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2015年10月17日

軟式球よりも素直な硬式球は打撃技術の幅が広い


硬式球と軟式球は打ち方が異なる、ということはわたしがコーチングをしている選手によく使う言葉です。その理由は単純に、ボールが潰れるか潰れないか、というところにあります。ただ、厳密に言えば硬式球も潰れます。時速140キロのストレートをプロのスラッガーがジャストミートすると、1/1000〜2000秒程度の短い時間で、ボールは約半分にまで潰れてしまいます。

ただ1/1000秒という非常に短い時間ですので、目視することはほとんど不可能です。性能のいいカメラであってもその瞬間を撮影することは難しいでしょう。ですが軟式球の場合は、かんたんに目視できるほど長い時間でボールが潰れていきます。そのため軟式球の場合は、ボールの面をバットの面で打っていく打ち方でないと、ボールがひしゃげて変な回転がかかってしまい、ヒットを打つことはできません。

一方の硬式球の場合は軟式球ほどは打った瞬間に潰れることはありませんので、いろいろな技術を使うことができるんです。軟式球を打つ時のように面と面で捉えていく打ち方ももちろん可能です。ですがこの打ち方は打球に回転がかからないため、飛距離は伸びません。

ですがバックスピンやトップスピンをかけられると打球はどうなるでしょうか?バックスピンがかかればマグナス力が働き、ボールは放物線を描いてホームランとして遠くまで飛んでいきます。逆にトップスピンがかかれば球足が速くなり、簡単に内野手の間を抜けていく打球になります。

軟式球というのは日本特有のボールであるわけですが、取り入れられる打撃技術は絞られてしまいます。ですので将来的にもピッチャーをやる可能性が低く、ピッチャーよりも4番打者になりたいという場合は、比較的早い段階から硬式野球に入っていった方が将来的にはプラスになります。

軟式野球では腕力やバットの質でしかなかなか飛距離を伸ばすことができないのですが、硬式球の場合は体の線が細い選手であっても技術さえ身につけられれば、ホームランバッターになることができます。例えば若い頃の清原和博選手や落合博満選手は線の細い選手であったわけですが、それでもホームランをたくさん打てていましたよね。彼らはホームランを打つための技術を持っていたからこそ、細い体でもホームランを打つことができたんです。

今で言えば2015年今季、38本でセ・リーグのホームラン王に輝いた東京ヤクルトスワローズの山田哲人選手は身長180cm、体重76kgという非常に細い選手です。どちらかと言えば投手体型と言えますよね。それでも技術があればプロ野球というトップレベルであってもホームランを量産することができるんです。

ですので硬式野球をされている方は、腕力でホームランを打とうとはしないでください。腕力でホームランを打てるのはレベルが低いうちだけです。野球のレベルが高くなればなるほど、腕力ではホームランは打てなくなります。ホームランを打つためには打球にバックスピンをかけるための技術が必要で、その技術を持っていればフルスウィングをしなくてもホームランを打てるようになります。実際、埼玉西武ライオンズの中村剛也選手も7〜8割で振った時の方がホームランになりやすい、と話しています。

硬式球は、軟式球とは比べられないほど技術に対し素直に反応してくれます。技術があれば相応のパフォーマンスに繋がりますし、技術がなければパフォーマンスが上がることはありません。つまりスラッガーになるためにはまず、自分がどのようなバッターになりたいかを明確にする必要があり、そのタイプに合わせた技術を身につけていくことが大切なのです。

ホームランバッターになりたいのに、ボールにバックスピンを与えない技術を練習し続けても、どれだけ練習しても技術と目標がちぐはぐになりホームランバッターにはなれません。ホームランを打ちたければ、バックスピンを与えられる打撃技術を身につける必要があるんです。

逆に、先日216安打で日本最多安打の新記録を樹立した埼玉西武の秋山翔吾選手のようにヒットを量産したければ、それに合った技術を選んで身につける必要があるわけです。目的が変われば技術も変わり、その技術に対し素直に反応してくれるのが硬式球です。そういう意味でバッターの場合は硬式球の方が野球の幅が広く、きっと軟式球以上に野球を楽しめるのではないでしょうか。

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コラムカテゴリー:硬式球を打つ
コラム著:Coach Kaz
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