練習したことを体が覚えてくれるのは睡眠時
みなさんは睡眠についてどのような考えをお持ちでしょうか?「超回復は睡眠時に起こる」ということをご存知の方は多いと思いますが、今回はアスリートが睡眠を取る意味を別の視点から見ていきたいと思います。
一般的に睡眠というと、超回復を含めた疲労回復という意味合いで考えている方が多いと思います。もちろんこれは正解です。しかしそれ以外にも実は意味があるんです。睡眠時には回復の他に、記憶の定着化(短期記憶の長期記憶への置き換え)も体内で起こっているんです。つまり起きていた時に覚えたことは、睡眠を取ることによって記憶に定着されていくんです。言い方を変えれば、もし睡眠を一切取らなかったとしたら記憶が定着しませんので、覚えたことを次々に忘れていってしまうということになるわけです。
ちなみに記憶というのは言語による暗記的な記憶のことだけではありません。マッスルメモリー(筋肉の記憶)も含まれています。つまり良い動作を繰り返し練習した後は、良質な睡眠を取ることによって筋肉がその動きを記憶してくれるようになります。逆に睡眠の質が悪いと記憶の定着化が進みませんので、良い動作の再現性を高めることも難しくなり、いくら練習してもなかなか上達しないという悪循環を招きかねません。
飲酒は睡眠の質を大幅に低下させる
では質の悪い睡眠とは?まず寝不足はもちろんいけません。レム睡眠とノンレム睡眠は睡眠中に何度か繰り返されるため、やはり最低でも6時間、できれば7〜8時間、疲れ切った時は10時間くらい眠るのが良いと言われています。
そしてお酒を飲んだ場合は睡眠時の呼吸が鼻ではなく口呼吸になりやすく、呼吸そのものが浅くなってしまうため、血中の酸素も少なくなり、睡眠の質は大幅に低下します。プロ野球選手に関する話でたまに、練習後に大酒を飲んでいる人の話を耳にしますが、これはプロアスリートとしては以ての外です。
ちなみに人間がアルコールを分解できるのは1時間あたり、体重1kgに対して0.1gとなります。僕はこのコラムを書いている時点では身長175cm、体重70kgですので、1時間で7gのアルコールを分解できることになります。アルコール度数7%のお酒350mlに、アルコールは約20g含まれていますので、このアルコールを分解するためには約3時間かかることになります。あとは体質によっても分解が早かったり、遅かったりしてきます。
睡眠の質とアルコール摂取量、トレーニング効果とアルコール摂取量というのは密接に繋がっています。トレーニング後にアルコールを飲んでしまうと、アルコールによって筋肉の感覚が麻痺してしまい、トレーニングをした効果が文字通り半減してしまいます。
つまりアスリートは日常的にお酒を飲むことは絶対に控えるべきということです。ビールのCMに出演しているダルビッシュ投手も、年に1〜2回しかお酒は飲まないと以前どこかで話していました。数あるプロスポーツの中で、プロ野球選手ほどお酒を飲むアスリートはいないと思います。もちろん摂生している選手も大勢いるわけですが、逆にそうではない選手も非常に多いのが現状の日本プロ野球ではないでしょうか。
ちなみにアメリカなどから助っ人としてやってくる外国人選手が、日本のプロ野球でまず驚くのはベンチ裏に灰皿があることで、あとはことあるごとにお酒を飲みに行く習慣だそうです。メジャーリーガーというのは実はしっかりと摂生している選手ばかりで、シーズン中に飲酒する選手は少ないですし、タバコを吸う選手などまずいません。
ジャンクフードも飲酒同様に筋肉の質を低下させる
そしてアルコール摂取には、睡眠の質を大幅に低下させること以外にもデメリットがあります。それはアルコールの利尿作用です。実はこれはアルコールだけではなく、カフェイン飲料(コーヒーやレッドブルなど)やスイカにも同じことが言えるのですが、利尿作用が高いということは、過剰摂取や日常的に摂取してしまうと、それだけ体内の水分を失いやすいということになります。
筋肉というのは適度な水分量を保つことで弾力性を維持することができます。しかしアルコールやカフェイン飲料を日常的に摂取してしまうと、体内水分量を適量でキープし続けることが難しくなり、筋肉の中の水分量も低下してしまいます。すると筋肉はパサパサな状態になってしまい、普通にプレーをしているだけなのに怪我をしてしまうケースを増やしてしまいます。
