スポーツ心理学を学ぼうとさえしない野球指導者たち
野球に限らない話ですが、野球界でも指導者による体罰や暴言が本当になくなりませんね。これだけ頻繁に体罰・暴言に関する報道が出されているのに、野球指導者というのはまったくニュースを見ないのでしょうか?同じ野球のコーチとして本当に呆れるばかりです。
体罰・暴言が出てくるのは、ほぼ確実に中学・高校野球部、中学クラブチーム、少年野球のどれかです。大学野球や社会人野球でこのようなニュースが出てくることはほとんどありません。その理由として考えられるのは、大学や社会人野球の指導者は報酬をもらっているということが影響しているのではないでしょうか?
僕自身も野球塾を主宰しているプロフェッショナルコーチです。お金を頂かずに選手を指導することはありません。ですが少年野球や中学クラブチームの指導者はすべてボランティアコーチですし、野球部の指導者のほとんどすべては教職員です。私立高校の野球部では中には雇われ監督もいらっしゃいますが、これはレアなケースです。
僕らのようにお金を頂いてコーチをしている人間は、やはり人よりも少しでも多く勉強をしようと考えます。野球科学・スポーツ科学、解剖学はもちろんのこと、スポーツ医学やスポーツ心理学も勉強します。そして指導者になるために最も学ばなければならないことはスポーツ心理学です。
スポーツ心理学に関しては、僕は『運動指導の心理学』という本を中心に学んでいます。スポーツ心理学に関する本はたくさん読みましたが、この一冊に関しては本当に素晴らしい内容であるため、何度も読み返しています。そして重要なポイントはノートにまとめてあり、必要な内容は一瞬で目の前に出せるようにしています。
選手に対し体罰・暴言を行う野球指導者というのは、ほとんど100%スポーツ心理学など学んでいないのでしょう。さらに付け加えれば、選手に対するセクハラも同様です。詳しくは受容性が強い選手はセクハラさえも受容してしまうというコラムで書いていますが、男性指導者による女子選手に対するセクハラもまったくなくなる気配がありません。
ボランティアコーチはもちろんのこと、教員にしても野球部の指導に対する対価は基本的には得ていません。出ているとすれば時間外労働に対する賃金となるのではないでしょうか。指導をしていることに対する報酬を得ていない分、何か他で対価を得ようとするのかもしれません。
例えばセクハラをして性的満足を得ようとしたり、部員を殴ってスカッとしようとしたり、暴言や誹謗中傷を浴びせて上位に立とうとしたり。そういうことによってなんらかの利益を得ようとしているのかもしれません。もしくは「ボランティアでやってやってるんだ」という上から目線的な意識を拭えないのでしょう。
選手に「死ね」と言ったのは掛川工業高校の教員だけではない
今回は掛川工業高校の野球部指導者が選手に対し「死ね」「バカ」「使えないな」と暴言を吐いたと報道されましたね。この指導者は30代男性教員だそうです。子どもを教育する立場の人間が高校生に対し「死ね」と言っているわけです。高校野球は言わずと知れた教育の一環であるわけですが、この教員は一体どのような教育を受けて生徒に「死ね」なんて言える教育をしていたのでしょうか?
全体的に見ると教員の数は決して足りているわけではないようですが、しかしこのような暴言を吐いた者は教員免許を剥奪されるべきです。もしくは教育実習からやり直すべきでしょう。そして再発防止プログラムを徹底させるべきです。
ちなみにニュースにはなっていませんが、選手に「死ね」という暴言を吐いている野球指導者はあちこちに存在しています。僕自身それを目の当たりにしたことも複数回あります。
東京の江戸川河川敷で、江戸川区の中学の野球部が他校と練習試合をしていました。すると内野の子が連続してエラーしてしまったんです。するとその中学の監督、つまり教員はその選手を大声で「お前頼むから死んでくれよ!」と罵倒し始めました。口調はもうほとんどヤクザです。
保護者、もしくは学校関係者の大人も数人見えていたのですが、その監督を注意する大人は一人もいないようでした。これが現実です。監督は子どもに「死ね」と怒鳴っているのに、周りの大人は何も言わない。もちろん審判も何も言わない。そして「死ね」と言われた子を助ける大人も誰もいない。こんなのまったく教育と呼ぶことなんてできません。
その時僕は隣のグラウンドでコーチングをしていたのですが、コーチングの合間に暴言を吐いた監督を
野球界も本格的な指導者ライセンスの導入を急ぐべき
体罰は暴行罪、暴言は名誉毀損、セクハラはセクハラであり、セクハラは最悪の場合性的暴行(レイプ)に繋がります。どれも紛いない犯罪です。このような犯罪に対してはもう容赦すべきではないと思います。今回の掛川工業高校の問題に関しても、生徒側は弁護士を立ててこの教員に対し徹底的に反撃し、それなりの慰謝料を得るべきです。そして出来うれば、その慰謝料は野球部の道具購入などで使って欲しい。そして生徒たちが何の不安もなく伸び伸びとプレーできるようになって欲しい。
教育委員会はあまり頼りにはなりません。これらの犯罪報告があれば調査するけど、教育委員会自らには問題をほじくり出して改善しようという意思は見られません。そしてこれは各野球連盟にも言えることです。野球連盟も、大会開催以外で役に立っているようんは見えません。
ポニーリーグに関しては先進的な取り組みに挑戦する姿を見せてくれています。しかし他の野球連盟に関しては未だ前時代的で、昭和気質の無能な野球指導者を野放しにしているのが現状です。
やはりチームの指導者となるためには、指導者ライセンスを必須にすべきでしょう。スポーツ心理学を学んでいない人間に子どもたちを預けるべきではないと思います。指導者ライセンスはもちろん万能ではありませんが、しかしスポーツ心理学を指導者たちにかじらせることはできます。
かじってみて、そこから自ら勉強を深めていくかどうかは本人次第です。そして勉強を頑張って良い指導者になろうと努力した人に対しては、A級、S級といったクラスのライセンスを付与していけば、子どもを預ける側の親御さんも安心してチーム選び、学校選びができるようになります。
野球人口が減少していると言われ始めもう久しいわけですが、一体どれくらいの野球未経験者の親御さんが、未だに暴力・暴言の報道が絶えない野球チームにあえて子どもを入れたいと思うでしょうか?野球人口を増やすために5人制野球を作るのも良いのですが、しかしその前にまず暴力・暴言の根絶が先だと僕は思うんですが、いかがですか?財団法人全野球協会の皆様。
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