報道された野球界の体罰など氷山の一角。名門でさえ暴力事件で衰退

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また野球界で暴力事件が発覚

まるはり姫路ベースボールクラブ体罰

正直なところ「またか」という気持ちだ。日本球界、日本のスポーツ界から体罰を根絶することは不可能なのだろうか?暴力暴言により自分より弱い人間を支配しようとする人間を、なぜ総監督などに据えているのだろう。

今回は中学ポニーリーグ「まるはり姫路ベースボールクラブ」での体罰事件が報道された。今回はたまたま誰かが体罰の瞬間を動画に撮っていたためこうして報道されたが、しかしこれは日本球界全体で見ると氷山の一角でしかないのではないだろうか。

現に僕は江戸川河川敷グラウンドで練習をしている中学校の野球部の監督(教師)が、ミスをした選手に対し「死んでくれよ!」と何度も怒鳴っているのを目にしているし、少年野球のコーチが小学生相手に怒鳴り散らしている場面を幾度となく目撃している。

今回報道されたまるはり姫路ベースボールクラブでは、総監督が中学生を何度も平手打ちしたり、足蹴りしたり、数時間正座させ続けたとのことだった。

平手打ちや足蹴りなど、これは完全に暴行であり歴とした犯罪だ。なぜこの犯罪者の実名が報道されないのかが理解できない。体罰と言うと「指導の一環だった」と言い逃れすることもできるが、しかしこれは暴行事件とすべきだ。

このような人間は、もう二度とグラウンドに近付かせるべきではない。ポニーリーグも「今後事実関係を確認する」と呑気なことを言っていないで、もう動画という確固たる証拠があるのだから即対応すべきではないだろうか。

このような報道を目にするたび、僕はプロの野球指導者として強い怒りを覚えてしまう。

暴力事件で衰退した名門シニアリーグクラブ

この総監督は選手が野球ノートを書いていなかったから殴り、蹴り、何時間も正座させたらしい。だが殴って蹴って正座させたら、その子に何かが身につくのだろうか?

そもそも現場にいた大人の指導者はこの総監督だけではなかったはずだ。他の監督コーチは一体何をしていたのだろうか?暴行を働いたこの総監督を即グラウンドから追い出すくらいのことができる大人は、このチームは一人もいないのだろうか?

だとすればそんなチームを存続させるべきではないし、大人の指導者も総入れ替えすべきだろう。暴力を振るう人間も、それを見過ごす人間も同罪だ。

この総監督は「一生懸命に面倒を見てきたからこその行為だった」と釈明しているらしいが、バカなんだろうか?

「今回以外に手を上げたことはない」とも言っているらしいが、誰がそれを信じるのだろう?

もし今後他にも殴られたという選手が出て来れば、きっと「失念していた」とまた都合の良いことを言い出すのだろう。

一度でも暴行事件を起こした野球指導者の名前は、ポニーリーグ、シニアリーグ、リトルリーグ、少年野球連盟などなど、野球連盟全体で共有し、二度とユニフォームを着れないようにすべきだ。

日本体育大学の教授南部さおりさんも「このような問題が発覚したチームには長期間の対外試合停止などの厳罰化が必要」と仰っているが、本当にその通りだと思う。

実は江戸川区でも、松坂大輔投手らを輩出した名門シニア、江戸川南が暴力事件によりすっかり衰退してしまった。近年は試合ができるかできないか、という人数であることも多いようだ。

江戸川南では打たれてしまった投手が監督に顔を平手打ちされていたらしい。本当につくづく思うのだが、なぜこのようなアホがユニフォームを着て指導者になれているのだろうか?僕は不思議でしかたがない。

江戸川南の件などは報道はされていないと思う。報道されていない野球チーム内での暴行事件は、全国的には数え切れないほど存在しているはずだ。

どんどんおかしなスポーツになってきている日本野球

頭の悪い指導者は「信頼関係があるから平手打ちをしても分かってもらえる」と考えるようだが、普通の思考力がある人間であればそのようには考えない。「平手打ちをすれば信頼関係が崩れる」と考えるまでもなく分かるはずだ。

だが野球界には少年野球、中学野球、高校野球、大学野球全体で未だにそれが分からない多くのアホどもがユニフォームを着て指導者面をしてふんぞり返っている。

少年野球でも多くのチームで未だにケツバットが行われているようだが、万が一尾てい骨に金属バットが当たればかなり痛いはずだ。このような間違いが起こる行為も一切やめるべきだ。

そもそも日本のアマチュア野球は連盟があまりにも多すぎて、球界全体でまったく統制が取れていない。シニアリーグやリトルリーグなどからすれば、今回のポニーリーグの事件は対岸の火事として映っているのではないだろうか。

例えばアメリカの場合、少年野球はリトルリーグ連盟1つだけなので、何か問題が起これば少年野球全体(アメリカ全土)で情報を共有することができる。だが連盟が多すぎる日本ではそのような迅速な情報共有が事実上不可能となる。

そうなるともう頼りはSNSということになるのだろう。実際SNS上にはチームの暴行歴や不祥事が共有されているコミュニティもあるようだ。個人的にこの形がベストだとは思わないが、しかし連盟に暴力根絶のための実効性を伴う行動が見られないのであれば、親御さんからすればお子さんを守るためには必要なコミュニティになるのだろう。

今回まるはり姫路ベースボールクラブで暴行を受けた子の親御さんは、この総監督の暴行を警察訴えるべきだろう。警察沙汰にされなければ、このようなアホは本当の意味で反省などできない。

「ME TOO」ではないが、全国では体罰と体裁よく呼ばれている暴行や、暴言を受けている子たちが数えきれないほどいるはずだ。そのような経験がある子、親御さんはどんどん声を上げるべきだ。

今野球界に本当に必要なのはレベルアップなどではない。暴力暴言の根絶だ。これが存在している限りスポーツマンシップなど成り立たない。

またアメリカの話となるのだが、アメリカではもし監督コーチが子どもに体罰を与えたり、暴言を吐いたりすれば、それを見た親御さんたちが黙っていることは絶対にない。

親御さん達によりその監督コーチは即グラウンドから退場させられるだろうし、即連盟に通報も入り、連盟の人間がすぐに現場に駆けつけるシステムが整っている。日本のように「事実関係を確認する」などと呑気なことを言っている場合ではないからだ。

日本の野球で進化しているのは、必要以上に高機能で高価になった道具ばかりで、指導者を名乗る人間たちのアップデートはほとんど進んでいない。

指導者のアップデートが進まない限り、日本球界は今後ますます道具に頼るばかりのおかしなスポーツになっていってしまうだろう。いや、現に僕の目にはもう、野球はおかしなスポーツとして映ってしまっている。

野球界は頭の悪い監督コーチが多すぎて、正しいやり方で子どもたちを育成しようとしているコーチたちの存在が霞んでしまっているのが本当に残念でならない。

日本ハムファイターズのビッグボス、新庄剛志監督が最初に仰った「人の悪口を言わない」という当たり前のことすらできない人間が、野球界にはあまりにも多すぎる。だからこそビッグボスもそれを最初にチームに通達するしかなかったのだろう。

ビッグボスのように野球の勉強に熱心で、自分自身をしっかりと持っていて、人に対して常に思い遣りを持てる野球指導者の育成は、日本球界全体にとって急務だと言える。

来年以降、ビッグボスが作り上げるチームが球界全体の新たなモデルケースになるのではないかと、実は僕は大きな期待を寄せているんです。

コラム筆者:カズコーチ(野球動作指導のプロ/2010年〜)
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