スポーツ外科医も正しく理解していない肩肘を痛めない投げ方

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2年ほど前、医療関係者向けの野球肩野球肘防止セミナーに参加させていただいたことがありました。そこでは野球肩や野球肘になりにくい投げ方の解説がされていたのですが、その内容を聞いて非常に驚いてしまいました!


テーマは野球肩野球肘にならない投げ方の指導法だったわけですが、まさに野球肩野球肘になりやすい投げ方がそこでは解説されていました。おそらく野球動作の研究経験のないお医者さんが、書店で普通に市販されている野球教則本で正しいと書かれている投げ方を覚えてきたのでしょう。そのセミナーには50名くらいのスポーツ外科医やPT(理学療法士)の方が出席されていたのですが、その方々はお金を払ってセミナーに参加したにも関わらず、大げさに言うとウソを教えられてしまった、ということになります。

僕はただの一参加者であり、登壇者ではありませんでしたので、ただ内容を拝聴するだけの立場でした。ですので「それは間違っている!」とは言わなかったわけですが、そこで親しくなった外科の先生とPTと3人でその後スターバックスに行きました。そこでそのおふたりには、本当の、野球肩野球肘になりにくい投げ方をお伝えさせていただきました。おふたりとも「解剖学的に確かにそうだ!」と納得してくださいました。

もちろん、本当に正しい野球肩野球肘になりにくい投げ方を理解されているお医者さんもたくさんいらっしゃいます。しかしその時参加させていただいたセミナーで講演されたスポーツ外科の先生は、野球肩野球肘になりにくい投げ方を正しく理解されていないようでした。

そもそも、野球肩野球肘になりにくい良い投げ方の解説の中に、股関節の話がまったく出てこなかったこと自体が僕にとっては大きな不満でした。股関節を適切に使っていかないと、野球肩野球肘にならない投げ方で投げることは不可能です。僕のコーチングを受けてくださっている方であればもうご存知だと思いますが、僕のコーチングではとにかく股関節の動作へのアプローチを徹底して行います。なぜなら、股関節を適切に使えていれば、投球時に肩肘を使う必要がなくなるためです。肩肘を使わずに投げれば肩肘への負荷はかからず、野球肩野球肘にもならない、ということになります。そして同時に制球力や球速もアップさせることができます。

以前、プロ野球チームでコーチをされていた方とお話をさせていただいた時にも、実はその方も同じことを話されていました。「セミナーに行っても間違ったことを覚えさせられる」と。その方は指導中に投げ方に関して疑問が出てきた時、僕に相談してくださいます。最近ではセミナーで知り合った外科の先生とPTの方も、治療中・施術中に疑問があるとすぐに連絡をしてきてくれます。そして僕は報酬をいただくことなくアドバイスさせていただいているので、彼らは時々僕に、スタバでいろいろとおごってくれます(笑)

普通の書店で売られている、普通の野球教則本のほとんどは経験則で書かれています。そのため解剖学的に誤ったことが多々書かれていて、その通りの投げ方で投げてしまうと肩肘を痛める結果になってしまいます。本当に正しい投げ方というのはエヴィデンス(証拠)と共に書かれている論文の中や、医学コーナーの本の中に書かれています。

ただし論文は英語で書かれていますし、医学書は非常に高いです。安くても5,000円くらいしますし、高いと10,000円くらいします。そして薄っぺらいスポーツ医学の月刊誌でさえ1,000円します。そして医学書を扱っている本当に大きな書店でしか取り扱われていないため、購入するのも一苦労です。ちなみにAmazonでは売られていないこともほとんどです。

僕はスポーツ医学書や、スポーツ医療に関する雑誌を合わせて数百冊所有しています。「元プロ野球選手が教える正しい投げ方」的な本は役に立たなかったため、10年以上前に20冊くらいすべてブックオフで売ってしまいました(笑)

野球をしていて肩や肘が痛くなったら迷わず病院に行ってください。そして適切な治療をしてもらい、完治させてもらってください。その後で野球塾・野球教室に通っていただき、肩肘を痛めない正しい投げ方を教わってください。正しい投げ方をマスターすることができれば、少年野球チームやクラブチームに復帰したあと、肩肘の痛みが再発することもなくなるはずです。

病院に通ってせっかく痛みを治してもらっても、治った後、同じ投げ方を続けていればまた痛くなってしまいます。ですので病院に通って完治した後は、野球塾に通って肩肘を痛めない投げ方をマスターするようにしてみてください。
  • スポーツ外科の先生も実はよく知らない肩肘を痛めない投げ方
  • 有料セミナーに通っても正しいことを学べるとは限らない
  • 肩肘が治っても、同じ投げ方のままではまた痛めてしまいます

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