学童野球で導入される1日70球の球数制限と練習時間の大幅短縮

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ようやく球数制限が導入される学童野球

2019年から学童軟式野球の取り組み方が少しずつ変わっていくようです。まずボールは今後、これまでのC号からJ号へと変更されていきます。しかし僕がそれ以上に注目したいのは球数制限の導入です。

2019年1月の時点ではまだ正式決定ではありませんが、2019年2月に正式決定される見込みだそうです。小学生の軟式野球における球数は、練習・試合含めて1日70球以内で、一週間では300球以内というガイドラインが策定されます。個人的にはガイドラインではなく、完全にルール化させた方が良いとは思うのですが、そこは色々な事情があるのでしょう。

チーム練習は1日3時間まで!

そして更に、練習時間は1日3時間以内ということになります。これが遵守されればどんなに素晴らしいことか!少年野球グラウンドを観察していると、朝10時から16時、18時まで朝から晩まで一日中練習を行っている小学生チームがとても多いんです。これだけ野球チームに拘束されてしまっては勉強もできないし、クラスメイトと遊ぶこともできません。そもそも小学生がこれだけの長時間、質の良い練習を集中して続けられるとも思いません。

子どもの勉強時間を奪い続ける日本の学童野球

勉強に関しては、他競技選手よりも野球選手の方が成績が良くない学生が多いのが現状です。勉強することができなければ国語力がアップせず、コーチのアドバイスを正確に理解することができなかったり、自分で考えて練習やプレーすることができなくなってしまいます。そして当然言葉によるコミュニケーション能力の伸びにも大きな期待は寄せられません。

自分で考えて練習をすることができないから、小学生チームは長時間選手を拘束して体で覚えさせるしかない(軍隊のように!)、というのが現状ではないでしょうか。今のチーム指導者たちもそうされてきたから、自分たちも今そうしているのだと思います。しかしこれは僕のような野球の先生(プロコーチ)に言わせると、まったく正しいやり方ではありません。

コーチが知恵を絞れば練習時間は2時間で十分!

コーチが頭を使って効率的な練習メニューを組めば、1日2時間の練習でも十分上達できますし、しっかりやればたった2時間でもクタクタになります。ですが練習メニューを組んでいる学童野球チームは、一体どれくらいあるのでしょうか。

そういう意味でも1日3時間以内の練習時間というのは、コーチが頭を使ってメニューを組まなければならない状況を作るにはとても良いことだと思います。惰性で1日8時間練習するよりも、しっかりメニューを組んでの2時間の方が、よっぽど上達することができます!

球数を管理し制限できない理由を探すのはよそう

さて、一週間で300球など管理できない?そんなことはありません。選手に野球日記を書かせれば球数の管理など簡単に行えます。練習で球数を数えるのが大変?そんなこともありません。100円ショップに行けばバードウォッチングに使うカウンターが売られています。できない理由、やりたくない理由など簡単に作り出せるでしょうが、そんなことをしていては小学生選手たちを育成することなどできません。

今回は1日70球という球数制限と、練習時間は3時間以内、そして試合は年間100試合以内(100試合以下なんて、まだ多すぎると思いますが)というガイドラインが策定されますが、最初の一歩目としてはなかなか良いのではないでしょうか。ちなみにダブルヘッダーでの登板制限は行われないようですが、せめて50球以上投げていたら2試合目は登板禁止、というくらいの形は欲しかったなぁ、というのが個人的な意見ではありました。

しかしこれらはあくまでもガイドラインであるため、恐らく守らなかったとしても罰則があるわけではないのでしょう。ですが将来的にはガイドラインではなく、ルール化させて欲しいと思います。そして守らなかった場合、責任者は試合や大会で監督・コーチ登録できなくなる、くらいの対応が今の少年野球の現状には必要だと、僕は個人的にはそう考えています。

追記

2020年7月現在、試合数以外のガイドラインを守っているチームは、少なくとも僕が住む街ではほとんどないようです。グラウンドを覗けば3時間どころか、朝から夕方までずっと練習し続けているチームが多数あります。1日70球という球数も、アバウトにでも数えているチームはほとんどないのではないでしょうか?ガイドラインが完全に形骸化しているように思えて仕方ありません。

こんなかんたんなガイドラインを守れないようでは、今の指導者たちでは子どもたちの肩肘を守ることなど到底できないのではないでしょうか。だからこそ僕のオンライン野球塾には今日も、お子さんが肘を痛めてしまったという親御さんからのご相談がありました。

コラム筆者:カズコーチ(野球動作指導のプロ/2010年〜)
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