大谷翔平投手の肘を守っているモータス社製のバンド

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最近よく見かけるモータスのバンド

最近メジャーリーグを見ていると、スローイングアームに黒いバンドを装着しているピッチャーをよく見かけます。これはメジャー30球団中27球団で導入されている、モータス社製の筋疲労値の測定器です。大谷翔平投手も付けていますね。ちなみにモータスは2020年2月に、かの有名なドライヴインベースボールに買収されました。

しかし僕はこのモータスをあまり信頼していません。コンセプトとしては、故障のリスクが高まる前に筋疲労値を見ながらパフォーマンスを抑え、故障を予防していく、というものなのですが、これにより27球団で故障者が目に見えて減っているようには見えません。

エンジニアによると、大谷投手の故障は筋疲労によるものであり、フォームが怪我に影響したという証拠はない、とのことでした。しかし僕は大谷投手のピッチングフォームに欠点がないとは思いません。

速いボールを投げるフォームと、怪我を防ぐことのできるフォームは同時に実現させられます。しかし大谷投手の場合はそれが同時実現させられていません。特にトップポジションへの入り方付近の肩関節の内外旋を見ていくと、決して理想的なフォームになっているとは言えず、肘の内側に負荷がかかりやすい投げ方になっています。そのため、再度肘を痛めても不思議ではないと言えます。

肘を痛めない正しい投げ方は科学的に存在している!

モータスのエンジニアは、少しずつ蓄積された疲労が大谷投手の靭帯を伸ばしてしまったと話していますが、根本的に靭帯に負荷をかけないピッチングフォームは存在しています。そのフォームになっていない限りは、フォームが原因で怪我をしたのではない、とは言い切れないはずです。

現に僕の生徒さんの中には、内側側副靱帯を痛めていた選手も大勢いましたが、動作改善を行うことにより靭帯への負荷を回避し、ほとんどの選手が痛みなく投げられるようになっています。

モータスによって筋疲労値を測定できるようになったことは素晴らしいと思いますが、しかしせっかくドライブインベースボールの傘下となっているのですから、もう少しバイオメカニクスと絡めて見ていっても良いような気もします。少なくとも現時点での大谷翔平投手のピッチングフォームは、肘にまったく負荷がかからないフォームではありません。

モータスのエンジニアが、何を以って大谷投手のフォームに問題がないと結論づけたのかは分かりませんが、肩肘への負荷を軽減できる最高のフォームでないことは確かです。

165kmという球速は本当に魅力的ですが、しかしそんなに速いボールを投げる前に、まずは怪我をせず投げ続けるためのバイオメカニクスを、専門家によってコーディネートしてもらることも必要なのかなぁ、と思った今日この頃でした。

コラム筆者:カズコーチ(野球動作指導のプロ/2010年〜)
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