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ウォームアップは体温ではなく、筋温を上げる作業のこと

体温が上がってかく汗と、筋温が上がってかく汗は違う?!

日が短くなってくると、気温は日に日に低くなってきますね。これは冬季に限った話ではないのですが、夏場でもウォーミングアップを蔑ろにしている選手が非常に多いように感じられます。レッスンを行なっていても、ほとんどウォーミングアップすることなく受講に入る選手も少なくないようです。

レッスンという限られた時間の中では、できればウォーミングアップに時間は使いたくありません。だからこそご自身でしっかり行っていただく必要があります。もちろんレッスン時だけではなく、普段の練習時も同様ですね。ウォーミングアップは基本的には短くとも30分以上は時間をかけるべきです。

ウォーミングアップでは、まず伸脚や屈伸などをして体を少しほぐします。それから8〜12分程度、息が上がらない程度のペースでジョグを行い、筋温を上げていきます。ここで重要なのは体温を上げることではなく、筋温を上げるということです。例えば夏の暑い日などは体温は高くなります。しかしだからと言って筋温が上がっているということにはなりません。つまり夏場であってもしっかりとしたウォームアップをしなければならない、ということです。

ジョグをして筋温を上げた後にスタティックストレッチングで関節の可動域を広げ、そしてダイナミックストレッチングにより、スタティックストレッチングでルーズになった関節を、運動するために少しタイトな状態にしてあげます。そしてその後でスプリントやキャッチボールに入っていきます。ちなみに筋温を上げていない状態ではスタティックストレッチングは行わないでください。筋温が上がっていない状態でスタティックストレッチングをしてしまうと、ストレッチングで怪我をしてしまうこともあります。

スポーツ選手であれば、暑くてかいている汗と、筋温が上がって出てくる汗の違いを感じ取れるようになってください。汗をかいている=体が温まっている、ということにはなりませんので要注意です。そしてできればレッスンを受けていただく際も、しっかりとウォームアップをし、筋温を上げた状態で受けていただければと思います。そうすればレッスン中の動きにもキレや反応の良さが、通常時よりも出てくると思います。

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冬はもちろん、夏もウォームアップは手を抜かずに!

今回の投手育成コラムでは、ウォームアップのコツについてお話をしていきたいと思います。ウォームアップには、実はあっという間に体を温められるコツがあるんです。この方法を覚えておけば、冬であっても体を冷やし切らず、こまめに体を温め直せるようになります。ただし、投球に関しては肩が一度冷えてしまったらその日はもう投げないでくださいね。一度冷えてしまった肩を温め直して投げるのは厳禁です。

通常のウォームアップだと、肩を温めるためには肩を動かし、脚を温めるためには脚を動かすというやり方だと思います。しかしこのやり方だけだと、体をしっかり温めるまでに少し長めの時間を要してしまうのです。単純な話、ウォームアップが長ければ長いほど疲労が増してしまいます。それは準備運動だけではなく、ブルペンで肩を作る際にも同じことが言えます。

僕のオンラインレッスンでは、常々股関節の重要性を説いていますが、コツはこの股関節にあります。股関節を中心にしてウォームアップを進めていくと、股関節から熱が上下に向かい、2方向から体を温められるようになります。これと同時に肩や脚をそれぞれ動かしていれば、体はあっという間に温かくなり、真冬でもあっという間に少し汗ばむくらいまで筋温を上げていくことができます。

真冬の練習は寒くて辛いですよね。そんな状況でも体を冷やさずに練習を乗り切れるよう、とにかく股関節を動かし続けてください。難しいことを考えず、ただ色々な動きで動かし続けるだけでも大丈夫です。この時必ず、内旋外旋動作は加えるようにしてください。前後左右に動かすだけよりも、内旋外旋動作を加えた方があったまりやすくなります。

ちなみにこれは選手だけではなく、冬のチーム練習に付き添うお父さんお母さんにも有効ですので、ぜひ試してみてください。しっかり股関節を回しながら動かすと、あっという間に体が温まっていくと思います。

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股関節の使い方を覚えて生涯球数を減らそう!

皆さんは登板前、肩を作るのにどれくらいの球数を要しますか?30〜40球という方も多いと思いますが、これはかなり多い部類に入ります。僕のオンラインレッスンでは、最終的には10球程度で肩を作れるように動作改善を進めていきます。ではなぜ10球で肩を作ることができると思いますか?

