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2011年12月06日

制球力の良し悪しはハムストリングスが握っている


投手にとっての生命線はいまさら言うまでもなく、制球力です。150kmのストレートが投げられたとしても、それを制御するための制球力がなければ四球で自滅してしまうか、ど真ん中に入った150kmのストレートを痛打されてしまうだけです。現代野球ではアマチュア選手でも150kmというスピードを投げられる投手が多くなりました。そして150kmという速度を打てる打撃マシンが学生野球のグラウンドに用意されていることも珍しくはありません。つまりいくら速いボールを投げられたとしても、そのボールを自在に操れないようでは試合では通用しないということなのです。

投手育成コラムではこれまでも何度か制球力について書いてきましたが、今回はハムストリングスに焦点を当てて、制球力について考えていきたいと思います。

ハムストリングスとは、太ももの裏側にある太い筋肉のことです。このハムストリングスの状態が、制球力を大きく左右させることがあります。結論から言えば、ハムストリングスが硬い投手は、制球力が低い場合がほとんどだと言えます。

右投手の場合は左膝、左投手の場合は右膝を上手く使えるかで制球力の良し悪しは変わってきます。振り上げた前脚を着地させる時、どのように着地させるかによって、膝の使い方は自ずと決まってきます。この前脚の膝を上手く使えるかどうかも、実はハムストリングスの柔軟性にかかっているのです。

リリースからフォロースルーにかけて、前脚股関節を深く屈曲(前傾)させるほど、低目への制球力は向上し、ボールに切れも出てきます。そしてこの屈曲状態であるからこそ、前脚の膝に上手く体重が乗り、ボールの進行方向を上手く制御できるようになります。ですがこの時、もしハムストリングスが硬いと股関節の屈曲可動域に制限がかかってしまうんです。股関節を深く屈曲させたくても、ハムストリングスが伸びないために、その伸びないハムストリングスに後ろから引っ張られるように股関節の屈曲が止まってしまうのです。

股関節の屈曲が浅いと着地した膝が突っ張るようになり、棒立ちの状態で投球をしなければなりません。つまり、低いボールを投げようとしているのに、高い位置から投げざるをえなくなるわけです。この状態では当たり前ですが、低目への制球力は低下します。低めに良いボールを投げるためには、股関節を深く屈曲させ、ボールを可能な限り低い位置でリリースする必要があるのです。

ちなみにハムストリングスが硬い投手は、腰痛や背筋痛を引き起こす可能性が高くなりますので要注意です。

ジャックナイフ・ストレッチをご存知でしょうか?ストレートでグイグイ攻めていける投手を目指すのならば、ジャックナイフは毎日朝晩欠かさずに行なうようにしてください。やり方は以下の通りいたって簡単です。

① 良い姿勢で直立する
② 膝を曲げて、手で両足首を握る
③ 少しずつ膝を伸ばしていく
④ 少しずつ手のひらを床に近づけていく

たったこれだけです。普通の前屈と違うのは、膝を曲げた状態から始めるということです。ハムストリングスの硬い投手であっても、毎日継続すれば8~10週間でパームタッチ(手のひらが床にピッタリ着く状態)に到達することができます。最初は膝が少し曲がった状態でのパームタッチでも構いません。そこまで到達できたら、また少しずつ膝を真っ直ぐに伸ばせるパームタッチを目指していけば良いのです。

豪腕と呼ばれる投手の多くは、体に柔軟性が乏しいように感じられます。しかし30代を過ぎ、40代になっても現役を続けている投手たちは、プロアマ問わず体に柔軟性があります。長く質の高い野球を続けていくためには、体の柔軟性は絶対に必要なものです。極端な言い方をすれば、ウェイトトレーニングをしなかったとしても、ストレッチだけは毎日必要以上に時間を割くべきです。

例えばホークスの守護神である馬原孝浩投手は、毎日寝る前に1時間のストレッチを行なっているそうです。高みを目指している投手は、えてしてこのような地道な目立たない努力を決して怠らないものです。

制球力に自信のない投手は、まずハムストリングスの柔軟性を確認してみてください。そして今日からジャックナイフ・ストレッチを最低でも朝晩毎日続けるようにしましょう。1回につき、1ストレッチ10~20秒を3~4回行なうだけでも効果を得ることができます。これで制球力が向上するのなら、決して惜しくはない時間だと思いませんか?


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