少年野球チームの大人たちはなぜ子どもたちを怒鳴るのか?!

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怒鳴ることしかできない、指導スキルのない大人たち

野球道具メーカーのミズノが、小学生1500チームを対象とした「絶対に怒ってはいけない野球大会」を開催するそうです。スポーツに怒声や罵声は必要ないという趣旨には僕は大いに賛成です。しかしここまでしなければならないというのは、野球人としては同時に恥ずかしくも思います。

僕のレッスンを受けてくれている生徒さんの親御さんたちからも、お子さんがチームの監督・コーチに怒鳴られて、野球に対する意欲を失いかけている、といったご相談を受けることが多々あります。そしてそのような経験をしたことで、僕のメンタル強化レッスンの受講を考えてくださる親御さんも増えています。

僕自身がグラウンドに出ている時も、小中学生の子たちに怒声・罵声を浴びせる大人が多いことに本当にウンザリしてしまいます。もちろん紳士的に適切な指導をされている方も多いわけですが、しかし現実問題としては、怒鳴っている大人ばかりが目立ってしまいます。

桑田真澄コーチも仰っていますが、指導者に適切な指導スキルがあれば、怒声・罵声など一切浴びせなくても選手はどんどん成長していくんです。逆に指導スキルがないと、怒鳴ることによって支配的に子どもたちに従わせることしかできないわけです。

まともな技術指導せずに、子どもたちがミスをしたら怒鳴る。そして怒鳴るだけで、ミスをなくすための技術指導はできない。延々とこれが続いていくわけです。もともと運動能力のある子は勝手にどんどん上手くなっていったとしても、そうではなくてこれから運動能力が発達していく子は、怒鳴られるだけでどんどん置き去りにされてしまい、最悪の場合野球チームを辞めてしまうことだってあります。

僕自身は2010年1月からプロコーチとして仕事をしていますが、これまで一度も選手を怒鳴ったことはありません。しかし子どもたちはどんどん上手くなっていきますし、甲子園や神宮デビューを果たした生徒さんたちもたくさんいます。もちろんプロ野球選手のクライアントも多数抱えています。

絶対に怒ってはいけない野球大会の約束事

ミズノが開催する上述の大会には、下記のような5つの約束事があるそうです。

  1. 元気いっぱいプレーしよう!
  2. 気軽に参加しよう!体操服・運動靴でもOK
  3. みんなが主役!1人でも多くの選手が試合に出よう
  4. みんなでこの大会を盛り上げよう
  5. 失敗した時こそ、励ましあおう

(予選は5月〜8月、全国大会は9〜12月を予定)

良いじゃないですか!内容的には初心者にも野球を楽しんで欲しい、という意図が強いと思うのですが、この大会によって初心者の子が野球をどんどん好きになり、中級者、上級者へと上達していってくれれば、それこそ野球界の底辺拡大につながると思います。

本来であればこのような大会をあえて作らなくても、普通のこととして怒声・罵声がまったく聞こえないようにしていくべきだと思います。しかし日本のスポーツ界のシステムは未だ旧態依然。パワハラともなりうる怒声・罵声が響き渡っているのは何も野球界だけではありません。

日本のスポーツ界を野球が牽引していくためにも、このような趣旨を持つ大会が成功を収め、他の野球大会でも子どもたちへの怒声・罵声が禁止になっていけば、それが理想だと思います。そして本当にそうなって欲しいと、プロコーチとしては願うばかりです。

コラム筆者:カズコーチ(野球動作指導のプロ/2010年〜)
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