メジャーリーグで話題の不正投球とは?その種類を紹介します!

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ページ公開日:
ページ更新日:2023年4月25日

不正投球が0%にならないメジャーリーグ

最近野球ニュースで、メジャーリーグの不正投球疑惑がスポットを浴びていますね。ほぼすべての投手は不正はしていないと言えますが、でもそれが100%ではないことは確かです。実はアメリカでは、昔から日本以上に不正投球が行われているんです。

不正を行えないようにする、紛らわしい行為ができないようにするという意味合いでも、ピッチャーが使えるグラブの色には厳しい規定があります。例えばボールの色と被るホワイトやグレーのグラブを使うことはルール上禁止されています。グラブとボールの色が同じだと、紛らわしい行為をしてないかどうかが審判から見にくくなってしまうためです。

ちなみにアマチュア野球の場合は縁取り、レース、縫い糸を除いた革の部分は一色でなければならない、と規定されています。一方女子プロ野球では女子野球人気を高めるという意味合いもあり、柄物であったり、カラフルなグラブを利用することも認められています。

平良海馬モデルのグラブ

埼玉西武ライオンズの平良海馬投手のグラブ(左の写真)は最近ホワイト系のものになっていますが、恐らくこれは革本来の色として認められたクリーム色ではないでしょうか。販売店に聞いてみると、平良投手モデルのグラブは高校野球でも使えるとのことでしたが、かなりホワイトに近いクリーム色であるため、高校野球では念のため使わない方が無難かなというのが正直な感想です。高校野球ではブラック以外のカラーグラブの使用は認められておらず、ブラック以外では革本来の色のグラブのみが認められています。

不正投球の種類

ピッチャーの不正投球を防ぐためにいくつかのルールが作られてきたわけですが、しかしそれだけでは100%防ぐことができなかったというのが現状です。。

ルールブックでは主に以下のようなことが禁止されています。

  • シャインボール:ボールを摩擦してすべすべにしたもの
  • スピットボール:ボールに唾液をつけたもの
  • マッドボール:ボールに土をつけたもの
  • エメリーボール:サンドペーパーでざらざらにしたボール
  • スカッフボール:爪などでわざと傷付けられたボール

とにかく投手は余計なものを所持することが許されていません。例えば怪我をしていても、指に絆創膏を貼って投球することは禁止されています。そしてポケットに入れて良いものは雨の日のロジンバッグのみです。

ルールを知らない投手は汚れたり濡れたりしたボールをユニフォームでゴシゴシ拭いてしまうことがありますが、これもルール違反です。ピッチャーは手のひら以外でボールを擦ることは禁止されていますので、ボールが濡れやすい雨の日などは特に注意しましょう。

また、夏場は日焼け止めを使う選手もいると思いますが、指先のロジンに日焼け止めが付いてしまっても不正投球となりますので、日焼け止めを使う選手は十分に注意してください。ただし汗が指先の通常量のロジンに混じってしまうことは不正投球にはなりません。

指先をペロっと舐める外国人投手が多い理由

このように明確なルールが設けられているにもかかわらず、例えば日本にやってきた助っ人ピッチャーによく見られるのが、指先をペロッと舐める行為です。ただ、ボールに直接的に唾を付けているわけではないため、日本のプロ野球でもこの行為は基本的にはスルーされています。しかし間接的に唾がボールに付くということを考えれば、厳密には不正投球にあたります。

しかしこの行為は、メジャーリーグで利用されている公式球にも原因があります。メジャーリーグの公式球は日本プロ野球の公式球よりも僅かに大きくて、なめしも甘いため滑りやすいんです。滑ってデッドボールを当てて大乱闘になるよりはマシ、という事情もあり、メジャーリーグでは指先を舐める行為は許されているという背景があります。

日本の公式球はなめしがしっかりとしているため、メジャーの公式球のように滑りやすいということはありません。しかしメジャーでプレーしてきた際の習慣なのでしょう、指先をペロッと舐める外国人投手は未だに多いようです。

野球がスポーツである限りは、やはりルールに則って正々堂々対戦すべきです。ルールの抜け穴を探す暇があるなら、もっと練習しろ!という話なわけです。

ちなみに最近はあまり見なくなっていたのですが、その昔は帽子のひさしの裏に松脂を塗っておいて、そこを触りながら投げる投手たちがいました。もちろん完全な不正投球なわけですが、こういう選手たちはバレないように細心の注意を払っていたと言います。

ホントに、そんなことに注意を払うくらいならもっと頑張って練習しろ!と言いたくなりますよね(苦笑)

