イップスを治すには頭から四球と暴投を消し去る

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アメリカにはC.I.A.(セントラル・インテリジェンス・エージェンシー)と呼ばれる世界最高峰の諜報機関があります。つまりスパイ集団ですね。もちろん厳密にはスパイという表現は良くはないのかもしれませんが、このコラムはスパイに関する内容ではないので、鋭い突っ込みはご容赦ください。ではこのコラムは何のコラムなのか?!それはですね、タイトル通りイップスに関するコラムです。

なぜイップスの話をするのにC.I.A.を持ち出したかと言うと、C.I.A.のフィールドエージェント(いわゆるスパイ)は、敵に捕まってしまい、ポリグラフ(嘘発見器)による厳しい取調べを受けても真実がバレないようにする訓練をするんです。どんな訓練かと言うと、自分の名前を訊かれた時、本当はポールなのに「わたしはジョンです」と言いながら焼肉のことを考えるという訓練です。これをマスターすると、嘘をついてもポリグラフに反応が出なくなるというわけです。そしてこの訓練がイップスの精神的問題の改善に役立つため、わざわざC.I.A.を持ち出したというわけです。

イップスは「暴投してはいけない」、「四球を出してはいけない」と考えることで、その思考が脊柱を介して動作へと繋がってしまい、身体が暴投や四球の動きを意図せず行ってしまうことを言います。つまり技術的問題はさておき(本当は最優先に考えるべきですが)、送球時に「暴投」のことを考えないようにする訓練こそが、イップスの改善には必要だということです。つまり例え暴投をしても、四球を出しても「今のボールは良かった!」と胸を張って言いながら投げられるようになることが必要だというわけです(チームメイトの協力ももちろん必要です)。

例えば練習ではコントロールが良いのに、試合になるとなぜか四球を連発してしまう投手は、ほとんどの場合マウンド上で「四球を出してはいけない」と考えているはずです。でもこれがプライミング効果を高めてしまうということはすでに書きました。

試合で四球を出さないためには、または暴投をしないためには、四球や暴投という言葉を頭から締め出す必要があります。具体的にどうすれば良いかと言うと、まさにまったく関係ないポジティブなことを考えればいいのです。例えば好きな女の子のことを頭に浮かべて投げたり、「俺はダルビッシュだ!」と頭で反芻しながら投げることです。

人間の動作は、思考から大きな影響を受けます。例えばネガティブなことばかり考えて歩いている人は、だいたい下を向いて歩いていますし、ポジティブなことを考えている人は胸を張って歩いています。つまり打たれようが何しようが「俺はダルビッシュだ!」と考えながら投げることで、四球や暴投というキーワードを頭の中から追い出すことができるわけです。

ですので練習中から自分を暗示にかけるようにしてみてください。グラブをはめてボールを握ったら、あたなはもうダルビッシュです!快速球を呻らせてビシバシ三振を奪うスーパーエースです!

まぁ、ダルビッシュ投手じゃなくても誰でも良いのですが、とにかく大切なことはマウンド上で意識せずに常にポジティブになれるということです。それを練習中から取り入れ、試合のマウンド上でもできるようになれば、イップスは改善へと向かっていくはずです。そして好きな女の子に「格好いいところを見せる!」と考えながら練習に励めば、試合でも自然とそう考えられるようになり、マウンド上で四球や暴投の心配をすることも少しずつ減っていくはずです。

イップスはいきなり治ることは考えにくいものです。ですので焦らず、少しずつじっくりと考え方を変えていけるように継続していってください。そうすればきっと、イップスは少しずつ改善されていくと思います。

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