まず肩を作るのに30〜40球を要している投手の場合、ほとんどのケースで上半身主体の投げ方になっています。上半身主体か、下半身主体かを判断するポイントは股関節にあります。股関節を上手に使えている投手は、下半身でちょっと力を作ってあげるだけで、それをダイレクトにボールに伝えていけるため、力みなく、効率的に強いボールを投げることができます。

一方股関節を上手に使えていないと、下半身でたくさんのエネルギーを作り出してもそれが股関節で滞ってしまい、実際にボールに込められるエネルギーは非常に小さくなってしまいます。これは非効率な投げ方であるという判断になります。

上半身主体で投げている場合、腕の筋力を使う割合が大きくなります。この使う割合が多いほど、温めるのに時間がかかってしまいます。筋トレでも、筋肉の繊維に満遍なく負荷がかかるまでは3セットを要します。上半身主体の投げ方も同様で、筋肉が温まるまでには筋トレで言うところの3セット分の肩慣らしが必要になる、というわけなんです。

一方下半身主体で、股関節を上手に使えている投手の場合は、使っている腕の筋肉の割合は小さくなります。極端な話、スローイングアームはリラックスしておくだけで十分ですので、強いボールを投げるのに10球程度の肩慣らしだけでも十分という状態になります。

レッスンを担当してい僕自身、下半身主導で股関節をしっかりと使った投げ方をしていますので、選手とキャッチボールをする際も、初球からいきなりある程度強いボールを投げることができ、そうしても疲れが残ることもほとんどありません。そもそもウォームアップでたくさんの球数を使うことがありませんので、それほど疲れないというのも不思議なことではないわけです。

上半身主体で投げてしまうと、上から徐々に体が温まっていくという流れになります。そのため足先まで温まるのに時間がかかります。しかし股関節を上手に使うことができると、股関節を中心にし、上下に向かって身体が温まっていきますので、寒い冬でもあっという間に体がホカホカしてきます。

股関節を上手に使うことができ、下半身主導で投げることができれば、肩を作るには10球もあれば十分なのです。ですが股関節を上手に使えていない選手は、10球のウォームアップで強いボールを投げようとはしないでください。故障のリスクを高めてしまいます。
※投球前の基本的なウォームアップがしっかりできていることが前提です。

僕のオンラインレッスンを受けていただければ、ウォームアップで無駄に「生涯球数」を増やしてしまうこともなくなります。試合前のウォームアップ(キャッチボール)で無駄に多くボールを投げなければ、その分をそのまま投球練習に充てることができますので、技術も向上させやすい環境を作ることができ、それが結果へと直結していくようになります。

一度上げた筋温を試合中に下げない工夫を凝らそう

筋温が上がって体温も上がる、という状態にしていこう!

練習や試合の前にはみなさん必ずウォームアップを行うと思います。しかし実はこれ、何も練習前にだけやるものではないんです。練習中も試合中もウォームアップを行う必要があるんです。厳密には リウォームアップですね。僕のオンラインレッスンでもよくリウォームアップの重要性を説いています。

ウォームアップとは文字通り、運動するために筋温を高めるための作業なのですが、練習や試合中は上がった筋温を維持する必要があります。野球はサッカーとは異なり、守備時も攻撃時も動いていない時間が比較的長くあります。その間に筋温を下げてしまうと、せっかくウォームアップしても意味がなくなってしまいます。

特に野球では利き腕を酷使してしまう傾向が強くなり、一度温めた後に冷やしてしまうと、そこからもう一度筋温を上げ直すことは難しくなります。筋温が下がった状態でプレーをしてしまうと怪我をするリスクが非常に高くなり、肩肘を痛める大きな原因となります。

大切なことはウォームアップをしたら、練習や試合が終わるまで決して筋温を下げないということです。ちなみに運動するのに必要な筋温は39°Cと言われており、筋温は体温よりも2°C程度高くなります。ということは運動中は体温を37°C程度に保ち続ける必要がある、ということになります。
※運動をしていない平常時の筋温は、体温よりも0.5°C高い程度です。

ただし、体温が上がったからといって筋温も上がっているとは限りませんので、ここは注意が必要です。例えば夏場などはグラウンドに出て何もしなくても体温が37°以上になると思うのですが、これで筋温も上がっていることにはなりません。筋温は、筋肉をしっかりと丁寧に使ってあげることにより上げていくことができます。

