その前にまず筋肉と脂肪の違いですが、同じ質量でも筋肉は脂肪よりも少し重く、脂肪は筋肉よりもやや硬いんです。また、脂肪では関節は動かせませんので、体脂肪が増え過ぎてしまうと動作のキレは失ってしまいます。
13%という数字は、野球をしていない一般の方でも整えることができる数値です。例えば週に2〜3回ジョギングをしている方で、食事も適切に摂っている方であれば、13%という体脂肪にすることは容易です。しかしこれを10%に近づけていくのはかなり難しいと思います。
*一般男性の平均は13%、女性は23%
以前プロ野球チームのトレーナーさんに聞いたことがあるのですが、体脂肪率15%だった投手が冬に追い込み10%にしたら、その年は投球動作にキレが出て1軍で活躍できるようになったと話していました。
体脂肪率の低下=パフォーマンスアップというわけではないのですが、しかし今よりもレベルの高い技術の再現性を高めるためには、体脂肪率10%程度で作り出せる体のキレが必要なのです。
男性が健康を維持した上で体脂肪率を最大限落とせるのは5%までと言われています。5%を下回ると男性選手でも体調を崩すことがあります。女性の場合は10%を下回ると体調を崩し始めます。例えばメジャーリーガーのイチロー選手は5%だと言われています。しかしこれは野手だからこその数字です。投手の場合は5%に近づきすぎてしまうと球威球速が低下しやすくなります。ですので筋肉の重さに脂肪の重さを少しプラスして、位置エネルギーや並進力を強めると考えた方が良いと思います。その上でわたしが投手にアドバイスするのが10%弱という数字なのです。
広島カープの前田健太投手の体脂肪率は、入団当初は7%弱だったそうです。しかしこれでは低すぎ、スタミナやパフォーマンスをアップさせるためにもトレーナーに体脂肪率を少し増やすようにアドバイスされたそうです。そして北海道日本ハムファイターズの大谷翔平投手の体脂肪率は10%弱だそうです。
さらにプロ野球で、ドラフト上位で期待をされながらもなかなか1軍に定着できず、怪我経験もある投手の体脂肪率を少し調べてみると、15%程度の選手が多いようです。あくまでも統計的という表現になってしまうわけですが、こうして考えていっても投手の体脂肪率は10%を少し切るくらいが良いのかもしれませんね。
コラム筆者:カズコーチ(野球動作指導のプロ/2010年〜)
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