また、筋肉の質を低下させる原因として、ジャンクフードも無視することはできません。ファストフードはもちろん、カップラーメンや菓子パン、コーラなどの清涼飲料水がジャンクフードに含まれるわけですが、ジャンクフードを日常的に摂取してしまうと筋肉の質をやはり低下させてしまい、怪我をしやすくなります。
少し前に、埼玉西武ライオンズに坂田遼選手というスラッガーがいました。彼は怪我さえなければ球界を代表するスラッガーにもなれたはずの素晴らしい資質と技術を持った選手だったのですが、怪我をせずに一年間フルでプレーできたことがほとんどありませんでした。
そしてその坂田選手の大好物がペヤングソース焼きそばで、それを公言するとメーカーから大量のペヤングが贈呈されたそうです。もちろんその大量のペヤングをすべて一人で食べたわけではないと思いますが、しかし日常的にカップ麺というジャンクフードを食べ続けてしまった坂田選手は、プロ入り後はとにかく毎年のように怪我をし続けてしまいました。
それでもある時ジャンクフードが怪我に繋がっていることに気付き、ペヤング断ちをしたのですが時すでに遅し。怪我を繰り返し1軍にも定着できなかった坂田選手は、実力を発揮することなく戦力外通告を受けてしまいました。
学生選手は当然アルコール摂取はないわけですが、しかし意外と見逃されやすいのが空腹時におやつ代わりに食べてしまうカップ麺などのジャンクフードです。中学・高校という成長期は、特にジャンクフードの影響が体に浸透しやすく、それが蓄積されることによってどんどん怪我をしやすい筋肉になってしまいます。
野球で上達するためにも最も重要なことは、とにかく怪我をしないことです。そのためにももしおやつ代わりにカップ麺などを食べてしまっている選手は、ジャンクフードではなく、自家製のおにぎりに置き換えましょう。ちなみにコンビニなどで売っているおにぎりは避けてください。コンビニのおにぎりには油が使われているため、ジャンクフードと同様の扱いになります。おにぎりを食べるなら、必ず自家製にしてください。
海外産の牛肉は論外だけど、国産肉にも要注意!
人間の体というのは、食べたものによって作られていきます。質の良い食べ方をすれば質の良い体を作ることができますし、逆に質の悪い飲食は質の悪い体を作り怪我をしやすくしてしまいます。ただ、質が良い食べ方と言っても、高級食材を選んで食べましょう、という意味ではありません。
例えばおにぎりを食べるのであれば、コンビニのおにぎりではなくて自家製おにぎりを食べてください。そしてコーラを飲むよりも、水やお茶を飲んでください。さらに言えば野菜もできるだけ無農薬や有機栽培のものを選びましょう。
そしてお肉が好きな選手も多いとは思いますが、牛肉に関してはアメリカ産やオーストラリア産は絶対に避けてください。アメリカやオーストラリアからやってくる牛肉には、アメリカやオーストラリアでは禁止されているけど日本では禁止されていない化学物質を用いて飼育された牛のお肉ですので、絶対的に体にはマイナスとなります。
また、国産であっても品種改良をされて不自然に短期間で大きく育てられた鶏の肉は、当然人間の体にとってもマイナスになります。自分の足で自分の体を支えられない状態の鶏のお肉が人間の体に良いはずはありません。さらに言えば養殖の魚には大量の抗生物質が与えられているため、これでも体には良くありません。もし本気で体質改善をして怪我をしにくい体を作っていきたいのであれば、このような根底的な部分から食べ物を選び直していく必要があります。
例えばサッカーのクリスチアーノ・ロナウド選手は、口に入れるものを徹底して管理するアスリートとしてよく知られています。だからこそあれだけの素晴らしいパフォーマンスを発揮できる体を維持できているわけです。
ちなみに質の良い飲食は怪我をしない体づくりだけではなく、アレルギーやアトピーを発症させないことにもプラスとして働きますので、食事改善は選手だけではなく、そのご家族にとってもプラスになっていくはずです。
ただ、今までの食生活をいきなりガラッと変えてしまうと色々なストレスも出てしまうと思いますので、食生活の改善は無理のない範囲で、少しずつ変えていくようにしましょう。とは言えジャンクフードとアルコールの摂取に関しては、アスリートであれば今すぐやめるべきだと言い添えておきたいと思います。
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