ティーバッティングは意味がないと仰ったのは落合博満さん
例えば落合博満さんなどは、ティーバッティングはやっても意味がないと仰っていて、この言葉が一人歩きして一般の方も「ティーバッティングは無意味」と認識するようになってしまいました。
しかし落合さんが仰ったのは、斜め45°くらい前からトサーに下手投げしてもらって打つティーバッティングのことです。このやり方でもしインサイドアウトで打ってしまうと、打球がトサーに当たって大怪我をしてしまいます。そのためバッターは常に引っ張って打たなければならず、アウトサイドインで振る癖が付いてしまうんです。
バッティングというのは、インサイドアウト(ボールの内側を叩いていけるスウィング)で打っていかなければ成績は上がりません。逆にアウトサイドインで打ってしまうとミート力が大幅に低下してしまいます。落合さんはこのようなアウトサインドインが癖づいてしまうティーバッティングには意味がないと仰ったのです。
やり方を間違えなければ、ティーバッティングは非常に効果のある練習ですので、もしティーバッティングを行える環境をお持ちであれば、素振りでフォームを作った後はどんどんティーバッティングを行い、その良いフォームを固めていきましょう。
ティーバッティングのやり方は2種類
ティーバッティングのやり方には2種類です。まず1つめはトサーがネットに隠れて、正面からティーアップ(下からボールを投げること)してあげる練習です。この時ボールややまなりではなく、ソフトボールのような投げ方でできるだけ真っ直ぐ飛んでいくボールを上げるようにしましょう。投げる距離は3〜5m程度で十分です。このやり方であればバッターはインサイドアウトで打つことができますし、万が一トサーの方に打球が飛んだとしてもネットがあるので安心です。
トサー用のネットがない場合は、当たっても大丈夫なように柔らかいボールを使うと良いと思います。練習用の軽いプラスティックのボールや、バドミントンのシャトルを使う選手が多いので、参考にされると良いかもしれません。
2つめのやり方は写真のようなティースタンドを使うことです。写真の商品はRawlingsの¥5,000前後の商品なのですが、プロ野球選手が強打しても滅多に倒れないし壊れない、僕が仕事で使ってきたティースタンドの中では圧倒的に優秀なティースタンドでした。
このようなティースタンドとバッティングネット(最近は1万円以下でも良い商品があります)を使えば、狭い場所でもインサイドアウトで意味のあるティーバッティングを行うことができます。
プロコーチとしては¥30,000〜¥50,000もするビヨンドを買うよりも、合計¥15,000以下でティースタンドとバッティングネットを買った方がよほど上達することができると考えていますし、実際に生徒さんの保護者からご相談を受けた時にもそのように伝えています。
本当に正しいティーバッティングのやり方
正しいティースタンドの使い方としては、右打者の場合はボールをベルトから膝の高さにして、そのボールが左膝の前に来る場所にスタンドを置いてください。そしてボールの内側を叩き、右中間にホームランを打つつもりでバットを振っていきましょう。
ティーバッティングでは、右打者の場合であれば二塁ベースよりも左側に打球が飛ばないように注意してください。正面に飛ばすのもインサイドアウトを身につけるためにはあまり意味がありませんので、右打者であれば右中間、左打者であれば左中間にホームランを打つつもりで、ボールの内側を叩くインサイドアウトで打っていくようにしてください。
そしてホームランを打つつもりと言っても、ゴルフスウィングにならないように注意してください。ボールの中心の高さよりも6mm下(J号なら4mm程度下)にバットを入れていけば、打球は自然と良い角度で上がっていきます。
※ 軟式と硬式では打ち方が変わるため要注意
ピッチャーが投げるボールの軌道を想像しながら、その軌道の斜め上45°からバットを入れていき、インパクト後はまた45°の角度でスウィングプレーンを上げながらフォロースルーを取っていきます。
注意点として、スウィングプレーン(スウィングの軌道)が水平にならないようにしてください。バットを水平に振ってしまうと重力を使えなくなり、ヘッドも利かなくなり、スウィング速度が低下してしまいます。
ヘッドを利かせて打つためにもティースタンドは上述した場所にセットし、インパクトまでは45°のダウン軌道、インパクト後は45°のアッパー軌道で振っていくようにしましょう。
初心者〜中級者がティーバッティングする時はここに気をつけて!
ティースタンドを使ったティーバッティングは非常に効果的な練習です。スタンドを置く場所を変えるだけでボールの上下、左右、前後の奥行きを作った練習をすることができるためです。
一方、特に初心者〜中級者がトサーに下から投げてもらってティーバッティングをしてしまうと、打つポイントが前へ前と出やすくなります。すると体から遠いところで打つ癖が付いてしまい、遠く離れるほど正確性は低下し、さらには物理的にインサイドアウトで打つことも不可能になってしまいます。
ですので中級者以下の方は、ティーバッティングはできるだけスタンドを使い、右打者なら左膝の前、左打者なら右膝の前で打つ練習を繰り返していきましょう。そしてそのポイントでいつでも良い形で打てるようになったら、ポイントを少しずつ軸脚の膝の前へと近づけていってください。
最終的に軸脚の膝の前でも打てるようになったら、非軸脚の膝の前で打つことが非常に簡単に感じられるようになります。このように目指す形が簡単に感じられるようにしていくやり方も、ティーバッティングとしては非常に効果的ですので、慣れてきたらスタンドの位置を前後させ、投球の奥行きも再現しながら練習してみてください。
ティーバッティングに関するまとめ
ということで今回のコラムでは、「ティーバッティングはやっても意味がない」という言葉を誤解してしまっている人のための解説をしてみました。
やり方を間違えなければティーバッティングはとても効果的な練習法ですので、もしティースタンドをお持ちの方は、素振りでフォームを作った後はどんどんティーバッティングに挑戦していきましょう。
そしてティーバッティングでできるようになったら、バッテイングセンターやフリーバッティングでもティーバッティングと同じスウィング、同じポイントで打てるようにしていくと、試合の成績も自然と今より良くなっていくはずです!
カズコーチの動画レッスン:ティーバッティングなどで引っ張る練習ばかりすると打率が上がらない理由
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