「食事もトレーニングの一部」とはよく言われることですが、それはまさにその通りなのです。いくら一生懸命トレーニングや練習を積んでも、それが空腹の最中であれば、最大限のトレーニング効果を得ることはできなくなります。しっかり食べて、しっかり練習して、またしっかり食べて、しっかり眠る。これは上達するには決して欠かせないプロセスです。
まずアスリートにとっての空腹について考えてみることにしましょう。空腹とはもちろん、お腹がすいている状態のことです。この状態で練習を始めても当然身につく練習はできません。そしてこれだけではなく、練習中や練習後の空腹も、できるならば避けるべきだと言えます。人体は空腹感を覚えると、まず筋肉を栄養素として利用してしまうのです。つまりお腹がすいた状態でトレーニングを行なっても、トレーニングをするほど筋肉を栄養素として使われてしまうため、なかなか筋肉を増やすことができなくなります。
体内の筋肉量の割合が減れば、それは新陳代謝の低下を意味することになります。新陳代謝が低下すれば体内脂肪も燃焼しにくくなるため、その脂肪分をエネルギーとして利用しにくくもなります。すると筋肉は減る一方で、脂肪は増える一方という悪循環を招いてしまうわけです。
この悪循環を防ぐためにも、特に中高生など成長期にある選手は、可能な限り空腹感は防ぐようにしましょう。例えば練習中にお腹がすいたなら、そのまま練習が終わるまで我慢するよりも、練習の合間におにぎりを口にするといいと思います。お米などの炭水化物はスピーディーにエネルギーに転換することができるため、おにぎりは非常に即効性のある食べ物なのです。
寮がある私立高校などは、練習の合間にも口に出来るように寮母さんやマネージャーがおにぎりを用意してくれるところも多いようです。これは非常に良いことです。空腹とは、単純に考えれば体内にエネルギーが足りていない状態、つまりガス欠状態のことを言います。ガソリンがなければ車は走らないように、エネルギーが不足していれば人間の体も動かなくなってしまいます。
ただし、朝練に関しては朝食前の練習でも構いません。その理由は、前夜の夕食で摂取された食事エネルギーが、まだ体内の残っている場合が多いためです。ですので朝練に関しては、前夜に摂取したエネルギーを使い切る、というイメージで行い、使い切ったら朝食でしっかり補うと考えてください。
毎日ハードな練習を続けている中高生や大学生の選手であれば、毎晩どんぶり飯3杯ずつ食べたとしても、そう簡単に太るようなことはありません。アスリートの場合、太ることよりも、太れないことを心配するべきなのです。もちろん体質なども影響してくるわけですが、ハードな練習をした後は、その消費エネルギー量に見合う食事内容が必要になってきます。「今日は練習で疲れたから食欲がない」と思ったとしても、上手くなるためにはここはしっかり食べておくことが何よりも重要です。もし食欲がない時に食べないという選択を一度でもしてしまうと、体がそれを覚えてしまい、疲れている時は食事が一切のどを通らない体になってしまいます。
筋肉が成長することを「超回復」と呼びますが、これはトレーニングをすることで筋肉を破壊し、その破壊に見合った栄養を取ることで、睡眠という休息時に筋肉が、破壊される前以上の強度になって回復することを言います。ですがもし破壊に見合った栄養を取れていない場合、超回復どころか、筋肉は通常の状態にすら戻れなくなってしまいます。
最善の超回復を得るためにも、トレーニングや練習のあとはしっかりと食事で栄養を補給するようにしましょう。練習後30分以内のプロテイン摂取がベストと考えられていますが、プロテインじゃなくてもタンパク質量の多い納豆を2パックくらい食べるのも効果的、かつ経済的です。
野球を上手くなるためには練習量も大切ですが、その練習と同じだけ食事と休息も大切だということを、決して忘れないでください。逆に一生懸命練習してもなかなか上手くならないという選手は、食事と休息状況を見直すというのも、1つの方法かもしれませんね。
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