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先日、20年以上少年野球の指導に携わっているという方と知り合う機会がありました。わたしがプロコーチをしていると話すと、ぜひ一度チームを見てもらいたいということで、見学をさせてもらうことにしました。その日は20人以上の子どもたちが集まっていて、お父さんコーチは5人いらっしゃいました。

ちなみにわたしは普段、少年野球チームに仕事で行くことはありません。わたしは個人レッスン専門コーチですので。ですが今回は友人からの相談ということで、仕事抜きでチームにお邪魔させていただきました。

2時間ほど見学させていただいたのですが、怒声が舞う舞う(笑)。「なんでそんなこともできないんだよ!」「守備位置いまはそこじゃないだろ!」って、とてもじゃありませんが子どもたちに対し使う言葉遣いではありません。このような怒声を普通に浴びながら育ってしまう彼らも、きっと大人になったら平気で子どもたちを怒鳴りつける大人になってしまうのではないでしょうか。

「なんでそんなこともできないんだよ!」って言いますが、それはコーチがちゃんと指導してあげないからです。お父さんコーチたちはボランティアですので、しっかりと最新技術を勉強されている方は皆無と言えるのではないでしょうか。例えば、怪我をしにくい投げ方が一番パフォーマンスがアップする、ということを論理的に学び理解されているお父さんコーチはいらっしゃいますでしょうか?・・・・まずいらっしゃらないと思います。

しかしわたしたちのような、プロ選手だけではなく、子どもたちの個人指導も行うプロコーチはどうなのか?もちろん十分に理解をしています。2〜3球見ただけで、その選手が肩肘を壊しやすい投げ方をしているのか、それとも良い投げ方をしているのか、ということを判断することができます。そして10球程度観察すれば、まずどのポイントをどのように修正すべきなのか、ということをほとんど即時に組み立てることができます。

わたしのコーチングでは、全選手に当てはめるためのカリキュラムは作っていません。まず選手の動作を観察し、その選手に今何が足りなくて、何が必要なのか、ということを把握してからコーチングの流れを組み立てていきます。ですのでその選手ができている点に関してはコーチング中に触れることはほとんどありませんし、絶対的に足りない部分に関しては時間をかけてでも丁寧にじっくりとコーチングを行なっていきます。中でも特に土台作りは非常に重要な作業です。

子どもたちが野球を辞めてしまう原因のトップは、人間関係と怪我です。人間関係とはチームメイトと反りが合わなかったということも、監督やコーチを好きになれなかったということも含まれています。そして野球選手にありがちな肩痛・肘痛。日本の少年野球の指導現場では、いまだにこの2つの原因を取り除くための努力がなされていません。

2時間ほど上述したチームを見学させていただいた後、お父さんコーチを集めて30分ほどお話をさせていただきました。子どもたちを怒鳴りつけることのデメリット、肩肘を痛めない投げ方、手首や腰を痛めない打ち方、などなど。30分だけで駆け足のアドバイスだったため、おそらく深く理解していただくことはできなかったとは思うのですが、現状の指導方法が誤っているということは十分理解していただけたと思います。

わたしはすごく不思議に思っていることがあります。自分の子どもが不必要に怒鳴りつけられているのに、なぜ親御さんは黙っているのでしょうか?これが野球指導現場のベストな状況だと勘違いされているのかもしれません。しかしもし自分の子どもが怒鳴りつけられていたら、わたしなら逆にそのコーチを親として怒鳴りつけるでしょう。怒鳴りつけるというのは指導ではありません。もちろん子どもたちがチームメイトに嫌がらせをしたとか、いじめをしたとかであれば、怒鳴って叱りつけることも必要でしょう。しかしミスをした選手、間違ったプレーをしてしまった選手を怒鳴ったところで、子どもたちは萎縮してしまうだけで、伸び伸びとプレーすることなどできなくなってしまいます。

わたしのコーチングに通ってくださっている方の中には、少年野球の指導に嫌気がさして退団してしまい、でも野球が好きだから中学に上がった時にまたすぐ野球を始められるようにと1〜2年継続的に通ってくださっている方も、1人や2人ではありません。

野球のコーチングスキルに関し、わたしたちのようなプロコーチは全てを知っています。なぜならコーチングしていない時間帯は、毎日たくさん勉強しているからです。投げる、打つ、守る、走る、メンタル、ストレッチング、トレーニング、スポーツ物理学、運動生理学、栄養学などなど、野球に必要なことはすべて勉強しています。と言うよりは、勉強し続けています。

選手を上達させるために必要なことを知っていれば、怒鳴る必要なんてまったくないんです。静かに穏やかに伝えるだけでも、選手はあっという間に上達していくことができるんです。しかし伝え方を間違ってしまったり、伝えなければならないことが根本的に間違っていたりすると、選手の上達はすぐに止まってしまいます。これは指導者が選手に対して与えてしまうプラトーであると言うこともできます。

今後1〜2年程度で少年野球指導者の質が目に見えて向上することはまずないでしょう。だからこそ子どもたちが怪我をしない動作を覚えられるように、プラトー状態にならないように、高いコーチングスキルを持ったプロコーチがいる野球塾がもっともっと必要だと思います。

算数や国語が苦手であれば、学習塾に通いますよね?これとまったく同じなのです。現状では、怪我をしにくい良い投げ方を理論的に学ぶためには、野球塾に通うしか方法はありません。わたしが書いている投手育成コラムをすべて読み、完璧に理解されているお父さんコーチもほとんどいらっしゃらないと思います。

ちなみに当野球塾の場合、お父さんお母さんが投手育成コラムやスラッガー養成コラムを読んでくださり、適切な指導の必要性を知り、お子さんを通わせたいと思ってくださる方がものすごく多いんです。投手育成コラムを読むことができない小学生選手の場合は、ほとんどすべてがこのパターンではないでしょうか。

野球塾の指導は、少年野球チームの指導とはまったくレベルが異なります。少年野球チームで、わたしの指導と同レベルの指導を受けられることは、99.9%ないと言い切ることができます。野球塾のコーチはお金をいただいているプロコーチですので、プロとして毎日いろいろなことを勉強しています。ですのでぜひ一度、お近くの野球塾を探して門を叩いてみてください。ちなみにオススメなのはやはりグループレッスンよりも個人レッスンです。同じ時間数を野球塾に費やすのであれば、グループレッスンよりも個人レッスンの方がはるかに上達速度は速くなります。野球塾選びをする際は、ぜひその辺りも合わせて検討されてみてください。
  • 野球指導に関してなんでも知っているのが野球塾のプロコーチ
  • 勉強していないコーチが選手に与えてしまうプラトー
  • 怪我をしにくい動作が一番上達できる!
コラム筆者:カズコーチ(野球動作指導のプロ/2010年〜)
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