鍛えるのが難しいからこそ意識的に鍛えていきたい足首

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体の様々なところをトレーニングによって鍛えている選手も、意識的に足首のスタビリティ(安定性)を高めようとしている選手は少ないように感じられます。投手の場合、制球力や球威を向上させるためにも足首のスタビリティは非常に重要な要素となります。

足首には筋肉があまりないため、筋トレによって肥大させることはほとんどできません。『トロイ』という映画でブラッド・ピットさんがアキレスを演じた際、専門のトレーナーを雇い、上半身・下半身共にヘラクレスのような体で役作りを仕上げてきました。しかしそれでも足首だけは上手く鍛えられず、アキレス腱の語源ともなっているアキレスを演じながらも、アキレス腱を射抜かれるシーンに映し出された足首はブラッド・ピットさんではなく、パーツモデルの足首だったそうです。

足首はそれだけ鍛えるのが大変ということなのです。だからこそ意識的にトレーニングをしていかなければ、他の部位とのバランスが崩れやすくなります。バランスが崩れればステップした膝が足首よりも前へ出てしまい、それによって体の突っ込みを防ぐことができず、制球力も球速も低下してしまいます。

ですが足首には筋肉がほとんどありません。主だったものと言えば腓腹筋やヒラメ筋(ふくらはぎ)と踵を繋いでいるアキレス腱くらいです。つまり足首を鍛えるためには、ふくらはぎを鍛える必要があるということです。そしてただ鍛えるだけではなく、柔軟性の高いアキレス腱を作っていく必要があります。

足首の底屈(つま先を下に向ける)や背屈(つま先を上に向ける)はふくらはぎや前脛骨筋(スネ)などの筋肉によって行うわけですが、柔軟性がない筋肉を作ってしまうとスタビリティが低下しやすくなります。ふくらはぎはカーフレイズというトレーニングで鍛えますが、これを平地で行ってしまうと柔軟性と可動性の低い筋肉を作ることになってしまいます。

そうならないためにもカーフレイズは必ず段差を使い、ふくらはぎを最大限伸ばしたポジションから動作を始めてください。そしてカーフレイズのように持ち上げる動作(足首の底屈)だけではなく、チューブなどを使って背屈側の動きからも鍛えてください。このように拮抗する筋肉をバランス良く鍛えることにより、足首のスタビリティを向上させることができます。

そして足首のスタビリティが向上すれば、足首によって踏み出した足のブレを抑えることができ、制球力が安定し、エネルギーが効率的に上半身に伝わりやすくなりますので、球速もアップしやすくなります。足首は足部に次ぐ土台部分です。足部と足首による土台の安定性を高めていかなければ、それよりも上の部位の動作を安定させることはできません。動作全体の安定性を高めるためにも、ぜひこの機会に足首のコンディションを見直してみてください。
コラム筆者:カズコーチ(野球動作指導のプロ/2010年〜)
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