MLBのシャーザー投手も不正投球で10試合の出場停止処分

ニューヨークメッツのエースであるマックス・シャーザー投手の名前は、メジャー通でなくてもご存知の方は多いと思います。メジャーで200勝以上を挙げているスーパースターです。このシャーザー投手も2023年4月19日の試合で不正投球を指摘され、4回のマウンドに登る前に退場処分を受けました。それに加え罰金と10試合の出場停止だそうです。

シャーザー投手は指先にはロジンしか付けていないと主張していますが、複数の審判がシャーザー投手の指先を触って確認をすると、ロジンだけとは考えられないような粘着物が付着していたそうです。審判の話によると、その粘着物は複数のイニングを跨いでも指先から取りきれなかったそうです。

ちなみにロジンはもちろん使っていいのですが、しかし過度にロジンを使うことは禁止されています。シャーザー投手自身はロジン以外は使っていないと主張し続けていますが、もしかしたら過度に指先に付けたロジンが汗と混じって、通常では得られない粘着性を出したのかもしれませんね。

近年メジャーリーグでは投手が3アウトを取ってマウンドを降りる際、指先を球審に見せるようになっています。これは不正投手をしていないかを確認するためのルーティンとなっているわけですが、このようなチェックを行なっていても、不正投球をする選手は後を絶ちません。

メジャーリーグは野球の最高峰のリーグなのですから、このような不正やルールの抜け穴を突くよりも、自らの技術で正々堂々と打者と対峙する姿を見せて欲しいですよね。

シャーザー投手の不正投球に関する追記

不正投球にて10試合の出場停止処分を受けているメッツのシャーザー投手ですが、これが冤罪である可能性が高まっています。シャーザー投手は一貫してロジンに汗が付着しただけだと主張していますが、これはどうやら間違いなく事実であるようです。

しかし複数の審判がシャーザー投手の指先を触り確認をすると、なかなか取れない粘着性の物質が付着していたことも事実です。ちなみにこの確認は、シャーザー投手に不正投球に関する注意を行い、手指消毒用のアルコールを使用させたのちのものだったそうです。

しかしESPNが検証した結果、ロジンとアルコールの相性が非常に良くないことが判明しました。ロジンに少量のアルコールが付着すると、接着剤のような効果が生まれるようです。

上の動画のように、ロジンとアルコールを混ぜることにより指先からボールが剥がれなくなる状態になりました。つまりシャーザー投手は2回終了時にMLB職員に見守られながら除菌用アルコールを使って手をきれいにするように指示を受け、その手にロジンを付けたことによって指先に粘着物質が出来上がってしまった、ということになるようです。ちなみにこの時グラブにも粘着性が確認されたため、グラブも交換しています。

そして退場処分となったのは4回のマウンドに登る直前に球審が指先を確認し、再度指先に粘着物質が確認された時でした。シャーザー投手はサイ・ヤング賞を3回も受賞している名投手であるわけですが、彼は「子どもたちの命にかけて不正はしていない」と主張し続けています。

もしこれが事実だとすれば大問題に発展する可能性があります。ルールを主導しているのはMLB機構であり、そのMLBがロジンとアルコールの相性の悪さを検証せずにシャーザー投手に消毒用アルコールを使わせたことになります。最悪の場合、メッツがMLBを告訴する可能性も否めません。何せアメリカ人は裁判が大好きですからね。

しかしシャーザー投手に問題がなかったかと言えば、そうではありません。ピッチャーの指先はピアニスト同様に繊細です。その指先でシャーザー投手がいつもと違い粘着性を感じていなかったはずはありません。もしシャーザー投手がその時点で審判に申告をしていれば、審判もまた違った対応をしていたはずです。

もちろんシャーザー投手の指先に残っていたアルコールはごくごく微量だったわけで、上の動画のように接着剤レベルの粘着性ではありませんでした。もしそうならボールを上手く投げることなどできません。そのようなわけでボールも異次元の変化を見せることはなかったわけですが、しかしその指先の状態にシャーザー投手が気づいていなかったはずはありません。

これをMLB側の検証不足とするならば、シャーザー投手の出場停止処分と罰金はすぐに取り下げられるはずです。ですがここで問題になるのがシャーザー投手自身の認識です。もし指先がいつもと違う感覚だと気づいているのに投げ続けていたことが立証されれば、処分が解除されることはないでしょう。

この問題は今後も議論されていくと思いますが、皆さんも野球をされる際は除菌用アルコールを使うのは控えてくださいね。

コラム筆者:カズコーチ(野球動作指導のプロ/2010年〜)
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