体温が上がって筋温も上がるのではなく、筋温が上がって体温も上がるという考え方がベストです。
筋温の上げ方

投手の場合は攻撃時に上着を着て塁上に立つことも許されていますが、野手はほとんどのケースで塁上で上着を着ることは許されていません。そう考えると野手の方が体を冷やしやすい状況にあると言うこともできます。体を冷やしてしまった状況で、例えばショートやサードの深い位置から強いボールを一塁に送球してしまうと、肩を壊しやすくなります。

筋温の維持は、夏場以外は本当に気をつけるようにしてください。春や秋も20°Cを下回る状況では筋温はあっという間に低下してしまいます。攻撃中、ベンチの前に整列して声出しをすることも大切なことだと思います。しかし冬場であればそれ以上に、選手の筋温を下げさせない工夫を、チーム全体で凝らしていく必要があると僕は考えています。

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寒くても体をしっかり温めれば冬でも投げ込みはした方が良い

寒さは投手の敵であるとは昔からよく言われていることです。例えばプロ野球のオープン戦。2月3月と言えばまだまだ雪が降ってもおかしくはない季節です。そんな時期のオープン戦、急に雪が降り出したため、主戦投手が先発回避をし、若手投手が代わりに先発マウンドに立つということもあります(その先発機会から飛躍したのが西鉄・稲尾和久投手でした)。確かに寒い中無理をして投げれば故障に繋がりますが、では本当に寒いから故障しやすいということになるのでしょうか?

結論から言って、答えはノーです。寒い中でピッチングをすることで肩を壊すことはありません。しっかりとウォームアップをし、攻撃時も肩が冷えないようにケアをしていれば、例えば雪の降る中で投げたとしても肩を簡単に壊すことはありません。

ただし体が温まる前に投げたり、一度冷えてしまったあとでもう一度投げたりすれば、それは故障のリスクを一気に高めることになります。そうです、大事なのは寒い日は投げないということではなく、寒い日は体を十分に温めてから投げるということなのです。そこを勘違いしてしまうと冬の投げ込みが不足してしまい、勝負どころの夏にスタミナ不足に陥ってしまいます。

暑くても寒くてもウォームアップにはしっかりと時間をかけよう!

これは実際、暑くても寒くても関係ないことなのですが、ウォームアップは十分過ぎるほどやるべきことです。イチロー選手はほとんど怪我をすることなく長年試合に出続けていますが、これは他選手の3倍の時間をウォームアップやストレッチに費やしているためです。しっかりとウォームアップをすると筋肉がほぐれ、血行が良くなり、筋温もしっかりと高まっていきます。この状態を作ってから投げれば、寒い日に登板をしても寒さで肩を壊すことはありません。

逆に十分なウォームアップをしないで投げれば、筋肉が固い状態で、筋温も低いまま投げることになります。この状態では関節の可動性は非常に狭くなり、本来投げられるはずの良いボールを投げられなくなります。すると徐々に力んで投げるようになり、その力みが肩・肘にストレスを与え、故障を引き起こしてしまいます。

冷えてしまった体を温め直して投げるのは厳禁!

アマチュア野球ではダブルヘッダーは日常茶飯事です。そのため1日2試合投げる投手も出てきます。ただ現代では連投の規定が定められているため、公式戦や公の練習試合では連投にストップがかけられるケースもあります。しかし試合じゃなくても、試合+練習で1日に2回投げることはあります。この場合、連投間では決して肩を冷やさないようにしましょう。一度冷えた肩は、再度ウォームアップをしても温まりにくくなります。ちなみに僕のオンラインレッスンを受けている生徒さんの中にも、チームに連投を強いられている小中学生が何人もいます。

ダブルヘッダーや、試合+練習で連投を強いられる場合は、連投間の時間はなるべく短くしましょう。そして絶対に肩を冷まさないことです。一度温まった肩が冷めてしまうと、ウォームアップ前よりも筋肉が硬い状態になることが多くなります。筋肉は鍛えると硬くなりますよね?それと同様で、投げることによって使われた筋肉も硬くなるのです。

繰り返しになりますが、しっかりとウォームアップをして筋温がしっかりと上がっている状態であれば、寒い日に投げても肩は壊れません。しかし温まる前や、一度温めた肩が冷えたあとで投げることだけは季節に関わらず絶対に避けましょう。故障を引き起こす大きな原因となってしまいます。

とにかくポイントは筋温をしっかりと上げておくことになりますので、真冬に投げるのであれば体から湯気が立ち上るくらいの状態にして投げるようにしましょう。そして湯気が減ったら筋温が下がったということですので、そこでもう投げるのはやめて、クーリングダウンに入るようにしましょう。