投手に必要な握力は握り潰しではなくデコピン力

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みなさん、投手にとって握力はとても大切な要素だと考えていると思います。この考え方は間違いではないのですが、でも正解と言い切れる考え方でもないのです。多くの方はⅤ字型をしたグリッパーを握って握力を鍛えていると思います。しかしこうして鍛える握り潰しの握力は、実は投手が投げるボールにはそれほど大きな影響を及ぼしてはいないのです。

グリッパーで鍛えるような握力は、打者には有効です。握力計で計る数値が高い選手は、剛速球が来ても振り負けることがありません。逆に握力が弱いと、コンタクトの際に手の平の中でバットが遊んでしまい、ストレートに力負けしてしまいます。打者の場合はこのように大きな影響が出るのですが、しかし投手の場合はちょっと違うのです。では投手の場合、どのような握力が必要なのでしょうか?

デコピンをご存知だと思います。親指を使った片手デコピンではなく、両手を使うデコピンです。人差し指と中指を、反対の手を使って背屈(手の甲に向けてしならせる)させ、それを放す勢いでやるデコピンです。投手にとって必要なのは、このデコピン力なのです。

腕をコンパクトに振り、求心力を使った良い投球動作でボールを投げられていても、握っているボールには必ず遠心力がかかってきます。デコピン力が弱いとこの遠心力に負けてしまい、ボールは高めに抜けてしまうようになるのです。

アマチュア選手の場合は、投手も打者もやる選手が多いと思います。打者としての握力はグリッパーを使ったトレーニングで鍛え、投手としての握力はデコピン力を強化するようにしてください。試合終盤、握力低下により制球がつかなるなる状態は、実は握り潰しの握力が低下しているのではなく、デコピンをする力が弱まっているから起こる現象なのです。

デコピン力は色々な方法で鍛えることができますが、500mlのペットボトルに紐を付け、その紐を手の平を上に向けた状態で人差し指と中指にかけ、それを90°の運動幅で上下させることによって簡単に鍛えることができます。ですがこれだけでは遅筋ばかりが鍛えられてしまいますので、瞬発力を付けるためにも実際にデコピンのような動作をして、速筋も鍛えておくようにしましょう。

コラム筆者:カズコーチ(野球動作指導のプロ/2010年〜)
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