。

勝てる投手になるためにも、スピードばかりに目をやるのではなく、「打者がタイミングを合わせにくい」伸びのあるストレートを投げることに主眼を置くようにしてみてください。


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コラム著:Coach Kaz
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